「もう寿引退とかいいや。プロレスと結婚した!」15周年を迎えた岩谷麻優がGHC女子王座を防衛しプロレスと添い遂げる覚悟を叫ぶ

24日、東京都・後楽園ホールにて『MARIGOLD New Year Golden Garden 〜岩谷麻優デビュー15周年記念〜』が開催。岩谷麻優が15周年記念試合で林下詩美を破りGHC女子王座の初防衛に成功した。
岩谷は2011年のデビューから所属していたスターダムを昨年4月に退団し、その3日後にマリーゴールドに入団。同年5月の代々木大会でスターダム時代に岩谷に師事していたビクトリア弓月を下して第3代スーパーフライ級王座を戴冠し、“女子プロレス界のアイコン”としてマリーゴールドの新たな顔となった。
GHC女子王座は、NOAHの大会ブランドの1つである『MONDAY MAGIC』で2024年10月に創設。初代王座にはマリーゴールドの天麗皇希が就くも、初防衛に成功した試合で左膝前十字靭帯断裂の怪我を負って長期欠場へ。
皇希は結果的に約5ヶ月欠場していたが、王座は返上せず保持したまま。これを「ベルトが輝いていない」と批判していた彩羽匠が皇希を下して2代目王者に。彩羽はマリーゴールドに乗り込んで防衛戦を行うなどCyberFightと縁が深い女子団体の中で争われている王座となっていき、今年1月3日の大田区総合体育館大会で岩谷が彩羽との激戦を制して同王座を奪取。
その後には詩美が岩谷のデビュー15周年記念試合での相手を名乗り出るとともにGHC女子王座もかけるよう要求。詩美とは試合をしたがるものの王座戦には消極的な岩谷だったが、焦れた詩美が王座の実行委員に直訴する形で『MONDAY MAGIC』に乱入し半ば強引に王座戦を決定した。
そんなコミカルな経緯もあって決定した王座戦であったが、詩美は岩谷との一戦に強い思いを抱いていた。旗揚げ前からマリーゴールドのエースになることを嘱望され、それに応えようとしてきた詩美だったが、その重圧は相当なものだった様子。
今王座戦前の記者会見で詩美は「岩谷麻優が……麻優さんが(マリーゴールドに)来てくれて、自分は自分らしくいられるようになりました。岩谷麻優が来てくれて、団体としてもだけど、私は選手としても個人としても本当に救われました。どんなことも、どんな私もぶつけて良い相手だと思っているので、私のすべてを受け止めてもらいます」と涙をこぼしながら岩谷への愛を語り、これを聞いた岩谷も涙するという2人の間の信頼関係が垣間見える光景に一緒に涙するファンも多かった。
メインイベント実施前には、岩谷の15周年記念セレモニーが実施。
岩谷と親交が深いモノマネ芸人の木村たいぞうさん&ななみななさん、岩谷の同期としてデビューしたOGである美闘陽子さん、かつて岩谷と【たわしーず】を組んでいたOGの脇澤美穂さん、マリーゴールドのOGである高橋奈七永さん、昨年末にGHC王座をかけて争いあったライバルでもあるMarvelousの彩羽匠が登場して花束を贈呈。
会場が多幸感に満ちた空気で満たされる中、セレモニー終了後には何か覚悟を固めたように口を引き結んだ詩美が入場してくる。
岩谷の選手コール時には特別に紙テープの投げ入れが許されており、岩谷は大量に舞う紙テープをぐるぐる回りながら受け止めるも足に絡まって取れなくなってしまい、セコンドに外してもらって満面の苦笑いを浮かべるという“らしさ”を見せ、真剣な表情の詩美とのコントラストが映える光景が広がる。

