パンクラス11.1有明大会 北岡vs.徳留のライト級K.O.P第6第王者決定戦、阿部vs.砂辺のストロー級K.O.P初代王者決定戦
PANCRASE 271
日時:2015年11月1日(日)
開場:14:00 開始:15:00
会場:東京・ディファ有明
観衆:2020人(超満員札止め)
本戦二部
▼第1試合 フェザー級 3分3R
●杉山和史(TURNING POINT MMA/HF)
3R終了 判定0-3
○中原由貴(マッハ道場)
▼第2試合 ライト級 3分3R
○網 潤太郎(和術慧舟會AKZA)
3R終了、判定3-0
●上田厚志(総合格闘術骨法烏合會 矢野卓見道場)
▼第3試合 バンタム級 3分R
●合島大樹(GUTSMAN)
3R終了 判定1-2
○アラン“ヨシヒロ”ヤマニハ(TS GYM)
▼第4試合 フェザー級 3分3R
●田村彰敏(総合格闘技 津田沼道場)
3R終了 判定0-3
○横山恭典(KRAZY BEE)
▼第5試合 フライ級 3分3R
○仙三(FREEFOM@OZ)
3R終了 判定
●藤井伸樹(ALLIANCE)
▼第6試合 ウェルター級 3分3R
○三浦広光(SAMURAI SWORD/RINGS)
3R 0分48秒 TKO(KAZZの肩の脱臼によりレフェリーストップ)
●KAZZ(GRABAKA)
▼第7試合 無差別級 3分3R
○有己空(パンクラスism)
1R 1分53秒 KO(スタンドのパンチ)
●川口健次(シューティングジム横浜)
▼石渡伸太郎あいさつ
▼第8試合 ストロー級 5分3R
●江泉卓哉(総合格闘技道場 武門會)
3R終了 判定3-0
○室伏シンヤ(SUNMIT MMA)
▼第9試合 バンタム級 3分3R
●馬場勇気(ロデオスタイル)
1R 1分15秒 KO(バスター)
○ルイス“ベタオ”ノゲイラ(Renovacao FightTeam)
▼第10試合 バンタム級 3分3R
○上田将勝(パラエストラ東京)
3R終了 判定3-0
●CORO(和術慧舟會TLIVE)
▼第11試合 フライ級 5分3R
●上田将竜(緒方道場)
2R 4分28秒 チョークスリーパー
○リルデシ・リマ・ディアス(NALDAO TEAM)
▼第12試合 ストロー級キング・オブ・パンクラス初代王者決定戦 5分5R
●阿部博之(ドラゴンテイルジム)
5R終了 判定2-1
○砂辺光久(reversal Gym OKINAWA CROSS×LINE)
※砂辺がストロー級キング・オブ・パンクラス初代王者となる。
▼第13試合 ライト級キング・オブ・パンクラス第6代王者決定戦 5分5R
●北岡 悟(Lotus世田谷)
4R 1分24秒 KO(スタンドのパンチ)
○徳留一樹(パラエストラ八王子)
本戦一部
▼第14試合 フライ級 3分3R
○島袋チカラ(CORE王子豊島)
3R終了 判定3-0
●鮎田直人(CAVE)
▼第15試合 バンタム級 3分3R
●工藤修久(禅道会 小金井道場)
3R終了 判定0-3
○狸瑪猿シュン(リバーサルジム東京スタンドアウト)
▼第16試合 バンタム級 3分3R
○山本哲也(SUBMIT MMA)
1R 1分26秒 チョークスリーパー
●飯嶋重樹(ALLIANCE)
▼第17試合 バンタム級 3分3R
○河村泰博(和術慧舟會AKZA)
1R 2分56秒 腕ひしぎ十字固め
●木暮 聡(リバーサルジム東京スタンドアウト)
▼第18試合 フェザー級 3分3R
○木村一成(蒼天塾)
2R 0分15秒 TKO(グラウンドのパンチ)
●近藤孝太(ハイブリッドレスリング山田道場)
▼第19試合 ウエルター級 3分3R
○手塚裕之(山田道場/TGFC)
1R 0分10秒 TKO(グラウンドのパンチ)
●マンモス谷部(NATURAL 9)
砂辺が初代ストロー級K.O.Pとなり3階級制覇!有己空が修斗のレジェンドをKO!
