【試合詳細】7・21 PANCRASE新木場大会 【ストロー級KOP】砂辺光久vs北方大地 【バンタム級KOP】ハファエル“morcego”シウバvs金太郎 【フライ級暫定KOP】翔兵vs上田将竜
『PANCRASE 307』
日程:2019年7月21日(日)
開始:16:30
会場:新木場スタジオコースト
観衆:2021人(満員)
[プレリミナリーファイト]
▼第1試合 フライ級 3分3R
●廣中克至(RBアカデミー)
1R 2分22秒、KO(スタンドの肘打ち)
○聡―S DATE(Team DATE)
▼第2試合 フライ級 3分3R
○西村大輝(ALLIANCE)
判定2-1
●中嶋悠真(マッハ道場)
▼第3試合 バンタム級 3分3R
○後藤丈治(TRIBE TOKYO M.M.A)
1R 1分47秒、TKO(スタンドのパンチ→レフェリーストップ)
▼第4試合 フェザー級 3分3R
●TAG(ERUPT)
1R 2分02秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○小森真誉(GRABAKA)
[第25回ネオブラッド・トーナメント準決勝]
▼フェザー級 3分3R
●鬼山斑猫(KRAZY BEE)
判定1-2
○葛西和希(マッハ道場)
[メインカード]
▼第1試合 ライト級 3分3R
●小林 裕(フリー)
1R 1分34秒、KO(スタンドのパンチ)
○雑賀ヤン坊達也(総合格闘技道場DOBUITA)
▼第2試合 ライト級 3分3R
○松岡嵩志(パンクラスイズム横浜)
判定3-0
●平 信一(網島柔術)
▼第3試合 フライ級 5分3R
●中村龍之(Lotus世田谷)
3R 4分29秒、チョークスリーパー
○NavE(GRAND-SQUARE)
▼第4試合 ライト級 5分3R
△菊入正行(NEVER QUIT)
判定1-1
△岸本泰昭(総合格闘技道場コブラ会)
▼第5試合 フェザー級 5分3R
●林 大陽(CAVE)
3R 0分14秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○コンバ王子(HMC Japan)
▼第6試合 フライ級 5分3R
●荻窪祐輔(K-PLACE)
判定0-3
○ボカン・マスンヤネ(Fight Fit Militia)
▼第7試合 フライ級 5分3R
○ライカ(RIGHT THING ACADEMY)
1R 0分45秒、チョークスリーパー
●グレイシ・ファリア(ATS Team)
▼第8試合 フェザー級 5分3R
●中島太一(パラエストラ東京)
判定0-3
○ユータ&ロック(秋本道場jungle junction)
▼第9試合 バンタム級 5分3R
●TSUNE(リバーサルジム新宿Me,We)
3R 4分07秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○アラン“ヨシヒロ”ヤマニハ(ブルテリア・ボンサイ)
▼第10試合 フライ級暫定キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ 5分5R
○翔兵(升水組/1位)
2R 4分50秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●上田将竜(緒方道場/2位)
▼第11試合 セミファイナル バンタム級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ 5分5R
○ハファエル“morcego”シウバ(ASTRA FIGHT TEAM/王者)
2R 1分54秒、TKO(肩固め→レフェリーストップ)
●金太郎(パンクラス大阪稲垣組/挑戦者)
▼第12試合 メインイベント ストロー級キング・オブ・パンクラスタイトルマッチ 5分5R
●砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE/王者)
5R 0分38秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○北方大地(パンクラス大阪 稲垣組/挑戦者)
北方が砂辺を撃破しついにストロー級KOPを奪取!シウバが金太郎を撃破しバンタム級KOP防衛!翔兵が上田を制してフライ級暫定KOPを戴冠!
第1試合
小林は2014年よりパンクラスに参戦。2016年にはNBT同階級優勝を果たしている。昨年2連勝のあと、今年3月大会で阿部右京に判定負けを喫している。今年後半に向け、勢いをつけたいところ。
対する雑賀はパンクラス初参戦。Fighting NEXSUSでは4勝1敗の戦績を残しており、5戦の合計タイムがわずか5分24秒だという。さらに、ここ3戦では何と合計52秒という速攻勝負を見せている。パンクラスでも秒殺劇を見せるか。
1R。雑賀がジャブで前に出ると、小林はタックルを合わせてケージへ押し込む。しかし、ケージに押し込んだのは雑賀。小林は足を外側からかけて入れ雨が、倒せない。入れ替えさせない雑賀。ここでブレイクがかかる。
小林が組みに行くが、雑賀が離れてパンチ。右パンチがヒット、小林が仰向けにダウン! 雑賀がパンクラスでも速攻のKO勝利を見せた。
第2試合
2011年からとパンクラス参戦歴の長い松岡。ここ5年ほどは年2試合のペースで闘っている。前戦は金田一孝介に1ラウンドKO負け。今年はこれが初戦。
初参戦の平はZST第2代王者。『暴走柔術』の異名を持ち、突貫ファイトを繰り広げてきた。ボブ・サップとの対戦をアピールし、2018年はサップ戦を実現させるため『ロード・トゥ・サップ』と題し無差別級での試合を続けてきた。しかし、同年10月、小金翔に敗れ王座を失っている。
