【試合詳細】11・14 ドラディション(無我)後楽園ホール大会 藤波辰爾vsザック・セイバーJr. 長井満也vs永田裕志 LEONAvs征矢学 船木誠勝vsAKIRA

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『DRAGON EXPO 1995〜無我〜』
日程:2025年11月14日(金)
開始:18:30
会場:東京都・後楽園ホール
観衆:1,473人(満員)

▼シングルマッチ 30分1本勝負
○MAZADA(フリー)
5分1秒 首固め
●竹村豪氏(フリー)

▼シングルマッチ 30分1本勝負
○田島久丸(フリー)
4分44秒 アルゼンチン・バックブリーカー
●三州ツバ吉(銀座)

▼シングルマッチ 30分1本勝負
●倉島信行
8分6秒 ラリアット→片エビ固め
○小島聡(新日本)

▼シングルマッチ 30分1本勝負
●越中詩郎(フリー)
5分48秒 両者反則
●黒潮TOKYOジャパン(アップタウン)

▼シングルマッチ 30分1本勝負
○船木誠勝(フリー) 
10分13秒 ハイブリッド・ブラスター→体固め
●AKIRA(MAKAI)

▼シングルマッチ 30分1本勝負
●LEONA
10分37秒 弾道→片エビ固め
○征矢学(NOAH)

▼シングルマッチ 45分1本勝負
●長井満也
13分11秒 リバース・ナガタロックIII
○永田裕志(新日本)

▼〜スペシャルシングルマッチ〜 60分1本勝負
●藤波辰爾
9分42秒 セイバー・ドライバー
○ザック・セイバーJr.(新日本)

藤波とザックが世界最高峰のテクニカルファイト!藤波が西村修さんに“無我”を捧げ“引退”の2文字を否定!

全選手入場式


 試合前には全選手入場式が実施。
 選手を代表して長井満也がマイクを取り挨拶。その後は約18年ぶりの無我が開幕した。

長井「本日はドラディション後楽園ホール大会、無我、たくさんのご来場誠にありがとうございます。選手一同頑張りますので、皆さんの応援をビッシビシお願いします!」

第1試合


 ゴングが鳴ると、互いに手4つから素早いバックの取り合い。グラウンドでは竹村が先手を取ってヘッドロックでじっくり絞るが、MAZADAも見事な体捌きで脱出しクリーンブレイク。
 ロックアップでのちから比べは互角。アームドラッグのちから比べは応酬から竹村がショルダータックルでMAZADAを場外に放り出してトペ・スイシーダを狙うが、MAZADAが下から蹴り上げて迎撃。

 MAZADAは竹村をリングに上げてエルボー合戦を展開。打ち勝ったMAZADAがDDTからラリアット。さらにブレーンバスターを宣言も、竹村が振り払ってドロップキック。さらに串刺しラリアットからボディスラムでコーナー下にセット。セントーン・アトミコをバッチリ決めるもカウントは2。
 竹村は逆エビ固めからツームストンパイルドライバーを狙うが、MAZADAがヘッドシザース・ホイップの要領で丸め込み、ロープに飛ぶ。竹村はラリアットで迎撃してから更に追撃を狙うが、MAZADAが引き込んでスモールパッケージで3カウント。

<試合後コメント>

MAZADA
「無我30周年、おめでとうございます。俺、この日にいましたから。俺より年下でした、あの頃の彼(※藤波)。超えてないっすねぇ(笑)もっと努力しろってことですねえ。いやぁ、これあと5年経ったら35……キリわりぃな。40!2035年のメインは、私MAZADAと竹村で。(※ポスターに写る藤波とザックを指して)休んでもらって、観戦側で。おめでとうございます!」

第2試合


 握手は無しにゴングが鳴ると、じっくりとしたグラウンドの攻防を展開。バックの取り合いからツバ吉がジャーマンを狙うが、田島がクラッチを切って腕を取る。田島が強烈な逆水平チョップを連打してコーナーに押し込み、なおも連打。その後は場外に放り出して田島が観客席までなだれ込んでいってツバ吉をいたぶっていく。
 田島はツバ吉をリングに上げ、サッカーボールキックから再び逆水平チョップを連打。しかし、今度はツバ吉は倒れず前に出ていき、ミドルキックからSTO。引き起こすも、田島が即座に逆水平チョップから串刺しラリアット連打。続けて串刺しランニングヒップアタックからアルゼンチン・バックブリーカーに捕らえると、ツバ吉はたまらずタップ。

