泥水をすすり続けた苦労人女子2人の王座戦は大激戦!白いベルトを防衛した小波に“妹”が挑戦表明!

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 29日、東京都・両国国技館にてスターダム『JR東海 推し旅 presents STARDOM DREAM QUEENDOM 2025』が開催。小波が飯田沙耶を制してワンダー・オブ・スターダム王座の初防衛に成功した。

 スターダムのワンダー・オブ・スターダム王座(※白いベルト)は、今年11月3日小波がライバルのスターライト・キッドを破って悲願の初戴冠を果たした。
 しかし、その直後から行われたタッグリーグ戦『GODDESSES OF STARDOM』では小波の戦績は振るわず優勝争いからは早々に脱落することに。

 そんな中、タッグリーグで小波から勝利を奪った飯田沙耶、壮麗亜美が白いベルトへ挑戦を表明。これを受けた小波は2人へシングルマッチを命じ、勝った方と29日の両国国技館で白いベルト戦を行うという“ゲーム”を押し付けて高笑いするという悪女ぶりを魅せる。

 今月8日に行われた“ゲーム”の勝者は飯田沙耶。
 飯田は145cmと女子プロレス界全体で見ても小柄な体格だが、尊敬する選手として石井智宏、柴田勝頼を挙げる武骨な女。
 筋肉を信じて明日に輝いた飯田は年々バルクアップして鋼の肉体を手に入れていき、プロレスラーが肉体美を競うボディコンテスト『新日本プロレスコンクルソ 2025』では、飯田以外は全員男子選手が出場していたにも関わらず準優勝を獲得。

 かつて若手・若年者専用のベルトであるフューチャー王座を戴冠したことはあるものの、その後の飯田のシングル戦線での戦績は振るわない。しかし、腐ることなく鍛錬を続ける飯田の大きな背中を追いかける選手も多く、その背にはファンの期待も負っている。
 選手層が厚いスターダムでは、飯田より大きい選手も、飯田よりもパワーが強い選手も多くいるかも知れない。しかし「スターダムのパワーファイターといえば?」と問われたら「飯田沙耶」と答えるファンは多いだろう。飯田の長年にわたる愚直な努力は、それだけファンの信頼を勝ち得るに至っている。


 飯田は気合の現れか、顔の右半分に歌舞伎メイクを施して登場。
 試合はロックアップでの力比べに始まり、飯田がパワーで圧倒しショルダータックル。しかし、追撃のラリアットを狙ったところを小波が脇固めで切り返し、その後はリング内外で徹底した腕攻めを行って飯田の最大の武器である左腕を破壊しにかかる。
 飯田は右腕でのマシンガンチョップから反撃の狼煙を上げようとするが、小波は右腕をキャッチしてぶら下がり式腕十字。飯田は両腕に大ダメージを負った状態となるも、飯田は痛みに顔を歪めながら敢えて得意のチョップで攻め込んでラリアットで叩き伏せる。しかし、普段より威力が出なかったのか、すぐさま起き上がった小波が返す刀でハイキック。
 互いにダメージが蓄積した2人だが、足を止めての激しいエルボー合戦を展開。飯田が左右のチョップの乱れ打ちから再びラリアットを放つが、小波は飛びつき式腕十字で切り返し、ダブル・アームバー。さらにチキンウィング・アームロックからトライアングルランサーを狙うが、飯田の抵抗に合わせてスリーパーホールドへと移行。しかし、飯田は下半身の筋力のみで小波を持ち上げ、サイドバスターのように叩きつけて強引に脱出。
 飯田は雪崩式パワースラム、コーナートップからのダイビング・ラリアット、変形ファイナルカットと新たな引き出しを開けて意表を突き、「馬鹿野郎ッ!」と叫びながら左腕でのラリアットを連打。
 さらに達者でな!(※変形キン肉バスター)を狙うが、着地した小波がトライアングルランサー。これを先読みしていた飯田は極まり切る前に素早く前転で抜け出し、低空式のフライング・ラリアットからローリング・ラリアット。必殺の垂直落下式ブレーンバスターでぶっ刺すも、カウントは2.9。
 ならばと飯田はアームカバーを外してロープに飛び渾身のラリアットを放つが、バックを取った小波がスリーパーホールド。グラウンドでの胴絞め式へと移行するが、飯田は必死でロープに足をかける。

 小波は投げっぱなしジャーマンから盟友・渡辺桃の技でもあるテキーラ・サンライズ。「終わりだッ!」と叫びながらのトライアングルランサーを決めるが、飯田は飯田橋(※丸め込み)で切り返す。ならばと小波がハイキックからのバズソーキックを叩き込み、ファイナルランサーでガッチリ捕らえると飯田は無念のギブアップ。

