【試合詳細】9・11 PANCRASE 立川ステージガーデン大会 【ライト級暫定KOP】松本光史vsアキラ 上田将竜 VS 鶴屋 怜 KARENVS 宝珠山 桃花 雑賀ヤン坊達也VS 松岡嵩志
『PANCRASE 329』
日程:2022年9月11日(日)
会場:立川ステージガーデン
開始:14:45
観衆:主催者発表なし
[メインカード結果]
▼アトム級 5分3R
○沙弥子(リバーサルジム横浜グランドスラム)
1R 3分22秒、アームロック(タップアウト)
●原田よき(mma ranger gym)
▼フライ級 5分3R
●荻窪祐輔(K-PLACE)
3R 1分25秒、TKO(タオル投入)
○萩原 幸太郎(パラエストラ八王子)
▼ウェルター級 5分3R
●髙橋攻誠(RIGHT THING ACADEMY)
1R 3分48秒、KO(スタンドのパンチ)
○押忍マン洸太(DESTINY JIU-JITSU)
▼ストロー級 5分3R
●宮澤雄大(K-PLACE)
判定0-3
○若林耕平(総合格闘技道場コブラ会)
▼ウェルター級 5分3R
●中村勇太(T-Rex Jiu-Jitsu Academy)
判定0-3
○林 源平(和術慧舟會Iggy Hands Gym)
▼バンタム級 5分3R
○TSUNE(リバーサルジム新宿Me,We)
1R 2分49秒、リアネイキッドチョーク(タップアウト)
●平岡将英(KRAZY BEE)
▼バンタム級 5分3R
○井村 塁(Nexusense)
2R 2分38秒、リアネイキッドチョーク(タップアウト)
●平田丈二(総合格闘技道場暗愚羅)
▼ライト級 5分3R
○雑賀ヤン坊達也(DOBUITA)
1R 1分36秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●松岡嵩志(パンクラスイズム横浜)
▼5分3R
○KAREN(PRAVAJRA)
判定3-0
●宝珠山 桃花(赤崎道場A-SPIRIT)
▼フライ級 5分3R
●上田将竜(G-face TEAM緒方道場)
1R 2分33秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○鶴屋 怜(パラエストラ松戸)
▼ライト級暫定キング・オブ・パンクラシスト決定戦 5分5R
●松本光史(M PLATIC)
3R 1分25秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○アキラ(武蔵村山さいとうクリニック)
※アキラが暫定王者に
[プレリミナリーファイト結果]
▼フライ級 5分3R
○水戸邉 荘大(TRIBE TOKYO M.M.A)
1R 2分22秒、TKO(肘打ちによるカット)
●山﨑聖哉(BRAVE GYM)
▼フェザー級 5分3R
●工藤修久(禅道会 小金井道場)
1R 4分30秒、TKO(目の負傷)
○立成洋太(パラエストラ千葉)
アキラが松本に勝利しライト級暫定KOPを獲得!パンクラス最年少王者のKARENがデビュー戦以来の判定決着で笑顔無し
第1試合
約3年ぶりのパンクラス出陣となった沙弥子。キャリア10年の柔道10年をバックボーンに持ち、東京学生選手権で3位入賞している。また、ボディビルで肉体を鍛え上げ、2017年6月には『第25回 東京オープンボディビル選手権』で「ミスビギナー」3位入賞の実績を持つ。
2015年5月、REAL FCで総合格闘技デビュー。ライカにKO負けを喫し、苦い初戦となった。しかし、それから5連勝中。3年のブランクは影響するのか。
対する原田は空手がバックボーン。2017年、全日本アマチュア修斗選手権で優勝を飾った。
プロデビューは2019年3月。同年の修斗・インフィニティリーグでは2位入賞しており、現在1勝3敗1分。パンクラスには初参戦となる。
1R。沙弥子がハイキック。距離を詰めている両者。沙弥子の左ジャブがヒット。原田がパンチから組むが、沙弥子がケージへ押し込んだ。