第3試合


 両者試合前にはガッチリ握手。
 ロックアップでじっくりと力比べを行い、バックの取り合い、リストの取り合い、ヘッドロックの攻防へと展開。
 クリーンブレイクすると、じりじり距離を詰めて手4つ。小島が引き寄せてヘッドロックからショルダータックル。大胸筋をピクピクと震わせる定番アピールに場内が沸く。

 小島は起こしてエルボー連打。「来い!コノヤロー!」と叫ぶと、倉島がSTO。あまりのダメージに場外にエスケープする小島だったが、倉島は追いかけてコーナーポストにたたきつけてから逆水平チョップ連打。小島も返礼の逆水平チョップを見舞って場外戦を続行。優位に終えた小島がリング上で待ち受ける。

 倉島が上がってくると小島は顔面をグリグリと踏みつけ、レフェリーの制止には「うるせぇ!」と珍しく声を荒げてからコーナーでマシンガン・チョップ。小島が串刺しバックエルボーから「いっちゃうぞバカヤロー!」と叫んでいっちゃうぞエルボー。これを2で返されると小島はエルボー連打からDDT。小島はコジコジカッターを狙うが、倉島が河津掛けで切り返し、得意の腕固めからキーロックにつなげて小島の右腕にダメージを蓄積。ラリアット封じを試みる。
 これをブレイクされると、倉島はバックドロップからジャーマンを狙うが、小島がコジコジカッターで切り返す。小島はエルボーパッドを外して右腕を掲げ、倉島をロープに振ってラリアットで叩き伏せることで3カウントを奪った。

<試合後コメント>

小島聡
「年齢で私のほうが2学年年上で、キャリアで私が5年先輩なだけ。まあ、もう30年近くやっていれば先輩も後輩も無いよ。お互いにそれだけの時間を背負ってプロレスラーをやってるから。お互いどういう状況だったとか、どんな道のりを歩んだとか、そんなこともどうだっていい。30年以上プロレスラーをやっている事実!それが今日見てくれているお客様に伝われば、それで嬉しく思います。いろんなプロレスラーがいるからさ、まあそれぞれのキャリアがあって、年齢があって、いろんな道があるけど、それでもこうやって同世代で真正面から争うことができる。これが!プロレスの一番素晴らしいところだと俺は34年間、学びました!」

第4試合


 黒潮がいつものようにたっぷりと時間を掛けて入場し、アンコールに応えて2周目に入るも大会進行の都合から音楽が途中で止められてしまう。

 殺気立つ越中に対し、黒潮が「下げろ!下げろって!下がって!」とロープにしがみついて腰は引けた状態でゴングが鳴らされる。
 しかし、いざ試合が始まると黒潮が華麗なステップで越中のロックアップをスカして尻をペチンと叩く。怒った越中がロックアップも、黒潮が押し込んでジャケットパンチ連打。さらにショルダータックルを放つも、越中は倒れず。ならばと黒潮は先に掟破りでヒップアタックを出してしまい、場内から大ブーイングを受ける。
 2発目のヒップアタックも決めた黒潮が「終わりだ終わり!フィニッシュ!」と両拳を点に突き上げてからまたも掟破りで侍パワーボムを狙うが、越中がショルダースルーで切り返し、場外に放り出してエプロンからのミサイルヒップ。激怒している越中は観客席の中まで連れ回しながらたっぷりと場外戦で痛めつけていく。

 越中は黒潮をリングに放り込み、ヒップバッドを猛連打。さらにロープに飛んでヒップアタックを連打。黒潮が「すみませんでしたぁ!」と謝るも、越中の答えは顔面へのヒップバッド。