北岡、KO負けでパンクラスのベルトに手が届かず!徳留が第6代ライト級K.O.Pに
第6試合
三浦は2004年、柔道から総合格闘技に転向、パンクラスに参戦した。その後、前田日明率いるチーム・SAMURAI SWORD所属としてHERO’Sに上がった後、2009年にプロボクサーに転向。アメリカで5戦全勝し、2011年には日本スーパーミドル級1位。しかし、2012年、OPBF東洋太平洋スーパーミドル級王者・津田祐三に挑戦するも、TKOで敗れボクシング界から去った。その後、格闘技からは離れていたが、前田日明から「まだやれる、もったいない」と声をかけられ、総合格闘技復帰を決意。10年ぶりにパンクラスに帰ってきた。前田が見守る中、復帰戦を白星で飾れるか。
1R、三浦が得意の打撃で攻める。三浦は組み技を警戒しており、KAZZはなかなか組み付くチャンスを見つけられない。終盤、KAZZが組み付くが、展開なく終了。
2Rも三浦は打撃で攻める。KAZZは手数が少なく不利。KAZZはパンチで三浦のバランスを崩させたものの、三浦が組んでしのぎ終了。
3R、KAZZはパンチからタックルに入るが、切られてうずくまってしまう。亀になったKAZZに三浦がパウンドを浴びせると、レフェリーストップ。三浦がKO勝利を飾った。
第7試合
川口は初期のシューティングで活躍した大ベテラン。1989年デビューで、修斗初代ライトヘビー級王者となっている。1999年からセミリタイア状態となったが、2006年に復帰し1試合だけしている、まさにレジェンドだ。今回は相手が有己空だからこそ受けたという。果たしてどんな試合となるのか。川口には桜田直樹、有己空には高橋義生。往年の名選手がセコンドにつく。
1R、両者ローキックで様子を見る。川口の身体は絞れており、47歳には見えない。打撃もシャープで9年ぶりの試合とは思えないほどだ。川口が組みにいくと、有己空は金網へ押し込み、細かいパンチ。川口はカカトを入れる。ここでブレイクがかかる。再び、お互いローキックで距離をはかるが、有己空の右フックがヒット、川口がダウン! 有己空が追撃しようとしたところでレフェリーがストップ。有己空が勝ち名乗りを受けた。
<試合後コメント>
有己空
「うれしいです。高橋さんとか川村(亮)とか、いろいろ教えてもらって、みんなのお陰で勝てました。
川口選手はすごいですね。向き合ってみて、すごく雰囲気があるし、オーラがあると思いました。僕の中では、シューティングといえば川口選手と山田(学)さんなんです。昔から見ていて、まさかこの人とやることになるなんて思ってもみませんでした。こういう縁をいただけて試合ができて、お互い正面から、真っ向からぶつかれて良かったです。
桜田直樹さんがセコンドについていらしたのもビックリしました。こちらには高橋さんがついてくれて、以前の、金原(弘光)さんの引退興行を思い出しましたね。あの時も、あちらにはUインターの人たちがズラリと並んで、こちらには鈴木(みのる)さんやパンクラスの仲間が並んで。そんな中で試合ができて本当にありがたいと思っています」
ーー今回から構えをオーソドックスに変えたが。
「やってみて良かったです。身体が自然なまま、あるがまま闘っている感じでした。今日も右のパンチで勝てた。これからもバリバリやります」
石渡伸太郎あいさつ
石渡伸太郎がケージイン。現バンタム級王者・石渡は「PANCRASE 273」(12月5日・ディファ有明)において、ビクター・ヘンリーを相手に防衛戦をおこなうことが決まっている。石渡は今年1月、左上腕 三頭筋腱断裂という重傷を負い休養していた。秋ごろ復帰を目指していたが少々長引き、12月の復帰となった。相手のビクター・ヘンリーはジョシュ・バーネットの弟子で、所英男、上田将勝、中島太一ら日本のトップ選手を次々に破っている。彗星のように現れた「日本人キラー」相手に、石渡はどう闘うのか。
石渡「1年ぶりの試合で、相手はビクターなのでワクワクしています。今、インタビュアーの方が大きいのでビビッていますけど(笑)、試合は僕が制します。
今年の1月に大きなケガをして、1年ぶりの試合になります。僕はパンクラスの王者の中でも特別な存在だと勝手に思っています。それを見に来てください」
第12試合
パンクラスで新設された軽量級の新しい階級の初代王者を決める一戦。これまでフライ級、スーパーフライ級の初代王者となった砂辺。パンクラスでは有己空のみが成し遂げている3階級制覇に並ぶことができるか。
