70歳の誕生日を迎えた渕正信が21分5秒の大激闘!24歳の“愛孫”に王道の魂を継承し「プロレスを長くやっててよかったねえ!」

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 14日、東京都・後楽園ホールにて全日本プロレス『新春ジャイアントシリーズ2024 ~渕正信デビュー50周年&70歳バースデー記念大会~』が開催。渕正信が安齊勇馬に“王道”の魂を継承した。

 渕は1974年4月22日に全日本プロレスでデビューし、アメリカ遠征を経て覚醒。“赤鬼”の異名を受けて全日本ジュニアの中核をなす選手として長年君臨。2000年の大量離脱時には全日本を代表する選手として獅子奮迅の活躍を見せ、新日本プロレスに乗り込んでいった際の蝶野正洋とのやり取りは現在も伝説として語り継がれている。
 現在は出場機会も大幅に減り、前座試合で会場を温める役に徹しているものの、渕正信という存在が全日本プロレスの象徴であることに変わりはない。“王道”は時代の変化に合わせて様々な顔を見せてきたが、渕の存在が全日本を全日本たらしめ“王道”を担保していると言っても過言ではない。

 この日、1月14日は渕の70歳の誕生日。『渕正信デビュー50周年&70歳バースデー記念大会~』と題された今大会では、渕がメインイベントでシングルマッチを行うことが決定。


 試合開始前に行われたセレモニーでは、会場スクリーンにて川田利明、小橋建太、天龍源一郎、蝶野正洋からのビデオメッセージが放映。続いて大隅良雄PWF会長代理、大日本プロレスのグレート小鹿、若かりし頃からの盟友である大仁田厚から花束が贈呈された。

 マイクを取った渕は「やっぱり、長くやっててプロレスはよかったねえ!ホントに!実は今も久々のシングルマッチで、しょ~じき言いますと、何十年ぶりかに緊張してます(笑)ちょっと弱気な感じで『リングで試合ができればいいかな』という気持ちでしたが、こうして先輩・同僚・友人がわざわざ花束を持ってきてくれましたので、今持ってる100%の気持ちで今日は頑張って試合をやります!(※場内からの大・フッチーコールを受けて)ありがとう!また試合終わった後に同じくらいの声援が来るほどの試合になればいいけどねぇ~(笑)」とにこやかに挨拶。

 セミファイナルでは渕の対戦相手を決定する『ロイヤル渕ランブル』が開催され、全8選手が参戦。大混戦となる中、最後の最後に安齊勇馬が宮原健斗との一騎打ちを制してOTRさせて勝利をもぎ取った。


 メインイベントは、渕vs安齊の新旧全日本シンボル対決に。
 試合は王道マットで受け継がれているクラシカルなレスリングの攻防に始まり、一瞬の隙を突いた安齊がジャンピングニーを叩き込むと場内は大ブーイング。
 恐らくデビュー後初のブーイングを受けた安齊は怯まず攻め込んでいくが、渕が巧みなサブミッションで引き込んでサーフボードストレッチ。腕力勝負でも競り勝って伝家の宝刀たるバックドロップや滞空時間の長いボディスラム、さらにはヘッドロックパンチからの「パー!」のアピールが飛び出すなど渕のペースへ。

 それでも折れない安齊はジャンピングニーを連打し、渕と三沢光晴さんが一緒に練習して開発した歴史ある技・ステップオーバー式フェイスロック。渕はサミングで脱出してなりふり構わず勝利を目指す姿勢を見せるも、体力は限界。追撃には行けず、ジャンピングニーを被弾してからのステップオーバー式フェイスロックで無念のタップ。

 21分5秒という壮絶な死闘を終えた渕は、マイクを取ると「1998年、36年前か。ここでジャイアント馬場さんの還暦試合の相手を務めました。馬場さんが60歳のときで、僕はまだ44歳だったかなあ。『還暦試合やって羨ましいなあ。そんな歳までプロレスが出来て幸せだなあ、馬場さんは』なんて当時考えていましたが、まさか自分がここで古希の試合ができるなんて」としみじみ振り返る。

 そして「最後はもうホントに受け身どころか足がふらついちゃって、ちょっとみっともない姿を見せちゃって。まだまだ修行が足りません。かと言って、もうしばらく試合はこりごりだな(笑)でも何ヶ月か経って、またハングリーな気持ちになったら、またどっかでやってみるかなという気持ちが起きるかもしれません(笑)」と現役続行の姿勢を示した。

 その後、渕たっての希望で長年の盟友たる和田京平レフェリー&木原文人リングアナとで3人で記念撮影を実施。その後に安齊も加わった4人で記念撮影。全日本のレガシーが渕から安齊へと受け継がれていった。


 バックステージに戻った渕は、「70歳と24歳で試合やって、おじいちゃんと孫のような感じだな(笑)。蝶野は『これから結婚だ』なんて言ってたけど。今日、孫みたいな選手と試合やって。そうだな、やっぱり幸せだなあって気持ちですね。70歳で試合ができて、相手するレスラーは大変だけど。なんの勉強にもならなかったろう?」と試合の感触を噛み締めつつ安齊へ謙遜。
 そして、「こういった若い選手が全日本プロレスの中で伸びてますので。いろいろありますけど、若い選手の力を信じてファンの皆さんも全日本プロレスを応援してもらいたいという気持ちです。僕自身は去年2試合しかしていなくて、今年はこの試合をやって、今日見た限りでは当分試合ができる状況じゃないんですけど。そう考えると将来の全日本プロレスを担う安齊くんと試合ができて、俺もすごくよかったという気持ちでいっぱいです。なんとか無事試合ができて。全日本プロレスのファンはやっぱり温かいですね。改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました」とファンへ語りかける。

 対する安齊は、「次はデビュー60周年、80歳の誕生日にぜひ胸を貸してください!」とメッセージ。渕が隠居する日はまだまだ訪れないかもしれない。

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