 命乞いする黒潮へ越中がヒップアタックを発射も、黒潮がレフェリーを盾にして防御。レフェリーが倒れている間に黒潮が試合前に贈呈されていた花束でぶん殴ろうとするが、越中もレフェリーを盾にして防御。
 万策尽きた黒潮は「すみません!すみません!」と連呼しながら南側客席最奥まで逃げていき、越中が追ってきていることに気付くと東側バルコニーへと逃げ込む。越中もさらに追いかけ、東側バルコニーから落とそうとし、黒潮が腕2本だけでぶら下がるだけの危険な状態に。本当に落ちそうな黒潮が恐怖の悲鳴を上げる中、両者反則の裁定を告げるゴングが鳴らされた。

<試合後コメント>

黒潮TOKYOジャパン
「俺……俺ここ1年で、ここ出て分かったことあるけども、たぶん今を頑張る若者より、今をときめくおじいちゃんたちのが元気なんじゃないの!?なんか心構えが違うというか。俺、アレ、越中さん……多分バルコニーからマジで落とそうとしたと思うんだ。こえー!メチャクチャ怖かった!バルコニーから落ちそうな奴史上一番落ちそうだったんじゃねーかな?……寝れるのか、今日」

※越中はコメントを求められるも「いい。何もなし」とノーコメント足早に控室へ

第5試合


 互いにジリジリと距離を詰めてグラウンドで首の取り合い、バックの取り合いを展開。AKIRAが腰投げも、船木は投げられながら三角絞めに捕らえようとする高度な技術を見せる。ギリギリで抜け出せたAKIRAだったが、船木は下から足を取ろうとし、AKIRAも迂闊に動けない中警戒しながらゆっくりと距離を取る。
 AKIRAが片足タックルで倒してレッグロックを狙うが、船木が上半身を起こして肩固めを狙うフェイントから腕十字を狙っていく。AKIRAも必死に上体を起こして足を取り、アキレス腱固め。船木もアキレス腱固めで捕らえて2人で意地の張り合いに。上体を起こしたAKIRAが足を極められながらもエビ固めで押さえ込んでいくが、振り払った船木がアキレス腱固めからヒールホールドへ。AKIRAも回転して抜けようとするが、無理と判断してロープを掴む。
 互いにスタンド状態で向かいあい、チョップ合戦へ。船木がローキックで崩してからコーナーに押し込み串刺しミドルキックを連打。さらにサッカーボールキックからカバーも、AKIRAは1で返す。
 船木は即座にチキンウィング・フェイスロックを狙っていくが、AKIRAも手首を掴んで必死の防御。なんとかロープを掴む。
 船木はボディへの掌底からニーリフト、ロープに飛んでサッカーボールキックと猛攻をかけ、ヒザをダブルリストロックのように固めながらの変形逆片エビ固め。AKIRAは悲鳴を上げるも、必死でロープを掴む。

 船木はニーリフト、掌底と連打していくが、AKIRAも延髄切りからのDDTで反撃する意地を見せ、シャイニング・ウィザード。さらにコーナーに上ってムササビプレスを決めるがカウントは2。
 AKIRAは再びコーナーに上がって2発目を放つが、船木は被弾しながらも下から右腕を捕らえて腕十字。そのまま三角絞めへと移行するが、AKIRAもなんとか脱出。

 正面からのチョップの打ち合いとなる中で船木が裏拳で顔面をぶん殴り、立て続けにハイブリッド・ブラスターで突き刺して3カウントを奪った。

 試合後、2人は笑顔で抱擁を交わし、互いに手を掲げ上げてリスペクトしてから退場していった。

<試合後コメント>

船木誠勝&AKIRA
(※最初は船木1人で現れてコメント開始)
――シングルは7年ぶりとなった
船木「多分10年ぶりですね」

――33周年大会でシングルマッチをやっている
船木「あぁ!7年ぶりですね!そうです、7年ぶり。でも7年も空いてると感じないですね。前座のとき、野上さんが2番目に自分とシングルを多くやった人で。1番多かったのは破壊王(※故・橋本真也さん)です。2番目に多い先輩だったので。なんかまあ、いつやっても昔に戻るというか……」

(※AKIRAが現れて合流)

