【インタビュー】4ヶ月ぶりに興行再開のTTTでシングル戦を行う佐山駿介とガッツ石島が意気込みを語る!「コロナでダメになった分をこれから全力疾走で取り戻していきます!」
7月4日に約4ヶ月ぶりに興行を再開するTTTの佐山駿介とガッツ石島のインタビューが行われた。
TTT(TOTAL TRIUMPH TEAM)とは、ターザン後藤に薫陶を受け、ミスター雁之助を師に持つ黎明期インディープロレスの後継者的存在であるガッツ石島が今年1月に“インディープロレス統一”を掲げて旗揚げした新団体。
しかし、旗揚げ1ヶ月あまりで新型コロナウイルスの流行拡散による興行自粛を強いられて出鼻をくじかれた形になり、臥薪嘗胆の上半期を過ごしてきた。
そして、エースのTORUも今大会は負傷欠場となりTTTは窮地に立たされるが、これを受けて団体随一の成長株であり、次期エースと目される佐山駿介が奮い立った。
佐山はTAJIRIに憧れてプロレスラーを志し、パンクラスP's LAB横浜で総合格闘技の素養を培ってからWNCの血を引くASUKA PROJECTで高校3年生ながらデビューを飾る。総合仕込みの鋭い蹴りや巧みなグラウンドテクニックには定評があり、フリーとなった2019年には年間135試合に出場する業界随一の売れっ子選手に成長した。
約4ヶ月ぶりの大会のメインイベンターを託され、ノンタイトル戦ながらCCW認定カナディアンヘビー級王座を持つガッツとのシングルマッチに臨む佐山の話を聞いた。
――まず、なぜプロレスラーになろうと思ったのか教えていただけますか
佐山「僕は元々WWEとかの海外のプロレスを見ていて、ずっと見てるうちに『海外で活躍する日本人って誰かいるのかな』って気になって色々調べて昔の映像を探していたらTAJIRIさんの存在を知って、TAJIRIさんのファイトスタイルに夢中になりました。TAJIRIさんに憧れて『自分もプロレスラーを目指したい!』と思いました」
――デビュー前にPANCRASE道場に通っていたとのことですが、それはプロレスラーになるため?
佐山「はい!プロレスラーになろうと思ったときに、なにか下地になるものがあったほうが絶対いいと思ったので自分なりに考えたんですけど、『総合格闘技ってプロレスラーの人もいるよな』と思って、家の近くにあった道場(パンクラスP's LAB横浜)にプロレスラーの人も来ているという話を聞いて通い始めました」
――PANCRASE道場で総合格闘技を学ぶのに、目指す先はTAJIRI選手のようなアメリカンプロレスだったんですね
佐山「元々総合格闘技とかキックボクシングはすごく好きだったので、もちろんそれもあります(笑)プロレスラーになりたいという気持ちとはまた別に『総合格闘技もやってみたい』という気持ちがあったので通っていました。でも、あくまでプロレスのための下積み期間と考えていたので、PANCRASEの試合も一回も出ようと思わなかったですね」
――PANCRASE道場では実際にプロレスラーも通っていたのでしょうか
佐山「ホントたまにだったんですけど、プロレスラーの方も出稽古みたいな感じで来ていらっしゃっていて、大日本プロレスの河上隆一さんがいらしたことがあったんです。そのときにスパーリングをさせていただいたんですけど、自分もガリガリの高校生だったのでものすごい手加減されてるのが分かるんですよ(笑)でも、最後の残り30秒ってときに思い切りタックルされてふっ飛ばされたのはホントに今でも覚えてます。プロレスラーの本気を最後に見たなって感じましたね。その後プッシュアップのやり方とかを教えていただいたり、本当に嬉しかったですね」
――河上選手以外にプロレスラーとスパーリングなどで肌を合わせたことは
佐山「一番覚えてるのが佐藤光留さんですね。お話させていただいたら『お前プロレスラーになりたいのか』って、練習に付き合ってくださって、一緒に基礎体力トレーニングしてるときに、一回スクワットするたびにローキック蹴られたり、周りが1分半~2分半くらいのスパーリングをやっている中、光留さんと僕だけ5分インターバル無しでずっとやってたり(笑)あと、『これ鈴木さんから貰ったTシャツだけど、お前にやるよ』って、鈴木みのるさんが『ALL TOGETHER』のときに着ていたTシャツを頂いて、『これ着て強くなれよ!このTシャツが本当にピッチピチになるまでお前は鍛えろ!』とお言葉をいただきました。PANCRASE時代はずっとそれを着てスパーリングをやっていて、5年くらい経って今やっとピチピチになったくらいですかね」
――プロレスラーになったあとに河上選手、光留選手とリング上で当たったことはありますか
佐山「2019年2月に大日本さんに初めて出させていただいたときに河上さんとたまたま対戦させていただいたんです。それで試合後に挨拶しに行ってPANCRASE道場時代の話をしたら、『全然覚えてない』って(笑)でも『また試合できたらいいね』と言っていただきました。
光留さんとはデビューして半年くらいのときにASUKA PROJECTでシングルを組んでいただいて、そのときは『お前みたいなやついたっけ?』『あーなんとなく覚えてるわ~』みたいな感じだったんですけど、その後ハードヒットさんに呼んでいただのが本当に嬉しかったですね。5日の日曜日もJ STAGEさんの王子大会で久々にタッグを組ませていただくので、楽しみですね」
――PANCRASE道場で過ごした佐山選手がデビューの場にASUKA PROJECTを選んだ理由は何だったのでしょう
佐山「TAJIRIさんの団体ということでもちろんWNCもお客さんとして見に行っていたんですけど、WNC時代に篠瀬三十七さんにチケットを頼んだり結構良くしていただいていて、いざプロレスラーになるぞと思ったときにWNCが無くなってしまって……。目指すものが無くなってしまってホントどうしようと思っていたときに、篠瀬さんが団体を立ち上げるというという話を聞いて、高校生でも練習生になれると聞いたんです。自分は早い内からデビューしたいと思っていたので、『篠瀬さんだったら大丈夫だろう』と思って入団しました」
――高校3年生で入団していたんですね!