試合前には両者微笑みながら握手を交わすが、ゴングが鳴った瞬間に岩谷が突っ込んでいって串刺しドロップキックからドラゴン・スープレックスを狙う。詩美が振り払うと、岩谷はエルボーバッドからコルバタ、ロープ貫通ドロップキックで場外に叩き出してからのトペ・スイシーダを狙うが、詩美が素早くリングに戻ってカウンターのドロップキック。
その後は詩美がパワーを活かした猛攻と、岩谷を知り尽くしているが故の先読みカウンターで圧倒。しかし、岩谷の持ち味はボロボロになるまでやられたあとに発揮される“ゾンビ”ぶり。
エプロン上の攻防でハイキックを見舞い、奈落式コルバタで場外に放り出してからのトペ・スイシーダ。さらに岩谷はミサイルキック、ダイビング・フットスタンプと連撃し「まだまだ行くぞ!」と咆哮しながらコーナーに上ってフロッグ・スプラッシュ。
詩美も負けじと延髄ラリアットからコウモリ吊り落とし。さらに必殺のCrusade(※ハイジャック・ボム)を狙うが、岩谷が着地してトラースキックからドラゴンズ・レイを決め、再びドラゴン・スープレックスを狙う。これを振り払った詩美がCrusadeを完璧に決めてみせるもカウントは2。
これを返してゆらりと起き上がったときの岩谷は目は完全に据わっており、投げっぱなしドラゴン・スープレックスからトラースキックで起き攻め。さらにバズソーキックから「終わらせるぞッ!」と叫んで二段式ドラゴン・スープレックス・ホールド。これで3カウントが叩かれた。
マイクを取った岩谷は「後楽園ホールにお越しのみなさ~ん!こんばんは~!お越しいただきまして、本当にありがとうございます!詩美、15周年っていうスゴいプレッシャーのある中で、麻優と闘ってくれてありがとう!詩美がこのマリーゴールドのリングにいてくれて良かった。今まで自分にとって、色んなライバルがいたけど、今のライバルは彩羽匠、そして林下詩美。この2人が自分にとって最大のライバルだなと思います。今日は麻優が勝ったけど、次は……まあ、次も勝つわ!麻優が来るまで色んなプレッシャーとか、重圧とか抱えてたものがあると思うけど、これからは麻優もいるから!2人で!いや、みんなで!いろんな困難を乗り越えて、もっともっと『マリーゴールドにいて良かった』って思える思い出を一緒に作っていきたいです。これからもよろしくお願いします!」と詩美に寄り添う温かいマイク。
なお、その後には「色々と、本当に、本当にお騒がせしてすみませんでした……。すべてロッシーが悪いッ!(笑)……いや、ホントにね?笑い事じゃないんだけどね?」と今大会前に重なったゴタゴタについて謝罪した。
今大会前には、マリーゴールドがグッズとして出した岩谷麻優の15周年記念カードと思われる商品に対してスターダムが“他社より過去の当社所属選手の肖像を利用したカード商品が、製造・販売”されていることについて警告を発したり、今大会でグッズとして発売予定であった酒類の販売が直前に中止になったり、某スロットシリーズの特徴的なロゴに酷似したロゴを使う某選手のグッズが今大会直前に販売が中止され急遽コスチューム変更が行われたりと、様々な権利関係で色々なゴタゴタがあった。
旗揚げ時には、ロッシー小川が「2025年は昭和100年」と発言し古き良き昭和の空気を引き継いでいくことを感じさせる言葉を残した。これはかつてブシロードの木谷高明オーナーから受けた「昭和のやり方。時代は平成すら終わってるんですよ」という叱責へのアンサーと思われるが、権利関係などの常識は令和基準にアップデートし、選手に謝らせるのではなく自らが頭を下げるという姿勢は今後の会社組織には必要になるだろう。

明るく大会を締めた岩谷は、バックステージに戻ると「15周年、無事に迎えることが出来ました!15周年、プロレス、ホントに、長い事もう勉強もなにもかも中途半端で、イヤなことがあったら逃げ続けて。そんな自分がプロレスで15年間続けることが出来ました。本当にみなさんが応援してくれたからです。ありがとうございます」と感謝の言葉を述べ、セレモニーに様々なゲストが来てくれたことや、観衆から起こった大・麻優コールへの喜びを語る。
そして「改めて、このメンバーで今日を迎えること、それは色んな、こういう(入り組んだ)道があったけども、これはこれですごい素敵な道だなと思いました。あぁ、15周年を迎えていろんなインタビューとかで『20周年は迎えられないと思う』とか言ったり、みんなは『あれ?引退しちゃうのかな?』とか不安に思った部分もあっただろうけど、麻優はプロレスが大好きです!これからもプロレスとともに歩んでいきたい。もう32歳。来月33歳になるけど、20年後?あと5年やったとして、37歳か8歳?もう寿引退とかいいや。プロレスと結婚した!プロレスとともに歩んでいく!その人生を麻優は悔いなく正解の道にしていく!」とプロレスとの結婚生活をエンジョイし続ける思いを語った。
最後に詩美に対して「詩美は強かった。本当に強かった。この離れてた1年半、本当に詩美は色んなプレッシャー、重圧に耐えてたと思うけど、これからはみんなで一緒に色んな覚悟を分散して、みんなで分けっこして、色んな困難を乗り越えていこうね」と温かいメッセージを贈った。
一方、詩美は岩谷の15周年記念試合の相手を務めたことの喜びや誇りを語りつつ「自分はずっと、マリーゴールドに来て、そのときいなかった岩谷麻優の姿を追いかけていました。岩谷麻優になりたくて。でもやっぱ岩谷麻優、私にはなれないなと思いました。全然敵わないです。岩谷麻優になりたかったけど、なれなかった。でも岩谷麻優に出会えたことは本当に嬉しいです。私の財産だなって思います。もっといっぱい甘えさせてもらいます。麻優さんに甘えさせてもらって、まだまだ妹として、林下詩美、楽しませてもらいます」と胸中を吐露。重圧から解放された詩美がさらなる飛躍を見せ、かつて“なれなかったもの”になっていく選手となることを期待したい。
