AKIRA「はは……効いたぁ。ハイブリッド・ブラスター。いやぁ、これでシングルマッチ………」
船木「7年ぶりだそうです」
AKIRA「本当に?」
船木「はい。7年ぶり」
AKIRA「WRESTLE-1の頃かぁ?」
船木「まあ新日本のときを合わせたら何回やってるかわからないですけど(笑)人生で2番目にシングルマッチが多い。1番多いのはブッチャー(※故・橋本真也さん)ですね(笑)」
AKIRA「あっ、そうだったんだぁ。頑張ったねえ(笑)」
船木「3番目が佐野さん(佐野巧真)でした」
AKIRA「そうかそうかあ」
船木「でも今日はグラウンド、上に乗られてキツかったでしょ」
AKIRA「いやぁ、でも面白かった。面白かったぁ。最近のプロレスと違うものを見せることが出来て嬉しかったです」
船木「自分は新日本しか知らないんで。次はまたいつかお願いします」
AKIRA「俺はどうなるかなぁ(笑)」

第6試合


 西村修さんに師事して無我でデビューした征矢が、藤波辰爾の息子・LEONAと対峙。

 ゴングが鳴ると、LEONAは軽快なステップを見せてからロックアップで組み付き、バックの取り合い、ヘッドロックの奪い合い。LEONAがヘッドシザースに捕らえると、征矢は師匠に捧げるかのように倒立で首を抜いて脱出。
 場内に響き続ける「れおな!いくんだ!れおな!まけるな!れおなーっ!しゅぎょうをむだにするな!」という小さなお子さんの声援に観衆がほっこりする中、LEONAはヘッドロックからヒップトス、エルボードロップと躍動。
 LEONAが低空タックルからレッグロック。征矢も起き上がってロープスタンガンで脱出。征矢がLEONAの顔面を踏みつけると、先のお子さんが「お顔を踏まれたら痛いんだよ!」と激怒。それに応えるかのように場内は征矢に大ブーイング。
 征矢は串刺しバックエルボーから仁王立ちでLEONAにチョップを誘う。征矢は雄叫びを上げながらLEONAのチョップをすべて受け切り、逆水平チョップ1発でなぎ倒す。
 征矢はLEONAをコーナーに振ってダブルチョップから串刺しラリアットを狙うが、これを切り返したLEONAがフェイスクラッシャーから低空ドロップキックを見舞って反撃の狼煙を上げる。
 征矢が即座に立ち上がると、LEONAはジャンピング・エルボーで倒し、ロープに振ってドロップキック。さらにブリッジの綺麗なバックドロップを決めて見せ、フィッシャーマンズ・スープレックスを狙う。これをチンクラッシャーで返した征矢がスイングネックブリーカーを見舞い、倒れたままのLEONAをぶっこ抜いてのブレーンバスター。

 征矢は引き起こして担ごうとするが、LEONAが着地。今度はLEONAが仁王立ちで征矢の逆水平チョップを受け切り、アッパー掌底でアゴを撃ち抜いてドラゴン張り手を連打。LEONAはフィッシャーマンズ・スープレックスからダブルアーム・スープレックスと続け、伝家の宝刀たるドラゴン・スープレックスを狙う。征矢は腕力だけでこれを脱出。LEONAはドラゴン張り手も、征矢は怯まずジャンピング・ラリアット。
 さらに征矢はファイヤーマンで担ぐも、LEONAは着地してバックスライド。これを返した征矢がデスバレーボム。最後はとんでもない威力の弾道(ラリアット)でふっ飛ばして3カウントを奪った。

<試合後コメント>

LEONA
「負けました。でも絶対に1つ1つのステップを上がっていってるって、それをみんなに見せたいから。この痛みも、今日の情熱も、全部骨身にしみてるから。次のステップ、レスラーになって、今日はこうして征矢さんと向かい合えた。あのときの自分を思い出すと感慨深い。12年間、藤波辰爾とも一緒に歩いてきたけども、そこの責任をまっとうしようと頑張ってきたけども……そろそろ次のステップ、次の自分の責任を果たしたい。今日この痛みを受けて改めてそう感じました」

