棚橋弘至が引退表明!鍵を握るのは藤波辰爾の“引退カウントダウン”?
14日、東京都・両国国技館にて新日本プロレス『KING OF PRO-WRESTLING 2024』が開催。デビュー25周年記念を迎えた棚橋弘至が2026年1月4日でのプロレスラー引退を表明した。
棚橋は立命館大学在籍時に学生プロレスを始め、卒業後の1999年に新日本プロレスに入団。同年10月10日にデビューし、後にIWGPヘビー級王座最多戴冠記録を樹立するエースへと成長。業界全体が暗黒期に陥っていた時代に太陽の如くプロレス界を照らし続けてきた100年に1人の逸材だ。
2023年12月には新日本プロレスの代表取締役社長に就任。背広組としての仕事も増え、年齢も47歳とベテランの域に入りリングの最前線から遠ざかりつつあるものの、ファンは口を揃えて棚橋を“エース”と呼ぶ。
この日は、棚橋のデビュー25周年記念試合として棚橋弘至&海野翔太&エル・ファンタズモvs“キング・オブ・ダークネス”EVIL&高橋裕二郎&金丸義信の6人タッグマッチが実施。棚橋率いる本隊と悪の【HOUSE OF TORTURE(H.o.T)】の対抗戦の形となる。
以前から抗争はあったものの、EVILは棚橋の社長就任以降に特にしつこく付け狙い、自らを“社長”であると主張しながら嫌がらせを続けている。この試合で棚橋が悪党を成敗してリングの平和を取り戻すことが出来るのかに注目が集まっていた。
試合はH.o.Tの奇襲に始まり、マットを外して金具むき出しとなったコーナーを使った攻撃など外道な反則の餌食に。ファンタズモが捕まり続ける我慢の試合が続いたが、中盤からは海野が躍動し逆転。ついに棚橋の出番が訪れる。
観衆から「GO!ACE!」のコールが響く中、棚橋はフライング・フォアアーム、サンセット・フリップと軽快に得意技を繰り出していくが、H.o.Tのセコンドに付いていた東郷が場外からイスで一撃。H.o.Tが総出で海野を袋叩きにしていくが、海野&ファンタズモが必死の救出を見せて棚橋に勝負を託す。棚橋はスリング・ブレイドからハイフライフローを決めて裕二郎から3カウントを奪った。
マイクを取った棚橋は「あっという間の25年が経ちました。これもひとえに皆さんが熱い声援、ときどきブーイングを贈ってくれたおかげだと思います。ありがとうございます!こうして多くの皆様の前でいつまでも闘っていたいという思いはありますが……棚橋のゴールを決めました。2026年1月4日。だから、あと1年2ヶ月あります。疲れないし、落ち込まないし、諦めないけども、あと1年と2ヶ月、全力で走りますんで新日本プロレスをよろしくお願いします」と引退をほのめかした。
マイクが終わるとともにEVILが棚橋を襲撃し、大ブーイングの中で「棚橋よ、テメーごときがもったいぶってんじゃねーぞコノヤロー!引退してーならとっとと引退しやがれコラ!ただな!テメーの進退はこの俺が決めてやるよ。なぜならば、この会社は俺の会社なんだよ!」と罵倒。
解釈によっては「お前に引退なんかさせない」という熱い熱い棚橋愛に満ちた言葉とも取れるマイクでブーイングの中に少しの歓声を沸かせた。
バックステージに戻った棚橋は「まだ辞める前にいっぱいやらなきゃいけないことが残ってるんで。トーチャーのこと、そして新日本プロレスのリングをもっと盛り上げること。翔太たちの若い世代がもう出てきて、大いに期待している。彼らは絶対にやってくれる。でもまだ俺にも余力があるならば、全力で走りきって。俺が『疲れた』って言わないうちは。引退するその日のコメントで初めて『疲れた』って言うから。それまでは疲れない棚橋弘至、全力の棚橋弘至、社長でもレスラーでも100%で新日本のファンに楽しんでもらうから」と決意表明を行った。
棚橋の引退表明は業界全体に衝撃を与え、一夜明けてもプロレスファン・関係者の間ではその話題で持ち切り。棚橋の引退という特大の爆弾が投げ込まれたことで既に色々な動きが起きていることから、これまでにはあり得なかった光景がプロレス界に広がることになりそうだ。
また、棚橋の師匠でもある藤波辰爾は新日本の社長時代の2000年から引退カウントダウンを始めたが、24年経った今でも元気に現役を続行中だ。棚橋には引退する道を選ぶことも出来れば、先達が前例を残してくれた道を選ぶことも出来る。どういう結末を迎えるにしろ、大きなうねりが起きることは間違いないプロレス界の動きに注目していきたい。