1R。いきなりダッシュ、組みにいく平。松岡はパンチで離れる。このパンチが効いたか。しかし平はタックルからケージへ押し込んで行く。首をフロントチョークにとった松岡だが、これは外れる。片足を取っている平だが、松岡が座った体勢でバックに回り、首を狙う。残り30秒。極められないが、バックをキープしたまま終了。
2R。開始すぐ、平がタックルに入る。松岡はヒザを合わせるが、平が組んでケージへ。さらにバックに回るが、松岡が足をかけて倒す。平は腕を抱え、細かく殴る。松岡はボディを殴り、ヒジを打って立たせず終了。
3R。いきなり跳び蹴りで出る平。これはもらわない松岡。平は組んでケージへ押し込む。引っこ抜きたいができず、ヒジを打つ。松岡は一気に正対するが、平は入れ替えてケージに押し込む。松岡は離れてパンチ。
平が再びタックルに入るが、倒せない。ケージに押し込んでヒザ。松岡は細かく殴る。平が上になるが、ここで終了。
判定は二者29-28、一人が30-27の3-0で松岡が勝利した。
第3試合
2015年よりパンクラスに参戦している中村。コツコツとコンスタントに試合を続け、現在8位に。昨年は2連勝しているが、前戦は今年3月、荻窪祐輔に判定負けを喫している。ここで星を戻したいところだ。
対するNavEは、2014年からパンクラスに上がっていたが、2016年6月大会を最後に、GLADIATORに闘いの場を移していた。昨年9月、GLADIATOR第3代フライ級王座に就き、3年ぶりのパンクラス凱旋試合となる。
1R。中村が右ハイキック。NavEは右フック。ハイキック、ローと足で攻める中村に対し、NavEが一気にパンチを打ち込み、すぐに離れる。
中村がパンチで出ると、NavEが組んでケージへ。中村がヒザ。さらに押し込むNavE。ここで中村のヒザがローブローとなり中断。
再開すると、プレッシャーをかけていく中村。さらにローからパンチ。これが効いたNavE。しかしそのまま組んでケージへ押し込む。お互いヒザを入れるが、ブレイクがかかる。
NavEがタックルからケージへ。中村がヒザを打ち込み、入れ替えたところで終了。
ジャッジは10-9で二者がNavE、一人が中村につける。
2R。ミドル、ハイと足を使って行く中村。中村の蹴り足を取ったNavEが組んでケージへ。テイクダウン! すぐにハーフマウントとなり肩パンチ連打。中村も殴り返す。しかしNavEがバックマウント。返したい中村が回ると、NavEが上に。再びバックマウントとなり、殴るNavE。脱出できない中村。NavEがガッチリとポジションをキープして殴り続け終了。
ジャッジは二者10-9、一人が10-8でNavE。
3R。中村が右ハイ。NavEが組んでバックに回る。NavEがヒザ、中村はヒジを入れる。NavEが正対しケージへ押したところでブレイク。
パンチで出る中村だが、組まれてしまう。バックを取ったNavEを背負ったまま立ち、床に落とす。しかし、NavEは離さず、バックをキープしたまま殴る。脱出できない中村。
残り1分。NavEがチョークスリーパー。入った! 残り30秒だったが、見事に極まり、中村がタップアウトした。
第4試合
キックからMMAに転向した菊入は、2017年よりパンクラスに上がっている。デビュー以来4戦全勝していたが、前戦(今年4月)、元UFCファイター粕谷優介に1ラウンド61秒でTKO負け。初めて戦績に黒星を付けた。今回もベテランとの対決となるが、キャリアの壁を超えられるか。
対する岸本はパンクラス初参戦。MMA歴は12年、30戦以上のキャリアを持つ。これまでDEEP、修斗、HEAT、GLADIATOR、GRACHAN、POWERGATEなど数々の団体を渡り歩いてきたトップファイターだ。その実力を、パンクラスでも遺憾なく発揮するか。
1R。プレッシャーをかけて行く菊入。岸本はフェイントをかけながら様子を見る。菊入が右ミドルを放つと、岸本はパンチで入ってケージへ押し込んだ。尻もちをつく菊入。上に乗り殴る岸本。しかし、菊入が立って入れ替え、ケージへ押し込む。入れ替えたい岸本、させない菊入。
パンチで離れると、膝で入った菊入を受け止める岸本。菊入がケージへ押し込むと、岸本はヒザ、ボディなど上下に打つ。さらに足をすくってテイクダウン! サイドに移行し殴る。首を抱えるが、菊入が外して立つ。離れたところで終了。
ジャッジは三者10-9で岸本を支持。
2R。パンチで出る菊入。受け止めた岸本がテイクダウン、殴る。立って離れると、パンチで出る岸本。組んだ菊入がケージへ押し込む。岸本は片足を抱えているが、菊入は離れる。
パンチで入る菊入。菊入は組んでケージへ。入れ替え合うが、菊入がヒザを入れて離れる。岸本が組んでケージへ押し殴る。菊入が離れると、パンチを出していく岸本。しかし、菊入のパンチが効いた。ケージへ押し込んだ菊入だが、殴って離れる。
ジャッジは10-9で二者が岸本、一人が菊入。
3R。パンチを打ち合う両者。片足をつかんでケージへ押し込む岸本。入れ替え合う。離れた岸本はパンチ、蹴りを放つ。組んだ菊入がケージへ。離れた菊入がパンチを打ち込み、岸本がダウン! 菊入はかぶさってパウンドを落とすが、岸本は立つ。しかし、まだ効いている。
残り2分。岸本は鼻から出血しているが、果敢に打撃を出していく。しかし、菊入の右パンチが効いた! だが、岸本はタックルに入る。菊入は切って猪木アリ状態に。菊入が蹴ってブレイク。
打ち合い、岸本が組んでケージへ押し込んだところで終了。
判定は29-28菊入、29-28岸本、28-28ドロー。1-1でドローとなった。
第5試合
林は、2015年よりパンクラスに上がっている。最初の年は2連敗と苦しんだが、崖ならぬ「壁」を登って5連勝している。昨年9月には初の国際戦でも勝利を挙げたが、前戦(2018年12月)は福島秀和にチョークスリーパーで一本負けを喫した。今回はフェザー級に階級を上げての初戦。