佐山「ホント最初はダメダメだったんですよ(笑)身体はガリガリだし真っ白だし。総合格闘技をやっていたので結構身体は絞れていたんですけど、プロレスに必要な身体とはまた別で。それで、高校を卒業して英語の専門学校に入ったんです。元々海外で試合をしたいと思っていたこともあって、ちゃんと英語を勉強しようとしたんです。篠瀬さんに『専門学校を卒業するまでは』と言ってお休みさせていただいて、その期間で死ぬ気で頑張って絶対身体をデカくして戻ってやろうと思っていました。それで、戻ったら『全然別人だよ!』と言っていただいたりして、頑張ってよかったと思いましたね」
――英語の専門学校で勉強したことは今現在活かせていますか?
佐山「僕もデビューさせていただいてから3年くらいなんですけど、もう何カ国か海外で試合をする機会に恵まれていて、アメリカ、カナダ、オーストラリアで試合をさせていただいたときには専門学校で得た知識が意外と使えてますね。4月もアメリカ行ってWWEを見てくる予定だったんですけど、コロナで色々流れちゃいまして……。でも、海外の選手と話したときに日本人選手の名前がよく挙がったり、海外で知り合った選手と日本で知り合いの選手が知り合いだったり、意外と世界って狭いなと思いました(笑)」
――海外でも活躍される佐山選手ですが、2019年には最も多くの団体に出場した選手という話があります
佐山「去年ASUKA PROJECTが解散してフリーになって、本当に色々な団体さんに出させていただいたんですけど、試合数的には135試合ですね。1日2試合、3試合とかもあったりして、十何団体の試合をこなしていたんじゃないかなって思いますね。FREEDOMSさんや大日本プロレスさん、WRESTLE-1さんにも出させていただきましたし、新日本プロレスさんが主催する『ライオンズゲート』にも出させていただきました。大きな会場で試合をさせていただくこともありましたし、北都プロレス(北海道)さんが根室の会場で大会をやったときに、その日は本当にひどい悪天候に見舞われてお客さんが5,6人しか来られない中で試合をさせていただいたこともありましたし、本当にいろいろな経験をさせていただいた期間でした」
――多忙だった2019年から一転して、2020年の上半期はほとんど試合が出来ない事態となってしまいましたが、自粛期間中はなにをして過ごしていましたか
佐山「福祉関係のバイトをしたり、家でトレーニングをしたり、マスクして走り込んだりして自粛してましたね(笑)3月28日のVKFさんでの試合が最後で、6月4日のHEAT-UPさんの配信マッチまで試合の間隔が空きました。だから、4日のTTTで本当に久しぶりにお客さんの前で試合が出来るんですよ」
――TORU選手が欠場している中、メインイベントでの現王者のガッツ選手とのシングルマッチ。ここは団体のエースの座を狙う絶好の機会だと思います
佐山「TORUさんがすぐには復帰できない状況になってしまったので、その間に自分がTTTを引っ張っていくという覚悟でいます。なにを以て“団体のエース”と呼ばれる選手になれるのかはまだ分からないんですけど、それが分からない内はただ我武者羅に頑張っていくだけです。お客さんを、TTTを一番盛り上げられる選手になりたいですね」
ここでガッツ石島がインタビュー会場に合流。TTT所属同士でのシングルマッチに向け、両者試合についての意気込みを語った。
――ガッツ選手、久々のTTTのメインは佐山選手とのシングルマッチになりました。この試合では何を見せていきたいでしょうか
ガッツ「4ヶ月くらいTTTの興行を休んでいて、再開の一発目ということでメインは所属同士のシングルマッチで『TTTここに在り』という試合を見せたいですね」
――佐山選手はガッツ選手とのシングルマッチが決まってどう思いましたか
佐山「めちゃめちゃ楽しみですね!ガッツさんとは旗揚げ戦第1試合のタッグマッチと、2月の666さんでの6人タッグでしか試合で当たったことがないので、今回シングルで当たるのは初めてなのでめちゃめちゃ楽しみですね」
――体格差やキャリアの差もあると思うのですが、どのように戦いたいですか
佐山「本人目の前にいるのでそれは秘密です(笑)でも、色んな団体さんに出て学ばせていただいたものがあるので、それを全部出してガッツさんの胸を借りて全力でぶつかっていきたいです」
ガッツ「外での場数は佐山のほうがあるからね。俺がしてない経験はしてると思いますけど、俺もダテに15年やってないんでね。自粛中ヒマ過ぎてずっとプロレス見てたんで、プロレス研究会出身として研究の成果を見せてやりますよ!」
――ちなみにガッツ選手はプロレス視聴以外に自粛中なにをして過ごしていましたか
ガッツ「自粛期間中は大河ドラマの『麒麟が来る』を見てたのと、『信長の野望』をやってインディー全国統一のシミュレーションをしてました!(笑)インディー統一する前に全国統一しましたよ(笑)戦の前に人の領略をかけて味方に引き込んでおいてっていう頭を使った戦をしてね。元々歴史が好きだったんで、それを思い出してね」
――ガッツ選手のバックボーンであるプロレス研究会は元々「幕末史研究会」として活動していたという……
ガッツ「そうそう(笑)歴史好きとプロレス好きは結構イコールだからね(笑)」
――試合を通して佐山選手に何を伝えたいですか?
