ガンを克服したプロレスラーが53周年の大舞台で王座防衛!「観客がこのタイトルのために大会に足を運ぶようなベルトに」

6日、東京都・大田区総合体育館にて新日本プロレス『旗揚げ記念日』が開催。エル・ファンタズモ(ELP)がオープンチャレンジ形式でNJPW WORLD認定TV王座の3度目の防衛に成功した。
NJPW WORLD認定TV王座とは、長年新日本プロレスを中継してきたテレビ朝日の提案によって企画され、『テレビ朝日とのパートナーシップを象徴する王座・ベルト』として2022年に創設。15分1本勝負にて行い、若手にもチャンスを与え、これまでタイトルマッチをあまり行ってこなかった地方大会でのマッチメイクを中心に考えていくプランが語られていた。
現王者のELPはイギリスではウィル・オスプレイのライバルとして知られ、2019年に新日本プロレスに登場。ジュニアヘビー級の第一線で活躍すると同時にBULLET CLUBの一員として悪の限りを尽くしてきたが、追放されてベビーターン。ヘビー級に転向し、ヒクレオとともにIWGPタッグ王座&STRONG無差別級タッグ王座戴冠を果たすなど実績を残してきた。
そんなELPだが、昨年10月には検査でガンが発見されたことを報告し無期限休養。世界中から心配の声が集まる中、同年12月に「ガンは克服された」という宣言とともに電撃復帰。その翌月となる今年1月には4WAYマッチでのNJPW WORLD認定TV王座戴冠を果たし、ガンを克服しての大復活劇を遂げてみせた。
王者としてのELPはまさにヒーロー。入退場時に積極的にちびっこファンと触れ合い、ベルトをかけて一緒に写真撮影に応じるなどの振る舞いでピープルズ・チャンピオンとなっている。
この日、ELPはオープンチャレンジ形式でのTV王座戦を実施。
リング上で「若い選手でも年寄りの選手でもいいんだぜ?」と挑戦者を公開募集すると、セコンドとして一緒にリングに上っていた邪道が「俺がチャレンジしてやろうか?」と乗り気になる。そんな中でマスター・ワトが入場し、ELPと対峙。
序盤はじっくりとしたグラウンドに始まるも、ワトがいきなりベンダバールを狙うなどスリリングな攻防が展開。
ティヘラの応酬を制したワトがノータッチ・トペ・コンヒーロ、スワンダイブ式エルボースマッシュと身軽な飛び技で猛攻をかけるが、空中戦はELPも大得意。「E!L!P!」とポーズを決めてから場外へのムーンサルト・アタック、セントーン・アトミコからのライオンサルトと空を舞って返礼。
ELPがCR IIIを狙うが、ワトが十字架固めで切り替えしつつレシエントメンテ。さらに丸め込みで翻弄してからベンダバールと続けるもELPが必死のブレイク。
ワトが通天閣ジャーマンからRPPを狙うが、ファンタズモが地対空ハイキックで動きを止めて雪崩式フランケンシュタイナー。立て続けにサンダーキス'86を見舞って3カウントを奪った。

試合後には2人で握手を交わし、2人並んで座礼しつつリングマット中央のライオンマークにキス。最上級の愛を込めて新日本プロレス旗揚げ記念日を祝福。
退場際には応援してくれたちびっこにベルトを手渡し、微笑みを投げかけて去っていった。
試合を終えたELPは「新日本プロレスがどれだけ古いかは重要じゃない。53年間、ここがプロレスのあるべき基準となっている。俺が他の場所じゃなくここにいるのは、俺がここにいたいからだ。俺はこのベルトをできる限り長く保持したい。なぜならこのベルトには何か特別な意味があるかもしれないからだ。様々なスタイルを披露できるだろう。『WRESTLE KINGDOM』の4WAYマッチで俺が何をしたか見ただろう。オリンピック選手の怪物に対し、俺が何をしたか見ただろう。そして今日は、ジュニアヘビー級の頂点に立つレスラーを前に俺が何をできるかを見た。俺はこの地球上で最も多才なレスラーの一人であり、このベルトをワクワクするものにしたいと思っている。このベルトを、観客がこのタイトルのために大会に足を運ぶような、YouTubeで自由に観たくなるようなものにしたい」とTV王座への誇りと展望を熱弁した。