「プロレスの一番いいところを自ら殺すようなことは絶対にしちゃダメ」赤字続きの“プロレス冬の時代”を終わらせた社長が先鋭化するプロレスファンへ警鐘

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 1月20日、グランドプリンスホテル新高輪にて『日本プロレスリング連盟』法人化に関する記者会見が開催。ブシロードの木谷高明社長がプロレス界に警鐘を鳴らした。

 ブシロードはトレーディングカードゲームビジネスを中心に、オリジナルIPの展開や声優事務所運営・ゲーム制作・アニメ出資などによる多角的展開を行っている年商500億弱の上場企業。2012年に新日本プロレスを買収し、13億円ほどの債務超過状態から数年で黒字転換。2019年にスターダムもグループ入りさせると年商2億しかなかった売上をわずか4年で年商15億・利益2億5千万に急成長させ、プロレスビジネスだけで年商60億以上・利益5億以上とプロレス冬の時代を終わらせた名手である。
 社長の木谷氏は新日本買収時の『すべてのジャンルはマニアが潰す』発言や、スターダム買収後にロッシー小川氏へ『時代は平成すら終わってる。昭和のやり方はだめです』と苦言を呈するなどプロレス村の外から見た言動で度々業界内から過激な反応をくらい、業界への貢献度に比例して目立ったヘイトを受けやすい人物となっている。

 今回の『日本プロレスリング連盟』発足は、コロナ禍において国への提言をするにあたり業界窓口となる組織がないことで物事が円滑に進まず、他業種と比べて満足に補助を受けることもままならず、各団体がバラバラに動いた事で情報格差も生まれ選手たちの生活も危機に晒された事が大きな理由の一つとなっている。
 2020年に馳浩衆議院議員(現:石川県知事)が会長となり『超党派 格闘技(プロレス・総合格闘技等)振興議員連盟総会』が設立され、国との情報交換のパイプを経て2023年に連盟発足を発表するも実現には一年以上の時間が経過。これに関してもビジネスメディアからは『なぜこんなに設立に時間がかかったのか?』と質問が飛び、なかなか手を取り合わないプロレス業界の特異性が奇異の目で見られている。

 今回の法人化は新日本プロレスを事務局として置き、サイバーエージェントグループのCyberFight社副社長でありDDTプロレスの髙木三四郎を代表理事としてすえることで大手企業2社がバックアップについている事が今までの組織とは違うところである。
 非営利組織として活動を行っていくことも髙木代表理事から明言されているため、基本的な金銭負担はブシロードグループが負うことになるだろう。


 会見中には、1月13日の『ブシロード新春大発表会 2025』で木谷社長がスターダムの試合前に「アニメとカードゲームとゲームのイベントだと思って来てますよね?そのイベントでコスチュームではありますが水着の女性見れるってことはなかなかないと思うんです」と発言したことがプロレス界で“女性蔑視”だと炎上したことがマスコミより指摘された。
 大前提として元々女子プロレス界ではコスチュームが水着と同等のものであった時代があり、現在もコスチュームの事を“水着”と言う女子レスラーもいる。グラビア活動も行っている選手たちははじめてプロレスを見るキッカケになればとこの発言を受けてその場でポーズもとり観客へアピールしていたが、「厄介なファンが増える」とこれも炎上の的となってしまった。
 木谷氏は「まずはご迷惑をお掛けしたことは非常に申し訳ないと思います」と炎上を起こした事をプロレス界に謝罪。しかし経営側の意見として「ただ1つだけ言わせてください。プロレスのいいところは、おおらかなところです。おおらかなところを自ら殺すようなことは絶対にしちゃダメですと、僕は思ってます。オープンに開かれて、なんでもアリ、おおらかなところがプロレスの1番いいところなんですよ。それがどんどんどんどん今狭められている。私のところにも、まあ来るは来ましたけど、既存のウチの他の音楽とか、ゲームとか、アニメのファンからまったく来なかったですよ?プロレスファンだけです。プロレスファンがおおらかさが段々無くなってってんです。そのことが業界を狭くしてってんですよ。他の分野から見ると『入りづらい業界だなあ』だと思われるんですよ。『絡みづらっ!』っていうやつですよ。ちょっと絡んだだけでこんなに来ちゃうのかと。まっ、そういう業界になっていってもいいんだったら僕はそれでもいいとは思う。ただ僕はそれは1番の良さを無くすことになるというふうに思ってます」と警鐘を鳴らした。

 実際にファンの新規参入が減っていることにより、会場に来る客層の高齢化や客数の低下やグッズ売上の減少が現状起きており、海外展開をしていない団体は昨今の物価高の影響もあり正直ギリギリの状態である。
 その状態で様々な自粛を行った結果、流血表現やトラッシュトークのコンプライアンス化、ミックスドマッチの状態で“異性に攻撃してはいけない”などを代表とした謎ルールで本来のプロレスの魅力を損なっている事は事実としてある。
 プロレスを見たことがない0の人を1にするために手段を選んでいる段階ではないプロレス界。イデオロギー闘争もプロレスの魅力の一つではあるが、ファン発信でプロレス界vs外の業界となるような現状が少しでも改善されていくことを期待したい。

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