入れ替えさせない沙弥子。ヒザ! 入れ替えたい原田だが、沙弥子がケージへ押しつける。
お互い入れ替え合い、原田がヒザ。沙弥子は殴り、ヒジを入れる。さらにケージへ押し込んでヒザ! 原田が入れ替えるが、沙弥子が豪快に投げてテイクダウン! 会場から拍手が起こる。
サイドを取った沙弥子。脱出できない原田。沙弥子がアームロック! しっかり極まり、原田がタップアウト。沙弥子が復帰戦を一本勝ちで飾った。
[沙弥子 ケージ上コメント]
「試合間隔が空いたということよりも、試合に向けての心もちをどうやって作っていったらいいのかちょっと忘れてしまった部分もありました。グランドスラムのみんなのサポートで、今日落ち着いて試合ができて、今ホッとしています。
何事も一番になったことがないので、このパンクラスという団体で一番になってベルトを獲って、勝村(周一朗)さんや家族のところに持って帰りたいと思います」
第2試合
荻窪は2012年よりパンクラスに出場。2014年にはNBTで優勝し、コンスタントにパンクラスで闘ってきた。
しかし、2020年12月の中村龍之戦以来、ケージから遠ざかっていた。仕事などプライベートでの事情のためで、ケガなどはなく、ずっと練習は続けてきたという。1年9ヶ月ぶりのパンクラスで、再び存在をアピールしたいところだ。
対する萩原は、2011年、修斗でデビュー。2017年12月を最後に表舞台から遠ざかっていた。修斗戦績は5勝4敗6分。5年ぶりの試合は、パンクラス初参戦となった。
1R。開始直後、荻窪が飛び込む。蹴り。プレッシャーをかけながらパンチを振っていく。荻窪のパンチが効いた萩原。荻窪は組んでケージへ押し込む。入れ替え合い、萩原は肩パンチ。荻窪はボディ、ヒザ。さらに入れ替え合い、萩原がバックに回った。ヒザを打ち込む。
残り1分。萩原がヒザを入れ、バックを取ったまま終了。
ジャッジは2者10-9荻窪、1人が10-9萩原。
2R。開始すぐ、荻窪が蹴り、パンチと積極的に攻めていく。しかし萩原がパンチから組んでケージへ押し込んだ。入れ替える荻窪だが、萩原がさらに入れ替えて足をかけテイクダウン!
カカトを入れる荻窪。萩原は鉄槌を落とし、マウントへ移行。お互いボディを殴る。抜けたい荻窪だが、萩原がバックに回って終了。
ジャッジは三者10-9で萩原を支持。消耗している荻窪。
3R。果敢にパンチで出る荻窪。バックブローから、さらにパンチで追って組む。しかし萩原がバックに回った。脱出しようとする荻窪だが、萩原がマウントからパウンドラッシュ! レフェリーが止め、萩原が復帰戦をTKO勝利した。
[萩原 ケージ上コメント]
「5年ぶりの試合でしたが、練習はずっとやっていました。ただ、仕事とかの兼ね合いもあって遠ざかっていました。でも今日、だいぶ応援も来てくれて、緊張しましたけど勝ててよかったです。
勝っても負けても、みんな本当によく頑張っているので、最後まで見てあげてください」
第3試合
柔道をバックボーンとする髙橋は、今年3月、パンクラス初参戦で中村勇太をチョークスリーパーで仕留め一本勝ち。ランキング4位に躍り出た。さらに存在感をアピールしたいところだ。
一方の押忍マンは2020年より参戦中。パンクラスデビュー時はライト級だったが、昨年10月にウェルター級に変更。さらに今年4月大会ではミドル級、そして今回のウェルター級と、連勝中ではあるが、適正階級を探ってきた。今回の変更は吉と出るか。
1R。プレッシャーをかけていく髙橋。押忍マンも前に出る。押忍マン右ミドル。髙橋も入っていくが、押忍マンは突き放して跳びヒザ。髙橋はタックルに入るが、押忍マンは潰して殴る。
すぐに立った髙橋は、さらにタックル、テイクダウン! しかし、押忍マンがバックに回る。落ち着いている押忍マン。
髙橋は立つが、押忍マンがボディにヒザ。髙橋はパンチで攻め込み、押忍マンがグラつく。さらに左フックで押忍マンに尻もちをつかせた。
