「いいんだね?殺っちゃって」永田裕志が三冠ヘビー級王座V2を果たし、全日本プロレスのスーパールーキーと防衛戦へ!
29日、東京都・後楽園ホールにて、全日本プロレス『#ajpwスーパーパワーシリーズ2023』が開催され、永田裕志が三冠ヘビー級王座の2度目の防衛に成功した。
永田は昨年より全日本に継続参戦しており、新日本・全日本・NOAHのヘビー級シングル&タッグ王座をすべて戴冠するという“グランドスラム”に王手をかけていたこともあって最後のピースたる三冠王座を強く意識。貪欲に三冠挑戦の機会を狙い続け、今年2月にはついにグランドスラムを達成した。
これにより、永田は三冠ヘビー級王者としては、天龍源一郎さんが持っていた最年長戴冠記録、最長キャリア戴冠記録を更新。史上5人目のメジャー三団体シングル王座制覇、史上4人目のメジャー三団体シングル&タッグ王座制覇、これに加えてメジャー三団体のシングルリーグ戦(G1 CLIMAX、チャンピオン・カーニバル、グローバルリーグ)も制覇したという史上初の偉業を成し遂げてプロレス史に名を刻んだ。
その後行われたチャンピオン・カーニバル(CC)に永田は不参加。優勝を果たした芦野祥太郎が至宝を全日本に取り戻すべく挑戦を表明するも、優勝決定戦で芦野が左尺骨を骨折していたことが後日発覚し挑戦はお流れに。
代わりに挑戦が決まったのは、芦野とCC優勝決定戦で死闘を繰り広げたT-Hawk。T-Hawkが初めて三冠に挑戦したのは、2022年5月29日と奇しくもちょうど1年前。その際は当時の王者・宮原健斗に敗れたが、1年後のこの日は自団体であるGLEATや闘ってきた全日本のライバルたちすべての思いを背負っての勝利を誓っていた。
T-Hawkは、芦野の入場曲を一部使った曲に合わせて入場。
試合が始まると、T-Hawkが自慢の右腕で放つ逆水平チョップを連打して試合を組み立てていくが、永田はショルダーアームブリーカーを軸とした腕攻めでT-Hawkの武器を徹底破壊。腕十字やナガタロックII、ナガタロックIIIと関節技地獄に引きずり込む。
T-Hawkは一瞬の隙を突いてケルベロスを叩き込み、BTボム。バルコニーから試合を見守っていた芦野を指さしてからナイトライドを狙うが、永田はエクスプロイダーからバックドロップ。T-Hawkは気迫のキックアウトを見せるが、永田はハイキックからのバックドロップホールドと畳み掛けて3カウント。
永田はT-Hawkにグータッチを要求するが、T-Hawkはそれに応じずに手を降ろさせると、G-REXのベルトを掲げてリングを後にした。
永田がマイクを取って語り始めると、この試合のセコンドに付いていた安齊勇馬が強い眼差しで永田を見つめながらリングイン。
安齊は、ジャンボ鶴田さんや諏訪魔ら数々の名プロレスラーを輩出してきた名門・中央大学レスリング部出身であり、東日本学生レスリング選手権大会春季大会優勝、全日本大学グレコローマン選手権5位という経歴を残し2022年の卒業後に全日本へ入門、同年9月にデビューを果たした。端正な顔立ちに188cm 105kgという恵まれた体格を持ち、将来の全日本プロレスのヘビー級エースとしての期待を集めている選手。デビュー戦の相手も務めた永田からの寵愛を受けて師弟関係を築いている他、シングルマッチで対戦した鷹木信悟も将来性に太鼓判を押した逸材だ。
安齊が「次の挑戦者!俺じゃだめですか?全日本のシンボルである三冠ヘビー、全日本の俺が、取り返して、時代を変えます。永田さん!俺の挑戦受けてください」と語りかけると、永田は「お前の挑戦受けてやるよ。ただし、しっかり覚悟してこないと、やられちゃうぞお前。お客さん……いいんだね殺っちゃって?覚悟してこい!」と不敵に笑いながら安齊の挑戦を受諾した。
バックステージに戻った永田は、6月9日に迫る『ALL TOGETHER』に“全日本の三冠ヘビー級王者”として出場することに感慨深さを語りつつ、「安齊は今後の全日本プロレスの救世主になり得るものは持っている。ただ、それは永田裕志を倒してからです。多くのチャンスを彼自身の力で取りましたけど、さあ、これを活かすも殺すも安齊勇馬次第。俺は簡単に負けない。もう一度、日本マット界に永田裕志というものをしっかり植え付けるためにもこのベルトがいる。安齊という最高の素材を俺がおいしく調理して、しっかりガブリ!と食ってやりますよ。それが全日本プロレスのためでもあると思います」と安齊に期待を寄せた。