ササダンゴvs矢野通の『DDT×新日本~一面対抗戦』は棚橋弘至&YOHが電撃参戦!髙木三四郎も一日限定復帰で大団円で幕!「新日本とDDT、もっと力を合わせてもいいんではないでしょうか?」

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 前代未聞の『DDTプロレス×新日本プロレス 一面対抗戦〜スーパー・ササダンゴ・マシンvs矢野通〜』のワンマッチ興行(一面対抗戦実行委員会主催)が6月9日、東京・後楽園ホールで開催された。新日本の棚橋弘至、YOHが電撃参戦し、無期限休業中の髙木三四郎も一日限定復帰を果たし、大団円で幕を閉じた。

 今大会の発端となったのがDDTの2015年8月23日の両国国技館大会。ここで、棚橋弘至がHARASHIMAとの一騎打ちでフォール勝ち。試合後、棚橋は「全団体、横一列で見てもらったら困る」と辛らつなコメントを残し、これを機に両団体の関係が急速に悪化。ササダンゴも「腸が煮えくり返るほどの怒りと悲しさ」を覚えたという。

 そこで、HARASHIMA、DDTの名誉回復、両団体にできた溝を埋めるため、『意識高い系レスラー』のササダンゴ、大家健、男色ディーノが「自主興行で棚橋選手をオファーしよう」と思いつく。そして、2015年11月17日、後楽園での『#大家帝国主催興行』で、HARASHIMA&大家vs棚橋&小松洋平(現YOH)がマッチアップされ、HARASHIMAが小松から3カウントを奪い、DDTが一矢報いた。試合後、棚橋がササダンゴの代名詞であるパワポでHARASHIMA、DDTファンに両国でのコメントを謝罪し、『ハッピーエンドな結末』を迎えたが、ササダンゴが丸く収めてしまったため、両団体の交流は長年途絶えた。

 この事態に矢野が「何で新日本が負けたままで終わるんだよ」と激怒したとされる。それを知ったササダンゴは昨年6月26日の新宿FACE大会で、矢野に招待券を渡して呼び寄せ、矢野との一騎打ちに持ち込んだが敗退。『アイデア』『発想力』『瞬間的なプロレス頭』、そのすべてにおいて、他団体の選手に完敗したと思ったのは初めてだった。幸い両団体の交流は2022年9月の「秋山準デビュー30周年記念興行」に永田裕志、金丸義信が参戦したあたりから徐々に再開し、現在では完全に回復。ここを絶好のタイミングと判断したササダンゴは矢野との雪辱戦を画策したが、「全面対抗戦はリスクが大きすぎるので、局地的、部分的に行うプロレス業界初の団体対抗戦」ということで『一面対抗戦』とすることになった。

 「一面」とはいえ、対抗戦であることに変わりはなく、PPV生配信も、CyberFightの『WRESTLE UNIVERSE』と新日本の『NJPW WORLD』がそれぞれ別に撮影し、実況、解説、ゲストも別の人物を用意して対抗。レフェリーは交代制、リングアナも状況に応じて役割分担されることになった。


 ワンマッチ興行とあって、いきなりメインイベントとして、ササダンゴvs矢野が開戦。矢野が袋を手渡すと、その中にパウダーが入っており、ササダンゴがそれを顔に浴び、矢野が丸め込むもカウントは2。エルボー、チョップ合戦から場外戦になると、バックステージのエレベーターで乱闘。矢野がDDTにはない鉄柵にササダンゴをぶつけると、スペシャルセコンドボーイの須見和馬が阻止。怒った新日本側のセコンドの永井大貴と乱闘に発展。ササダンゴ、矢野の提案で急きょ須見vs永井のエキシビションマッチ(3分)に突入。両者は激しいエルボー、チョップの打ち合いで、あっという間に3分が経過。さらに5分間の延長戦となり、今度はレスリングの攻防、須見がドロップキックを見舞えば、永井は逆エビ固めで絞り上げるもタイムアップ。

 ここで、ササダンゴが「こんな雰囲気のリングでできるわけない。我々いったんはけて、気持ちを作り直させていただきたい」と発言し、矢野も同意し、一時休戦になった。


 その間にインフォメーションコーナーとなり、アントーニオ本多、YOHが登場。当初は本多の『創作昔話ごんぎつね』を拒絶していたYOHだが、最終的にはYOHも一緒に『ごんぎつね』を繰り広げ、平和な雰囲気で終了。

 ササダンゴが戻って来ると、“煽りパワーポイント”を開始し、自身が保持するDDT EXTREME王座を懸けると言い出す。王者が指定できる試合形式は『矢野通が絶対負けられないルール』として、相手側のコーナーマットを外してフォールして3カウントを奪えば勝ちとなる『コーナーマット・オン・ザ・マットルール』を提案。矢野が再入場して、タイトルマッチとして試合が再開。