コンバ王子も林と同じく2015年より参戦。コンスタントに試合をしてきたが、2017年にカイル・アグオン(2月)、横山恭典(4月)、内村洋次郎(7月)と3連敗。昨年はハワイのX-1に挑戦し、ライト級8人トーナメントで優勝、王者となっての凱旋。
1R。林がジャブ。コンバ王子は回りながら様子を見る。勢いをつけてパンチを振って出る。林はヒザからテイクダウン! パンチを入れる。立ったコンバ王子に林が左パンチ。林は組み、バックに取る。ケージ際で殴り、コンバ王子が投げ倒したところでブレイクがかかる。
林がプレッシャーをかけて行く。コンバ王子はパンチを出してはいるが、やや手数が減っている。前には出ているが、当てていない。
プレッシャーをかけて行く林。コンバ王子のパンチを交わし、もらわない。パンチを振るコンバ王子を受け止めた林がケージへ押し込む。殴ってすぐ離れる。林が再びミドルから組んでケージへ押したところで終了。
ジャッジは三者10-9で林。
2R。冷静に見ている林。プレッシャーをかける。コンバ王子はロー。明らかに1Rより手がでなくなっている。プレッシャーをかける林が組んでケージへ押し、崩してテイクダウン! サイドになり鉄槌を連打する。立って逃れたコンバ王子はパンチで前へ。林はボディブローから左右パンチ。
コンバ王子が組みに行こうとしたところへヒザを入れた林。これがグラウンド状態でのヒザ攻撃と見なされ、林に口頭注意が与えられる。
コンバ王子の回復を待ち再開。パンチで出たコンバ王子
林は左ハイ。コンバ王子の右を受け止め組むが、すぐに離れる。林がじわじわと圧力をかけていき終了。
ジャッジは三者10-9で林。コンバ王子はKOか一本を取るしかない。
3R。開始すぐパンチで出るコンバ王子。さらに右パンチがクリーンヒット、林がダウン! コンバ王子がパウンドに入るとレフェリーが止めた。わずか14秒でコンバ王子がKO勝ち。
第6試合
荻窪は2014年NBT優勝。コンスタントに試合をしているが、ここ5戦は3勝2敗とやや足踏み状態。1つでも白星を増やして行きたいところ。
対するボカンはアフリカンファイター。身長155cmと小柄、またキャリアも浅いが、これまで5戦全勝。その俊敏な動きとポテンシャルの高さで魅せてくれるか。
1R。マスンヤネが速いパンチを連打。荻窪はプレッシャーをかけるが、マスンヤネは組んで大きくジャーマンで投げた! 会場がどよめく。荻窪が立つとマスンヤネが左ハイキック、荻窪ダウン! しかしすぐに立ち、タックル。うまく回り上になったマスンヤネは、バックを取り、サイドに抱えてボディにヒザを打ち込む。
脱出した荻窪だが、マスンヤネはしっかりついて離さない。さらにここからジャーマンで投げ、会場を驚かせる。しかもバックはしっかりキープしたまま。荻窪が立つと正対し、さらにすくいあげて叩きつけ上に! 衝撃の連続投げに、言葉を失う場内。マスンヤネは上になっている。
立とうとする荻窪を、座っている姿勢からなおも投げるマスンヤネ。荻窪は片足をつかむが、マスンヤネは回って足を取り返す。ここから、さらに上になったところで終了。
ジャッジは三者10-9でマスンヤネ。見たこともないような、語弊があるかもしれないが面白い展開となった。
2Rもマスンヤネがどんどん出て行く。左ハイキック、強いロー。また組んで投げ、上に。荻窪は首を抱えている。これを外したマスンヤネは殴る。立ちたい荻窪。しかし、マスンヤネはバックを取って立たせない。ようやくたった荻窪だが、またしてもマスンヤネが投げて上に。苦しい荻窪。ガードで首を抱えているが、抜けられない。
荻窪、立った! しかしマスンヤネがヒザ、蹴りから投げ、組み付く。絶対に離さないという強い意志が見える。終了。
ジャッジは三者10-9でマスンヤネ。
3R。かなり力を使ったはずだが、スタミナが切れているような様子が見えないマスンヤネ。苦しい境地に立たされた荻窪だが、逆転を狙いたい。
マスンヤネが組みにいき、投げてバックを取る。立ちたい荻窪だが、投げたマスンヤネがハーフバックから殴る。荻窪が立ちそうになると、投げて立たせないマスンヤネ。
しかし、荻窪が立った! しかし、またも潰すマスンヤネ。荻窪ヒジ。マスンヤネはヒザ連打、そして殴る。苦しいが、荻窪は諦めない。根性で立つが、根性ではバックを絶対に離さない。荻窪ヒジ。マスンヤネは荻窪のバランスを崩させ、尻もちをつかせる。立とうとする荻窪だが、マスンヤネは立たせず、サイドに回ってパンチ連打。さらにボディに大きくヒザを打ち込む。
荻窪は諦めず立つが、マスンヤネはバックを取りケージへ押し込み、投げる! さらにジャーマン! バックをキープしたまま殴って終了。
判定は三者30-27でマスンヤネが完勝。
小兵だが、身体能力の高さをまざまざと見せつけたマスンヤネ。3R動き続け、しかも投げ続け、ポジションをキープし続けるスタミナと、相手に隙を与えず、心までも削る闘い方。今後が楽しみな選手が出て来た。
第7試合
ボクシングで世界王座三階級制覇を達成し、日本女子ボクシングの礎を築いたライカだが、2014年からMMAに転向。パンクラス、DEEP JEWELS、TTF CHALLENGE、PXC、GLAND SLAM、ROAD FC、HEATなどに意欲的に参戦、キャリアを積んで来た。ここ3戦は全て国際戦で2勝1敗。今回も国際戦となる。
対するファリアは柔術・ムエタイがバックボーン。MMAのキャリアは2勝1敗とまだ浅いが、どのような闘いを見せるか。
1R。プレッシャーをかけていくライカ。ファリアは右ハイキック。飛び込んでパンチ。ライカもパンチを返す。ライカの左フックがヒット、ファリアがダウン! ファリアは立とうとするが、バックに回ったライカがチョーク。ガッチリ極まり、ファリアがタップ。
ライカが1ラウンド秒殺で快勝!
