「引退したことを後悔させてやるからな!」ウナギ・サヤカが本間多恵の夢を叶えて涙!世界一幸せな満塁ホームランに場内大歓声!

29日、新宿FACEにてウナギ・サヤカ自主興行『殿はご乱心~運命は、雷鳴の如く。 幸運を喰らえ、私の名で。』が開催された。
ウナギは2019年1月に東京女子プロレスでデビューし、その後スターダム所属になるも自由すぎたためクビに。檻から解き放たれたウナギは全日本プロレスで諏訪魔と壮大な痴話喧嘩を繰り広げたり、大仁田厚と電流爆破戦を行ったり、ZERO1の火祭り参戦を果たしたりと男子プロレス界でも大暴れ。
その勇名は海外にも轟き、アメリカの女子団体『KITSUNE』では初代王座を戴冠し、メキシコの最大手団体『CMLL』の日本女子王座も戴冠。その勢いのまま昨年1月には後楽園ホールで自主興行を開催しチケット完売。今年2月16日には女子プロレス史上初の聖地・後楽園ホールにおけるワンマッチ興行で里村明衣子とのシングルマッチを行い超満員札止めにし、4月には両国国技館大会を成功に収めた……かに見えた。
蓋を開けてみると両国国技館大会で1600万円の借金を負い、自主興行7番勝負のうち5大会が会場が押さえられていなかったというトラブルも発覚。今年8月の1番目・東京ドームシティ野外大会では前日まで台風直撃の予報が出るなど弱り目に祟り目のウナギだったが、当日は台風一過の灼熱の天候下で大会を大成功に導くなど再起。
さらに新宿FACEでの連戦も復活し、9月29日には本間多恵(10月13日引退予定)、10月21日には加藤園子(11月23日引退予定)、11月19日には宮崎有妃(2026年1月1日引退予定)、12月25日には優宇(12月28日引退予定)、2026年1月9日には世羅りさ(2026年1月12日引退予定)というプロレス界から去ることが決まった選手たちと対戦していくシリーズが発表。2月1日の後楽園ホール大会までウナギは歩みを止めず傾き続ける覚悟だ。
大会開始前にはウナギ・サヤカ(バッター)、本間多恵(ピッチャー)、サニー(キャッチャー)、バーブ佐々木(球審)による始球式が行われるという異色なスタートに。

まるでこの試合が引退試合かのような量の紙テープが飛ぶ中で行われたメインイベントでは、試合前から既にベショベショに泣いているウナギと、もらい泣きしかける多恵が「最後ね」「思いっきりお願いします」と言葉を交わしながらガッチリ握手。





出場選手たちから惜別のトレイン攻撃が行われ、観戦に来ていた尾崎妹加、清水ひかり、紫雷美央、夏すみれ、南月たいよう、大家健なども参加する。さらに客席にいたお笑いタレントの千原せいじさんが多恵へのゴムパッチンに協力し会場は大盛りあがり。
多恵はコーナーでのナックル・パートやぶら下がり腕ひしぎなどで痛めつけ、多恵ロックで捕らえる。ウナギも雪崩式ブレーンバスターで反撃するとそんなことより一献くれまいか?(=フラップジャック)で叩きつけ、思いのこもったエルボーの打ち合いへ。「愛してるよ!」と叫んでの場外乱闘からリングに戻ると、ウナギが城門突破(=ブレードランナー)2連発。多恵が投げ捨てジャーマンからコーナーに登るが、これを担いだウナギがカナディアン・フェイスバスターからスライディングTANAKA。フォールにいくも泣きながら抱きしめ合い、引き起こしたウナギが大儀であった(=変形MADE IN JAPAN)で突き刺して3カウントを奪った。


マイクを取ったウナギは「多恵ぴょん、まずはこの試合受けてくれてありがとう。いつもどこかに多恵ぴょんがいて、これがあと2週間でなくなると思うと……もう多恵ぴょんが決めたことだから。本間多恵というプロレスラーの中に、一緒に戦うレスラーとして対戦できたことが本当に幸せです。ありがとう」と泣きながら語りかける。
多恵も「引退間近だけど、今日改めて戦ってみて感じたことがあります。私はプロレス人生10年、決して長くはないけど、この限りある10年のプロレスで、ウナギ・サヤカというプロレスラーと同じ時代でプロレスができたことを誇りに思います。今日も、今日だけじゃない。いつも、沢山の愛をありがとう。今日見に来てくれたみなさんも、本当にありがとうございます。引退しても、ずっとずっとずっとずっと、うざいって言われるぐらい、お前の事応援してやるよ。覚悟しとけ!」と想いをぶつけ、2人はしっかりと抱擁を交わす。
その後、紆余曲折あってずっとコーナーポストとしてリング上に立っていたシン・広田さくらにマイクが渡ると「みんなね、後輩たちが引退してくのよ。先輩もだけどさ。私はさ、しがみついてでも引退しないでプロレス界に居続けるって決めてるんだけど、みんな辞めてくのよ。引退してくのよ。すっげぇ楽しいじゃんプロレスって。お客さんは最高だし、こんなに楽しい職業を引退するっていう決断て、相当の覚悟なんですよ。だから、そんな覚悟をしてまで決めたことを尊重するし、第二の人生を応援しないわけないじゃん。最後に、今日は私の興行ってことでいいかな?頑張ったから」と涙ながらに語りつつ、最後はボケを挟んで湿っぽい空気を吹き飛ばす。





最後に多恵の『満塁ホームランを打ちたい』という夢をウナギが叶えるということで、ウナギがリングからエアーボールを投げ、多恵が花道からかっ飛ばして満塁ホームラン。客席を回りながらお客さんから花を受け取り、花束を抱えながらホームインすると参戦した選手たちに囲まれて笑顔に。
ウナギと多恵の「本当に本当にありがとうございました!ぎゃん!」の掛け声とともに、客席から祝福のジェット風船が飛ばされた。

2人は仲良くバックステージに戻ると、口々に「一瞬だった」「あんなに準備に時間かかったのに」「3ヶ月くらい考えたのに一瞬で終わっちゃった」と漏らしながら泣き腫らした目で笑う。
そして多恵は「広田さんの言ったとおりだなって思ったの。ホント大好きだし、愛してるけど、決断したときのあの覚悟っていうのは自分の中の約束だから。でもだからこそ、今全部叶ってるのよ。引退ロードでやりたいって思ったことが。それってホントに沢山の人の労力だったり応援して下さる皆さんの力だから、私は最後の最後まで絶対に怪我なく全力。『なんで引退するの?!』って言われながらガッチガチに試合して辞めていってやるよ」と改めて決意を口に。
これを受けたウナギが「多恵ぴょんに教えてもらったことはたくさんあるから、ウナは『このプロレス界にウナギ・サヤカがいるから大丈夫だ』って思ってもらえるリングをこの先も、私がプロレスラーを終える日まで全力でずっと続けていくことを多恵ぴょんに誓います」と真剣な面持ちで語ると、多恵が「約束ね♪」と小指を差し出す。ウナギは「辞めたことを後悔させてやるからな!」と不敵な笑みを浮かべながら小指を絡めた。