さらにたたみかける髙橋。しかし、立った押忍マンの左フックがヒット、髙橋ダウン! レフェリーが止めた。
お互い引かない意地を見せたが、攻め込まれた押忍マンが最後に逆転勝ち。
[押忍マン ケージ上コメント]
「強かったですね。ありがとうございます。
いきなり言うのも何なんですけど、ベルト欲しいです。チャンスをください。お願いします」
第4試合
2018年から参戦している宮澤。フィジカルを強みとしてコツコツ闘い続けてきた。そして昨年5月、ストロー級次期挑戦者決定戦で八田亮を下し、3年目にしてタイトルマッチへの切符を手にした。
同年12月、王者・北方大地に挑戦したが、判定3-0で敗レ、ベルトを手にすることはできなかった。今回が再起戦。前戦の翌日には気持ちを切り替え、練習に打ち込んできたという。さらに強くなった姿を見せられるか。
対する若林はパンクラス初参戦。これまで関西を主戦場裏としてきたが、初の東京進出で存在感をアピールできるか。
1R。宮澤が左右ジャブ。若林もジャブ、左ハイキックで様子を見る。宮澤が一気に入って組み、ケージへ押し込む。しかし、若林が投げてテイクダウン! サイドを取る。
起きあがろうとする宮澤を若林ががぶる。宮澤が立つが、若林が足を取り、尻もちをつかせる。立ちたい宮澤。お互い殴る。苦しい宮澤だが根性で立った!
若林はバックを取っているが、正対するとまた尻もちをつかせる。立ちたい宮澤だが若林は立たせず、ヒザ。残り10秒で離れた。終了。
ジャッジは三者10-9で若林。
2R。宮澤がバックブロー。若林は距離を取っている。宮澤が左右パンチ。蹴り、ボディと攻めていく。若林は左の蹴りで距離を取る。
宮澤はローからボディ! 若林がミドルから組むが、すぐに離れた。若林がロー、左ミドルと蹴りを打つが、宮澤は「効いてない!」とジェスチャー。
パンチで飛び込もうとした若林を受け止め、宮澤がテイクダウン! ボディを殴る。若林はヒジ。お互いこのポジションで打撃を出して終了。
ジャッジは2名が10-9宮澤、1名が10-9若林。
3R。お互い距離を取り、様子を見る。宮澤が組みにいくが若林は付き合わない。
若林がパンチ。宮澤は組んでテイクダウン! ハーフマウントに。若林、返しそうだが宮澤が戻す。宮澤がバックに回るも両者立つ。
宮澤が蹴りからケージへ押し込み倒す。若林はヒジ連打、そして上を奪取! 宮澤がバックを取らせて立とうとするが、若林が再び倒す。
しかし、逃げて立った宮澤。残り20秒。若林が引き込み、倒したところで終了。
ジャッジは三者29-28で若林が勝利。初参戦でランカーを破った。
初参戦の硬さなのか、若林はやや積極性に欠ける印象も。今後、この舞台でどのように変化していくのか見ていきたい。
宮澤は再起戦での勝利は成らなかったが、もともとポテンシャルの高い選手だ。この悔しさを胸に、一層の奮起を期待したい。
第5試合
中村は2005年から参戦中の大ベテランで、柔道・柔術がバックボーン。コンスタントに試合を続けているが、2020年の菊入正行戦、今年3月の髙橋攻誠戦と連敗中。星を戻したいところだ。
一方の林は、キックがバックボーン。ライト級からウェルター級に変更している。
2013年の初参戦時はライト級だったが、2014年NBTにはウェルターで出場。しかし翌年からライト級に戻している。今回は7年ぶりのウェルター級転向となる。
柔術とキック、バックボーンは違うが、豪快なファイトスタイルの両者。バチバチのしばき合いとなるか。
1R。中村がジャブ。林がロー、ミドルと足を使っていく。さらに右ハイキック。林がさらに打撃で押すと、中村も距離を縮め打ち合いに。中村のパンチで林が一瞬グラつくと、中村がケージへ押し込んだ。
足をかけ倒そうとする中村だが、林はこらえる。中村はさらに投げようと試みるも、林がこらえて終了。
ジャッジは三者10-9で中村。
2R。林がロー、中村右パンチ。林が左ボディからのパンチ、中村ダウン! しかしすぐに立って組みつきケージへ押し込む。林はヒザを打ち込み、打ち合って離れる。さらに前に出る林。中村はダメージが残っている様子。
