【試合詳細】8・9 PANCRASE大阪大会 福島秀和vs平田丈二 小川道的vs木村俊也 久保健太vs桐山康平 綿谷誠vs延命そら
『パンクラス大阪大会』
日程:2020年8月9日
開始:12時30分
会場:大阪・住吉区民センター大ホール
観衆:264人(満員/コロナ対策のため)
▼第1試合 ストロー級 3分3R
○里見拓磨(MMA Zジム)
判定3-0
●藪本龍作(パラエストラ大阪)
▼第2試合 ライト級 3分3R
○田中壱季(ソフトコンタクト)
判定3-0
●高谷LOYLY(パラエストラ東大阪)
▼第3試合 フライ級 3分3R
○杉原光世(チームプログレス)
判定3-0
●KARL(総合格闘技道場コブラ会)
▼第4試合 バンタム級 3分3R
○綿谷 誠(BLOWS)
2R 1分35秒、スリーパー
●延命そら(総合格闘技スタジオSTYLE)
▼第5試合 フライ級 3分3R
○久保健太(GSB多治見)
判定3-0
●桐山康平(パンクラス大阪 稲垣組)
▼第6試合 セミファイナル ライト級 3分3R
○小川道的(柔術兄弟/ALIVE伊勢支部)
1R 2分19秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●木村俊也(BLOWS)
▼第7試合 メインイベント バンタム級 5分3R
○福島秀和(BLOWS)
判定3-0
●平田丈二(総合格闘技 暗愚羅)
福島が平田との関西バンタム級の主力対決は福島に軍配!小川が1RTKOでPANCRASE初勝利!久保が桐山との初参戦対決を制して勝利!
コロナ禍の中、延期をへて開催された大阪大会。
席をかなり減らし、階段席は間を3席開けるなど、ソーシャルディスタンスにはかなり配慮されていた。
また、入場時の検温はもちろん、1試合ごとのリング消毒、ジャッジやスタッフのマスク、フェイスシールドの着用はもちろん、手洗いの励行、声援なし・立ち見なしのお願いなど、注意を促すアナウンスも繰り返された。
毎回、熱気で包まれる大阪大会だが、席数を減らした今大会も、熱気は変わらなかった。それは満足に格闘技の大会が開かれなかった今年、ようやく試合ができる選手の喜び、生で感染できるファンの喜び、そして格闘技を愛するスタッフの気持ちが会場に溢れていたからだろう。
いつもより少ない試合数、リング使用、3分3Rでの試合など、いつもとは違う形ではあったが、大阪のエネルギーを強く感じる大会となった。
第1試合
昨年4月に修斗でデビューした里見はこれが2戦目。1年4ヶ月ぶりの試合はパンクラス初参戦となった。一方の藪本はこれがデビュー戦。フレッシュな両者が大会のオープニングを飾る。
1R。お互い距離をとる両者。時折、近づいて打ち合うが、すぐに離れる。蹴りを入れていく藪本。里見は中に入るが攻め込めない。
藪本が蹴り。里見が入ってパンチを打つ。ゴング。
ジャッジは三者10-9で里見。
2R。里見が蹴り、入ってパンチ。藪本は少し距離を取っている。中に入りたい里見だが、タイミングをつかめない。フェイントをかける藪本。里見がローから右パンチ、さらに入ってパンチ。藪本は左右フック、前蹴りを出すが、手が少ない。里見がパンチを打ってゴング。
ジャッジは三者10-9で里見。
最終ラウンド、パンチで出て行く里見。蹴りで居易をとる藪本だが、里見が引っ掛けて倒す。すぐ立った藪本は組みついて首を狙うが、外されてしまう。残り1分。出入りしてパンチを打つ里見。藪本もパンチで出る。里見が跳びヒザ、藪本もジャンプして入ってくるが、里見が倒したところで終了。
ジャッジは1人が29-28、二者30-27の3-0で里見が勝利した。
第2試合
昨年7月、GLADIATOR参戦を経験した田中は、テイクダウンに苦しむも、起死回生のパンチで逆転勝利。初参戦のパンクラスでも、その勢いが出るか。