第8試合
中島は2012年よりパンクラスに参戦。同年NBTバンタム級で優勝している。2015年11月のハワイ大会でフェザー級に転向するが、その後しばらくパンクラスから離れ、ロシアで闘って来た。2018年9月、約3年ぶりにパンクラスに復帰。元王者・田村一聖に判定勝ちするが、次に組まれた中原由貴戦は負傷欠場となってしまった。しかし、中原がONEに参戦したため、フェザー級王座次期挑戦者決定戦のチャンスをつかむ。しかし、接戦の末、カイル・アグオンに2-1で判定負けを喫した。今回は仕切り直しの試合となる。
対するユータは2012年、修斗新人王に輝く。修斗では5連勝、2015年から上がっているパンクラスでは3連勝し、8年間負けなしだ。
パンクラスで12試合を経験している中島、4試合と少ないユータだが、ともに実力者。タイトル戦に向け、一歩前進するのはどちらか。
1R。ローを打ち込む中島。ユータがプレッシャーをかけ、片足タックルからケージへ押し込む。倒すが、中島は背中をつけていない。殴るが、立つ。
再びケージへ押し込むユータ。入れ替え合ったところでブレイクがかかる。
大きくパンチを振るユータ。タックルに入るが、これは中島が切る。組んだ中島が投げるが、ユータは立地、ケージへ押し込む。お互いヒザを入れ合って再びブレイク。
ユータが片足タックルからテイクダウン! しかし、すぐに立った中島がバックに回る。ユータがケージへ押し、入れ替え合うが、またブレイク。
残り20秒。両者打ち合う。中島が組みに行くが、終了。
ジャッジは10-9で二者ユータ、一人が中島を支持。
2R。プレッシャーをかけるユータ。片足タックルに入るが、中島は足を取らせない。ユータが再び片足タックル。切る中島。ユータがローを打つと、これは効いたか。ユータが三たびタックル、ケージへ押し込む。入れ替えた中島だが、ユータが足をかけテイクダウン。サイド、ハーフ、さらにマウントへ移行! 動けない中島。しかしブリッジから回転し、なんとか立つ。ユータはケージへ押し込むが、ブレイク。
ユータが片足タックル。中島は倒れず組む。残り30秒。ヒザを入れた中島を投げて倒したユータ。中島はこらえて倒れない。ユータがバックを取りそうになるが、終了。
ジャッジは三者10-9でユータ。しかし、かなりスタミナを消耗している様子。
3R。中島がパンチを振って行くが、ユータは組む。しかし中島が投げてテイクダウン! ハーフマウントに。中島は腕十字を狙うが、外して立ったユータ。中島がハイキック! しかし、ユータのパンチをもらってしまう。さらにユータがテイクダウン。中島は右目に出血が見えるが、片足を抱え立とうとする。立たせないユータ。中島が立ったところで、ドクターチェックが入り中断。
再開。パンチで出る中島を受け止め、ケージへ押すユータ。さらにテイクダウン! 抜けたい中島だが、ユータは片足を離さない。中島はバックに回り、チョークを狙うが終了。
判定は二者29-28、一人が30-27の大差をつけ3-0でユータ。
中島はユータのペースを最後まで崩せなかった。スタミナを失いながらも、テイクダウンし続けたユータに軍配が上がった
。
第9試合
2連敗中のTSUNE、3連敗中のヤマニハの対戦。今大会では金太郎がタイトルに挑戦するが、3位の瀧澤謙太がタイトル奪取に失敗(今年3月)しているだけに、2位のTSUNE、瀧澤に勝っている7位のヤマニハにも十分チャンスがある。連敗を止め、タイトル挑戦へ駒を進めたい両者の対戦だ。
1R。お互いフェイントをかけながら回る。パンチ、蹴りからTSUNEがタックル、テイクダウン。下から殴るヤマニハ。TSUNEはボディを殴る。腕を抱えているヤマニハだが、先へ展開できずディフェンスのみ。TSUNEはパウンド。残り30秒。試合時間ギリギリでヤマニハが立つが、終了。
ジャッジは三者10-9でTSUNE。
2R。ヤマニハがロー、蹴りからパンチで出る。TSUNE効いた。ヤマニハは組んで投げ、バックにつく。首を狙うか。殴るヤマニハ。腕を狙って行くが、TSUNEが外して上に。この脱出に会場から拍手が起こる。
ガードポジションのヤマニハ。下からパンチ、ヒジ。TSUNEが立ってパンチを落とし、再び上に。しかし、ヤマニハは一気い回ってバックを取り殴る。離れたTSUNEはパンチを振るが、かなり消耗している。ヤマニハが組んでケージへ押し込み、倒して殴ったところで終了。
ジャッジは三者10-9でヤマニハ。
イーブンで迎えた3R。TSUNEはかなり疲れている。ヤマニハは右ハイキック、ミドル。TSUNEはボディブローを効かせ、両足タックルから大きく投げてテイクダウン! ヤマニハは下から殴る。TSUNEは腕を止められ、パンチを打たせてもらえない。
立とうとしたヤマニハを潰し、殴りながら乗って行くTSUNEだが、ヤマニハが返して上に! さらにバックに回り、パウンドを叩き込むと、レフェリーが試合を止めた。
残り1分でヤマニハが見事な逆転勝利で連敗を止めた。
第10試合
