【激白・第3章】投資話が破談して貯金が底をついた夏すみれが行き着いた先は神頼み。自暴自棄の行動に射した一筋の光

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 2年間の欠場期間中に乗りかかった投資話。貯金が底をつく頃に、夏すみれはこの話が実現しないと知る。
 プロレス界でしか生きてこなかった夏すみれが『生きるために働く』には、深い心の闇を克服する必要があった。
 そんな彼女に手を差し伸べてくれる誰かがいるのか?当時の状況がノンフィクションで赤裸々に語られた。

■自分本位の部分は疲れちゃってたんですよ、なにもかもに

――状況は破綻する寸前ですが、企画のスタート自体は直前まで進んでいたわけですよね?
「撮影を2週間後に控えていましたが、お金がどうなるかわからない状況だったんで衣装合わせとかの予定も一旦全部ストップさせて、話の進展を待つ時間に入りました。その後、A氏の会社の従業員の方とお話をした際に『実はA氏が裏で「お金を出さない」と言ってます』って話を聞いたんです。理由としては、私がプレゼン後にA氏に抗議したのが『不貞腐れてる』と映ったみたいで・・・。プレゼン後の連絡なども、お金がもらえるかどうかもわからない状況なのに、相変わらずA氏からは会社設立云々の連絡が来るわけですよ。でも会社を設立したところで資金がどうなるか分からないので、これ以上話を進めたくなかった。だから返信が投げやりになっちゃってはいたんです。そういう部分も含めてA氏は『あんなんだったらお金払わない』と言ってたらしく・・・。」

――投資先を作らないとお金が振り込めないので卵が先か鶏が先かに近い状況ですが、夏さんにしたらたまったもんじゃないですね
「私としては『それは違うだろ』と。A氏がお金を出資するから何かをやってほしいと言われて生まれた話だったのに、A氏自身がお金を出さないと言いだすのは違うだろうと。こうなってしまうまでの過程のなかに、もちろん私自身の勉強不足とか、お金の部分をA氏任せにしすぎていて、自分自身で色々知ろうとしなかった私自身にも責任はもちろんあるんですけど、話がこじれた大本を正せば最初に大きいことを言っておいていざとなったら『出資出来るかどうか分かりません』という状況になったからじゃないですか。そうなったのは何故なの?って話であって。『出さないって言い出すのはおかしい』ってことで話し合いの場を設けたんですけど、私も当時はかなり感情的になっていましたし、投資云々っていう大人の世界の話は、プロレスしかしてこなかった小娘には分からなかった。そこは冷静にジャッジしてくれる人が必要だろうってことでバトル・ニュースの伊藤記者にも来ていただいて、話し合いをしたんですね」

――マスコミかつ経営者ということで僕に白羽の矢が立った形でしたね。先方は驚いていましたが、お互い感情的に一歩引いた状態で話し合いはスタートしたと思います
「その場で私が話したかったのは『なんでこういう状況になってしまったのか』っていう話だったんです。過去のやり取りを全て振り返り、話が二転三転した経緯を全て明らかにした上で、『言ってることがコロコロ変わる中で話を進めることは私自身が責任を取り切れない』『一度仕切り直して、もう少し地に足の付いた小さい規模から始めたい』という話をしたかったんですけど、向こうは『言った・言わないなんてどうでもいい』ってスタンスだったんですよね。それでこっちも『ねーわ』ってなって。最終的には交渉決裂という形になり、1月からずっと計画していた企画そのものが、ナシになりました」

――お互い見ている投資額と規模感が見合わず、少額のスポンサーレベルであれば先方もやる意味がない中で、やりたいことが噛み合ってない状況で不信感がたまり切っての決裂でした
「その時点では、各選手とか映像会社にも実現の方向で話を進めてしまっていたので、いざ無しになったとき、責任が降りかかるのって現場で仕切ってた私じゃないですか。その企画ありきで今後の活動を考えてくれていた選手もいたので、そういう選手に対してもどんな顔をして説明すればいいのか分からなくなってしまって。そこからもう、精神と時の部屋に籠もるような形になってしまいました。一応その当時参加してくれる予定だった選手には、『状況が変わってしまって進められないから一旦保留で』って形で連絡は入れました。それでも私は1回言っちゃった以上、なにか違う形でもいいから何かしらで実現させないと申し訳ないし、自分の顔も立たないっていう気持ちがあったから、なにか別の形でやることが出来ないかって考えてたんですけど、その気持ちって結局のところ、自分の信用を失いたくないだとか、嫌われたくないだとか、他者に対する気持ちだけだから、自分本位のものが何もなかったんですよね。自分本位の部分は疲れちゃってたんですよ、なにもかもに」