対する阿部は2006年プロ修斗デビュー。2011年より修斗からパンクラスに参戦し、軽量級で活躍中。砂辺とは2011年、フライ級初代王者決定トーナメント決勝戦で対戦。1ラウンド、2ラウンドを有利に進めながら3ラウンドで逆転負けを喫している。リベンジを果たし、ベルトを巻くことができるのか。
会場内は、両者が対峙した時点から阿部コール、砂辺コールが鳴り響く。
1R、阿部は回りながら、時折飛び出すようにパンチを放つ。身体を斜めにしてプレッシャーをかける。砂辺はじらすかのように手を出さず様子を見る。パンチから金網へ追い込む阿部だが、砂辺はすぐに離れる。砂辺はパンチを出すが、阿部はもらわずテイクダウン! ボディを殴る。砂辺は首を狙うが、阿部は首を抜く。続いて腕を狙う砂辺。阿部はこれもさせず、金網へ押し込んでボディブロー。ジャッジは三者10-9で阿部を支持。
2R、見合う両者。砂辺はあまり手を出さない。阿部はパンチ、タックルからバックを取り金網へ押し込む。正対するが、砂辺は入れ替えボディにヒザを打ち込む。しかし、阿部は再びバックをとって金網へ押し込み、ヒザ。脱出できない砂辺をテイクダウンし、殴って終了。このラウンドも三者10-9で阿部。
3R。2ラウンド取られている砂辺だが、焦りの色は見えない。何を狙っているのか? 阿部は砂辺の蹴り足を取り、バックを取って金網へ押し込むが砂辺は離れる。パンチを打ち合い、再び阿部がバックを取るが、砂辺はすぐに離れる。終盤、砂辺がパンチのラッシュ。首相撲からヒザを打ち込んでゴング。ジャッジは二者が砂辺、一者が阿部。
4R。阿部が打撃で前に出る。両者へのコールが大きく鳴り響く。砂辺が右ハイキックを連発し、さらに蹴ると、阿部はその足を取るが砂辺は離れる。組みにいこうとする阿部、逃げる砂辺。間合いの駆け引きとなる。終盤、阿部のパンチに砂辺がヒザを合わせ、さらに跳びヒザ。目立った動きはなかったが、手数で上回った砂辺が4Rを取る。
いよいよ最終ラウンド。インターバルの椅子から立ち上がった両者は見つめ合い、頷き合う。タイトルマッチが5Rとなり、厳しい試合をくぐり抜けなければ王者にはなれない。2人は対戦相手ではあっても、4Rまで闘ってきた同士でもあるのだ。
お互いフェイントをかけながらパンチを出す。阿部が組んでバックを取り、金網へ押すが、砂辺はすぐ離れる。阿部はシングルレッグからバックに回り投げるが、すぐに立つ砂辺。左目の下が腫れている。残り1分。阿部はシングルレッグからバックを取る。倒れない砂辺。阿部が投げて再びバックを取り、後方に倒したところで終了。判定は2-1で砂辺がパンクラス3本目のベルトを手にした。
砂辺はケージ内で「ハードな試合だったけど、ハードなのは当たり前、ノープロブレムです。次の相手は、日本で一番軽い階級で王者になってる奴(修斗フライ級王者・内藤のび太)。もう1つの団体(修斗)で世界一を名乗ってる奴がいるので、そいつとやりたい」とアピール。
<試合後コメント>
砂辺光久
「本当はKOしたかった。自分の決める力がなくて、試合を少しつまらなくしてしまった。でも、最初は取られるのも作戦通り。
阿部選手は、相変わらずつえーなって。終わったから言えるけど、前の試合のあと、練習を2回くらいしてチンチンにされた。今回勝ててよかった。バッテンマークの上では俺の方が強い。
ベルト3本というのは近藤(有己)さんと同じだけど、全部初代っていうのはいない。俺の前には道はない。パンクラス最軽量の道は、全部、俺の後に出来ている。
5Rの始めにお互い頷いていたのは、出し切ろうぜという気持ちだった。認めたくないけど、ライバルであり戦友だから、1Rから4Rまでお互いしんどい試合をしてきて、最後までガッツリやろうぜという自分なりのメッセージだった。相手も同じ気持ちだったと思う。
声援はすごく聞こえていた。こっちの方が人数は全然少ないのに、あの(阿部の)大応援団に負けないような声をよく出してくれた。一緒に闘ってくれた仲間ですね。
来年は、世界一を名乗ってる奴をパンクラスの舞台でブッ飛ばしたい。自分のやりたいことはずっと変わっていない」
第13試合
戦極のベルトを巻き、現DEEP王者である北岡は、まさしくライト級日本ナンバーワン選手だ。しかし、パンクラスのベルトにだけは縁がなかった。古巣・パンクラスへの愛情と、大晦日への展開を見据えて、今回はどうしても獲りたいところ。
一方の徳留はUFCに参戦したものの、4戦でリリースされている。UFCへの再挑戦を目指し、どうしてもベルトが巻きたい。両者はかつて一緒に練習してきたこともあったが、全ての関わりを断ち、この試合に懸けてきた。2人の思いはどうぶつかるのか。