一方の高谷はこれがデビュー戦。どのような闘いを見せるのか。
1R。いきなりパンチで出て組んだ田中。ヒザを入れて離れる。さらに田中の右がヒット、高谷は効いてヒザをつくが、すぐに立つ。組みたい田中がだが、きっかけをつかめず、いったん離れてパンチで攻め込む。これを受け止めた高谷がロープへ詰め、ヒザを入れてコーナーへ持って行ったところで終了。
ジャッジは1人が10-8、二者が10-9で、ともに田中を支持。
2R。プレッシャーをかける高谷だが、パンチで前に出た田中と打ち合いに。高谷は離れて距離を取るが、田中はパンチを振って前に攻め込んでいく。高谷はバランスを崩すが、すぐに立ってロープ際で上に! ヒジを落とし、パンチを連打したところで終了。
ジャッジは1人が10-9高谷、二者は10-9で田中。
3R。田中は跳びヒザからパンチで攻め、組んでロープへ押し込む。しかし、高谷は倒して上に。ハーフマウントから肩パンチ、ヒジを連打する。しかし田中が返した! 殴るが、高谷が投げて上を取り返す。
田中は立って、さらにパンチで出るが、バランスを崩してしまう。この機に高谷が上に。田中は立ち、パンチで攻める。また上になった高谷がマウントからパウンドを落としたところで終了。
ジャッジは1人が29-27、二者29-28、3-0で田中が勝利。
なかなかの根性を見せた田中。GLADIATORでも相手のテイクダウンに苦しんだが、やや修正されているか。苦いデビュー戦となった高谷とともに、今後さらなる成長を期待したい。
第3試合
杉原は、2018年12月、大阪でパンクラス初参戦。同年6月、GLADIATOR×DEMOLITIONではチョークスリーパーで一本勝ちを挙げている。パンクラス参戦は1年8ヶ月ぶり。
対するKARLは、これがデビュー戦。なんと39歳でのデビューを飾る。
1R。プレッシャーをかけていく杉原。KARLもプレッシャーをかけながらパンチ。杉原が組んでコーナーへ押し込むが、KARLは離れる。パンチで前にでた杉原だが、KARLが素早く片足タックルから上に。
杉原が立つと入れ替え合うが、KARLがコーナーへ押してヒザ連打。さらに倒して上を取り、ヒジを落とす。しかし、返した杉原。KARLが再び上になり、杉原が立ったところで終了。
ジャッジは1人が10-9 KARL、二者が10-9杉原。
2R。杉原が投げて上になるが、KARLはすぐに立つ。杉原はロー、ジャブでプレッシャーをかけて行く。KARLがパンチで出てくると、受け止めるように上に。コーナーを使って立ちたいKARLだが、杉原はパンチを落とし立たせない。終了間際、上体を起こしたKARLだが、杉原がヒジやパンチを落として終了。
ジャッジは三者10-9で杉原。
3R。組みにいくKARL。ロープへ押すが、杉原は入れ替えてコーナーへ。ロー、ヒザを入れる。しかしKARLがコーナーへ押して行き、ヒザ連打から倒して上に。杉原はガードポジション。上体を引きつけるが、KARLはヒジを落として立つ。蹴り上げる杉原。足を狙うが、かぶさって殴るKARL。杉原が上体を起こして殴ったところで終了。
ジャッジは三者29-28、3-0で杉原が勝利。
第4試合
綿谷は今年1月、修斗に参戦。パンクラスには初めて上がる。
対する延命は空手がバックボーン。JAMMF、アマチュアパンクラスなど、アマチュアMMAの大会を経て、パンクラス初参戦。
1R。フェイントをかけながら回る綿谷。延命はローで距離を保ち、様子を見る。入ってパンチを打ち、すぐに離れる綿谷。
延命がロー、左ミドル、右ハイと迫り、パンチ連打と前に出ると、組んだ綿谷が投げた。すぐ立った延命だが、綿谷はバックを取りコーナーへ。投げたいが、延命がこらえる。綿谷がバックをキープしたまま終了。
ジャッジは1院が10-9で延命、二者が10-9綿谷。
