【試合結果】10・8 PANCRASEディファ有明大会 日沖発vs高谷裕之 田中半蔵vs中原由貴 アキラvsGONO 三浦彩佳vsヴィヴィアニ・ゴメス 北方大地vsダニエル・パックマン
『PANCRASE 290』
日程:2017年10月8日
開始:15:00
会場:東京・ディファ有明
観衆:2127人(超満員)
【本戦】
▼第1試合 ライト級 3分3R
●草・MAX(TEAM CLIMB)
判定0-3
○小林 裕(U-FILE CAMP)
▼第2試合 フェザー級 3分3R
○牛久絢太郎(K-Clann)
判定3-0
●稲葉 聡(秋本道場 jungle junction)
▼第3試合 ライト級 3分3R
●クリスMAN(パラエストラ八王子)
1R 2分02秒、TKO勝ち(膝蹴り→レフェリーストップ)
○井上雄策(リバーサルジム川口REDIPS)
▼第4試合 バンタム級 3分3R
○清水俊一(宇留野道場/Hybrid Fighter)
判定2-1
●合島大樹(GUTSMAN)
▼第5試合 ストロー級 5分3R
○北方大地(パンクラス大阪 稲垣組)
判定3-0
●ダニエル・パックマン(TEAM 4 LIFE)
▼第6試合 ウェルター級5分3R
○手塚裕之(ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)
2R 2分44秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●セルゲイ・クリック(Swarm Street Fighters)
▼第7試合 フライ級 5分3R
●山本 篤(フリー)
2R 1分16秒、膝蹴り
○小川 徹(TRIBE TOKYO M.M.A)
▼第8試合 ストロー級 5分3R
●三浦彩佳(TRIBE TOKYO M.M.A)
1R終了時、TKO勝ち(有効打による目の負傷→レフェリーストップ)
○ヴィヴィアニ・ゴメス(CERRADO MMA)
▼第9試合 ライト級 5分3R
○アキラ(フリー)
判定3-0
●GONO(GRABAKA)
▼第10試合 フライ級 5分3R
○若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A)
2R 2分53秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●翔兵(升水組)
▼第11試合 セミファイナル フェザー級5分3R
●田中半蔵(シューティングジム横浜)
判定0-3
○中原由貴(マッハ道場)
▼第12試合 メインイベント フェザー級 5分3R
●日沖 発(ALIVE)
1R 1分12秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○高谷裕之(FIGHT FARM
【プレリミナリーファイト】
▼第1試合 フライ級 3分3R
○廣中克至(RBアカデミー)
2R終了、TKO(有効打による目の負傷)
●渋谷和樹(NEXUSENSE)
▼第2試合 フライ級 3分3R
●三澤陽平(ALLIANCE)
判定0-3
○杉山廣平(SPLASH)
▼第3試合 フライ級 3分3R
●鈴木千裕(P’sLAB吉祥寺)
判定0-3
○鮎田直人(CAVE)
▼第4試合 バンタム級 3分3R
○坂野周平(マルワジム横浜)
1R 1分57秒、チョークスリーパー
●萩原一貴(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
▼第5試合 フェザー級 3分3R
○齋藤拓矢(ALLIANCE)
判定3-0
●小島勝志(STYLE PLUS GYM)
日沖と高谷の14年ぶりの再戦は高谷の1RTKOで衝撃の決着!PANCRASEが米女子総合格闘技団体Invicta FCと提携!郷野聡寛が12年ぶりの参戦!
