【会見全文】『PANCRASE 334』ウェルター級チャンピオンシップをかけた林源平と村山暁洋が調印式に参加!二人の心境を独占インタビュー!
5月24日夕、都内新宿区のパンクラスで、ウェルター級チャンピオンシップの調印式が行われた。
6月4日の『PANCRASE 334』メインで闘うのは林源平(和術慧舟會IGGY HANDS GYM/2位)と村山暁洋(暁道場/1位)。
林はこれまでミドル級、ライト級など階級変更を重ねてきたが、ウェルターがハマり、プロデビュー10年目の節目にチャンスをつかんだ。
村山は2016年3月、第9代王者に。初防衛は成らなかったが、その後もコンスタントに試合を重ね、再び頂点を目指す。
スーツ姿で着席した両選手は、廣瀬隆司・パンクラス評議員長の立ち会いのもと、落ち着いた雰囲気で出場誓約書にサインした。
両選手との質疑応答は以下。
――お互いの印象を教えてください。
林「村山選手は、格闘家って言うよりも武士って感じがして。僕は武士道精神というのをすごく大事にしているので、その面でも村山選手と闘えるのはすごく光栄に思っています」
村山「林選手は全部強いんですけど、特にパンチが強いイメージです。僕も林選手には武士道を感じるところがありますので、そこで闘って行きたいなと思います」
――お2人から「武士道」という言葉が出ました。林選手、村山選手のどんなところに武士道を感じるのでしょうか。
林「そうですね、どんな試合を見ても、最後まで自分を貫き通すところですね。どんな劣勢になっても絶対また復活して、立ち上がってきて、最後まで自分が勝つんだっていう気持ちの強さ、そういうところに僕は一番、魂を感じますね」
――村山選手、それを受けていかがですか、
村山「ありがたいことですけど、自分も、格闘技は最後の最後まで何があるかわからないと思っているので、そういうところは大事にしているというか、絶対に最後の最後まで粘るという気持ちで闘っています」
――では、林選手に感じる武士道とはどういったところなのでしょうか。
村山「はい。特に前回の試合(昨年12月、押忍マン洸太戦)も、若干劣勢なところがあったと思うんですけど、最後に倒したというすごい試合だったので、そういうところに感じます」
――林選手は今年デビュー10周年ということで、今ここでチャンピオンシップを迎えるということ、どのような心境なのでしょうか。
林「そうですね、正直、ここまで来られるとは思ってなかったんですけど……」
廣瀬評議員長「ウソでしょ!」
林「ハハハ! そうですね。正直言うと、やっと自分に運が全て回ってきたなと。今回は全部、僕のためにやってきたタイトルマッチかなと思っています」
――林選手は、これまで何度か階級変更しています。今回ウェルターという階級でチャンピオンシップを闘うという心境はいかがでしょうか。
林「そうですね、正直、ここまで辿り着けたのは、結果としてここに辿り着けたという感じなんで。パフォーマンスが上がったからこそ、ここで闘えている。自分の中で一番適正だったのがウェルターだったのかなと。10年かかって気づきました(笑)」
――村山選手、パンクラスでの再びの頂点獲り、ご自分の中ではこのチャンピオンシップ、どのようなお気持ちで迎えるのでしょうか。
村山「7年ぶりということですけれども、もう遥か昔のことなので、再度というよりは(新たに)獲りにいきます」
――今、村山選手を突き動かすモチベーションというのは、どのようなところにあるのでしょうか。
村山「やはり、格闘技が好きというところにあると思います」
――では、先ほど、お互いの印象をうかがいましたが、どんな試合になりそうでしょうか。また、どのように闘いたいですか。
林「村山選手の一番の強みっていうのは、やはり柔道仕込みの強烈な投げだと思うんで、そこを僕がいかに潰して、自分の最大の武器である打撃で倒すかっていうのが今回のポイントかなと思います」
村山「自分は全てを出して、寝技だけじゃなくて打撃も出して、全部で総合的に闘っていきたいと思います」
――今回の試合のキーになる部分、重要になると思う部分を教えてください。
林「これは自分自身の問題ですけど、欲を出さないというところが一番のポイントですね」
村山「正直、林選手はすごく強い選手なので、厳しい場面も出てくると思うんですけど、そこを最後まで諦めずに闘っていければベルトを巻けると思うので、頑張りたいと思います」
――理想のフィニッシュを教えてください。
林「何もさせないで、最後、僕の拳で村山選手を倒したいです。いくらガードしてようが、僕のパンチは当たったら一発で失神するんで、そこがまあ理想なんですけど、あえて欲は出さずに。結果、そういうことになると思うんで、そこを楽しみにしてもらえればと思います」
村山「自分の中では、KOでも一本でもどちらでもいいのでどちらかで倒すというのが頭の中に浮かんでいて、それをどういう風にするのかっていうのを考えています」
――林選手はパンクラスでデビューして、初めてのベルト挑戦となります。パンクラスのベルトにはどんな思いがありますか。
林「そうですね、ただ単純に、見た目がすごくかっこいいですよね、パンクラスのベルトって。本当に世界で一番かっこいいベルトだと思うので、そこの王者にふさわしい位置に、やっと僕が来られたというのがありますし、パンクラスは今年30周年。この歴史ある団体のベルトを掴めるということは、本当に自分の人生の中でも大きなことだと思うので、しっかりとベルトを巻きたいです」
