急性硬膜下血腫に倒れプロレスラーの道を諦めた若者がチャンピオンとして恩人相手に感謝の防衛
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15日、東京都・新木場1stRINGにてTTTプロレスリング『PROGRESS 1』が開催。【神橋】神崎ユウキ&橋之介が新納刃&翔太を下してインディー統一タッグ王座の2度目の防衛に成功した。
TTTプロレスリングは、故・ターザン後藤さんが掲げた“インディー統一”の遺志を受け継ぐガッツ石島が旗揚げした団体。90年代インディーの空気を色濃く残したディープなメンバーが参戦しており、令和最新型の“平成”を創り上げている。
2020年1月に旗揚げしたTTTは旗揚げ直後にコロナ禍に見舞われ、いきなり興行が出来なくなり解散の危機に瀕するという波乱の立ち上がりを見せる。
しかし、TTTは同じくコロナ禍にあえぐ地元商店街とタッグを結成し、商店街振興のためのプロレスイベントを継続的に行うといった草の根運動で支持を拡大。この活動は行政にも認められ、東京都の商店街振興事業の一環として多数の商店街と合同で行われるようになるなど社会から高く評価。昨年12月には初の後楽園ホール進出を果たすなど順調に成長を続けている。
そんなTTTでインディー統一タッグ王座を戴冠しているのは、【神橋】神崎ユウキ&橋之介。
神崎はかつて山本喧一に師事してMMAを学び、その後は大分のローカルインディー団体(FTO)を経て全日本プロレスの練習生に。デビュー戦の日程まで決定していたが急性硬膜下血腫で倒れてデビューが流れ、プロレスラーの道を断念して退団。俳優に転向した後にMAKAIでプロレスと再び出会い、プロレスラーとして復帰を果たすことが出来た。
この日、神橋は新納刃&翔太を相手に2度目の防衛戦を実施。
刃&翔太はMAKAIと縁が深く、神崎にとっては恩人相手の防衛戦。現在の“プロレスラー”としての強さを見せることが恩返しとなる一戦であり、神崎にとっては絶対に負けられない試合だった。
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試合開始直後に刃がバズソーキックからランヒェイ、翔太がフロッグ・スプラッシュと猛攻。さらに翔太がシャープシューターで捕らえる中、刃がスワンダイブ式ボディプレスからクリップラー・クロスフェイス。ゴングからわずか1分の間に情け容赦無い連撃が神崎を襲う。
ベテラン2人の妙技に終盤まで一貫して苦戦を強いられた神崎だったが、橋之介の献身的なサポートで逆転の糸口を掴む。橋之介のスワントーン・ボムから神崎のフロッグ・スプラッシュと必殺技の競演を見せて窮地を脱し、最後は神崎と翔太の対面に。
翔太は多彩な丸め込み技で神崎を翻弄していくが、神崎も敢えて翔太の土俵に上がって丸め込みで対抗。ロープに飛んでのドッグファイトを展開していく中、一瞬の隙を突いた神崎が電光石火で丸め込んで3カウントを奪った。
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刃&翔太が神崎を抱き締めてから手を掲げて勝利をたたえると、神崎の目にはうっすらと涙。
神崎は「応援ありがとうございました!この試合前に過去を色々語ったんですけど、僕は今プロレスラーなんで上だけ向いて突っ走っていきます!応援お願いします!」と叫び、“インディー統一”という大願成就への決意を新たにした。