林のパンチで中村がバランスを崩し、林が上に。中村は下から足を狙うが、林は足を抜いて離れた。中村は鼻から出血している。
スタンドに戻り、林のパンチで中村がダウン! 尻もちをついた中村だが立つ。林が蹴り、パンチを出すが、中村がなんとかしのいで終了。
ジャッジは2名10-9林、1名が10-8林。
最終ラウンド。打ち合っていく両者。中村はタックルに入れない。
林の右で中村がダウン! 尻もちをついた中村に林がパウンド、しかし離れて立つ。
林がパンチ、蹴りで攻める。中村はかなりダメージがあり、なんとか立っている状態。しかし林は仕留めにはいかないまま終了。
ジャッジは2名29-28、1名が29-27の3-0で林が勝利。
お互い一発で倒す気のパンチを出し合った。どこか昭和の匂いを感じる打ち合い。中村は判定まで粘ったが、ダメージが大きそう。
第6試合
TSUNEは2015年より参戦。4連敗でランキング外なった時期もあったが、昨年から今年にかけ3連勝中で2位まで順位を上げてきた。特に、王座挑戦の経験もある井村塁に勝利したことは大きかったのではないか。ベルト獲りへ向けてさらに勢いをつけたいところ。
対する平岡は2016年より参戦し、2019年にはNBT同級優勝を飾っている。
前戦は井村塁との対戦で、TKO負けを喫している。2位に勝ち、上を狙って行きたい。
1R。プレッシャーをかける平岡。TSUNEはジャブ。平岡もジャブ、そして右ボディをうまく入れる。さらにジャブで攻めるが、TSUNEは組んでケージへ。
平岡が抱えて殴るが、TSUNEはバックに回る。そのまま背中に乗るように首に腕をかけ、絞めると平岡がタップ。TSUNE が4連勝。
この試合は、パンクラスのリングドクターを務める斉藤直人ドクターの主宰する武蔵村山さいとうクリニック提供試合。さいとうクリニック所属の浜崎朱加がプレゼンターとしてケージに上がった。
さらに、TSUNEがタイトル挑戦をアピールすると、来場していた暫定王者・中島太一がケージイン。12月の横浜大会での挑戦を受けた。
[TSUNE ケージ上コメント]
「この前もランキングトップまで行って、そこから取りこぼしばかりして一度ランキングを外れたんですけど、また這い上がって。いつもあと一歩で負けてたんですけど、やっと勝てました。
4連勝したので、次は絶対(タイトルマッチを)お願いします! いつでもいいんで、(中島選手)、挑戦受けてください」
(中島がケージイン)
中島「ナイス勝利でした。おめでとうございます。でも正直、今の動きを見てると僕には勝てないと思います。僕ムチャクチャ練習してるし、僕より練習してる人はいないと思ってるんで。でも、やるからにはしっかり準備してやりたいと思います。
12月25日、せっかく横浜武道館、大きな会場が用意されてるんで、そこでメインでやらせてください。メチャクチャいい試合しましょう。しっかり練習してきてください」
TSUNE「しっかり練習してきます!」
▼木下憂朔あいさつ
パンクラス大阪稲垣組の木下憂朔がケージイン。
木下は、去る8月30日、Dana White’s Contender Series 52にてホセ・エンリケ・ソウザと対戦。明らかに体格が一回り大きいソウザから左ストレートでダウンを奪い、さらにパウンドでTKO勝ちをおさめた。
この勝利によってUFCと契約権を獲得した木下が、パンクラスにて報告を行った。
――まずはUFCとの契約おめでとうございます。
木下「ありがとうございます」
――今のお気持ちを聞かせてください。
木下「僕はUFCを目指して格闘技を始めたので、それが叶ってメチャクチャ嬉しいです。それと、頑張り続ければ自分の夢って叶うんやなと思ったんで、それをもっともっといろんな人に伝えていきたいなと思います」
――恐ろしいフィニッシュでした。よけて打ち返しっていうのは、もともとのプランでしたか?