第1試合
草は2011ネオブラッド・トーナメント(以下NBT)ウェルター級優勝。昨年からライト級に転向している。
小林はパンクラス・フェザー級で活躍しているISAOの実兄。昨年のNBTライト級優勝を果たし、兄弟でダブル優勝している(ISAOは2009年優勝)。
1R。打ち合うと、草が右ハイキック。小林はこれをキャッチしてテイクダウン。しかし、草はすぐに立つ。いったん離れると、草がパンチを放つが、小林がケージへ押す。草がヒザを連打して終了。
2R。草はロー。小林は片足タックルで草に尻餅をつかせる。しかし、すぐに立つ草。草はヒザを入れるもブレイク。打ち合いから小林が再びケージへ押すと、草は首相撲からのヒザ。終了直前、草がスタンドでバックを取ると、小林は腕を狙うが終了。
3R。草が首相撲からのヒザ。しかし、小林がテイクダウン、バックを取るが草は立つ。小林はヒジ、ヒザを打ち込み、上になると、さらにヒジ。草は逃れようとするが、小林は離さない。草が立つと、小林がケージへ押して終了。
判定は3-0で小林が勝利。
草は少々、生気に欠けていたか。階級変更して2勝1敗と黒星が先行してしまった。次は五分に戻したいところ。一層の奮起を望みたい。
第2試合
2014年、10代でNBTを制覇し、昨年はタイトルマッチにも挑戦した牛久。しかし精彩を欠き、タイトルマッチ含め3連敗している。所属ジムも変わり、心機一転、勝利を狙う。
対する稲葉は、骨太な闘いを身上とするパワーファイター。しかし、昨年から今年にかけて3連敗しており、勢いをつけたいところだ。
1R。牛久がいきなり大きくパンチを振る。さらにハイキック、タックルからテイクダウン。稲葉は背中は付いておらず、すぐに立つ。バックに回った牛久は投げるが、稲葉は立つ。牛久は背中に乗りチョークを仕掛ける。仰向けになり絞めるがブザー。
2R。パンチから、牛久が片足タックル。ケージへ押し込む。稲葉はヒザから入れ替え、上に。1Rの仕返しのように仰向けになり首を狙う! しかし、牛久は回って上に。立とうとする稲葉を潰して牛久がサイド奪取。アームロックを狙うも稲葉が外す。牛久が細かく殴って終了。稲葉は自分のぺースに持ち込めていない様子。
3R。稲葉がパンチで前に出ると、牛久が片足タックルからテイクダウン。稲葉はすぐ立ち、ケージへ押し込む。ボディを連打。しかしブレイクがかかる。
プレッシャーをかける稲葉。牛久が下がり気味に。消耗しているか? 稲葉がケージへ押し込むが、ブレイク。
牛久のタックルを切る稲葉。さらにタックルを切り、パンチを振っていく。稲葉がケージへ押し、殴ったところで終了。判定は3-0で牛久が1年半ぶりの嬉しい勝利を挙げた。
稲葉はペースがなかなか掴めなかった。3Rのような攻めがもう少し早く出ていれば、局面は変わっただろう。再奮起を望みたい。
第3試合
井上は2010年、岡野裕城、住村竜市朗々らを破り、修斗ミドル級新人王を獲得。その後、ジャイアン貴裕を1ラウンドわずか9秒、クレイジードッグ・デソンを1ラウンド58秒でKOするなど活躍。しかし、2013年、マッハ祭りで九十九優作に敗れたあと、リングを離れた。
2015年には巌流島に参戦、松浦功に勝利下が、本格的MMA復帰となったのは。今年4月のパンクラス・楳原嵩戦だ。この試合では直前で相手が欠場、急きょ楳原との対戦となった。また、7月にも試合が組まれたが、やはり相手が欠場。半年ぶりの試合となる。
対するクリスMANは約1年ぶりの試合。不戦勝を含め3連勝中だったが、昨年11月、長岡弘樹に判定で敗れている。ド派手に勝って、次に繋げたいところだ。
1R。井上がロー、パンチを打っていく。クリスMANも打ち返すが、井上が組み、首相撲から重いヒザを打ち込む。クリスMANは逃れる間なく、井上のヒザがボディ、顔面にヒット。クリスMANは前のめりにダウンし、レフェリーが止めた。
第4試合
