15歳のときからの夢を叶えクリス・ブルックスが涙のKO-D無差別級王座初戴冠!「明日死んだとしても『一切後悔がない人生だった』と言える心境」
23日、東京都・両国国技館にてDDT『WRESTLE PETER PAN 2023』が開催。クリス・ブルックスが火野裕士を下して悲願のKO-D無差別級王座初戴冠を果たした。
クリス・ブルックスは、今年5月にシングルトーナメント『KING OF DDT 2023』で優勝。7月23日の両国国技館大会でKO-D無差別級王者・火野裕士への挑戦権を獲得した。
しかし、クリスは5月末に右肩を脱臼し全治3週間の診断を受けて負傷欠場。今月7日に39日ぶりの復帰を果たしたものの、調子が上がらず火野との前哨戦の結果は振るわないものとなっていた。
これを受け、火野は「クリスとの差を縮めるために練習サボりまくった。なんぼ練習サボっても元々がキングコングみたいな男なんで。強いと思います。結局は。クリス、ちょっとはええ試合しようぜ」と余裕綽々の態度で臨んでいた。
試合が始まるとクリスは敢えて痛めた右腕での逆水平チョップで勝負を挑むが、火野は余裕の微笑みを浮かべながら重い重い逆水平チョップの連打で返礼。その後もクリスの攻撃を真っ向から受け止めた上で圧倒的パワーで跳ね返すという身も心も折るかのような火野の攻撃が続く。
クリスは、KUDO直伝の蹴り技を解禁して対抗していき、右腕へのカーフ・ブランディング。火野は痛む右腕でも強烈なラリアットを叩き込んでいくが、クリスはFucking Bombを切り返してオクトパス・ストレッチ。火野が振り払おうとしても細かく技を変形させて絞り上げていくが、火野は右腕一本でクリスを持ち上げてバスター。
火野はラリアット、パワーボムと連撃し筋肉スプラッシュを狙うが、クリスが雪崩式ダブルアーム・スープレックスで切り返しパイルドライバーで追撃。さらにKUDOのようにテキサスコンドルキックのポーズを決めながらのダイビング・ダブルニードロップを見舞い、垂直落下式プレイングマンティスボム。
完璧に決まったかと思われたが、火野はカウント2でキックアウト。渾身の一撃を返されたクリスは狼狽し、レフェリーにすがりついて抗議。火野はそんなクリスの心を粉砕するラリアットを叩き込む。それでもクリスは持ち直し、ジャンピングニー連打からハイキック。火野は不敵な笑みを浮かべて両手を後ろに回すが、クリスは2発、3発と打ち込んでいき、HARASHIMAの技である蒼魔刀を顔面に叩き込む。ついに倒れた火野にダメ押しのプレイングマンティスボムを見舞って3カウントを奪った。
マイクを取ったクリスは「ヒノさん、今日メチャクチャ強かった。ホントにありがとございました。今日お前メッチャ悪いだけど、悪いヒノさん、私もっともっと頑張った。だから、ありがとございました」と、挑発的な態度で自らを奮い立たせてくれた火野へ感謝の言葉を述べる。
クリスが初防衛戦の相手を募ると、リングに上ってきたのは入江茂弘。
入江は満面の笑みでクリスのKO-D無差別級王座初戴冠を祝福し、「お前はホンマにすごいよ。海外でトーナメント優勝してチャンピオンになった。素晴らしいレスラーや。でもな、クリス。もう1人、海外でトーナメント優勝してチャンピオンになった素晴らしいレスラーを知ってるんや。それはこの俺や。次の挑戦者は、入江茂弘や」と真っ向から挑戦表明。
これを受けたクリスは「イリエ、私たち昔、イギリス、ドイツで試合出てたね。でもまだ日本、試合出てない。だから挑戦者、やりたい。じゃあ、やりましょう」と快諾し、ガッチリ握手。その場で9月9日の大田区総合体育館大会でのKO-D無差別級王座戦が決定された。
エンディングに全選手がリングに集まってくると、クリスは「皆さん、最高の4年間、すべて本当にありがとございました」と深々と座礼。そして「今日は私の夢が叶いました。皆さんも夢があれば、必ず追いかけてください。今日はありがとうございました!」と堂々の締め。クリスを中心に両国ピーターパンは大団円を迎えた。
バックステージに戻ったクリスは「15歳のときに部屋にDDTのポスターを貼っていて、ずっと『日本に行きたい』と思っていたけど有り得ないことだと思って口には出して来なかった。この場にいるに相応しいとは思えないけど、これからも全力を尽くしていく。明日死んだとしても『一切後悔がない人生だった』と言える心境だ」と胸中を吐露。
そして、試合中に繰り出したKUDOやHARASHIMAの技について聞かれると、「最初からやろうと思っていたわけではないけど、声が聞こえたような気がした。プレイングマンティスボムを返されたときにひらめいた。この場がそうさせたような気がした」とコメント。DDTのリビング・レジェンドたちの魂を胸に至宝戴冠を果たしたクリスは“この場にいるに相応しい”チャンピオンと言えるだろう。