木下「いや、プランではなかったんですけど、試合の途中でちょっとケガがあったんで、もうやるしかないなと。足を止めてKOしようと思いました」
――今後、みんな応援しています。頑張ってください。
木下「はい、頑張ります!」
第7試合
井村は2020年より参戦、同年NBT優勝を飾っている。NBTとその後の2戦を全て一本勝ちという快進撃を見せ、2021年12月、暫定王者・中島太一に挑戦。しかし、タックルを切られ、パンチでダウンをもらって初黒星を喫した。
再起戦となった今年4月のTSUNE戦でもテイクダウンを防がれる展開で完敗。今回は石渡伸太郎との練習で培ってきたものを出したいと言う。
対する平田は2015年より参戦中。地元・大阪の大会だけでなく、2017年から東京にも進出している。昨年は5月、福島啓太にKO勝ちしたあと、9月はTSUNEに判定負け。
しかし、今年に入って元ZST王者のジェイク・ムラタに1ラウンドTKO勝ちしランキング入りを果たした。タイトルマッチ経験者を倒し、さらにランクを上げたいところだ。
1R。お互い軽めのジャブ、ロー。井村が片足タックルに入るが、平田は倒れない。井村はケージへ押し込む。平田は頭に鉄槌。倒したい井村。こらえる平田。
いったん離れると、平田が左ジャブ。さらにパンチ。井村も左パンチ、ボディ、右ハイキックと攻める。平田の蹴り足を取った井村が、組んでケージへ押し込むが、時間切れ。
ジャッジは2名が10-9井村、1名が10-9平田。
2R。平田がジャブ。井村は組むが、平田がクラッチを切り離れる。
平田ジャブ。井村もパンチを返し、組んでケージへ押し込み、尻もちをつかせる。ゆっくり後ろに回り首! 耐えている平田だが、ガッチリ極まりタップアウト。
勝利が告げられると、指導する石渡がケージに駆け込み、ともに勝利を喜んだ。
[井村 ケージ上コメント]
「(連敗を脱出できて)ホッとしています。ここまで練習を見て下さった石渡さん、本当にありがとうございます。
前回、(地元の)立川で試合したんですけど、TSUNE選手に負けちゃったんで、2回目、こうやってまた立川で試合ができて勝つことができたんで、すごく良かったと思います」
第8試合
2019年初参戦のヤン坊は、まさに彗星のごとく現れた。
小林裕、トム・サントスを1ラウンドTKOで倒し、翌2020年、ライト級暫定KOPタイトルマッチにスピード挑戦。林源平を1ラウンドKO勝ちで下し、暫定KOPとなった。
その後、少し間が空いたが2021年12月、正王者・久米鷹介との統一戦が決定。他団体からの誘いもあったというが、この1試合のために断ってきたという。しかし、パンチでダウンを奪ったものの、『久米地獄』に引き込まれ、2ラウンド腕十字でパンクラス初黒星を喫した。
今年4月にはRIZIN TRIGGERに出場。パウンドでKO負けを喫した。今回が出直しとなる。
松岡は2011年より参戦。2016年6月大会からパンクラスイズム横浜所属となった。2021年には岸本泰昭、粕谷祐介と他団体からの参戦選手を連続撃破したが、昨年12月、松本光史に悔しいTKO負けを喫した。
しかし、再起戦となる今年4月には、冨樫健一郎に2ラウンドTKO勝ちを収める。現在ランキング5位。十分ベルトを狙える位置だ。タイトルマッチ経験者を破り、ベルトへ駒を進めたい。
1R。ヤン坊がロー、右パンチ。松岡はロー、右パンチと攻め、パンチからケージへ押し込む。ヤン坊はヒザを入れる。
両者離れる。松岡の右パンチがヒット! しかしヤン坊が前に出て左ミドル、さらに右パンチがヒット! 松岡がダウン! ヤン坊がパウンドに入るところをレフェリーが止めた。
ヤン坊は足を傷めた様子で、チームメイトの肩を借りて立ち、喜びの涙を見せた。
[ヤン坊 ケージ上コメント]
「ありがとうございます。(連敗からの脱出)、ムチャクチャ嬉しいです(涙声)。こうやって応援してくれて、本当に嬉しいです(泣いている)。