2R。回る綿谷。延命は左ハイ、ローと足を使う。組んだ綿谷はコーナーへ。さらに引き込んで上に。次いでバックを取りチョーク! なんとかしのぎたい延命だが、綿谷がそのまま絞めるとタップ。
第5試合
格闘技ジムの代表を務めながら現役選手として闘っている久保。昨年はROAD FC(5月)、CMAKAISER(9月)、DEEP(11月)に参戦。パンクラス本戦には初参戦。
対する桐山はDEEPで闘ってきており、スピードと負けん気の強さが身上だ。パンクラスにはこれが初参戦。
1R。久パンチで出る桐山。久保が組むが、桐山がロープへ押す。力勝負になるが、桐山が潰して上を奪取しマウントからパンチ連打。久保は立とうとするが、さらに潰す。なんとか立った久保はバックを取られるが、倒して上に。さらにバックに回るが、桐山がバックを取り返す。久保はパンチで突き放し、組んで強烈なヒザを入れたところで終了。
ジャッジは三者10-9で桐山。
2R。パンチから組む久保。桐山が入れ替えてコーナーへ追い込みヒジ。久保は入れ替えると、投げてハーフマウント。殴る。桐山は殴られながらも冷静にコーナーへ移動していく。パンチを落とし続ける久保。しかし、桐山が一気に立ち、やや態勢が崩れながらも上に。殴る。久保は返して逃さない。ゴング。
ジャッジは三者10-9で久保。
3R。このラウンドは桐山が組んでコーナーへ押し、ボディを殴る。入れ替えた久保。桐山はヒザを打ち込む。さらにコーナーへ押し込んでパンチ連打。
久保は離れ、組んでロープへ。桐山が投げて上! 久保はガードポジション。立とうとした久保のバックを取った桐山。再び桐山が上になったところで終了。
ジャッジは三者ともに29-28で久保が勝利。
桐山はパンクラスデビューを白星で飾れなかったが、スピード感と折れない心、前に出続ける気持ちが素晴らしかった。稲垣組は前田吉朗を筆頭に、中村晃司、現ストロー級王者・北方大地、RIZINも出場した金太郎など、東京の選手とは毛色の違った選手たちを輩出してきた。今回、本戦に初めて上がった桐山も、先輩たちに負けず劣らずの勢いと華を持つ選手のようだ。そのイキの良さ、まさに稲垣組! 今後の成長と活躍が楽しみだ。
第6試合
小川は2016年よりパンクラスに参戦。パンクラス、DEEPなど大阪を中心に闘っている。パンクラスでは2連敗中。どうしても白星が欲しいところだ。
対する木村はアマチュア修斗で闘い、DEEPにも参戦している選手。パンクラスは、2018年12月に初参戦して以来、1年8ヶ月ぶりの参戦となる。前回はスタンドのパンチでTKO勝ちを収めているが、今回もスパッと勝ちを決めるか。
1R。ローで様子を見る木村。小川はジャブ。さらに右パンチ。木村、これが効いたか。ローで距離を取りながらパンチ。小川が再びパンチで前に出るが、木村は距離を取る。しかし、小川の左パンチがヒット、木村が仰向けにダウン! 小川はすぐさまかぶさりパウンド。しかし完全に効いており、レフェリーが試合を止めた。
ゴツいフィジカルと面構えそのままの力強い闘いで、小川がパンクラス初勝利をつかんだ。
第7試合
福島は2014年よりパンクラスに参戦。関西バンタム級の要として東京大会にもたびたび上がり、東京のファンにもお馴染みの顔だ。
直近の2試合は、春日井 寒天 たけし(2019年5月)、ブラッディ・ファン(今年2月)に判定負けを喫している。久しぶりの開催となった大会で、星を取り戻しておきたいところ。
対する平田は2015年よりパンクラスに参戦中。大阪大会を中心に闘ってきたが、2017年3月には東京大会にも上がっている。昨年12月には河村泰博に勝っており、6位の福島を倒して再び東京進出を狙う。
1R。プレッシャーをかける平田。福島は身体を左右に振り、パンチで前に出る。さらに、組んでコーナーへ。しかし、平田は離れてヒジでプレッシャー。前蹴りのタイミングも良い。平田のローをキャッチしようとした福島は取り損ねるが、バランスを崩した平田の上に。しかし、平田立った。