征矢学
「久しぶりのシングルマッチが続く戦い。全試合シングルマッチ。このカードを見たときに、自分の名前がそこにあって、本当に、本当に、心から光栄な気持ちでいっぱいです。藤波怜於南、俺はデビューする前のアイツしか知らない。プロレスラーを志してるとか全然感じなかった。分からなかったけど、でもプロレスラーになって今リングに上がってんだ。藤波怜於南選手はたしか10年以上やってるはずだろう。でもこういう形でシングルマッチが出来たことを光栄に思ってます。LEONA、まだ負けるわけにはいかないんだ。俺にはな、ここ(ハート)に!ここに!溢れんばかりのよ!情熱がよォッ!情熱がァ!情熱がァ~~ッッ!!溢れんばかりの情熱が詰まってるからよ。俺はまだNOAHでもやってくぜ。もっと高みを目指してやってく。でも今日はこういう形で呼んでいただけたこと、藤波辰爾さん、関係者の皆様、ありがとうございました!以上ッ!」

第7試合


 試合前にはしっかりと握手を交わしてからゴング。
 じっくりとしたロックアップでの力比べから、簡単には攻守が入れ替わらない重厚なリストロックの応酬が展開されていく。永田がヘッドロックで捕らえると、長井はロープに押し込み、クリーンブレイクのフリからビンタ。
 互いに怒鳴り合いながらエルボー合戦を展開し、互いにローキックの打ち合いに移行。永田が足を刈るようなローキックで倒すと、長井は場外へエスケープ。永田は追っていってエルボー連打も、長井はコーナーポストを使った攻撃や、東西客席の看板へ顔面を叩きつけるなど大暴れ。


 長井が永田をリングに上げ、ブレーンバスターからストレッチプラム。さらにショルダークローでいたぶり、敬礼ポーズから入る挑発的なクロスヒールホールド。長井が「来てみろコラ!」と挑発すると、永田は上体を起こして張り手を狙うが、長井がさらにビッシビシ絞ったため失敗。永田はなんとか転がっていってロープを掴む。
 長井は永田を起こしてサミングからロープに振ろうとするが、永田は足のダメージから走れず倒れ込んでしまう。長井は動けない永田にニーリフト連打からロープを使ったニーロック。長井は串刺し攻撃を狙うが、永田はフロント・ハイキックでカウンター。しかし、永田も追撃には行けずダブルダウン。
 先に起きた永田がミドルキックを猛連打。さらに串刺しフロント・ハイキックからエクスプロイダーを狙うが、長井がロープに振る。永田は延髄切りのフェイントから低空ドロップキック。ロープに飛ぶが、長井がカウンターのニールキック。

 長井は串刺しバックエルボーからコーナーに上ってハイパーニー空牙を発射。これを永田が避けるも、長井はすぐに組み付いてキャプチュードからストレッチプラム。永田がギブアップしないと見るや体固めも、カウント2で永田が返す。
 長井はブレーンバスターを狙うが、永田が着地して本当に脳天から突き刺す垂直落下式エクスプロイダー。永田は「長井来いテメー!」と雄叫びを上げ、ゼロ距離で激しいエルボー合戦。長井が再びストレッチプラムを狙うが、永田はナガタロックIII。永田は白目式腕固めに移行する……かと思いきや、これを警戒した長井をエビ固めのように固めるリバース・ナガタロックIIIで捕らえて3カウントを奪う頭脳プレーを見せた。

<試合後コメント>

長井満也
「俺が(コメントを出すのが)先で大丈夫ですか?もう言葉も出ないんで質問ください」

――永田選手と対戦しての率直な感触は
「僕が全日本プロレスに所属……所属する前か。初めて当たったときから『ああ、この人うまいな』って。強さだけじゃなくてうまさがあるというか。『こういう人がきっと新日本で時代を創るんだな』ってそう思ってたんですけど、やっぱりそのあと“ミスターIWGP”にもなってね、時代を創った人だけはありますね。でも永田選手も47で、僕も47なんで。同い年ですか。それがあって、まだまだ頑張ってるのを見ると俺ももうちょっと頑張んないといけないなと思いますね。それでも永田選手とシングルやると思ってなかったんで。シングルでやったし、タッグでも当たってるんで。もぉ~今度ぐらいは1回は永田選手と俺でタッグ組んでみたいですね。それもプロレスを長く続けてればあるかなと思うんで、もうちょっと頑張ります!」
(※帰りがけに記者の1人から年齢は47歳ではなく57歳であると指摘され、「いやぁ、エクスプロイダーのせいだね(笑)」と照れ笑いしながら控室へ)