(メインの暫定王者決定戦について)どっちが勝っても僕が獲りに行くんで、頑張ってください。
これを終えるのも2年ぶりなんですけど、皆さんいいですか。(会場に向かい)俺がヤン坊だ!!」
第9試合
第4代QOP・KARENは2019年より参戦。初参戦から負けなしの4連勝で、今年4月、藤野恵実の持つタイトルに挑戦。テイクダウンされる展開となるが、ヒジでカットし藤野を大流血させ逆転勝利。パンクラス最年少王者となった。
今回はノンタイトルだが、王者として負けるわけにはいかない。強さを見せることができるか。
パンクラス初参戦の宝珠山は、修斗でプロデビュー、戦績は5戦2勝3敗。直近では今年5月、檜山美樹子にスリーパーホールドで一本勝ち、7月、渡邊富紀恵に判定負け。
初のパンクラスで、どのような闘いを見せるか。
1R。お互いロー。KARENはいつものあのサイドキックを見せる。宝珠山がバランスを崩すが、すぐに立つ。
宝珠山は組んでケージに押し込む。ARENはヒジ、ヒザ、カカトを打ち込むが、宝珠山は入れ替えさせない。
残り1分。KARENはヒザやカカトを打ち続ける。宝珠山は押し込み続けるが、攻撃はなく終了。
ジャッジは三者10-9でKAREN。
2R。蹴りで攻めるKAREN。宝珠山は組んでケージへ押し込む。KARENはヒザ、カカトを入れるが脱出できない。お互いヒザ。
KARENが入れ替えてテイクダウン。マウント! バックに回って首を取る。しかし、入りが浅く、極まらないまま終了。
ジャッジは三者10-9でKAREN。
3R。最終ラウンドに入って宝珠山がパンチを出し始めた。KARENは蹴り。宝珠山がパンチから組んでケージへ押し込む。
KARENは入れ替えてヒザ。さらに足をかけてテイクダウン! 必殺のヒジ連打。さらにパウンド! バックに回ったKARENはチョークを狙う。しかし、立った宝珠山がケージへ押し込む。KARENがヒザを打ち込んで終了。
ジャッジは2名が30-27、1名が29-28、3-0でKARENが勝利。
デビュー戦以来の判定決着となったKAREN。勝ち名乗りを受けたが、笑顔は見られなかった。
第10試合
1位の上田は2013年より参戦、同年NBTスーパーフライ級優勝を飾る。2019年にはフライ級タイトルマッチに挑戦。翔兵に敗れた。さらに同年12月、元KOP神酒龍一に判定負けを喫してしまう。
しかし、昨年10月、フライ級暫定王者決定戦に臨むが、過去2度勝っている小川徹に判定負け。ベルトを巻くことはできなかった。
引退も考えたが、パンクラス九州大会の開催を夢として復帰。若手の新星を相手に苦労人の意地を見せるか。
鶴屋は昨年DEEPでデビュー、3戦3勝で今年からパンクラスに参戦。
パラエストラネットワーク千葉代表の鶴屋浩を父に持ち、バックボーンはレスリング。高2でジュニアオリンピック2位、高3で2020年全国高校選抜大会フリースタイル60kg級で準優勝などの実績がある。
初参戦では1Rチョークスリーパーで3位の秋葉太樹からタップを奪い、ベルト獲りを口にした。パンクラスのベルトを獲り、UFC参戦の足がかりにしたいという。百戦錬磨のベテランを越えるか。
1R。ジャブを振る上田。距離を詰めていきなりタックルに入る鶴屋。速い! 腕を取りにいっている。
回って外した上田。しかし、鶴屋はバックを取り殴って首を狙う! 上田はまた外したが、鶴屋はカメになっている上田にパウンド。動けない上田。鶴屋がさらにパウンドを落とし続けるとレフェリーが止めた。
上田に何もさせず、鶴屋の完勝。
鶴屋は会場に来ていた猿飛流に呼びかけると、猿飛流がケージイン。鶴屋が対戦をアピールすると、猿飛流が受けた。
[鶴屋 ケージ上コメント]
「ちょっと長い試合になるかもしれないと思ってたんですけど、1Rで勝てて良かったです。