2015年後半から、清水はノーコンテスト、ドローを含め勝ち星を挙げていない。また、パンクラスでも3連敗中だ。ここで、どうしても1勝を挙げ、「日常に戻りたい」ところだ。
しかし、先日、渋谷を歩いていたところ。偶然テレビの撮影クルーに声をかけられたという。テレビ東京の「母ちゃんに逢いたい!」という番組で、街ゆく人に声をかけ、自慢の母堂を紹介してもらい、実際にその人の母堂に逢いに行くという内容。
話しているうちに清水が格闘家であることがわかり、番組として大会の取材にも入ることに。たまたま試合直前に声をかけられ、試合をテレビ放送されるとは、清水は「持っている男」である。
そんな背景もあり、どうしても勝ちたい一戦。清水はどのような戦いを見せるのか。
一方、合島は、昨年、今年と1勝2敗。福島秀和、TSUNEに敗れている。コンスタントに試合をし、おなじみの顔になっているが、ここで一歩飛躍したいところ。知名度もキャリアもある清水は、美味しい相手だ。
1R。合島はローを入れていく。清水はジャブを返しタックルに入るが、合島に切られ、パンチをもらってダウンしてしまう。上になった合島は鉄槌を落とす。清水は細かく殴り、合島の立ち際に足関を狙う。しかし、合島はあしをぬいて猪木アリ状態に。合島が殴って終了
2R。体を左右に振る合島。清水はタックルを仕掛けるが、合島は倒れない。再度タックルを試みた清水は、素早くバックにつく。合島は向き直るが、清水が投げ! 清水は、すぐ立った合島のバックに回る。しかし、合島が一気に向き直って上に。サイドポジションから殴って終了。
3R。清水はパンチからタックル。しかし合島はこれを切る。清水は再びタックルに入るが、合島が上を奪う。清水はクロスガードで、お互い殴る。一気に抜けた合島、スタンドに戻り、パンチを出し合って終了。
判定は29-28清水×2、29-28合島で「持ってる男」清水が辛くも勝利を挙げた。勝ち名乗りを受けた清水は首を横に振ったが、反面、ホッとしたことだろう。マイクを持ち「パンクラスは1年ぶりなので、1本かKOで仕留めたかったです。でも、人と人とのぶつかり合いは難しいです。今日は合島
選手が勝ってもおかしくない試合で、反省しかありません。ただ、勝ったことには胸を張りたいです」と、勝利を喜びながらも複雑な心境を語った。
第5試合
19歳でデビューした北方は、現在26歳ながら既に7年のキャリアを持つ。
着実に成長を遂げ、昨年12月、砂辺光久の持つ王座に挑戦。健闘するも、ジャーマンからのチョークに敗れ、王座奪取は成らなかった。しかし、止まってはいられない。今年4月には、柔術ファイター・八田亮にフロントチョークで1本勝ちを挙げ、オールマイティぶりを見せつけた。
今回は2度目の国際戦だ。しかし、前回は1ラウンドわずか49秒で相手のローブローにより試合続行不可能となってしまった。今回は大きな経験となるはずだ。
対するパックマンは24歳。北方より2歳年下だ。昨年ブラジルで行われたRoad to PANCRASEワンデー4人トーナメントで優勝している。現在7連勝中と楽しみな選手だが、計量オーバー。公開計量では、脱水症状により、セコンドに支えてもらわなければ歩くこともできないほどの憔悴ぶりだった。
しかし、試合当日には前日が嘘のように回復。試合を行うこととなった。規定により、北方が勝利した場合のみ公式戦扱い、それ以外はノーコンテストとなる。
1R。北方がパンチ、ハイキック、ローと積極的に攻める。パックマンは左フック。パックマンのパンチや蹴りは重く、会場からもどよめきが上がる。パックマンが飛び膝! 北方は圧力で吹っ飛ばされ尻餅をつくが、すぐに立ち上がる。パックマンが鋭い蹴りを放てば、北方がパンチを当てていく。
北方がパックマンの蹴り足を取りテイクダウン! ボディを連打し起き上がらせない。残り20秒。パックマンの蹴り上げを避け立った北方が蹴って終了。
ジャッジは三者とも10-9で北方。
