坂口征夫が引退試合でHARASHIMAの前に散る! 「11年半、このリングに立てたことを誇りに思います」
DDTプロレスが2月7日、東京・新宿FACEで『Into The Fight 2024 TOUR in SHINJUKU』を開催した。“伝説の名レスラー”坂口征二氏を父にもつ坂口征夫が12年に及ぶプロレスラー人生に幕を閉じた。
総合格闘技をベースにもつ坂口は2012年3月22日、ハードヒットのリングでプロレス初参戦。同年7月22日、DDTマットに参戦し、以後、11年半にわたって同団体で戦ってきた。2015年8月23日には両国国技館でKO-D無差別級王座を戴冠するなど、同団体に欠かせない武闘派戦士としてファイトしてきた。だが引き際を決断して、1月15日に引退を電撃表明。本人の希望で引退ロードはなく、発表から、わずか23日後の引退試合となった。最後の対戦相手には、数えきれないほど戦ってきた“ミスターDDT”HARASHIMAを指名した。
坂口のセコンドには昨年11月に引退した赤井沙希さんの姿も。序盤はお互いの力を確かめ合うかのようにグラウンドでのレスリングの攻防。5分過ぎにはミドルキックの打ち合いを続けた。ミドルのラリーとなり、両者ともにダウン。立ち上がると、再びミドルの打ち合いで意地の張り合い。坂口がエルボーを見舞えば、HARASHIMAは張り手連発。坂口は神の右ヒザを叩き込むもカウントは2。HARASHIMAはジャンピング・ハイ、蒼魔刀を繰り出すも、すぐにカバーにはいかず、カウントは1。坂口が両手を広げ、「来い!」と叫ぶと、意を決したHARASHIMAは2発目の蒼魔刀を叩き込んで3カウントが入った。
介錯する形になったHARASHIMAは「坂口さん、最後の対戦相手に指名してくれて、本当にありがとうございました。まだまだできて強いのにリングを後にするのは、さびしくて悲しくて。でも坂口さんが選んだ道だし、決めたことは曲げないのはわかってるから、受け入れて、最後も全力で試合させてもらいました。最後まで強かったし、かっこよかったです」とねぎらいの言葉を掛けた。
坂口は「HARASHIMAさん、相手してくれてありがとうございました。勝ちたかったです。HARASHIMAさんがずっとDDTを守ってくれて、自分が入って、気付いたら自分もそういう立ち位置にいて。今日でリングを降りますけど、自分がやってきた役目をHARASHIMAさんに戻したいと思うし。このまま強いHARASHIMAさんで、DDTのリングを守っていってください」と返し、ガッチリ握手を交わした。
ここでビジョンに弟で俳優の坂口憲二さんがサプライズで登場。「父親のことなどもあって、プロレスラーになることは、相当の覚悟と勇気が必要だったと思いますが、兄貴がDDTのリングでやってきたことは、二世とか関係なく、一レスラーとして立派な功績を残せたと思うし、多くのファンの皆さまに喜んでもらえたと思ってます。僕自身も兄貴と一緒に両国のリングに立てたこと、一生の思い出です。これからは体に気を付けて、殺るか殺られるのかの兄貴のスタイルで、今後の人生も突っ走っていってください。本当にお疲れさまでした」とのビデオメッセージを送った。
最後にマイクを持った坂口は「11年半、このリングに立てたことを誇りに思います。応援してきてくれたお客さんたちにも感謝してます。これからもこのリングの上はどんどん変わっていくと思います。変わっていって、もっともっと大きくなって、もっともっと見に来てくれるお客さんにも夢を与えていってほしいと思うし、頑張っていってもらいたいなと思います。俺以外にもいい選手は腐るほどいるから応援していってください。これからもDDTをよろしくお願いします」とあいさつ。
その後、所属選手、縁のあった選手たちがリングに上がり、記念撮影から胴上げ。そして全員と握手を交わし、リングを降りた。本人の意向で10カウントゴングは鳴らされなかった。
バックステージで坂口は「やり切ってないけど。最後勝ちたかったな。勝って有終の美飾りたかったけど、さすがHARASHIMAさんだな。もともとHARASHIMAさんがDDTを守っていくみたいな感じだったけど、どこかのタイミングで自分がDDTの門番みたいになっていた感じもしてたんだけど、そのバトンをもう1回HARASHIMAさんに戻します。これからもDDTを守って、若いヤツらの高い壁になって。(男色)ディーノさん、HARASHIMAさん、これは残されたアンタたちの役目だと思うので、俺は見守らせてもらいます。DDTの選手でよかった」とコメントした。