――周りの選手の悩みも聞いていた夏さんは、途中から『周りの選手のために私が形にしなきゃ』になっていましたね。優しさゆえに追い詰められていたように見えました
「欠場前から不安定な精神状態だった中で、『私は一体誰のために何をしようとしてるんだろう』となっちゃって、結局行き着いた先が、誰にも連絡を取らずに家に引きこもるって形でした。それでもやっぱり、家も引っ越して家賃も発生してますし、現実問題として貯金も数万円になっちゃって、このままでは終わる状況だったんで、何かをしてお金を稼がないとっていうのがありました。だからとりあえず派遣のバイトに登録して、日雇いのバイトをしてなんとかその日を食いつなぐ1ヶ月半を過ごしまして・・・。そのときの派遣先の1つがとあるパン工場だったんです。私はその日、1日8時間拘束の労働で7~8,000円。20歳からはずっとプロレス界にしかいなかった私からしたら、長時間一つのことを誰も見てくれない状況で働くという事が久しぶりで、『今の自分はこんな状況に追い込まれてるんだ』っていうことに悲しくなっちゃって……」

■この熱い蒸しパンを顔面にぶつけたらどういう反応をするんだろう?

――以前のインタビュー(2022.3.29)でパン工場のトラウマについて少し触れていましたが、そのときのことですか?
「その日、私は蒸しパンのレーンを担当してたんですよ。午前中は流れてくる蒸しパンに付着物が付いてたらピンセットで取ったり、形が崩れていたら捨てるって作業をずーっとやるわけですよ。感覚としては、人間が機械を動かすんじゃなくて、機械に人間が動かされてるみたいな。昼休憩までの間ずっと同じ動きを繰り返すだけなので、単調な動きばっかりしてると色々嫌なこと思い出して気持ちがグチャグチャになるんですよ、でもふと我に返って『あっ、ピンセットで取らなきゃ』ってことを午前中は繰り返していました。午後からは隣のレーンで、ちっちゃい蒸しパンを4個1セットにしてパックに詰めるという作業だったんですが、たらたらしてるとベテランのおばちゃんに『早くやって!』と注意されるから黙々とやってました。そしたら段々頭がおかしくなってきちゃって。ベルトコンベアを挟んで向かいにおばちゃんが立ってたんですけど、段々この蒸しパンを無性におばちゃんに向かって投げたくなっちゃったんです。ムカつくとかじゃなくて、ホント理由もなく無性に。でも、もちろん投げちゃダメじゃないですか。投げちゃダメっていうのは気持ちの上で分かった上で、投げたい投げたい投げたいって……。とにかく『この熱い蒸しパンを顔面にぶつけたらどういう反応をするんだろう?』って。そんな気持ちが湧いてしまってたんで『これはダメだ』と思ってパン工場は1日で行くのを辞めました……」

――プロレスラー夏すみれが今にも出てきそうになってますね
「帰りの電車でも、気持ちはグチャグチャなわけですよ。『去年まではリングに立ってみんなに応援してもらえていたのに、なんで今の私はこうなんだろう』って気持ちになって、毎日夜中は発狂してました。泣くというよりは、自分の心の中のもやもやを体の外に出したくて、ひたすら叫んでた。今思うとこれもだいぶ頭がおかしくなってたんだと思いますけど……。当時連絡が取れる人っていうのが、例の企画を始めるときにお別れした元交際相手だけで、その人に病んでるラインや電話を毎日かけてました……」

――復縁とかは考えなかったんですか?
「気持ちとしては無かったんですけど、ずっと一緒にいた相手なので、もはや家族のような存在でしたから……」

――大変なメンヘラ女になってますね
「今考えたら、迷惑をかけた人にすぐに謝って『ごめんなさい』すれば、心はもっと楽だったと思うんです。だけどその時はまだそれが言えなかったし、私自身、もともと欠場前は基本的にはハッピー野郎だったので、仮にストレスが溜まっても友達と飲みに行って『ちょっと聞いてよぉ~』って言えばもう終わってた。どちらかといえばメンヘラ気質な子のことを軽蔑してたんです。だけど現実問題、現状の私は軽蔑していたはずのメンヘラ女になってるわけじゃないですか。それが恥ずかしくて周りに泣きつくことが出来なかったというのもあります。だから結果的に、当時唯一すがれる存在は元交際相手しかいなかった」