2R。パックマンがスライディングのようなローを放つ。さらにミドル。バランスを崩した北方だが、飛び込んできたパックマンの足を取りテイクダウン!パックマンは引き込んで首を狙うが、北方は頭を抜いて滑らせるようなヒジを打っていく。北方は抑え込んで鉄槌やヒジで削っていき終了。
3R。プレッシャーをかけていく北方、体を左右に振るパックマン。北方は距離取り飛び込んでパンチを見舞う。パックマンもパンチを返すが、北方の右がヒット、パックマンがフラッシュダウン。北方は、すかさず被さり、ハーフマウントでパウンド、ヒジを落とす。
残り2分。パックマンは下から殴るものの、返せない。残り20秒。北方がチョークスリーパー! 絞め上げるが、ホーンが鳴り終了。
判定は3-0で北方が勝利。打撃に新境地を開き、また1つ進化を見せた。欲をいえば、1本取りたかったところ。次戦に期待したい。
試合が終わり、ケージ中央に戻ったパックマンは、涙をこらえきれず泣いていた。計量をオーバーした後悔なのか、リキ及ばなかった悔しさなのか。しかし、いい選手であることには間違いない。いつか、きちんと減量できた状態で見てみたい選手だ。
第6試合
手塚は2015年よりパンクラスに参戦。ボディビルダーも顔負けのゴツい肉体と、豪快な打撃は一度見たら忘れられない。
昨年は元UFCファイターのルイス・ドゥトラ、さらに高木健太に連敗したが、ハードパンチャーのイメージはより強くなった。今年は4月に中村勇太にTKO勝ちしている。今回も手塚のパンチが火を噴くか。
ウクライナから初参戦のクリックは、柔道とサンボをバックボーンとし、2011年よりMMAを始めた。MMA戦績は4勝1敗で、勝った試合は全てフィニッシュしているという。計量では3kg以上もアンダーだったが、「体に悪い」という理由で減量をしないナチュラル主義。試合2日前の時点で既に減量が必要ないレベルまで作ってきたという。パンクラスに継続参戦し、ベルトも狙いたいというクリック。どんな闘いを見せるのか。
1R。お互いにパンチ、ローを出しながら様子を見る。クリックは手塚のローがじわじわと効いてきているようだ。そこへ手塚の左がヒット、クリックがフラッシュダウン。手塚はすぐにかぶさり、ケージ際でヒジを見舞う。クリックは立ち上がるが、再び手塚のパンチがヒット、クリックがダウン! 手塚はパウンドを連打するが、終了。
ジャッジは1人が10-8、二者が10-9で手塚を支持。
2R。かなり顔にキズができているクリック。開始すぐにドクターチェックが入るが、再開。
手塚はローからジャブを打ち込む。クリックもパンチを返すが届かない。しかも、クリックがパンチを打てば、手塚からその倍返ってくる。手塚のローを嫌がるクリック。手塚はケージ際でパンチ連打、ダウンを奪うと、そのままパウンドラッシュ。レフェリーが試合を止めた。
手塚「栃木で仲間と鍛え上げて、頑張ってます! これまで全部KOで勝っていりので、次はタイトルマッチをお願いします! 今日テレビの解説をされている阿部(大地)選手もUFCに行かれたので、自分も近づいていきたいです」
第7試合
37歳のベテラン・山本は、2004年にパンクラスでプロデビュー。同年のNB Tフェザー級で優勝している。HERO’S、修斗、DREAM、DEEPなどを経て、2012年より再びパンクラスに参戦。2014年には、清水清隆の持つ(※当時)スーパーフライ級タイトルにも挑戦した。
今回は、昨年10月以来1年ぶりの試合となる。前回は翔兵に敗れたものの、最後までスタミナ切れせず攻め続けた姿が印象に残った。
対する小川は 2014年より参戦。2015年、NBTスーパーフライ級で優勝を飾っている。小川は参戦以来7連勝していたが、今年8月、上田将竜に判定負けしプロ初黒星をつけられた。今回は代役だが、ベテランを相手に再起戦に臨む。
1R。フェイントをかける小川。小川のパンチがヒット、山本ダウン! しかし、すぐ立ったがふらつき、ダメージが残っている様子。しかし、山本はパンチで攻めてタックル。バックに回るが、小川は離れる。
