【インタビュー】PANCRASE303に参戦の翔兵が修斗世界ランキング1位の強豪ライリー・ドゥトロ戦に挑む覚悟を語る!「目の前にいる強いと分かっている相手から逃げたくない」

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 3月17日『PANCRASE 303』で、ライリー・ドゥトロ(I&I TRAINING CENTER)と対戦する翔兵(升水組)。修斗世界ランキング1位の強豪を迎え撃つ。大一番を控え、絶好調の翔兵に話を聞いた。

――コンディションはいかがですか。
「いい感じに作り上がってきています。自信がありますね」

――修斗世界ランキング1位のライリー・ドゥトロ選手との対戦が近づいて来ました。相手の印象はいかがですか。
「普通に強いです」

――どんなところが強いですか。
「そうですね、語弊があるかも知れませんが“ヘタ強い”と言うんでしょうか。日本人選手は器用なんですよ。でも、外国人選手って、器用さはあんまりなくて、駆け引きをして来ないんですよね。もらってもガンガン出てくる、しかも打たれ強い。しかも、ライリー選手は細かい技術がしっかりしています。

――身長も10cmくらい違いますよね。どのような対策をして来たのでしょうか。
「身長差っていうのは、僕はあまり苦手じゃないんですよ。だから大丈夫です。それよりも、ああいう駆け引きをしてくれない闘い方に対しての対応が課題ですね。詳しい内容は秘密ですけど、とにかく焦ったら負け。とことん冷静に見続けることが第一だと思っています」

――外国人選手は体力もすごい人が多いですが、そのあたりはいかがですか。
「ライリー選手はスタミナが切れないんですよね。飛ばすというよりは、自分のペースをゆっくり保つタイプだと思います。ステップを踏まないで少しずつ前に出てくるから疲れないんですよ。一番怖いのは、こちらが当てた後の返しのパンチですね。これをもらったらいけない。そこは徹底して練習してきました」

――昨年は2連勝でした。今、ベルトに十分手が届く位置にいると思います。
「正直、今回はタイトルマッチなり、次期挑戦者決定戦なり、タイトル絡みの試合が組んでいただけると思っていました。僕は上田選手(※上田将竜。昨年12月の勝利後、タイトルマッチをアピール)にも勝っていますし。それなのに、なぜもう1戦やらないといけないのか、という気持ちはありました。僕、今めちゃくちゃベルトが欲しいんです。ベルトを巻けるなら死んでもいいというくらい。だけど、目の前にいる、強いとわかっている相手から逃げたくありませんでした。ライリー選手は修斗の1位だし、中村(優作)選手や田丸(匠)選手を倒していて、フライ級の日本人で彼に勝った選手はまだいません。そう思ったとき、心が決まりました。『よし、俺がやってやる!』って。ライリー選手は名前も実力もある選手です。だからこれは、タイトルマッチにも等しい、価値ある試合だと思っています。今は僕と組んでいただけたことに感謝しています」

――ライリー選手もパンクラスのチャンピオンになると話しています。絶対に負けられないですね。
「はい。今までの負けた試合を振り返ってみると、どこかで“勝ちたさ”が足りなかったのかな、と思うんです。でも今回は、今までで一番、勝ちたいという気持ちが強いです。負けた時のことなんて考えていません。そのくらい、勝ちに貪欲になっています」

――さて、翔兵選手は、2017年はちょっと不調で2連敗してしまいましたが、昨年は2連勝と盛り返しました。ここには、何か変えたこととか、気持ちの変化があったのでしょうか。
「そうですね、僕は、何かに行き詰まったとき、生活の中の何かを変えるんですよ。例えば引っ越しするとか、犬を飼うとか。去年は、変えたというよりは気づいたことなんですけど、“負けた試合を負けたと思わない”ということですね。たとえ記録が“負け”であっても、『俺は負けた』なんて思わないようにするんです。前からそうなんですけど、それに改めて気がついたと言うのかな。これって、自分がずっとやってきた柔道の先輩や後輩、トップ選手はみんなやっていることなんですよ。負けても、負けたと思わない。反省もしない。だって、負けたと思ったら“負け”でしょう? でも、負けたと思わなければ負けじゃないんです。考えるとしたら『今回はアイツの方が強かったかな』くらい」

――マイナスの方向に考えないということですね。
「そうなんです。一度負けると負け続けてしまう人と、逆に強くなれる人がいると思うんですけど、負けを認めてしまうと、どこか投げやりになってしまうんですね。負けグセがついてしまう。だから、『俺は負けた』と思ったらダメ。もちろん、記録の上では“負け”なので、人には言わないですよ。でも、自分の中では、負けなんて認めなくていい。それよりも、こうしたらもっと良かった、そういう点にフォーカスする。改善点に集中すれば諦めないし、強くなれるんです。だから今、負ける気なんて全然しないですし、勝った時の喜びを毎日、想像しています」

――翔兵選手は、練習仲間もすごいメンバーですよね。
「はい! 本当に強い仲間ばかりです。伊藤盛一郎選手や佐藤将光選手、田中路教選手や、瀧澤謙太選手……本当にみんな強いです。ただでさえ強い人たちなのに、みんな動けなくなるまで練習しています。あー、キツイ! と思っても、横を見ると田中選手の方がキツイことをやっている。それを見たら、弱音なんて吐けません。投げやりになんて、なっている暇がないくらいです。今回は、田中選手や瀧澤選手と同じ大会に出られるので嬉しいですね」

――職場の皆さんもすごく応援してくれていますよね。
「そうなんです! それこそ、ネオブラッド・トーナメントの頃(※2014年バンタム級優勝)からです。まだ、僕がいい選手かどうかもわからないのに応援してくれていて。ありがたいです。1人では頑張れないけど、こんなすごい仲間たちや、負けても応援してくれる人たちがいる。人は自分だけのために何かをするって難しいと思う。背負うものがあるから頑張れるんだと実感しています」

――期待しています。
「はい。絶対に勝ちます!」

 今回のインタビューは、翔兵が働く「ペットの専門店コジマ ベイタウン横浜本牧店(https://pets-kojima.com/)」にておこなった。
 試合まであと2週間を切った。素晴らしい仲間たちに囲まれ、心技体全てに磨きをかけている。試合では、さらに進化した翔兵に期待したい。

(写真・文/佐佐木 澪)

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