 矢野が早々に相手側のマットを外し、ササダンゴを殴打。自分側のマットを外すとリング下に隠す。矢野のマットフォールをなんとか阻止したササダンゴはリング下から矢野側のマットを探し出して、マットチャンバラ。ストロングスタイルでの戦いになるも、矢野はササダンゴをコーナーにテープでグルグル巻きにして固定。大ピンチになったササダンゴだが、試合はスローモーションに。続いて倍速となり、窮地のササダンゴを彰人、本多が入って救出し、1vs3の展開。ダウンした矢野の元にYOHが駆け寄ると、ササダンゴが「YOHさんは10年前の借りを返してない」と発言。YOHは「僕だけスッキリしていない」とポツリ。

 ササダンゴは「棚橋さんは#大家帝国主催興行の試合後のコメントで、“小松は絶対にスターになる。スターになったら、またDDTさん呼んでください。俺がスターにしますから”と言ったんです。それから10年間、棚橋さん、そのような気配がなく。YOHさんのDDTへのリベンジ忘れて…。棚橋さん何とかならないですかね?」と言うと、矢野は「芸人さんとYouTubeで対談があるって。確か南海キャンディーズの山里亮太さんじゃなかったかな」と情報提供。ササダンゴは「たまたまなんですけど、山里さんと棚橋さんに対談してほしくて、吉本興業を通じて新日本さんにオファーしてるんです。棚橋さんのスケジュール、我々が拘束してるんです。その対談の場所が、ここの3階の後楽園飯店なんです」と言い出す。ここで後楽園飯店の映像がビジョンに映し出される。ファンの『大棚橋コール』を聞いた棚橋は5階に上がって、後楽園ホールにまさかの登場。ここで山里の「YOH選手をスターにするための方法についての考察」をテーマにしたパワポがスタート。『一夜にしてスターになる方法』として、『全面対抗戦で勝利すること』を提案。「3vs3のプチ全面対抗戦をやりましょう!」との声掛けで、ササダンゴ&彰人&本多vs棚橋&矢野&YOHによるDDTvs新日本の『プチ全面対抗戦』が急きょ行われることになった。


 改めて入場からやり直して、『プチ全面対抗戦』が開戦。まずは彰人とYOHがレスリング勝負。棚橋と本多、ササダンゴという異色対決も実現。矢野はコーナーマットを外してササダンゴを金具むき出しのコーナーにぶつける。彰人、本多が奮闘し、ササダンゴが棚橋に垂直落下式リーマンショックもカウントは2。棚橋がササダンゴにスリングブレイド。YOHがササダンゴにトラースキック連発から勝負を決めようとすると、棚橋が強引にタッチして入り、ハイフライフローで3カウントを奪ってしまう。

 ササダンゴは「せっかく全面対抗戦やってるのに、何で上から棚橋弘至が降って来るの。新日本なんて信用するか! もうDDTと絶交で~す!」と激怒。ここで『元マッスル総合演出家』の鶴見亜門がリングイン。現在、鶴見はプロレスの認知度向上や、プロレス団体間の平和をプロレス界全体、世界全体で考える『世界プロレスリング連合』の専務理事をやっているという。DDTと新日本がもめていることに重大なペナルティを課すため、この6人を連帯責任として、世界プロレス連合プロレス平和維持軍の派遣を宣言。そして、平和維持軍として、HARASHIMA、MAO、大鷲透、大家健、石川修司、さらに髙木が1日限定復帰でリングインした。


 もはや完全なカオス状態のなかで、DDT&新日本連合軍の6選手が世界プロレス連合平和維持軍と全面対決。のっけから大場外戦となり、髙木と棚橋も激しくやり合う。場外戦は延々続くが、12選手がカウント19でリングに戻る。MAOが棚橋に掟破りのスリングブレイド。“怖い”大鷲はYOHにチョップ、ボディプレス。HARASHIMAと棚橋はエルボー合戦。HARASHIMAが棚橋にミドルキック3連発を見舞えば、棚橋はドラゴンスクリュー、テキサスクローバーホールドもエスケープ。YOHがHARASHIMAにファルコンアローを繰り出せば、HARASHIMAはリバース・フランケンシュタイナーで逆襲。髙木はYOHにクロスチョップ、次々にストーンコールド・スタナーでなぎ倒す。本多がごんぎつねを決めていくと、棚橋が石川にまさかのごんぎつね。YOHが高木にトラースキックを叩き込むと、再び棚橋が強引にタッチしてスリングブレイド。ここで我を取り戻した棚橋はYOHにタッチ。YOHは蒼魔刀からドラゴン・スープレックス・ホールドで3カウントを奪い、全面対抗戦で勝利した。

 高木が「棚橋選手、矢野さん。いい選手じゃないですか、YOH選手! 俺から勝ったというのはどういう意味か分かってるか? 対抗戦、てめえの勝ちだ。でもな、俺から勝っただけだ。DDTの芯は折れちゃいない。だから何年経っても10年経ってもこの戦いは続く。おまえ、スーパースターになってくれよ!」とYOHにエール。