山本、再度タックル。テイクダウンするも、立たれてしまう。
ジャッジは三者10-9で小川。
2R。小川がパンチを振る。山本、タックルからテイクダウン。ねちっこくいく。ケージへ詰め、引っこ抜きたいところだが、殴って離れる。
小川がパンチ、山本がダウン。小川、ケージ際でパンチ。山本は再びタックルに入ろうとするが、ドンピシャのタイミングで小川の膝がヒット! 小川がKO勝ちを収めた。
山本は顔面から大出血。歯が折れたらしく、スタッフが床を探す。しばらくして起き上がった山本は、少しフラつきながら退場した。
小川「代理で出させていただき、ありがとうございました。パンクラスのフライ級には小川徹もいます! 駆け上がるので応援してください」
INVICTAとの提携発表
酒井正和・パンクラス代表がケージイン、アメリカの女子総合格闘技団体Invicta FCと提携を結んだことを発表した。
酒井代表は「このたび、Invicta FCと長期にわたって提携を結ぶことになりました。ここ最近、女子の格闘技がブームになっています。また、うちでやっているルールで試合が行われています。アスリートのランキングで、男子に混ざり女子もランカーに入る時代です。ぜひ日本でも女子格闘技を盛り上げるため尽力したいと思います。
この提携は、パンクラスが日本独占提携という形になります。Invictaから選手を呼んだり、パンクラスの女子選手を向こうに上げたりという交流をしていく中で、女子選手の発掘・育成を行い、パンクラスの女子部門を強化していきます。そして、MMAを世界標準のスポーツとして発展・認知させたいと考えています」
と話した。
交流選手第一陣として、端貴代(和術慧舟會AKZA)、東陽子(MMA KING GYM KOBE)の2選手がケージイン。
端は「和術慧舟會AKZの端貴代です。このような大きな舞台に新たに挑戦させていただけることになり、光栄です。ありがとうございます。やるからには、フライ級最強を目指します。応援よろしくお願いします」、東は「このような機会を与えていただき、ありがとうございます。私はシングルマザーなんですが、息子を練習に連れて行くのも、息子の相手をしてあげる時間が少ないからです。大会の時は、息子もアメリカに連れて行って、本場の美味しいお肉をたくさん食べさせてあげたいと思います」
と抱負を語った。
第8試合
三浦は今年3月よりパンクラスに参戦。初戦では得意の首投げからの袈裟固めでマグダレナ・ソルモバを“塩漬け”にした。しかし、5月の2戦目では計量オーバー。1Rでタップを奪ったが、ノーコンテストとなった。今回は計量を初回パス。笑顔で意気込みを語った。
一方のゴメスはMMA戦績4勝1敗。関節技を得意とし、4勝は全て関節技で1本勝ちしているという。公開練習では鋭い打撃を見せたが、柔術の黒帯を持ち、グラウンドでの闘いも得意だという。果たして、打撃か、グラウンドか、どのような展開になるか。
1R。ゴメスが大振りのパンチを打っていく。ローも蹴り、三浦は入りづらそうだ。ゴメスがパンチ。三浦は掴めない様子。しかし、三浦が片手を取ると、ゴメスはケージへ押し込みヒザ、パンチを打ち込む!
離れたゴメスは、さらにパンチでたたみかける。三浦はパンチがかなり効いているようだが、ケージ際で投げた! しかし、ゴメスも投げてバックを取る。さらにバックマウント! 三浦の目がかなり腫れている。ゴメスはそのまま固めて殴り続け、チョークを狙うが終了。
インターバルが終了したが、ドクターチェックにより三浦は試合続行不能と判断され、ゴメスがTKO勝ちを収めた。
試合前に女子部門の強化が発表されたが、いきなり強い外国人選手を目の当たりにすることに。打撃よし、寝技よし。今回は得意というアームロックは出なかったが、継続参戦すれば見られる機会もあることだろう。パンクラスのクイーンを目指すというゴメス。手強い外国人選手が現れた!
