【試合詳細】10・12 ぼくらは格闘探偵団 新宿FACE大会 阿部史典vs野村卓矢 石川雄規&関本大介vs池田大輔&藤田ミノル スーパー・タイガーvs矢野啓太 日高郁人&タノムサク鳥羽vs佐藤光留&”brother”YASSHI 鈴木秀樹vs飯塚優

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『ぼくらは格闘探偵団』
日程:2023年10月12日(木)
開始:19:00
会場:東京都・新宿FACE
観衆:452人(超満員札止め)

▼シングルマッチ 30分1本勝負
○鈴木秀樹(フリー)
6分56秒 TKO
●飯塚優(GLEAT)

▼タッグマッチ 30分1本勝負
●日高郁人(ショーンキャプチャー)/タノムサク鳥羽(フリー)
10分41秒 脇固め
○佐藤光留(パンクラスMISSION)/“brother”YASSHI(ダブ)

▼シングルマッチ 30分1本勝負
○スーパー・タイガー(ストロングスタイル)
11分5秒 TKO
●矢野啓太(ワラビー)

▼タッグマッチ 30分1本勝負
○石川雄規(フリー)/関本大介(大日本)
13分57秒 リバース・バイパーホールド
●池田大輔(フーテンプロモーション)/藤田ミノル(フリー)

▼シングルマッチ 30分1本勝負
[アストロノーツ]○阿部史典(格闘探偵団)
19分16秒 アキレス腱固め
[アストロノーツ]●野村卓矢(大日本/格闘探偵団)

阿部史典が創った『格闘探偵団』は超満員札止めの大成功!阿部と野村が令和に蘇った“B”の魂をぶつけ合い石川雄規と池田大輔もバチバチファイト!

オープニング


 まずは主催者の1人である阿部史典が挨拶を行った。

阿部「本日は本当にたくさんのご来場、誠にありがとうございます!本当にたくさんの人の協力があって、今やっとこの状態にたどり着くことが出来ました。そういう気持ちはすべてこのリングの上でお返しできたらなと思います。
 バトラーツルールの説明を少しさせていただきたいと思います。バトラーツルールというのは3カウントフォールが無くて、KOおよびギブアップの決着になります。ロープエスケープもダウンも何回しても大丈夫です。そして、例えばシングルマッチのときに両者が場外にいるときは場外カウントは数えません。片一方の選手がリングの上にいるとき、片一方の選手がリングの外にいるときはダウン状態となりまして、10カウントで。もしそれで入ってこれなかったらKO負けとなります。まあ、難しいように感じるんですけども、実は意外と一番わかりやすくて、そんな深く考えずに『あっ、痛そうだな~』『なんか馬鹿だなぁ~』とか、そんな風にただ純粋に楽しんでいただけたらと思っています。それでは全5試合、どうぞ胸いっぱいバトラーツを味わってください!それでは試合を開始します!」

第1試合


 ゴングが鳴ると両者ゆっくりリングを周り、じりじりと距離を詰めていくも鈴木がいきなりのドロップキック。飯塚が場外に転がり出てダウン。
 リングに戻り、飯塚がロー、ミドルと入れていき低空タックル。バックを取っていき、鈴木の回避運動に合わせて腕十字を狙う。鈴木も足を取っていこうとするが飯塚がもう片方の足で蹴飛ばして距離を取る。

 スタンドで向き合って飯塚が小刻みにローを入れていき、飛びついて卍固め。鈴木が極められながらも足首を取ってひねり上げ、そのままグラウンドに引き込んでアキレス腱固めを狙う。飯塚もアキレス腱固めで切り替えしていくが、鈴木が引き寄せてネックロックで固めながらヘッドバッド。鈴木が腕十字を狙うも飯塚が三角絞めでの切り返しを狙う。鈴木がバックを取ってぶっこ抜きジャーマンを狙うが、飯塚がアームロックで切り返し、そのまま飛びついて胴絞式に。鈴木が倒れると飯塚が三角絞めに捕らえて決着かと思われたが、鈴木はなんとかロープに足をかけてブレイク。
 一気に決めたい飯塚はローの連打。鈴木がキャッチしてグラウンドに引き込みアームロック。さらに鈴木がバックを取りながらフルネルソンに捕らえるも、飯塚がクラッチを切ってヒールホールドを狙う。鈴木は決まり切る前にローリングで抜け出し、腹固めのように捕らえながら首筋へのエルボースタンプを連打。全く身動きが取れない飯塚を見たレフェリーが試合を止めた。

第2試合


 YASSHIと鳥羽の対面でゴング。互いにグータッチをかわしてから距離を取り、鳥羽がいきなり右ジャブを顔面にクリーンヒット。鳥羽がローで牽制する中でYASSHIが低空タックルで倒すも鳥羽がすぐにロープを掴んでブレイク。