 ササダンゴは「DDT両国大会に棚橋選手をブッキングしたのも、そもそもDDTを作ったすべての諸悪の根源が髙木三四郎なんです。すべての元凶のクビを獲っていただきありがとうございました。棚橋さん、最後YOHさんにタッチしたのに涙が出ました。いい大人になりましたね」と発言。

 棚橋は「ありがたきお言葉いただきました。10年かけて大人になりました。社長として多くの価値観を理解できるようになりました。これから、新日本プロレスとDDT、もっと力を合わせてもいいんではないでしょうか? もっと一緒にプロレスを盛り上げていきましょう」と呼び掛けた。

 YOHは「私、キャリア13年にして少しスターになれた気がします。本当のスターになれるよう、これからもプロレスを頑張っていきたいと思います。俺がプロレス界を…」と叫ぼうとすると、矢野がマイクを奪い「俺とササダンゴのシングルマッチ、終わってないじゃないか。YOHが髙木三四郎から3カウントを獲った今、私たちが戦う意味があるのか? ないだろう。提案がある。全員がリングを降りたそのときから、お集りの皆さん、20カウント数えてほしい。つまり両者リングアウトで終わらせたいと思います」と提起。

 すると全選手がリングを降り、レフェリー、ファンが20カウントを数え、ササダンゴと矢野の一面対抗戦はドローとなった。


 感極まったササダンゴは「あなたたちほど、全プロレス団体、全レスラーにリスペクトを持って接してくれる人たちを私は知りませんでした。ありがとうございました」と感謝の弁。矢野は「涙は出ませんが、気持ちは泣いてます。今日こうやって皆さんとリングで会えてよかったです。一面対抗戦、最高でした」と満足した様子。

最後はササダンゴの案で、全員で「スリー、ツー、ワン、愛して~、マッスル!マッスル!」と唱和して大団円で一面対抗戦を終えた。

 バックステージでササダンゴと矢野は揃ってコメント。矢野が「ありがとうございました。2時間戦ったの初めてですね」と言えば、ササダンゴは「新日本とDDTの関係がこれで一区切りついたんじゃないかなと。一面と言いながら多面的な部分で競い合えて…。6時半の前説からずっと夢みたいな空間が続いていました。このメンバーでこんな興行ができるようになるなんて10年前、いや僕がプロレス業界に入って25年経って、本当に想像つかなかったし、そういう人生が待ってるなんて想像もできませんでした。いろいろな夢を叶えてくれた矢野さん、本当にありがとうございました」と感無量の様子。

 髙木は「10年前、本当はもっと前ですね。2000年代から新日本とDDTは始まっていて、たぶん2000年頭ぐらいのライオンズロードとかで。やっぱり業界の盟主だったし、あの時、我々もまだまだ力及ばずでした。10年、20年経って、もちろん横一列になったとも思っていないし。我々はまだまだ下から追い上げていく方が似合うし、新日本にはドーンと業界の盟主でいてくれないと困るし。でも、これだけの熱量を生んだってことは今日間違いない。それは本当に20年前があって、10年、今と新日本、DDTの歴史がクロスオーバーした、その熱量なんだろうなと思います。これがまた何年かして、また新たな話ができるかもしれないし。KONOSUKE TAKESHITA、3団体所属だし、MAOもBEST OF THE SUPER Jr.出たし。めちゃくちゃやったけど、あれ見てこのヤローって思う選手は絶対いると思うし、思わなきゃウソだと思うし。今日俺が負けたことでクソーって思ってるDDTの選手だっているだろうし。そういうものがいろいろ積み重なって、また新たなうねりを作ればいいんじゃないですか。私個人なんですけど、正直、鶴見亜門GMから話が来たのが直前だったんで。医者から簡単な運動だったらしていいですよと言われてた状態なんでね。でも自分で動いてて思ったけど、いけるなと思ったんでね。ひょっとしたら、そう遠くないうちに皆さんの前に姿を現すかもしれない。もうちょっと体を整えてからやると思いますんで、その時をお楽しみにしてもらえればと思います」と語った。

 棚橋は「もう10年経ったんだって思いと、あの時の心のひりつきっていうのが今でも本当に手に取るように思い出せて。今こうして新日本を預かることになって、一選手として何でも言ってた自分ってのがいたんだけど。本来であれば、ずっと背負っていかなきゃいけないことなのかもしれないことなんですけど、10年経って、DDTの皆さんに心を救われました。より遠くのものを見て、社長になって、いろんな立場の人、思慮が深くなるというか。でもこうして引退まで残り半年のこのタイミングであっても、今回この大会ができたことが僕にとってうれしいし、贖罪とは思いませんが、本当に皆さんの愛で今回、僕の心は救われました」とコメントした。

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