第5代KOP・仙三は、怪我のため防衛戦のめどがつかない状態。そのため、暫定王者決定戦が行われることとなった。
翔兵と上田の対戦は2回目。前戦は2017年2月で、翔兵が判定勝ちを収めている。実は、この試合の勝敗が決した直後、2人はケージ上で「またやろう」と約束していたという。今回、その約束がタイトルマッチという最高の形で実現した。
両者の前戦は、翔兵が修斗世界ランキング1位のライリー・ドゥトロに日本人選手初の大金星を挙げ(今年3月)、上田は小川徹に戦慄のハイキックでKO勝ちしている(2018年12月)。
共に大きな勝利を挙げている2人の、二度目の闘い。それぞれの、パンクラスへの思いを込めてぶつかる一戦は、果たしてどちらに軍配が上がるのか。
1R。体を上下に振る上田。翔兵は前に出るフェイントでプレッシャーをかけていく。翔兵がタックル、上田が切る。組んで上田がケージへ押すが、離れる翔兵。上田が前蹴り。翔兵は微笑んでいる。が、素早くパンチで出る! ケージへ押し込んでいく。お互いヒザを入れるが、ブレイクがかかる。
一気にパンチで出た翔兵が、組んでケージへ。翔兵がヒザ連打。上田もヒザを返すが、翔兵がペースを保って終了。
ジャッジは三者10-9で翔兵。
2Rも翔兵がプレッシャーをかけていく。上田はパンチを出すが、距離をとっている。しかし翔兵が一気にパンチで出てケージへ押し込む。ロー。さらに押し込んでいく。入れ替えたい上田だが、させない翔兵。ここでブレイクがかかる。
上田が遠い距離から前蹴り。パンチを打つが、翔兵がケージへ押してヒザ。これがローブローとなり、タイムストップ。
再開されると、上田が前蹴りから左右パンチで出る。組んでケージへ。しかし翔兵がすぐに入れ替える。ヒザ、ボディ。お互い蹴るがブレイク。
上田が右ハイ! しかし翔兵はもらわずプレッシャーをかける。上田は手詰まりか、手数が少ない。残り30秒、翔兵が飛び込み、左パンチがヒット。上田がダウン! 翔兵は素早くかぶさりパウンドラッシュ! そのまま翔兵が連打し、レフェリーが止めた。
翔兵が3年ぶりのTKO勝ちで、見事ベルトを手にした。
ケージに駆け上がり、勝利をアピールする翔兵。会場内は割れんばかりの歓声と拍手で新しいKOPを讃えた。認定式では万感の思いが込み上げ、涙を流したが、すぐに気持ちを切り替え、笑顔で歓声に応えた。
[翔兵 ケージ上コメント]
「感動です。いや、感謝です。本当にありがとうございます! これから俺がパンクラスのフライ級を引っ張って行きます。
仙三選手、俺とやりましょう! みんなそう思ってると思うんですけど、ベルトは2ついりません。もう、やるしかないでしょう。引退試合でもいいです。ここで闘いましょう!」
[翔兵 試合後コメント]
「想像していた通りでした。自分が獲るものだと思っていましたけど、敢えて意識しないようにしていました。経験上、未来を想像すると前に出られなくなるので、目の前のことに集中し続けました。
今朝起きた時、『ベルトを獲るぞ』とは思いませんでした。これまで1日1日、必死にやって来た中で、今日もその4ヶ月間の中の1日にすぎないんです。1日乗り越えたら、もう1日いけるだろう、そう考えながらとにかく必死で練習をして来ました。今日も、1ラウンドいけた。2ラウンドも集中していこう、そういう気持ちで目の前のことに集中するようにしました。『5ラウンドいけます』って、それは口では言いますけど、自信はないです。でも、こうして、その一瞬一瞬、『今』を生きているんだと考えれば、最終的に乗り越えていけるんです。
この一瞬一瞬が、また明日に続いていきます。だから、もう今週から練習を始めます。セコンドにはダメと言われましたけど(笑)。
作戦は、徹底的に的を絞らせることでした、向こうは距離を取ってタックルを合わせる作戦だったと思うんですけど、こちらはタックルを切って打撃にいくつもりでした。それにはまってくれました。1ラウンドで(ポイントが)こっちについてくれたので、このまま行こうと。もし負けるとしたら、寝技で負けると思っていました。僕は柔道出身なんですけど、極めが弱いところがあるんです。それで、もっとアグレッシブにいきたかったんですけど、相手はすごくタックルを狙っていたので、ああいう闘い方をしました。とにかく、引き込ませないで打撃でいく作戦でした。
(試合中に笑っていたのは?)楽しくて笑っていたわけではないです。相手を前に出させるために、おちょくっていたんです。もう少し出て来て欲しかったですね。
楽しさということで言えば、ドゥトロ戦(今年3月)の方が楽しかったですね。楽しいのは、やっぱり殴り合いです。今日は間合いの試合でしたね。
最後は左フックだったんですけど、僕、左の力がすごく強いんですよ。左利きですし、とにかく左の方がパワーがあるので左フックで行きました。計算通りでした。ただ、反省するとしたら、もう少しアグレッシブに行っても良かったかなと思います。