 YASSHIが「来いやコラ!打ってこいや!バチバチ行こうや!」と挑発すると鳥羽がミドルを連打。再びYASSHIが低空タックルで倒し、鳥羽がすぐにロープブレイク。
 鳥羽のローをかわしてロープに詰めたYASSHIは離れ際にエルボー連打。ロープに振ろうとするが、鳥羽が右ストレートを顔面に叩き込みフックで追撃。両者タッチ。
 光留と日高の対面。互いにシュッシュと息を吐きながらローで打ち合い、光留が前蹴りからタックルで組み付く。日高は背負投で切り返してバックを取るが、クラッチを切った光留がアームロック。日高も体位を入れ替えて腕十字も光留がロープに足をかけてブレイク。即座に日高がミドル連打で追撃も、光留がコーナーまで押し込む。鳥羽がタッチを受ける。
 鳥羽はミドル&右ストレートを連打。光留も顔面への張り手で応戦し、足を止めての打ち合いに。鳥羽がカウンターの左フックを顔面に叩き込むと光留がダウン。カウント6で立ち上がった光留が鳥羽を引き込んでボディスラム。YASSHIにタッチ。
 YASSHIはストンピング連打から相手コーナーに押し込み、日高がタッチを受ける。
 打撃攻勢をかける日高に対し、YASSHIは払腰で叩きつけネックロックも、日高がジャーマン・スープレックスで切り返す。YASSHIがダウンし、カウント8で立ち上がる。日高はローキックで追撃して鳥羽にタッチ。
 鳥羽は首相撲からの膝蹴り連打からボディブロー連打。再びYASSHIがダウン。カウント7でYASSHIが起き上がると、鳥羽がバズソーキックで追撃しまたもYASSHIがダウン。カウント8で立ち上がると、鳥羽が首相撲から膝蹴り連打。YASSHIがヘッドバッドで反撃も、鳥羽が右ストレート。YASSHIがヘッドバッドでさらに反撃し両者ダウン。両者タッチ。
 光留と日高の対面。掌底連打の日高に対し、光留がエルボーバッドから水車落とし。続けて腕十字に捕らえるも日高はロープに足をかける。光留は腕へのミドルキック連打も、日高がキャッチしてドラゴンスクリュー。日高は飛びついてフランケンシュタイナーからヒザ十字。光留は苦戦するもなんとかロープブレイク。

 日高はローキック連打から低空タックルで足を取ってドラゴンスクリューも、光留が倒れず耐えて腕十字。YASSHIを振り切った鳥羽がなんとかカット。
 日高はロー&掌底連打からハイキックをクリーンヒット。光留がダウンし、日高は勝利を革新して両腕を突き上げる。光留がカウント9で身を起こすと、日高が再びロー連打からハイキック。光留がキャッチしてアンクルロックに行くと見せかけて引き寄せ、ジャーマン・スープレックスで叩きつけてアームロックから担ぎ上げデスバレーボム。すぐにアームロックで絞り上げ、日高がロープを目指すと光留が脇固めで組み伏せてギブアップを奪った。

 試合後、光留がノーサイドをアピール。4人それぞれ握手を交わしながら深々と頭を下げあった。

<試合後コメント>

佐藤光留
「1998年7月、京都の南京都、南京レスリング部で"brother"YASSHIと佐藤光留が合宿をしているらしい。今日はその縁でタッグを組んだわけじゃないらしい。でも阿部は練習サボってる。これは間違いない事実だ。絶対にそうはさせない」

第3試合


 両者しっかり両手で握手を交わしてゴング。
 タイガーステップを踏むスーパーに対し、矢野はコーナーを背にして立ってマイペースを貫く。
 スーパーのローキックが刺さると、矢野はロープに上って距離を取る。スーパーが組みに行くと矢野はすぐにロープに逃れて付き合わない。さらにスーパーが距離を詰めていくと、矢野が寝転びながらスーパーの足を取ってレッグロック。足を固めつつ脇固めに入り、スーパーがロープに向けて伸ばした手を取って変形羽折固め。上体を起こすスーパーへチキンウィング・フェイスロック、スーパーの回避運動に合わせて脇固め、袈裟固め、アームロックと変幻自在のサブミッションを見せる。スーパーも体格差を活かして強引にSTFへと持ち込んでいくが、矢野が悲鳴を上げ長らロープを掴む。
 矢野が場外に出て間を取っていき、なかなかリングに上がろうとしない。焦れるスーパーが詰め寄っていくと、矢野が後の先を取ってネックロックに捕らえるもスーパーが腕固めで組み伏せる。矢野もローリングで抜け出してリストロックからネックロック。首投げからスーパーの目元を踏みつけるとたまらずスーパーが場外エスケープ。矢野はコーナーの上に寝転がって余裕のアピール。
 スーパーがリングに戻ると、手4つを仕掛ける矢野に対してスーパーがローの猛連打。さらにチキンウィング・フェイスロックで絞り上げ、フロントネックロックへと移行。矢野が指関節を極めて脱出し、V1アームロックで固めながらグラウンドに組み伏せヒジへのフットスタンプ。矢野がロープを使ったアームロックから、ロープに振ると見せかけてアームブリーカー。ダウンしたスーパーがよろよろと起き上がると矢野がドロップキックで追撃。再びスーパーがダウン。