三浦は、1Rの途中からかなり目が腫れ、片目がほとんど塞がっている状態となっていた。しかし、負けん気の強さを発揮し、果敢に投げへ。勝利はつかめなかったが、ニックネーム「ゾンビ」のような復活を期待したい。
ヴィヴィアニ・ゴメス「今、とてもハッピー! 勝ててとても嬉しいです。戦略通りの闘いができて勝ったので、本当に嬉しいです。打撃は、試合に備えてムエタイやボクシングのコーチについて練習したので、自信がありました。試合で出せてよかったです。
日本と私の国は遠いですが、ずっと栄養士について体調管理をしてきたので、減量も順調でしたし、体調を崩すこともありませんでした。栄養面のサポートがあったことが大きいです。
パンクラスの雰囲気やケージの感触は最高! パンクラスという歴史ある舞台に立てて嬉しかったです。早く戻ってきて、また試合がしたいです」
朱里&阿部大地あいさつ
去る9月23日、UFC日本大会で勝利を挙げた朱里と阿部大地がケージイン、ファンに勝利報告をした。
朱里「UFCデビュー戦で勝つことができました。これからチャンピオンを目指して突き進んで行きます!」
阿部「UFCではたくさんの応援どうもありがとうございました。これから、日本の格闘技を背負って闘って行きます」
第9試合
郷野聡寛が、「GONO」としてパンクラスに帰って来た!
郷野は2001年からパンクラスに参戦、近藤有己やKEI山宮らと激闘を繰り広げて来た。
2006年以降はPRIDE、UFC、戦極(SRC)などを経てキックボクシング、DEEP、Bellatorに参戦、2014年からはブラジルに渡り活動していた。
今回、所属もGRABAKAに戻し、12年ぶり(MMAルールでは13年ぶり)のパンクラス参戦を果たした。試合前日に43歳になったばかり、 日本格闘技界のレジェンドの1人だ。
日本格闘技界への復帰に際してリングネームを「GONO」に改名した。これは元プロ野球選手の新庄剛志に倣ったもの。公開練習では、「新庄のように、日本であと3シーズンほど試合をして引退したい」と話していた。
対するアキラは2013年よりパンクラスに参戦。7勝2敗の成績を残している。しかも、負けた相手は北岡悟と徳留一樹のみだ。身長はそれほどないが、がっしりした分厚い肉体から繰り出すパンチ、重いパウンドを武器としている。「尊敬の念を持ってぶっ倒す」ことができるか。
1R。フェイントをかける郷野。アキラもプレッシャーをかける。
郷野はローを出しながら回る。アキラがパンチで前に出る。しかし郷野は距離を詰めず、軽く触る程度のジャブ。
残り2分で試合が動いた。アキラがパンチ連打で出ると、郷野の蹴り足を取ってテイクダウン! アキラは鉄槌を落とし、さらにヒジ。郷野は下から仕掛けるのか? しかし、アキラが立つと蹴り上げたのみで終了。ジャッジは三者10-9でアキラ。
2R。アキラが郷野の蹴り足を掴んでテイクダウン、パンチを落とす。郷野は立とうとする気配がなく、かといって仕掛ける感じでもない。ここでブレイク。
アキラは大きくパンチを振っていく。プレッシャーをかけていくアキラ。郷野のヒザとアキラのパンチが交錯すると、アキラが郷野の足を取りテイクダウン。郷野はアキラの上体を引き付けるが、アキラが頭を抜いて終了。
このラウンドも三者10-9でアキラだ。
3R。郷野が右ミドル。パンチからの蹴りをアキラがキャッチ、テイクダウン! 郷野は落ち着いて上体を引きつけていくが、アキラはまたも頭を抜く。アキラはヒジを落として立つ。郷野も立とうとするが、アキラは殴って寝かせ、上になるとヒジを落とす。
残り2分。郷野が脇をくぐりバックを取る! しかし、アキラにすぐ上に戻されてしまう。下から蹴り、立とうとする郷野。アキラは追って上になると鉄槌。郷野も下から殴るが終了。
判定は3-0でアキラの勝利。12歳上のレジェンドを下した。
郷野はパンチの打ち合いもそれほど見せなかった。せめて、3Rでの動きをもう少し早く見せていればと悔やまれるところだ。格闘技人生の終盤をどう歩んで行くのか、見届けたい。
第10試合