今、練習は誰にも負けない素晴らしい環境でやらせていただいていると自負しています。(リバーサルジム横浜)グランドスラムと、FIGHT BASEには、違うタイプの強い人が揃っています。僕の理想の練習は、1つ上の階級の人とやることなんです。同じ階級だと、こちらの力でどうにかなっちゃうんですけど、1階級上だとそうはいかない。力が強いし、リーチも持っていますから。
田中ノリ(路教)とやるのって、ホントにイヤなんですよ(笑)。でも、そのイヤなのが『普通』ですから。イヤなことが当たり前になることが、強くなること。もうスレスレの練習をやっているので、毎日試合をしているようなものです。最初はあちこち痛かったりしたんですけど、でも、それが当たり前になったとき、試合で緊張しなくなりました。精神的にも強くなれたと思っています。
(調印式の時に話していた“新しい目標”とは?)このベルトの価値を上げていくことです。その方法は今、明確にはわからないんですけど、みんな他団体の選手とやってほしいのかな、と思います。とにかく僕は、パンクラスのフライ級を世界一にしたいんです。パンクラスのフライ級は世界のトップレベルだと言われたい。ONEなのか、UFCなのか、RIZINなのか、もちろんパンクラスでも可能だと思いますけど、どこでやるにしても、絶対に勝たなくてはいけない。負けるくらいなら、ベルトを返上するくらいの覚悟はできています。
(正王者である仙三選手へのアピールがありましたが)そうですね。パンクラスのフライ級を世界一にするための第一歩だと思います。1つの階級にベルトが2つあるということに違和感がある皆さんが多いんじゃないですか? だって、王者は一人でいいじゃないですか。2つもあったら、本当はどっちなんだ、本当はどっちが強いんだ、となりますよね。KOPは一人でいい。やっぱり正王者の方が上というイメージがありますし、この階級は自分が引っ張って行きたいと思っています。
一番いやなのは、このまま自分と試合をしないで仙三選手が引退してしまうことです。ファンの人も、どちらが強いのかハッキリさせたいと思います。引退試合でもいいので、仙三選手とは試合をしたいです。仙三選手はONEに上がっているので、そちらとの兼ね合いもありますけど、胸を張って自分がKOPだと証明するためにも闘いたいですね。
僕は、とにかくMMAが大好きです。命を懸けていると言えますし、格闘技のためにこの命を使いたいです。
そして、日本のMMAがもっともっと強くなってほしいですし、発展して行ってほしい。どんどん強い日本人選手が出て来てほしいですね。それには、今ランキングに入っている選手に、僕の首を狙って来てほしいですし、そこから全体のレベルを上げていければと思っています。それが自分の使命だと思っています。そのためにも、まず正王者になって、強い選手をどんどん倒して行きたいです」
今、最も熱い男・翔兵の全身から、格闘技、そしてパンクラスへの愛が溢れていた。
以前は「パンクラス愛」と言えば、旗揚げ時代のパンクラスや、道場論を抜きしては語れなかった。しかし、旗揚げからはや30年。船木誠勝、鈴木みのるといったカリスマはもういない。坊主頭でしごかれる道場生活も、昔の話となった。パンクラス愛は、もうないのだろうか。パンクラスは、単に選手が試合をする1つの場所でしかないのだろうか。いや、「パンクラス愛」は、翔兵の中に育まれていた。これまでとは違う、新しい形で。これは、上田も同じだ。
調印式で「パンクラスのベルトは、パンクラス愛が強い人に巻いてほしい」と語っていた翔兵は、その言葉通りの結果を自らつかみ取った。しかし、これがゴールではない。ここからが、新しいスタートなのだ。翔兵は、すでに次に向けて始動している。
翔兵が掲げる「パンクラス愛」は、「ケージ世代のパンクラス愛」だ。それが強く輝き、新しいKOP像をつくり、新しいファンを獲得していくのを見守っていきたい。
第11試合
王者・シウバは、2016年にパンクラス初参戦。この年、コンボイ升水(現・翔兵)、上田将勝、ビクター・ヘンリーと強豪に3連勝し、翌年5月、石渡伸太郎の持つタイトルに挑戦した。僅差で判定負けを喫したが、1年後の2017年5月、石渡の欠場に伴い行われた暫定王者決定戦へ。引退を懸けて臨んだ上田将勝に判定で勝ち、暫定王者となった。
その後、石渡が王座返上したため正王者に昇格。今年3月の防衛戦で瀧澤謙太をチョークスリーパーで破り、初防衛を果たした。
対する金太郎は、2012年よりパンクラスに参戦。4年ほどは荒削りな試合ぶりで白星も少なかったが、2017年から4連勝中。特に、昨年10月にはアラン・ヤマニハにTKO、今年4月にはTSUNEをKOで下している。多くの選手を苦しめてきたシウバの牙城を崩すことができるか。
1R。プレッシャーを懸けながら回るシウバが、ハイキック。金太郎もハイキックを放つが、シウバが素早いタックル! すぐにテイクダウンし、鉄槌を落とす。早くもシウバのグラウンド地獄に陥るかと思われたが、金太郎は反転して立つ。ケージへ押し込んだ金太郎に、場内から拍手が起こる。
しかし、シウバは再びタックル。ケージへ押し込んで殴る。金太郎はヒジ連打。逃げるシウバだが、上になった金太郎がハーフマウントからパウンドを落とす! シウバは胴を抱え密着している。
