「俺の発言が間違ってました」ブアカーオと引き分けた安保瑠輝也がトラッシュトークを反省し「俺は自分に負けた」
6日、東京都・有明アリーナにて、『RIZIN.42』が開催され、ブアカーオ・バンチャメークと安保瑠輝也の試合が行われた。
ブアカーオは、“ブアカーオ・ポー.プラムック”の名で知られるムエタイのリビング・レジェンド。今回は約10年ぶりの日本での試合になる。
日本では魔娑斗ら日本人ファイターとの激闘や、K-1 WORLD MAXで2度の優勝を果たすなど圧倒的な強さを誇ったことで高い知名度を誇っている。これまではジムの名前である“ポー.プラムック”の名を背負っていたが、今回からは本名である“バンチャメーク”をリングネームとして名乗ることに。
なお、ブアカーオは「RIZINとの関わりは今回1回だけというふうには全く考えていない。長期的にいい関係を築いていけたらと思う」と語っており、「自分が架け橋となってチャンスを作ってあげることが自分に出来たら」とタイの注目株の選手を売り出していく意向を語った。
安保は幼少期から空手で数々の成績を残し、2016年からK-1に参戦すると第4代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王者に。しかし2022年に東京ドームで行われた『THE MATCH』を最後に、2023年1月にK-1との契約を解除。その後は朝倉未来が主催する『BreakingDown』に出場し、シリル・アビディからKO勝利を奪うなど活躍。
朝倉未来へMMAの修行を付けてもらうよう要求するなどさらなる展開を予感させていた安保が今後どのような戦場に身を投じていくのかに注目が集まっていたが、今回RIZIN初参戦でブアカーオ戦という大舞台が与えられた。
元K-1の王者対決という構図も、戦前の記者会見では安保が「BreakingDownから来ました、安保瑠輝也です」と自己紹介したため、BreakingDownを背負ってブアカーオと闘う形に。
子供の頃にタイまでブアカーオに会いに行ったこともあるという安保は緊張気味な姿も見せるが、「俺の攻撃食らったら多分ビックリすると思うんで。こっから先の時代を創っていくのは安保瑠輝也だと思ってるんで、ここはKOで倒さないといけないと思ってます」と強気のコメント。
さらに「男同士ゴロゴロゴロゴロ寝っ転がって、見てて面白いかな?」とMMA批判を行ってMMAファンを激怒させ、平本蓮に目をつけられてSNSで煽り倒されるというRIZINの洗礼を受けている。
これを受けたブアカーオは、「今のところ(安保に)特に何も感じることはない。それより大事なのは、自分のコンディションを試合に向けてベストに整えていくこと。その後に対策を考えていきたい」と語り、日本での10年ぶりの試合であることについて「日本のファンの皆様には、10年前のブアカーオとどういう違いがあるかを見てもらいたい」と笑顔を見せていた。
解説席から魔娑斗が見守る中で試合開始のゴングが鳴ると、安保がローキックの連打から右フックをヒット。安保のハンドスピードがブアカーオの反応速度を上回っており、ワンツーから右フック、左フックがボディに吸い込まれるようにクリーンヒット。しかし、じりじりと前に出ていくのはブアカーオ。安保が前に出てパンチを放つとスウェーでかわされるようになり、ブアカーオが安保の動きに早くも対応したのではないかというところで1R終了のゴング。
2R、安保は一気に距離を詰めてきたブアカーオにローキックを合わせて転ばせる反応速度を見せが、ブアカーオがコーナーに詰めてボディへのミドルキックをクリーンヒットさせていくが、安保はヒット・アンド・アウェイの形でリングを広く使って対応。手数は安保が勝り、ブアカーオはバックブローやハイキックなど大技も繰り出し始める。
3R、ブアカーオがローキックとジャブで距離を詰めていき、ガードを上げた安保のボディに左右の連打から膝蹴り。最終盤には両者足を止めてパンチを打ち合うも、互いにスウェーでかわし合うスリリングな展開に。ここで3R終了のゴング。
判定にもつれ込むも全員ドロー判定。延長無しのルールのため、これで決着となった。
「あのブアカーオと引き分けた」と見るか、「全盛期を過ぎているブアカーオを倒せなかった」と見るかで解釈が分かれたが、試合後のインタビューに応じた安保は「今日は自分の負けだと思ってます」と一言。
意気消沈の安保は、「大口を叩いて良いのは有言実行できるやつだけだと思ってるんで、それが出来なくて、自分の試合に注目してもらうためにMMAの団体で『MMAはゴロゴロしてるだけでつまんない』っていうことを言って、自分が面白い試合を見せて、見返してやろうって思ってたんですけど、結果が伴わなくて自分が情けない。今まで自分が優位に進めてきた展開になっても、百戦錬磨のポーカーフェイスでずっと前に出てくる。魔娑斗さんが事前にYouTubeで言ってた通りの展開になってしまった。結果としてはドローですけど、俺は自分に負けたと思ってるんで。死人に口なしなんで。出直します」と浮かない顔で語る。
そして、トラッシュトークについては、自身の発言によって試合以外の部分にフォーカスが当たってしまったことに触れ「試合前にすることでは無かったなと。俺の発言が間違っていました。(今後は)意味のないケンカはしないと思います」と反省の弁を述べた。
一方、ブアカーオは「スッキリしました。今日は勝敗ではなく、今日の試合は勝ち負けよりも自分が全力で闘う姿を見てほしかったので、そういう意味では全力を出し切って、この年齢でもこれだけのスタミナがあって、皆が興奮するような試合ができることを見せるという目標は達成できました。長い時間でもまだ十分やれる力があるという自信も付いたし、これからに繋げていきたいです」とコメント。
そして、安保については「まだまだ若い選手だし力も持っている。それぞれの技に関してもテクニックがあることはよくわかった。どこかでKOできれば良かったのですが、それが出来ませんでした。日本の中でも強い選手であると言えると思います」と高評価を下した。
そして、この試合の2日後に41歳の誕生日を迎えることに触れつつ、まだまだ日本のファンに戦う姿を見せていくことを誓った。
▼RIZIN キックボクシングルール 3分3R 70.0kg
△ブアカーオ・バンチャメーク(バンチャメーク)
判定 0-0
△安保瑠輝也(MFL/team CLUB es)