翔兵は、柔道をバックボーンとし、高校時代に実績を残している。MMAはアマチュアからパンクラスで始め、2014年プロデビュー。同年のバンタム級NBTも制している。デビュー以来5連勝していたが、昨年3月、ハファエル・シウバに初黒星。以降、フライ級に転向し3連勝するも、今年4月、春日井健士にチョークスリーパーで1本負けを喫した。今回が復帰戦。
当初、この試合では元UFCのタテキ・マツダと闘う予定だったが、タテキの欠場により、若松佑弥に変更となった。試合前、若松の打撃を封じる秘策があると話していた翔兵。果たしてどんな作戦なのか。
若松は昨年、全試合KOでNBTフライ級優勝を果たした。NBT後の荻窪祐輔戦で初の判定決着となったが、今年は2戦ともKO勝利を挙げ、メキメキと頭角を現している期待の若手だ。
1R。翔兵はロー、ハイキック。赤松はボディブロー。翔兵は距離を取りながら飛び込んでパンチ。さらに、若松の飛び込みにタックルを合わせてテイクダウン! 若松はすぐに立つが、翔兵はケージへ押して投げ! バックに回り家ケージへ押し込む。翔兵はバックを取ったままヒザを連打。若松は腿にカカト。
翔兵がさらに投げるが、若松はすぐに立つ。翔兵はバックをキープして蹴り連打。しかし、若松が向き直ってパンチ! 翔兵は離れてまた距離を取る。大振りのパンチを振る若松に、翔兵は飛び込んでパンチ。
ジャッジは三者ともに10-9で翔兵を支持。
2R。翔兵は飛び込んでパンチ。若松はうまくボディブロー。翔兵の蹴り足を取った若松じゃケージへ押し込む。翔兵は回ってバックにつくが、離れる。
翔兵は出入りしながらパンチを打っていく。翔兵がタックル、若松はこれを切る。若松のパンチが効いた翔兵。若松はさらに追ってパンチ。翔兵がダウン! 若松はすぐにパウンドで追撃、レフェリーが止めた。
1Rはうまく試合を運んだ翔兵だったが、若松の野性味が優った。
若松佑弥「12月、仙三選手とタイトルマッチをやらせてください! 仙三選手をぶっ飛ばします!」
<試合後コメント>
若松「最高の気分です。絶対に勝ってやると思っていました。相手は一発があるので、何があるかわからないので警戒していました。でも、今こうしていられるのが嬉しいです。
相手はパンチが強くて危ないと思いました。さらに、テイクダウンを混ぜてくるので、やりにくかったです。今までにないタイプの選手でした。組みも力がすごくあって、想像していたより強かったです。
映像を見ていると、組んでつけるようなのはなかったので、組んだら強いだろうなというくらいでした。落ち着いて最悪のことをイメージしながら闘ったので、冷静に対応できました。
試合前に対策とかは特別してこなかったです。突っ込んでくる相手に対してどうするか、荻窪(祐輔)選手みたいに突っ込んでくる相手に対して下手に付き合ったら悪い面が出てしまいます。荻窪戦では、全部を見ながら合わせることを意識してきました。グローブが薄いので、一発でももらったら効いてしまうので、ガードだけは上げて行こうと思っていました。
試合のときに、特に何かを意識して、というのはありません。練習でやっていることを出すというのは普段からやっていることで、試合の時に特に意識はしていないですね。
やはり得意なのは打撃です。組み技やグラウンドは、極められなければいい。極められない、つけられない、バックに付かれない、足とか入れさせない、という練習をしています。最低条件として、極めさせないで逃げることですね。もちろん、自分が極める練習もしますけど。
倒されてもすぐ立つのは、ジムに入った時から長南さんに言われていることです。「MMAで下になったらダメだ」と、常日頃から言われています。
タイトルマッチは、王者を圧倒して勝ちたいです。タイトルマッチだと、あまりKOとかって見られないじゃないですか。でも、僕はKOしたいですね。レベルの差を見せつけて、圧倒してチャンピオンになりたいです。そして、その先はやっぱりUFCが目標です。パンクラス代表として出られたら最高ですね」
第11試合
田中は2006年、ZSTでプロデビュー。2008年からは修斗に闘いの場を移し,2010年から2013年にかけては7連勝している。