ここで、シウバに怪我がありドクターチェックが入る。後頭部から出血している。金太郎のヒジが後頭部に入っていたためと判断され、金太郎にイエローカードが。1点減点となってしまう。
再開。シウバのハイキックをカットする金太郎。シウバはがバックハンドブローを出したところで終了。
ジャッジは一人が10-8でシウバ、二人が9-9でイーブン。
2R。プレッシャーを懸けていくシウバ。パンチからタックル、テイクダウン! ケージへ押し込んでいく。さらにマウントからパウンド連打! 起き上がりたい金太郎だが、シウバはさせず殴り、さらに肩固めへ。これが極まり、シウバが二度目の防衛を果たした。
[シウバ ケージ上コメント]
「勝ててすごく嬉しいです。私は日本が大好きです。今回で来日は7回目、パンクラスで勝つのが好きです。
今日はとても難しい試合でしたが、勝ててよかったです。一時は危ないところもありましたが、逆転しました。私は自分の階級で自分が一番だと思っています」
盤石の強さを見せたシウバ。これまで闘った選手によると、シウバは上になった時の圧力が半端ではないという。また、グラウンドでの強さも群を抜いている。8年間も王座を防衛した前王者・石渡伸太郎は、DEEPバンタム級王者・大塚隆史やビクター・ヘンリーらも下し、文字通りパンクラスの顔として君臨していた。今後、シウバは石渡に続き長期政権を築くのか。
今回闘った金太郎は、昨年7月の大阪大会で「強い選手は『試合で強い』ということがよくわかった。次は成長を見せます」と話していたが、その言葉通りランカーを撃破し、大きな成長を見せた。今回も敗れはしたものの、見せ場を作り、大きなインパクトを残した。まだ26歳。さらなる成長と飛躍に期待したい。
第12試合
初代フライ級KOP・砂辺光久のパンクラス プロデビュー戦は、なんと2001年。旗揚げ当時は無差別級のみだったパンクラスの中で、まさに軽量級のパイオニアと言っていい存在だ。さらに、フライ級、スーパーフライ級、そしてこのストロー級と、3階級を全て初代で制覇。初めてベルトを巻いた2009年から、10年の長きにわたり、パンクラスを守ってきた。また、地元・沖縄でのパンクラス開催に尽力するなど、その功績の大きさは計り知れない。まさに「パンクラシストの中のパンクラシスト」と言っていいだろう。
砂辺に挑むのは、北方大地だ。二度目の挑戦。一度目は、2016年12月。1R
でリードしていた北方だったが、2Rに砂辺が一本勝ち。王者の底力を見せた。
あれから2年半。砂辺は2018年、室伏シンヤの挑戦を退け「絶対王者」の名をますます揺るぎないものにするかたわら、RIZINに参戦、活動の場を広げて来た。
対する北方は、その後、破竹の勢いで3連勝。今年4月、曹竜也との次期挑戦者決定戦を制し、再び砂辺への挑戦権を得た。
お互いに「稲垣組の最高傑作」「最高の挑戦者」と認め合う両者。シルバーのベルトを巻くのはどちらか。
1R。お互いローで様子を見る。北方はジャブ、左ハイを混ぜていく。右のパンチを大きく打ち込む北方。しかし、砂辺はまだ様子見か、ローのみで手を出さない。緊張感がみなぎる。
砂辺が前蹴り。北方がパンチで前に出る。砂辺は飛び込んでパンチ。砂辺がここに来てじわじわ出始める。一気に入る北方。しかし、砂辺はこれを避けてスピンキック。再びパンチで出る北方。下がる砂辺を追って連打。残り20 病、砂辺がダウン! 北方が殴って終了。
ジャッジは三者10-9で北方。
2R。砂辺が蹴る。前蹴り、ふくらはぎあたりへのキックでじわじわと出ていく。北方は左パンチ。砂辺がローからヒザ、ミドル、パンチとたたみかける。しかし、北方はパンチで出る。砂辺が左フック、北方は左右パンチ。砂辺はローから右ミドル! 北方が距離を取ると、砂辺が北方を指差し、北方が笑う。北方はミドルが効いたのだろう。ここで終了。
ジャッジは三者10-9で砂辺。喉が乾いてくるような緊張感。
3R。北方がパンチ、左ハイキック。さらに出てパンチを入れると組み、持ち上げてテイクダウン! バックマウント。砂辺は北方を背負って立つ。北方はチョークを仕掛けるが、砂辺はなんと後ろに落とし、マットに叩きつける! 立ってケージへ押す。北方が入れ替え、引き込んで倒す。砂辺は背を床につけず、尻もち状態から立つ。
北方がヒザで入っていくと、砂辺がケージに押し込むが、北方が入れ替え。パンチを入れて離れるが、すぐまた組む。瞬時に入れ替えた砂辺がケージへ押すが、北方がゆっくりと戻し、すくい上げてテイクダウン。ハーフマウントに。
残り2分。ボディを細かく殴る砂辺、鉄槌を落とす北方。しかし、北方のパウンドが後頭部に入りタイムストップ。北方に口頭注意が与えられる。
再開。北方がミドル、パンチ。しかし砂辺が組みギロチン! 北方はスラムで叩きつけるが、砂辺は外さない。しかし、北方が首を抜いて立ち、猪木アリ状態から蹴って終了。
ジャッジは三者10-9で北方。北方がベルトに王手をかけた。