永田裕志
――試合を振り返っての感想は
「今日は無我が18年ぶりですか。無我復活ということだったから、意識してベーシックのレスリングを前面に出して闘おうと思っていたんですけど、いきなりビンタを食らいましたよ、長井満也に。あれで通常の永田に戻れたかなと。そういうのがありましたし。長井さんは僕と同じ年で、今年は不思議と5月にドラディションで長井さんに会って。で、長井さんがYouTube始めたんで、『いつかコラボしてください』つって、早々に1ヶ月後にコラボさせていただいて。まあその縁かどうかわからないですけど、長井さんとシングル。それも今日初めてでしたからね、長井さんとシングルやったのは。ずっと無我を中心に闘っている長井さんだったんで、正統派な無我のレスリング、ベーシックなレスリングで来るかと思いきや、まあ、そこはかつての魔界倶楽部での経験を織り交ぜながらも、長井さん流の無我でしたね。まあでもそうすることで、変に自分が冷静にならずに、カッカするところはカッカして。やっぱり闘えてよかったなと思います。まあ、クロスヒールホールドは効きましたね。ちょっともう足首がヤバかったです。アレは必死に踏ん張りましたけど大変でした。キツい技でした。でも最後は勝つことができてよかったです」

――長井選手は、先程永田選手とタッグを組みたいと言っていた
「組みたい?タッグを?まあそれはそれで面白いかもしれませんね。お互いに、長井さんは確か90年か91年にプロレス界に入って、格闘技に一瞬行きましたけど、2000年になってプロレスに戻って25年やってプロレスをしっかり学ばれて。新日本では何度かタッグでは闘いましたけどね。でも、今までシングルで闘ったことなかったけど、今日はシングルで闘いましたんで、次は組むという選択肢はなかなか今までは……。まあたまにどっかであったかもしれないけど、本格的に組むのはアリかなと思いましたね。まあ長いことやって、こうやって初対決ができたのはホントに僕的には嬉しかったし。まあ、プロレス入ったつもりが格闘技のほうに行かれて。でも、ほんの一瞬……ほんの一瞬というかね、長井さんの経験でクロスヒールですか。アレが強烈でした。ヤバかったです。まあ今日は長井さんにプロレスだけじゃなくて、格闘技のほうに行かれた、そのクロスヒールホールドってのを受けて、その技を使っている長井さんを見て、受けたことで、なんか格闘技として学んできた片鱗を思いっきり見せられたなと思いました。ただ、無我興行。超満員のお客さんの中で、まあお客様を盛り上げて勝つことができたのはよかったです。まあ最後は無我興行ということでいろいろ考えたんですけど、リバースナガタロックIIIということで。新しい技と言えば技なんですけど、無我らしい技を1つ思いついて、今日準備してたんで。まあ荒れた試合にはなりましたけど、それを最後に出せてそれで勝ててよかったなと思いました」

第8試合


 両者試合前にしっかりと握手を交わしてからゴング。
 両者ジリジリと距離を詰め、静かに手4つで組み合って腕力勝負。パワーで勝る藤波が一気に押していくが、ザックはブリッジで耐えつつ腕を取りながらカニバサミで倒そうとする。これを耐えて起こそうとする藤波の手首を掴んでリストロックで幾度も回転。しかし、藤波は巻き投げと払腰の中間のような形の素早い変形腰投げで脱出。
 ザックがじりじりと距離を詰めてヘッドロック、ネックロック、ヘッドロックと切り替えつつショルダータックルで倒し、首4の字固めで捕らえつつ藤波の左手を指まで取って固めていく。なんとか藤波が抜け出してドラゴンスクリューを狙うが、ザックはこれを先読みして腕固めから逆三角絞め。藤波はなんとかロープに足をかける。