1R、身体を上下に振る北岡。徳留が鋭いパンチを出す。パンチを振り前に出る北岡に、徳留がプレッシャーをかける。そして、徳留の左フックがヒット、北岡がダウン! 徳留はすかさずパウンドに入り、ストップされるかと思ったところで北岡がガードを取る。徳留はハーフガードから立ち上がる。パンチを打ち合うと、徳留がグラつくシーンがあり、北岡はすかさず金網へ押し込む。徳留は入れ替え、パンチを打ち込む。北岡の目の下が腫れている。ものすごい緊張感の中、ジャッジは三者とも徳留。
2R、開始すぐにタイムストップ。北岡のドクターチェックがおこなわれる。再開。北岡はパンチのラッシュ! いつもの北岡らしくなく、なりふり構わない攻撃だ。パンチで前に出て金網に押し込み、上に。徳留はオープンガード。お互い殴るが、徳留は北岡の口を手でふさぎ、体力を奪っていく。北岡は鉄槌を落とすが、徳留が立つ。北岡は金網へ押すが、徳留はパンチとヒジを連打、北岡が出血。さらに、北岡の口を夫妻で側頭部にヒジを打つ徳留。北岡の息が荒い。既に血だらけになっているも、足はガッチリつかみ離さない。徳留が足を抜こうとしたところへ北岡が上を取るが、ゴング。ジャッジは二者が北岡、一人が徳留を支持。
3R、徳留がパンチのラッシュ。北岡が片足を取るが、徳留がバックに回って金網へ。離れるが、お互いにプレッシャーを掛け合う。北岡が再び片足タックル。徳留はこれを潰してボディブロー連打。しかし北岡は足を離さない。残り1分、徳留はチョークスリーパーを仕掛けるも、これは極まらず。ブレイクがかかり、再び打ち合うが終了。三者が徳留。
4R。パンチを打ち合う両者。北岡は顔がかなり腫れている。気力は衰えていないが、肉体的には消耗しており、反応が鈍くなっている。そこへ徳留のパンチがヒット、北岡がダウン! かぶさった徳留がパウンド、レフェリーが止めた。
UFCへの再挑戦を目標に、若い徳留が第6代王者の座を獲得。この試合のために、身体じゅうが傷だらけになるほど必死で練習に打ち込んできた。たゆまぬ努力と研究で、次への道を切り開いた。
尚、北岡の傷はかなり深く、また脳震盪のダメージがあったため、担架で退場。病院へ向かったという。
DEEPでの防衛戦後、北岡はパンクラスのベルトを巻いたあとの青写真を語っていたが、これで崩れてしまった。何も失うものがない徳留よりも、背負うものの大きい北岡の方が、この試合に懸ける気持ちはギリギリだったのかも知れない。また、普段は絶対に口にしないが、パンクラスへの愛情を人一倍抱き続けている北岡にとって、あのシルバーのベルトを巻くことは悲願ともいえるものだった。北岡はどこへ行くのか。立て直しを待ちたい。
明暗は分かれたが、徳留、北岡ともに素晴らしい選手であることに変わりはない。それぞれの未来に向かって、「明日また生きろ!」
徳留はケージ内で「今回のために死ぬほど頑張って練習した。北岡さんも同じくらい、この試合に懸けていたと思う。今日はいい試合になってありがとうございましたと言いたい。今後はしっかり防衛をしてUFCに仮を返しに行きたい。パンクラスのチャンピオンとして、これからも応援よろしくお願いします」とアピール。
<試合後コメント>
徳留一樹
「今、最高の気分。2Rにはテイクダウンを取られたけど、予想していたので冷静にできた。5Rあるので仕留めにいこうと思っていた。北岡さんに勝つためには、あの形をやらせないことがベストなので、その練習をしてきた。打撃もコーチと話して、自分の方がリーチがあるので、どう距離をとったらいいか研究した。ジャブがいい感じで当たっていたので、削れているのは感じていた。
側頭部へのヒジは、動画サイトでみて、これは使えるなと思ってやってみた。あの形でヒジを打たれるのは一番いやなこと。とにかく、相手がいやなことをやった。北岡さんに、好きなことを全部はさせなかったと思う。
パンクラスのベルトを獲ったことと、北岡さんに勝ったこと、どちらが大きいか…(考えて)うーん、難しい。北岡さんは、自分が格闘技を始めた頃からトップで活躍していた。そういう人と、この盛り上がっているパンクラスのメインでタイトルを懸けて試合ができて、ベルトを巻けて…自分にとってこの経験は、めちゃくちゃプラスになりました。
UFCでは何もできずリリースされてしまって、悔しい思いしかない。打撃も寝技もレベルアップしている自信がある。再び挑戦したい」
【写真・文/佐佐木 澪】