その後、ONE FCを経て、昨年よりパンクラスに参戦。初戦で内村洋次郎を判定で下し、今年5月には日沖発を1Rわずか14秒、左フックでKOしランキング1位となっている。
対する中原は2015年よりパンクラスに参戦、7勝2敗の成績を残している。
2015年のネオブラッド・トーナメントでは横山恭典に敗れ優勝は逃したものの、鋭い打撃で5連勝中、現在9位につける。昨年9月には横山にもリベンジを果たしている。
波に乗る両者だけに、激しい試合展開が予想される。果たして、最後に立っているのはどちらか。
1R。フェイントをかける田中。パンチ、ローを出す中原。田中は距離を見ているのか、まだ動きは少ない。
田中のタックルを切った中原がパンチを打ち込むと、田中がダウン! しかし、田中はすぐに立って打ち合いとなる。今度は田中のパンチがヒット、中原がダウン! 田中は組んでケージへ押し込む。中原はヒジを入れ、立っていく。田中は入れ替えてケージへ押すが、離れる。
すると、中原がパンチを打ち込み左がヒット、再び田中がダウン! しかし田中はすぐに立って組み、バックに回る。ヒザを打ち込んで終了。最初からスリリングな展開を見せる両者。ジャッジは三者10-9で中原を支持。
2R。田中がローからバックハンド。中原もパンチを繰り出す。しかし、田中が少しずつ下がり気味に。ここで、田中の指が中原に向いており、指が入る行為があったとして口頭注意が与えられる。
再開。さらに中原がパンチで追い詰めていく。田中は鼻筋、眉間の少し下から出血。ここで再び田中の指が中原の目に入ったため、田中にはイエローカードが与えられてしまう。
再開後、中原がさらにパンチで攻め込んで終了。ジャッジは三者10-8で中原。
3R。田中はもう倒さなければ勝てない。ローから飛び込んでのパンチ。中原は田中をケージに押し込み首を抱える。田中が入れ替えるが、中原が戻したところでブレイク。さらに、お互いドクターチェックを受ける。
再開。田中がタックルからケージへ押すと、中原が入れ替えてヒジ、ヒザ。田中は入れ替えるが、中原がパンチ、ヒジで猛攻! さらに立った姿勢からフロントチョークを仕掛け、締め上げるが時間切れ。ジャッジは3-0で中原が1位を破った。
大会はUFC Fight Passでも放送されている。中原は、ケージサイドで試合を見ていた酒井正和・パンクラス代表に「アピールさせてもらっていいですか」と確認。マイクを取ると「ギブミー チャンス!」と、UFC参戦の意志をアピールした。
第12試合
日沖と高谷は、2003年7月、修斗新人王トーナメントで対戦している。この時はお互いまだプロ4戦目で、高谷が判定勝ちを収めている。
その後、日沖はTKO世界フェザー級王者、修斗世界ライト級王座、SRC(戦極)フェザー級王座に就く。さらに、2011年からUFCにも参戦。パンクラスには2016年より上がっている。
今年5月、田中半蔵にまさかの秒殺KO負けを喫し、UFCリリース後、初の黒星を喫した日沖。今回は絶対に負けられない試合だ。
一方の高谷はHERO’S、WEC、DREAMなどを歴戦。2010年、DREAMフェザー級王者となる。2013年からは修斗(VTJ)、RIZINなどに参戦。パンクラスには2015年から参戦。昨年はパンクラスでナザレノ・マレガリエ、ISAOに判定負け、Euro FCではアラン・オマーに判定負けを喫し、現在3連敗中。やはり絶対に負けられない試合だ。
道は違っても、日本を代表する格闘家として活躍してきた両者。約14年ぶりの再戦は、どちらに軍配が上がるか。
1R。ジャブ、ローで攻める高谷。日沖は右アッパーで高谷を後退させる。日沖はさらに前進し、アッパーを打ち込んで高谷をケージへ追い詰める。一気にラッシュをかける日沖に、高谷はカウンターの右フック! 前のめりにダウンした日沖に高谷はパウンドで追撃、レフェリーが止めた。14年ぶりの再戦は、壮絶なKO決着となった。
高谷「今日はありがとうございました。自分のジムを2月にオープンして、大変だろうなと思っていましたが、スタッフがいろいろやってくれたので、試合に集中できました。感謝しています。またいい試合をするので、見に来てください」
(写真・文/佐佐木 澪)