ガッツ「佐山も旗揚げ戦でTORUともやってましたし、これまでメインイベントでシングルをやったこともあると思うんですけど、『これがヘビー級の戦いだ』というのを見せたいですね。今の佐山はまだどっち付かずだと思うんですよね。ヘビー級なのか、ジュニアなのか。どっちの試合も出来るのが強みなんですけど、俺は見ての通りジュニアヘビー級の試合は出来ないので、ヘビー級のプロレスを戦いの中で教えたいと思います」
――佐山選手、ガッツ選手並かそれ以上に大きい選手と試合をした経験は
佐山「石川修司さんと試合したことがあって……まあとんでもなかったですよ(笑)石川さんとやったときには『俺、ヘビー級と試合すんの無理だ』って思いましたね……。去年横浜にある『BAR 045』さんっていうお店の主催興行で、石川修司&佐々木貴&井坂レオ&松本浩代vsカズハヤシ&鈴木秀樹&佐山駿介&水波綾(※編集部により敬称略)っていうホント豪華な方々とご一緒した試合で、自分が石川さんにフルコース食らって負けたんですけど、串刺しラリアット食らったときに1発目で口の中切れて、すぐ2発目も来て顔に当たって、3発目はもう開き直って顔面で受けに行きました(笑)そのときにはもうヘビー級とは試合したくないと思いましたね。体力的にも肉体的にも精神的にもすっごくつらいですけど、今回はそのトラウマを克服するある意味チャンスだと思って今まで培ってきた経験を生かしてガッツさんに対抗したいですね」
――では最後に、TTTとして4ヶ月ぶりの試合を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします
ガッツ「TTTは旗揚げしてから2回しかTTTとして興行していませんが、今回が第3戦ということで、『TTTここに在り』という試合を見せられるよう頑張っていきます。逆にね、これがまたスタートになるような大会になると思います。TORUも負傷により欠場していますが、TORUのいない間は俺たち3人でTTTを守っていけるように熱く武骨にやっていきますので、皆様今後とも応援の程よろしくお願いいたします!」
佐山「自分たちも試合が出来なくて不満とか色々なものが溜まりに溜まってると思うんですけど、この期間プロレスを見ることが出来なかったお客さんも溜まりに溜まってるものがたくさんあるとおもうので、それをちゃんとこれから爆発させられように頑張っていきたいと思います!TORUさんもしばらくしたら帰ってこられると思うんですけど、それまでにしっかりガッツさん、ミステリーさんと一緒にTTTを盛り上げられるように、コロナでダメだった分をこれから全力疾走で取り戻していきます!皆さん、これからも期待しててください!」
『SCLAMBLE5』
日程:2020年7月4日(土)
開始:19:00
会場:東京都・新木場1stRING
▼「新木場闘会始」 30分1本勝負
マスクドミステリー
vs
忍(666)
▼「襲来!#STRONGHEARTS」 45分1本勝負
阿部史典(BASARA)/瀧澤晃頼(フリー)
vs
T-Hawk(OWE)/エル・リンダマン(OWE)
▼「FMWレジェンド対決!」 30分1本勝負
黒田哲広(フリー)
vs
リッキー・フジ(2AW)
▼「激突!パスポートの無い世界」 30分1本勝負
バナナ千賀(フリー)/薄井鉄央(BASARA)
vs
[渡鳥連合]藤原秀旺(アライヴアンドメジャーズ)/塚本拓海(BASARA)
▼「スペシャルシングルマッチ」(60分1本勝負)
[真GUTS軍]ガッツ石島
vs
[真GUTS軍]佐山駿介