――よく、格闘技の世界では「王者とそれ以外」という言い方をして、王者は特別なものだと言われますが、やはりチャンピオンを目指すというのは、どのような心持ちなのでしょうか。
林「そうですね。やっぱり、王様っていうのは特別だと思うんで、絶対そこは他の選手と違うなというところを見せられればなと思います。あとは、このベルトを、今まで応援してくれた方々に見せるのが、いま最大のモチベーションですね」
――村山選手は、すでにこの階級の頂点として君臨していますが、パンクラスのベルトに対してはどのようなことを感じているのでしょうか。
村山「獲ったのはもう7年前で、現時点の王者ではないので。遥か前なので。現時点で一番強いという証を、パンクラスは他の団体と比べても一番強いと自分は思っているので、それを証明したいと思います」
――お2人の現在の練習環境を教えてください。
林「今、基本はGENスポーツアカデミーで練習していまして、あとフィジカルを山田崇太郎さんのパンダジムでやって、あとはボクシングトレーナーについています。あとはトライスタージムの赤沢(幸典)くんに指導してもらうこともたくさんあります」
村山「週に1回ですけれども、湯島のK太郎選手のユナイテッドジムに行かせていただいています。基本は早稲田の自分の暁道場でやっているという感じです」
――どんな選手と練習されていますか。
林「GENのリーダーが岡見勇信選手、同階級で安西信昌選手、ストラッサー起一選手。あと、今週 Road To UFCに出る丸山数馬選手なんかは、よくハードスパーをやってもらったりとかしてます。あとは小金翔選手。言うといっぱいいるんですけど(笑)。先ほどお話したパンダジムの山田崇太郎選手には、いつも寝技でしごいてもらってます」
――世界を知っている皆さんですね。一緒に練習していて、刺激を受けていると思うんですが、どのような感じで自分の中で生かしていますか?
林「そうですね、やっぱり自分のモチベーションはもちろんそうなんですけど、東京へ出て来た時と今とでは、だいぶ成長できたという証が、世界を知る皆さんと、どれだけ渡り合えるようになってきたかですね。自分の中で『やっとここまでできるようになってきたな』っていうのが分かるようになって来たんで、それもモチベーションになってますね」
――静岡にいらっしゃった頃は、なかなか実力を測る物差しがなかったのかなと思いますが、その辺はいかがですか。
林「そうですね、一番違うのは練習パートナーですね。静岡にいるときは、単純に練習相手は限られていたので。修斗に出ているAB選手、パンクラスにも昔出ていたんですけど、AB選手とマンツーマンのスパーがすごく多かったです。それで、他を知るために東京に出て来させてもらいました。技術に関しては、所属ジムの遠藤大翼代表なんかメチャクチャ知ってるんで、今でもアドバイスを求めたりしています」
――東京で本格的に練習するようになったのは、いつごろですか?
林「4年ぐらい前ですね。阿部右京選手とやった後(2019年6月)に、冨樫選手と試合(2019年9月)する直前に東京に出て来ました」
――村山選手、K太郎選手のユナイテッドジムに行かれるなど、43歳という年齢でも学びの気持ちが強い選手だと思うんですが、学ぼうと思う理由は、どういったところにあるのでしょうか。
村山「やられると悔しいっていうのがありますね。けっこう、やられると悔しいんで、それがモチベーションになって、次は倒そうというか、倒そうというわけじゃないですけど、もっとうまくやれるんじゃないかとか、そういうのが一番モチベーションになっているかなと思います」
――これまで実績があるので、そういうプライドが逆に邪魔をする時もあるんじゃないかと思ったりしますが、ものすごく謙虚ですね。かつて持っていたベルトは、今の村山選手にとってはもう関係ない感じですか。
村山「もうだいぶ昔なので、少しはあるのかもしれないですけど、あんまり心の中にはなくて、新しい気持ちというか、そういう感じになっています」
――練習内容で変えてきたこと、強化してきたことがあれば、言える範囲でいいので教えてください。
林「僕は変えてないですね。相手が誰だろうと、自分を貫くのが自分のスタイルなんで、特に変えることはないですね」
村山「ユナイテッドジムのK太郎選手と、2年くらい前から一緒に練習させていただいていて、毎回いろいろ学ぶことが多いので、そこが変わってきたかなと思います」
――先ほど、お2人とも武士道ということをおっしゃっていましたが、それを踏まえて、理想のチャンピオン像はどんなものでしょうか。
林「やっぱり、誰にも負けないっていうのが一番かなと。さっきも言ったんですけど、チャンピオンというのは特別なんで、見せかけのチャンピオンじゃなくて、芯も強いのが、僕の中のチャンピオンです」
村山「強さの象徴というのがチャンピオンだと思います」
――では、最後に勝利への意気込みをお願いします。
林「勝ちます」
村山「自分の全てを出して、ベルトを獲ります」
落ち着いた雰囲気の中にも、両選手の勝利への強い意志を感じる会見だった。当日は、林が初戴冠するのか、村山が7年ぶりに返り咲くか。決戦まであと10日!!
(写真&文/佐佐木 澪)