平田のローを取る福島。組もうとするが、平田はヒジを振って付き合わない。福島はパンチから片足タックルに入るが、平田は組ませない。ロープきわで打ち合って終了。
ジャッジは三者10-9で福島。
2R。平田はプレッシャーをかけていく。福島はジャブ、ボディを打ちながら組むタイミングをはかるが、平田は組ませない。お互いパンチで出て打ち合う。福島が両足タックルをしかけるが、平田に切られてしまう。福島はパンチを入れながらタイミングを待つが、タックルには入れず。
福島が平田の蹴り足をキャッチするが、平田は逃げる。追って行きバックを取った福島、ヒザ連打! 平田は離れ、パンチの打ち合いに。お互い当ててはいるが、単発になっている。ゴング。
ジャッジは三者10-9で福島。
3R。跳び膝で奇襲をかける平田。さらに、単発ながらパンチで攻め込む。福島は後退気味になり、組めない。諦めずパンチで出た福島は、組んでテイクダウン! バックマウント! 殴っていく。なんとか起きたい平田だが、ガッチリ捕まえている福島。残り1分。平田が立ち上がるが、福島は離さずおぶさり、さらに潰して殴る。残り30秒、首を狙った福島。極まるか!? グッと力を込めるがゴング。
ジャッジは三者30-27、3-0で福島が連敗を脱出した。
[福島 リング上コメント]
コロナで大変な中、見に来てくださった皆さん、どうもありがとうございます。そして、大会を開いてくださった運営の皆さん、本当にありがとうございました。
最近、母が亡くなり、父も死にかけていて、ずっと元気がなかったんですが。みなさんの応援で力をもらい、元気が出ました。本当にありがとうございました。
人生、いつ何が起こるかわかりません。皆さん。ぜひお体を大事にして、元気に過ごしてください」
[福島 試合後コメント]
「対策や、練習して来たことがうまく出てよかったです。コロナでジムで練習できない時期もありましたけど、後輩にお願いして河原でのダッシュやミット打ちに付き合ってもらいました。ジムが再開してからは、スパーリングもしっかりやれましたし、大会が延期になったので、その分、準備する時間を取ることができました。
ただ、最後、一本取りきれなくて。あそこで取れたと思ったんですけど、まだまだ精進が必要ですね。取りきれていたら、グラウンドでボコボコにできたら100点でしたけど、(今日は)50点か60点かな。
相手は、いい選手でした。昔から、よく試合を見ていたんですけど、穴のない選手で、自分とやったら面白いだろうなと思っていました。塑像以上に組みが強くて、背中をつけさせられなかったです。すごく粘り強かったですし、根性のある選手でした。
今回はボディが効果的に入りました。(相手が)前に出て来たら組めますし、引いたら自分のペースでいけるので。何度かグラウンドになる機会があったんですけど、立たれてしまいました。自分の思う展開にはできませんでした。
削って削ってダメージを与えて一本を取るのが理想ですけど、もっと相手を痛めつける力を身につけるのが今後のテーマです。ランキングに入っている選手はみんな強いので、削り合いになります。5分5ラウンド闘い切れる選手になりたいです。
僕も35歳でいい歳なんですけど、でも、理想の強さを手にするまでの、長い道の途中だと思っています。若返れるなら若返りたいですけど、歳を食ってもこの競技が好きですし、もっと強くなりたいです。
直近では(ブラッディ・)ファンに負けています。あの試合は、1ラウンドは僕のパンチで相手がグラついていたので、(結果に)納得が言っていません。今はコロナの影響で外国から選手を呼ぶのは難しいと覆いますけど、いつかファンと決着をつけたいと思っています。今後は、よりランキングを上げて行き、タイトルマッチ挑戦のチャンスを掴みたいので、ランカーとあって行きたいですね」
(写真・文/佐佐木 澪)