――実際に元交際相手さんには会ったりしたんですか?
「その時期だとアレですね。夜中に突然『そうだ 京都、行こう。』と思い立ちました。昔、友人レスラーから『京都の縁切り神社(※安井金比羅宮)がメチャクチャ効くんだ』と聞いた事を思い出して。それですぐに元交際相手に『京都に連れてってほしい』と連絡しました。朝イチでレンタカー借りて京都まで行って、縁切り神社に行ったんです。その縁切り神社って、縁切り石みたいのがあって、御札にどういう縁を切りたいかっていう願い事を書いて石にくくって、その石に空いてる穴をくぐったら縁が切れますよってやつなんですけど、私はその御札2枚分に呪術的なものを書いてくぐりました。絵馬も2枚買って、『とにかくA氏はプロレス業界から手を引いてくれ!』ってお参りして、京都観光とかするわけでもなく、縁切り神社でお参りしてすぐ帰るっていう」

――その元交際相手の方は、休みの日に行き帰りの運転をしてくれただけと・・・
「彼はその様子を見て、多分引いてました。『うわぁ』って顔をしてました。帰ったらLINEが来て、『縁切りの効果があるといいね』って。結局のところすべて自業自得なんですけど、その当時は誰かを恨まないと過ごせないメンタルだったんですね」

――その後、メンタルは回復されたのでしょうか?
「最終的には日雇いのバイトも辞めて、普通に契約社員として昼職を始めたんです。某大手スマートフォンメーカーのカスタマーサポートのお仕事で、なんでそれを選んだかって言ったら完全在宅ワークのお仕事だったからなんです。当時の私は人と接せられる精神状態ではなかったので、家の中で1人で仕事がしたくて。結果的には、そのお仕事は結構お給料が良くて、贅沢しなければ生活出来るくらいのお給料はいただいていたので続けていて。パン工場行ったり縁切り神社に行ったりしてた時期に比べたらメンタルも落ち着いてきたので、久しぶりにTwitterとかのSNSも見られるようになってきたんです。スターダムさんとかP.P.P.TOKYOさんとか、自分がお世話になっていた団体さんは思いが強すぎてまだ見られなかったんですけど、全く関係ないプロレスの情報とか友人関係のツイートとかは見られるようになっていました」

――欠場時から考えると1年近くかかりましたが、だいぶ回復されましたね
「それで、ふと自分語りをしようと思ったんですね。メンタルがヤバかった時期は、自分の人生全てを否定していたんですよ。『私の人生なんだったんだ』って。『1回の失敗で20代の全てを費やしたプロレス界での信用失ったわ』って。今考えたらそこまでの話じゃないんですけど、当時は『なんのためにプロレスやってきたんだろうな』って考えていた時期でした。今から新たに何かを始めるにしても30代を目前にして昔ほど行動力も出せなくて、私はこのまま終わるのかなって。そんなクソしょうもない自分の人生を誰かに聞いてほしくてnoteに書いたのが、自分がプロレス業界に入る前の、10代の頃の体験談でした。そしたら読んでくれた方から想像していた以上に反応があったんです。私としては『誰かに聞いてほしい』ってだけだったんで、『こんなん自分のファンくらいしか見ないだろ』って。『ファンも正直何人残ってるかもわからないし、数人くらい見てくれればいいや』って思ってたらすごい反響があって、それをきっかけに私を知ってくれた人とかもいて、なんかそのときは心境的には『面白がってもらえるなら、こんなクソみたいな人生でも良かったのかな』って少し思えるようになりました。過去の経験が今に生きているわけでもなければ、ロクな経験でもなかったけど、誰かが面白いって言ってくれるならいいかなって」

第4章へ続く

『NOMADS' vol.2』
日程:2022年8月5日(金)
開始:19:00
会場:東京都・新宿FACE
チケット購入URL:https://nomads-fs.shop/

▼シングルマッチ
雪妃真矢
vs
櫻井裕子(COLOR‘S)

▼6人タッグマッチ
真琴/小林香萌/関口翔
vs
安納サオリ/本間多恵/尾崎妹加

▼シングルマッチ
水波綾
vs
網倉理奈(COLOR‘S)

▼夏すみれ復帰戦 タッグマッチ
夏すみれ/高瀬みゆき
vs
[galaxyPunch!]SAKI(COLOR‘S)/清水ひかり(COLOR‘S)

▼タッグマッチ
山下りな/優宇
vs
高橋奈七永/松本浩代

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