4R。砂辺はロー。北方はパンチでプレッシャーをかけていく。右のパンチを大きく打ち込み、片足を取ってテイクダウン! ボディを殴る。砂辺も下からボディを殴る。しかし、ここで北方が立って足を蹴る。砂辺も蹴るが、お互いそれ以上両者攻めず、ブレイクがかかる。
北方が左フックで飛び込む! 砂辺も左パンチを打ち込む。北方は跳びヒザを狙い、組みにいく。しかし、砂辺がケージへ押し込んだ。すると、北方はフロントチョークで引き込む。さらに絞める。残り1分。しかしまだ入ってはいないか。残り30秒。砂辺が耐え切って終了。
ジャッジは三者10-9で砂辺。砂辺はKO、一本か、10-8をつけてドローに持ちこむしかない。
5R。いきなり左フックを振る北方。遠い距離から左右パンチ。砂辺がプレッシャーをかけ飛び込んだが、北方の右がヒット、ダウン! 素早く上になった北方がパウンドラッシュをかけると、レフェリーが止めた。
ついに砂辺が王座陥落。北方が新KOPとなった。
通常は酒井正和・パンクラス代表が勝者に巻くベルト。砂辺が北方の腰に10年連れ添ったベルトを巻いた。「あとは頼んだぞ」と言うように。そして北方の腕を挙げ、勝利を讃えた。
[北方 ケージ上コメント]
「今の率直な気持ちは、『ありがとう』。家族や仲間、応援してくれた人、全ての人に感謝します。
生意気を言うようですが、俺がKOPです。ONEで修斗のチャンピオンをぶっ飛ばしたるわ! 今日から俺がKOPだ!」
[北方 試合後コメント]
「試合展開は覚えています。だいたい作戦通りに行きました。打撃に自信があったので、打ち合いたかった。もちろん、闘う前から打撃も寝技もいけると思っていました。
3ラウンドでバックを取った時、後ろへ投げられましたけど、『すると思ったわ』と言ってやろうと思いました。ミドルも勘違いするな、効いてないわ、と。
最終的には、右が当たるなと思ったんですけど、左にしようかと2ラウンドは迷いました。北方は組みにくると予想していただろうと思うので、そこを裏切ってやろうと思いました。手の甲が痛いですけど(笑)。
相手のセコンドはカーフキックを取り入れてくるだろうと思っていました。でも、パンチを合わせたので打ちにくかったと思います。自分は分析能力が上がっているので、予想外のことというのはなかったです。
今回、今までの弱い自分を捨てなければと思っていました。そこが、いけるかどうかが課題でした。(前に)行かない、面白くないとは絶対に言わせたくありませんでした。今、後輩たちがすごく伸びてるんです。僕が技術的にも指導しているので、後輩たちに無様な姿を見せられない、そういうシンプルな思いがありました。そして、前田(吉朗)さんと稲垣(克臣)さんに『強くなったな』と認めてもらいたかった。それも、自分自身が納得する形で認めてもらえたらと思っていました。今日はこういう形で勝つことができて、欲が出てきました。次は世界一を証明したいです。
(修斗の同階級王者・猿田洋祐については)すごく噛み合うんじゃないかと思います。相手は何でもできて、根性もある。身体もできている。客観的に見て、いい試合になると思いますし、ストロー級という階級の価値をあげる試合ができると思います。僕も、ここまできたら世界一になりたいです。
(どんな王者になりたいですか)強く、優しく、面白く。人としても、格闘技の王者としても。あとは、僕の試合を見た人が、興奮してくれたり、感動してくれたり、何かしらプラスの良い刺激を与えられるような王者になりたいです」
デビューから10年。北方はまだ28歳と若いが、意外にキャリアは長い。最年少での王座獲得、UFC参戦など、早くから大きな夢を抱いていたが、なかなか実現には至らなかった。デビュー当時に見せた強さに周囲の期待を背負ったが、勝てずに苦しんだ時期も長かった。なぜ勝てないんだろう。どうして、あと一歩出られないのだろう。しかし、やんちゃだった少年は、巡る季節の中で、自分を見つめ、理解することの大切さを知り、大人になった。
前回のタイトルマッチでは、ケージチェックの時から調子の良さ、充実ぶりを見せていたが、砂辺の持つ特別な“ミラクル”(と言うと語弊があるかもしれないが)の前に敗れた。しかし今回は、“持っている”砂辺をついに超えた。
北方に「ここまで長かったですか?」と訊いてみると「長いとは感じていないです」と答えた。「10年って、割と長くないですよね」と。
そう、10年は、そんなに長くない。KOPとなり、これから叶えて行きたい目標を考えると、この先の10年、いや5年も、きっと恐ろしく速くすぎて行くだろう。しかし、この新KOPは、いっときも時間を無駄にはしないはずだ。そして、次にケージに入るときには、さらなる成長を見せてくれるだろう。
「真夏の三大タイトルマッチ」は、2人の新KOPを生んだ。これがパンクラスの新しい時代の幕開けとなるのかもしれない。このところ、KOPの座は入れ替わりが激しいが、若い2人の王者にはぜひ長期政権を築いてもらい、令和時代のパンクラスを引っ張って行ってほしい。
(写真・文/佐佐木 澪)