(マイクを受け取り)猿飛流選手、いますか?」
(猿飛流がケージイン)
鶴屋「12月、僕とベルトを懸けて闘いましょう」
猿飛流「お願いします」
鶴屋「(意気込みを問われ)そうですね、12月、横浜でクリスマスなんですけど、僕の試合、見に来てください」
第11試合
ライト級の正王者・久米鷹介の怪我のため、年内の防衛戦が難しい状況を鑑み、2位の松本光史と、昨年5月、松本に勝っているアキラで暫定王者決定戦を行うことが決定した。
元修斗ライト級王者・松本は、2019年10月、ONEで久米に判定負けを喫したことをきっかけに、久米へのリベンジを誓い、2020年、修斗の王座を捨ててパンクラスに参戦した。
初戦では上迫博仁に勝利したが、次戦でアキラにKO負け(2021年5月)。しかし、その後は松岡嵩志(昨年12月)、葛西和希(今年3月)に連勝中と波に乗る。
一方、アキラは2013年よりパンクラスに参戦。
直近では田村一聖(2020年10月)、松本(昨年5月)に勝利。昨年からはRIZINに出場し、阿部大治、鈴木琢仁に勝利している。
1R。松本はローから距離を詰めていく。しかし、アキラはパンチを打ちながら倒す。松本はケージまで移動し、ケージを使って立ちたい。
松本立った。アキラはパンチ。松本が片足タックルからケージへ。足をかけて倒したいが、アキラは離れる。
松本、右ハイキック。アキラはパンチで出るが、松本が蹴りから組んでケージへ押し込む。しかし離れた。
松本がインロー。効いた様子。アキラは飛び込んでボディ。さらに左右のフックで出る。松本もパンチを返す。
残り1分。アキラがパンチで出て倒しサイドに。首を狙うが終了。
ジャッジは三者10-9でアキラ。
2R。プレッシャーをかけるアキラ。パンチで出る。松本はロー、ジャブ。アキラがパンチで推していく。さらに左ハイキック、ジャブ。ケージへ押していくが離れる。
アキラ、ボディからのジャブ。松本はタックルに入れない。さらにアキラがパンチを出して終了。
ジャッジは2名が10-9アキラ、1名が10-9松本。
3R。松本がジャブ。アキラはフェイントをかけ左ハイキック! ケージへ押すが、松本はすぐに離れる。アキラのパンチがヒット、松本ダウン! 追撃に入ったアキラをレフェリーが止めた。
アキラがライト級暫定王者に。松本は久米へのリベンジが遠のいてしまった。
[アキラ ケージ上コメント]
「まだ正規じゃないので、これからもっと頑張ります。(意気込みを聞かれ)頑張ります!」
[アキラ 試合後コメント]
「いつもより動きが良かったかなと思います。石渡さんと取り組んできたことが間違ってないなっていうのがちょっと証明できました。でも、自分的には危ないシーンがちょっとあったと思うんで。松本選手のパンチを不用意にもらっちゃったり。効いてはいないですけど、ちょっともらってるシーンもあったので。あれがもし雑賀選手だったらKOされちゃってるし、そういうところも含めてもっと詰めて行って。久米さんは正規チャンピオンで強いんで、イバラの道ですけど、頑張ろうかなと思います。
(これからは追われる立場になるが)追われるとは思ってないです。一応、こうやって暫定王者というチャンスをいただいて獲ることができたんですけど、まだまだだと思ってるんで。みんなに負けないように、もっともっと強くなろうと思っています。
(石渡のセコンドも見事だったが)ドンピシャでハマりましたね。最後のストレートも、さすがです。試合中は、もう石渡さんの言うことしか聞いてないです(笑)。次までに、もっとレベルアップしてきます」
両者の対戦はこれが3度目になる。
1度目は2011年、修斗で判定1-1のドロー。2度目が2021年5月、パンクラスでアキラがKO勝ちを収めている。
タイトルマッチとなった3度目の邂逅で、アキラが完全決着をつけたと言っていいだろう。
(写真・文/佐佐木 澪)