「叔父のイメージがあるけど俺は俺の最強を究める」“山本KIDの甥”山本アーセンが2年9ヶ月ぶりの再起を果たしついに覚醒!
6日、東京都・有明アリーナにて、『RIZIN.42』が開催され、山本アーセンが伊藤裕樹を下して約2年9ヶ月ぶりの再起を果たした。
山本美憂を母に、山本“KID”徳郁を叔父に持つ“山本家の最終兵器”として8年前にMAMデビューしたアーセンは、RIZINの未来を期待されたこともあったが、相次ぐ怪我に泣き、戦績も3勝5敗と負け越し。今回は、バンタム級からフライ級に闘いの場を移し、約2年9ヶ月ぶりにRIZINのリングへ帰還。
対戦相手となる伊藤は、プロデビューから12連勝を重ね、RIZINでも3戦3勝3KOと圧倒的な強さを見せている選手。榊原信行CEOは「この試合がアーセン覚醒のラストチャンス」と語っており、アーセンにとってはいきなりの正念場となった。
1R、アーセンがスピードを活かして前へ前へと距離を詰めていくが、伊藤が素早くバックを取ってそのままバックマウントへ。アーセンが首を抜いて組み付きながらヒザを入れていくが硬直となり一旦離れる。アーセンが足をすくい上げてボディスラムのような形で頭から投げ落とし、フロントチョークを狙いながら顔面に膝蹴りを入れるが、首を抜いた伊藤がフロントチョーク。バックを取り返したアーセンがジャーマンを狙うが、伊藤が必死に堪え、ゴングが鳴る。
2R、伊藤が足を使いながらパンチを放っていくが、アーセンが低空タックルで組み付いて足を取り、伊藤が身体を起こすと上からがぶって潰す。バックを取ってコントロールしながらバックドロップで叩きつけるが、伊藤は下から三角絞めを狙って離さず。伊藤がフロントチョークを狙うとアーセンが首を抜いてバックを取るが、伊藤のヒザがアーセンの股間に入ってローブローで中断。再開してアーセンが足を取りに行くと伊藤が三角絞めを狙う。アーセンが抜けてパウンドを落としていくが、ここでゴング。
3R、伊藤が前に出ながらパンチを放っていくとアーセンが低空タックルも、パンチがかすめたか右目付近から出血。抜け出したい伊藤をアーセンが離さずコントロールしジャーマンを狙う。伊藤はなんとか堪えるも反撃に出る余裕はない様子。残り40秒でブレイクとなると伊藤が左アッパーからワンツーと放つも、アーセンが飛び膝蹴りから低空タックル。再びグラウンドに持ち込んだところでゴング。
判定となり、アーセンが3-0で勝利した。
セコンドの山本美憂が涙し、アーセンは美憂としっかり抱き合った。
そして、「俺は悪口とか何を言われてもいいけど、隣にいる人にもうちょっと、お互い愛し合っていきましょう。別に俺がここで言うことで国を変えたりピースにできる訳じゃないけど、この場からお互い愛し合っていきましょう。文句を言うより優しい言葉をかけ合って、日本がいい国になることを願ってます」とマイクアピール。
試合後には、このマイクには昨今の格闘技界で過熱していくトラッシュトークの応酬に一石を投じる意図があったことを明かした。
コメント会場に訪れたアーセンは、「やっとゆっくり寝れるような気がします。ちょっとした呪いが解けたような気がします。よかった!復帰するまでの2年9ヶ月、それが一番つらかったっす。なんのために生きてるか正直わかってなかったんで、仲間がいなかったらとっくに変なことやっ……他のことやってたと思う。自分が望んでいた結果ではなかったですけど、1人だったら自分をキープできてなかった。仲間、家族全員に感謝します。特に漆間將生くんには感謝します(笑)」とホッとした様子。
今後の展望を問われると、「ちゃんとしたファイターになります。でもこの1勝のおかげで、1つ吹っ切れた部分もあるし、今まではなんか、ファイターとしての発見が試合中になかったんですけど、今回はいくつかあったので、それをしっかり伸ばしていけたらと思います。明確に目標が見えて、試合に勝ったっていうよりは『あっ、俺まだ強くなれる』って、そっちの方に嬉しさを感じてるんで。とりあえず、この(目の)傷を縫って、後輩の試合の準備を手伝おうと思います」と語った。
レスリングを全面に出した試合だったことについて問われると、「ウチの叔父が山本KIDってイメージがあるから、爆発的な試合をイメージしてると思うんですけど、やっぱ、俺は俺で山本アーセンだから、山本アーセンの最強の道をこれから究めていけたらなと思ってます」と、一人の格闘家として一皮むけた様子を見せた。
▼RIZIN MMAルール 5分3R 57.0kg
●伊藤裕樹(ネックス)
判定 0-3
○山本アーセン(KRAZY BEE/SPIKE22)