 ザックは前蹴りを連打も、藤波はドラゴン張り手から足を取り、ドラゴンスクリューに行くフェイントから足を刈ってレッグロックに捕らえる。しかし、ザックがグラウンドでのコブラツイストを狙う体勢に入り、藤波が即座にチキンウィング・アームロックで切り返すという高度なサブミッションの応酬が展開。場内は大歓声に包まれる。
 ザックは作戦を変え、組み合わずにリーチの差を活かしてミドルキックを連打。たまらず藤波が場外にエスケープも、ザックは追わずにリング中央で待ち受ける。

 藤波がリングに上がると、ザックの前蹴りをキャッチしてドラゴンスクリューから足4の字固め。ロープを目指すザックだったが、藤波は巧みな体捌きで妨害。ザックは長時間苦しめられた末にどうにかロープを掴む。


 藤波は引き起こしてローキックを連打。ザックもエルボースマッシュで返礼も、藤波はドラゴン張り手からバックスライド。ザックが2で返してザック・ドライバーを狙うが、藤波がスモールパッケージで切り返してからドラゴン・スリーパー。しかし、絞められたまま立ち上がったザックがセイバードライバー(※旋回式ザック・ドライバー)で突き刺して3カウントを奪った。

 試合後、ザックは自分から握手を求め、藤波の手を両手で握りしめながら深々と一礼。

ザック「(※日本語で)藤波サン、今日はホントにありがとうございました。少し、英語喋ります。皆さんいいですか。(※以降は英語で)藤波さんとの試合は、プロレスを始めたときから夢に見続けていたドリームマッチでした。俺が16歳でデビューしてから藤波辰爾と闘えたこと以上に感激したことはありませんでした。ありがとうございました!(※以降はまた日本語で)ドラゴンスクリューは、オワッタ!ミギのヒザがオワッタ!ボク、キックは、ミギガワ!ドーシヨー(笑)藤波サン、来年55年。素晴らしいと思う。もう1回やりたい」

藤波「今日はありがとうございました。いやあ、ユーアーベスト!タフ!グッド!ネクストワン!サンキュー!」

 藤波とザックは再び握手。その後には、今大会に出場した選手たちがリングに上って無我恒例のサインボール投げを実施。
 最後は全員で記念撮影を行い、藤波がザックに無我のタオルをプレゼント。ザックはそれを肩に羽織り、深々と頭を下げた。

<試合後コメント>

藤波辰爾&ザック・セイバーJr.
藤波「よいしょ……あたた……いやぁ……(※右ヒザをかばいながらなんとか座る)」

――試合を終えての率直な感想は
藤波「ホッとしましたね。この足がどこまでもつかねぇ、っていうのと、相手が相手なんでね?まあちょっと今日は身体の節々が伸ばされたから。まあほとんど彼も自分の半分も出してないんじゃない?彼もちょっと僕とやることに対して興奮気味だったんでね。そういう意味では、この時期に当たれたのがよかったな。これはもう、“たられば”だけど、もっと自分がいいときにね、彼とやりたかったな。うん。上手いね。まだ引き出しをいっぱい持っててね。今日は引き出し1つ、2つぐらいしか出してないんじゃない?(笑)彼は彼の、そういう部分では、彼のレスラー人生の中で1つの夢を叶えてあげられたというのが。それと僕自身がまた現役としてリングに上がっている以上は、やっぱりいつもいつもタッグとかで、いろんな形でちょっと出ては引っ込みっちゅうことは絶対やっちゃいかんなっていうのを。時折、やっぱ自分が悲鳴を上げるぐらいの試合はしとかないと、ちょっと声を大にして現役ということは名乗れない。言えないんでね。まだ自分には1つ、2つ、まだ現役としての夢があるんでね。その夢をどうしても叶えるまでは現役を続けていたいなっていう。まあそういう意味では、ザック・セイバーJr.というすごいいい選手にこのときに当ててもらって。彼にも感謝ですよ。自分のこの年齢に対して、彼はあれだけの激しい試合を新日でしてきた中で、自分のこの状況も当然彼は知ってるでしょうから。それでも彼が自分の前に立ってくれたという部分で、本当に彼に感謝ですね。何よりもファンの方は、今日は久々の……30年ぶりの無我かな?(※18年ぶり)の無我かな。欲を言えばキリが無いけどね、本当に西村が立っててくれたらなっていうのがね。これはちょっと……(※俯いて目を閉じ、思いにふける)」