 マイクを取った小波は観衆からのブーイングに「お前らの大嫌いな小波が初防衛したぞ」と応え、飯田に「お前が望んだ“正々堂々”とやらで私が勝ったけど、お前はどんな気持ちなんだ?」と問いかける。
 飯田は「どんな気持ちかってコラ?なんだろうな。清々しいよこの野郎ッ!テメーの一番サイコパスな姿で闘えたこと、俺の糧になったよ。テメーよ、そっちにいないでこっちに来たらどうだよ」とベビーの道へと引き戻そうと握手を求める。
 小波はその手を一度は握るも、引き寄せて試合で散々痛めつけた左腕にエルボースタンプ。「おい、なに寝ぼけたこと言ってんだ飯田。わからなくもないよ。私の関節技で眠たくなっちゃったんだな。帰れよッ!負け犬がッ!」とリングから蹴落とした。

 すると、H.A.T.E.のチームメイトであり、ともにアーティスト・オブ・スターダム王座(※6人タッグ王座)のベルトを巻いている吏南が登場。
 吏南は小波の初防衛を祝福しつつ「正直なことを言うと、小波がその白いベルトを巻いてイキイキ闘ってる姿とか、H.A.T.E.の他のメンバーがこの両国に向けて輝いてる姿をずっと見てきて、スゲーなって思う半分、メチャクチャ悔しかった。タイミングとか自分の順番はまだとか、そんなカッコつけたこと思ってたけど、そんなこと言ってたら一生そのベルト巻けそうにないなって思ったし、私今日ここでチャンス掴んだから、そのベルト私に挑戦させてください……いや!挑戦させろッ!クソ姉貴ッ!」と愛に溢れた挑戦表明。


 小波は「おねーさんだろうが!」と“姉”として叱りつけるも「吏南が今年どれだけ活躍してきたかも私は隣でずっと見てきた。だから次吏南とこのベルトかけてやるのも私は面白いと思うんだ」と歩み寄る。しかし、吏南は顔面にツバを吐きかけて退場。小波は苦笑いしつつも2026年も防衛ロードを続けていく覚悟を叫び「スターダム、THE END!」の決めセリフで締めた。
 バックステージでは「数年前の両国で私はスターダムを退団して、去年は朱里と秒殺で散々な目にあって。まさか今年はベルトを持って、しかも防衛できる日が来るなんて、スターダムは1年の間になにがあるか分からねーな?だからプロレスって面白いよな!」と感慨にふけり、ファンに対しては「お前ら、私のこと大嫌い過ぎないか?(笑)お前らが夢見てるスターダムは、THE ENDだ!」と憎まれ口を叩いた。

 対する飯田は「あぁ、まだ早いってか。白ってこんなに遠いんだ。挑戦すんのも長かったのによ、ベルト巻くのも時間が必要だってことも今日身にしみて分かりました」と涙をこらえきれない様子で胸中を吐露。しかし「でもあっしは諦めません。もう、諦めません!必ずあの白いベルトをこの場所(腰)に巻きます。沢山の人との約束を絶対に果たします!」とすぐに前を向いた。

 今回は飯田の長年の努力が報われるかどうかに焦点が当てられた試合であったが、小波もまた長年泥水をすすりながら這い上がってきた選手。

 小波は2015年2月に華名(現WWE:ASUKA)の弟子としてプロレスデビューをするが、同年に華名はWWEへ行ってしまったためわずか5ヶ月で師弟関係は解消。地元・広島の格闘技ジムで総合格闘家の藤井惠に弟子入りして格闘技の技術を修得した過去もあり、REINA時代には朱里を師として様々な技術を学んできたこともあって確かな実力を持つ選手へと成長。
 小波は2018年にスターダムへ移籍するも、2021年12月に2年以上続く体調不良を明かしてスターダム退団を発表。REINA時代にも内臓疾患の治療と静養で長期欠場と退団を経ており、病とも闘うプロレス人生を歩んできた。
 寛解後は地元・広島を中心に限定参戦を開始し、2024年4月にスターダム再入団。現在は冷酷なヒールとして狂気を振りまいており、今年11月には自身初のシングル王座である白いベルトを獲得。今回の初防衛を経て、ようやく本格的なチャンピオンロードを歩み始めることが出来たと言える。

 小波の言葉通り、スターダムは1年の間になにがあるか分からない。2026年12月末にも行われるであろうビッグマッチでどのような光景が広がっているのかを楽しみに待ちたい。

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