気が狂ったお坊さんが外国人から奪ったカメラでプロレスラーをぶん殴る珍事件が発生!

1日、東京都・新宿三丁目末広通りプロレス広場にて『アクロバトル商店会フェス 2025』が開催された。
本イベントの基となったのは、新宿三丁目の末広通り商店会(新宿区)が商店街活性イベントの一環として公道にリングを立てて行っているオールスタンディング形式かつ観戦無料のプロレス大会。
こうしたイベントを約10年に渡って定期的に続けてきた草の根運動が評価され、2022年から商店街振興のための東京都の事業としても商店会プロレスを継続的に開催。2022年&2023年にはこのプロレス祭りの輪を広げて行くべく、たかの台地区商店会(小平市)、東久留米駅前商店会(東久留米市)を合わせた3つの商店会でタッグを結成したイベント『闘強商店会プロレス』を実施した。
2024年には『演芸とプロレスのエキサイティング笑店会フェスティバル』が開催され、今年は『アクロバトル商店会フェス 2025』の名で開催。今年は巣鴨大鳥神社商店街(豊島区)、末広通り商店会(新宿区)、文京ガーデンテナント会(文京区)の3商店会が参加した。
昨年は“プロレスと演芸は日本の伝統文化”と位置付け、力道山世代の祖父母から孫世代へ文化の継承をテーマに実施。今年は大道芸とプロレスをメインに据えて商店街振興と文化伝承を兼ねたイベントとして行われている。

イベント開始前にはお手玉教室が開催され、ジャグラーとして著名なストレート松浦が来街客をリングに上げて技術を伝授。
さらに大道芸コーナーとなると、まずはスコットランドやオーストラリアなどでも活躍する自称“ゴールデンボンバー非公認大道芸人”東雲ゴールドさんが登場。プリングルスの筒を3つ縦にのせた状態でテーブルクロス引きを見事成功させるなどジャグリングの妙技を見せる。
2人目は沢入国際サーカス学校を卒業し、帽子やホウキなど身近なものでジャグリングをしながら国内外問わず活躍するクラウン・サクノキさん。お客さんから帽子を投げ入れられてキャッチするパフォーマンスや、持ち込んだ巨大な金属製フレームをパンツ一丁になるながら自分の頭に乗せて回転させるといった豪快な芸を披露。
トリを務めたのは、お手玉教室にも登場した“日本一多忙な大道芸人”ストレート松浦さん。ディアボロ(コマ)の技を披露し、お手玉からシガーボックス、さらに王道のザル回しから桶回し、さらに巨大な桶回しで盛り上げた。
大道芸のあとにはプロレスの試合が3試合行われたが、特に会場で盛り上がりを見せていたのは第2試合のマスクドミステリー&定アキラ&阿部史典vs【黒帯軍団】バナナ千賀&塚本拓海&KURO-OBIの6人タッグマッチ。
この試合で最も注目を見せたのは、お祭り男の阿部。阿部は浄土宗僧侶の資格を持つお坊さん兼プロレスラーという稀有な経歴を持っている。

阿部は入場時に駆け寄ってきた外国人観光客へ「This is WWE!」と嘘八百を伝えながらノリノリでリングイン。
試合は、黒帯軍団が自身の腰に締めていた黒帯を武器に序盤から大暴れし場外戦へと発展。そんな中、阿部は長い自撮り棒を使って試合風景を撮影していた外国人観光客に目をつけると、そのカメラを奪って凶器として使用するという国際問題スレスレの反則攻撃。しかし、その後に阿部が謝りながらカメラを返却しに行くと当の本人は大喜びの様子だった。
その後はすったもんだの末にミステリーがKURO-OBIを暗闇脳天落とし(※ツームストーン・パイルドライバー)で突き刺して3カウント。

この試合を経て観客も照れがなくなったのかメインイベントが始まるとひときわ大きな歓声が飛ぶようになり、当の外国人観光客グループもWWEの会場でよく聞くようなチャントで選手たちを鼓舞。大会終了後にはそれぞれ気に入った選手に声をかけて一緒に写真を撮るというほほえましい風景が見られた。
新宿三丁目での路上プロレスは、その土地柄もあり観衆の半数近くが外国人観光客となりがちだ。“正しいプロレス”というものは存在しないが、その場にいる人達が一番楽しめるものを提供したという意味ではこの大会は“正しい”ものであったと言えるだろう。

毎年の恒例行事となりつつある本イベントは各所から好意的な反応が起きており、毎年複数の商店街から「来年以降にウチでも出来ないか」と問い合わせが来ているという。この輪が広がっていけば、全国各地の商店街でいつもプロレスが見られる光景が広がる未来もあるかもしれない。
“プロレスで町興し”というのはよく聞くテーマだが、現代日本においてプロレスに興味の有る人と無い人とでは残念ながら後者のほうが圧倒的に多い。大道芸やお笑い、身の回りの安全対策といった関心を持ちやすいものと掛け合わせることでプロレスもより浸透し、老若男女から隔てなく愛されるコンテンツに返り咲くことが出来るかもしれない。その第一歩となり得るこうした小さな試みにも注目していきたい。
