――この年齢でこれだけの試合ができるんだということを魅せた意義深い試合だったと思う
藤波「あぁ……西村がちょっと手助けしてくれたんでしょう。『藤波さん、ちょっと動きましょうよ』とか言ってね、彼がケツを叩いてくれたんでしょう」

――リング上ではお互いに再戦を望んでいた
藤波「ねえ!それは思わなかった。彼が僕に対してのリスペクトなのかリップサービスなのか。それでも自分自身、嬉しかったね。これでまたちょっと次に目標が出来たかなって。励みになったね」

――昨年は高橋ヒロム選手と対戦して、今回はザック選手。新日本のトップ選手とのシングルマッチが続いているが、今の新日本のトップ選手と闘って感じたことは
藤波「あぁ、やっぱりね、見てね……ただ、なんちゅうのかな。自分の感情だけで口走るんじゃなくて、実際、僕の場合はね、彼らと戦っているから言えることなんだけど、すごい。やっぱり第一線でやっている、特に新日本という中のトップでやっているというのは伊達ではないですよ。今はね、自分は声を大にして言えるんですよ。彼らと対峙したんでね。対峙する前はね、どうしても自分たちの物差しでいろんなことを喋ってしまうんだけど、まあ何事も自分でまずは肌を合わせて闘ってみることだね。本当に素晴らしい選手がまだまだいっぱいいるでしょう。そういう部分では、僕にとってもありがたいことだけどね?(笑)」

――改めて、藤波選手にとって『無我』とはどういう存在だったか
「仏教用語でもあるけど、本当に我を無くすって。無我夢中でね。とにかく、カール・ゴッチもそうだったけど、まずはコンディションありき。今日の自分もここ数日間、彼と対戦が決まったっちゅう中でね、自分のコンディション作りをずーっと率先して。自分の……これは逃げになるかもしんないけど、自分は右足が左足と違って、右足はどうしても半分も、まだ感覚であったりとか、力が戻ってないんでね。ホントこれが両方とも同じような感じでやったらね、縄跳びとか、走ったりとか、コンディションもうちょっと付けたいんだけど。まあ今日はこういう中で久しぶりのシングルなんで。ちょっとこれはシングルやらないと、本当のコンディション作りはできないね」

――来年はデビュー55周年になるが、これ以上の試合を期待してしまう
藤波「ねえ?(笑)やっぱり誰かがどっかでね、意地を張らないと。僕らの先輩……要するに、猪木さんを筆頭にしてね、プロレスラーはどうしても夢を売る商売だから。今日いろんなところで『ありがとう』と言われたけど、こっちが『ありがとう』ですよ。皆さんが応援してくれて。だから、そういう部分では、自分の体力の続く限り、リングに立ちたいなっていう。“引退”の2文字は見えません!(笑)いやぁ~!でも上手い!彼は。昔のスティーブ・ライトっていうのは覚えてます?スティーブ・ライトと似通った選手だね」


(※藤波がコメントを終えて腰を上げたところにザックが合流し、ガッチリと握手。2人は英語で話し、時折日本語を織り交ぜながらコミュニケーション)

ザック「俺がレスリングを始めてから、この日が来ることを一日千秋の思いで待っていた。それが日本で、そして無我のリングで、無我の試合をすることで実現出来ただなんて、本当に夢のようだ」
藤波「ザックと闘っていて、スティーブ・ライトを思い出したよ。あの長い腕、そしてその腕から放たれる強烈なエルボー!」
ザック「とても光栄なことです。ありがとうございます。でも……タノシカッタ!だから、この試合が唯一の機会とならないことを願っています」
藤波「ネクストワン!」
ザック「なんてこった!(笑)ゲンキ!あなたはとてもゲンキ!メチャクチャゲンキ!(笑)藤波サン、本当にありがとうございました!」

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