 スーパーが起き上がると、矢野はボディブローから背中へのひっかき攻撃。スーパーが怒りの掌底&エルボー連打も、矢野が飛びつき式腕十字。さらに足をかけながら回転してクロスフェイスへと持ち込むが、スーパーがロープに足をかけてブレイク。
 矢野はエルボースマッシュでかち上げてロープに振ろうとするが、スーパーが手刀でクラッチを切り、スピンキックから旋風脚。矢野がダウン。

 矢野がなんとか起き上がると、スーパーはローリング・ソバットから腕へのサッカーボールキック。矢野の状態を見てこれ以上危険と判断したレフェリーが試合を止めた。

 試合後も睨み合いは続いたが、スーパーが歩み寄って握手を求めると矢野もその手をしっかりと握り返した。

フジタ“Jr”ハヤト挨拶


 休憩明けにフジタ”Jr”ハヤトが登場し、挨拶を行った。

ハヤト「バチバチのファンの皆様、みちのくのハヤトって言います。よろしくお願いします。ホントは今日、オファーを貰ってたんです。なんですけど、病院からのストップで出れなくて。ホントすみませんでした。ずっと裏で見てたんですけど、やっぱ面白いっすね。なんか、SNS見てたらこのTシャツ(※NO BATI-BATI NO LIFEのTシャツ)が載って。『なんだこれ。俺が着ないで誰が着るんだ』って思ってリツイートしたら日高さんが『取りに来い』って言うんで、病院から俺、取りに来ました。でもあの人負けてましたねえ?(笑)でもそういうところも、バチバチ面白いっすよね。次やるかわかんないみたいなんで、やるんだったら俺出ますんで。そして、勝手にですけど、俺のこと知らない人、俺結構バチバチなんすよ。(※観衆から沸き起こった「知ってるよ~!」の声に)知ってる?(笑)だから俺、勝手にバチバチ代表として10月15日、矢巾で新日本プロレスの高橋ヒロムとシングルをやるんですけど、アイツをバチバチに蹴って倒したいと思いますんで、応援よろしくお願いします。そして後半戦、あと2つ、俺も楽しみ似たいと思いますんで、皆さんでバチバチしましょう。ありがとうございました!」

第4試合


 入場するなり石川と池田が額を突き合わせて睨み合い、場内はこの日一番の大歓声が起きる。石川が先発で出て行って池田を挑発するも、池田は藤田を前に出して下がっていく。
 石川と藤田の対面でゴングが鳴ると、ゆっくりと組み合って藤田がテイクダウンを奪う。しかし、石川はいつの間にか下から腕を極めておりアームロックで絞り上げる。池田が飛び込んできて石川に強烈なサッカーボールを見舞ってカット。
 藤田がスリーパーホールドに捕らえるも、石川がするりと抜けて腕固めから腕十字に移行。藤田は足を伸ばしてロープブレイク。藤田が自軍コーナーに押し込んで池田にタッチ。

 待望の石川と池田の対面。ロックアップで組み合い、池田が押し込んで離れ際にヒザへの関節蹴り。今度は石川がコーナーに押し込んで離れ際に強烈な張り手を見舞い、関本にタッチ。
 関本は池田をフロントネックロックで固めつつ後ろへ転がってグラウンドへ。関本がスリーパーホールドから首4の字固めで捕らえると、池田がロープに足を伸ばしてブレイク。藤田にタッチ。

 関本と藤田が手4つで組み合っていき、藤田が低空タックルも関本が引き込んでフロントネックロックで捕らえながらグラウンドへ。首を抜いた藤田がマウント掌底を連打し、体勢を入れ替えようとした関本にSTF。池田が飛び込んできて関本にストンピングで追撃し、対角コーナーに控える石川に突っ込んでいって殴り合い。

 関本がぶっこ抜いてショルダーバスターからスライディングクロスボディを見舞い、逆水平チョップを連打。さらにラリアットを発射も、藤田が巻き込んで脇固めからクロスフェイス。再び池田がストンピングで追撃し、石川めがけて突っ込んでいくも石川が引き込んでアキレス腱固め。池田もアキレス腱固めで返し、ロープ越しの足の極め合いが展開される。
 ロープに逃れた関本がラリアットを発射も、藤田が回避して組み付きエクスプロイダー。池田にタッチ。

 池田は大ちゃんボンバー、関本はラリアットで正面から撃ち合っていき、池田がフライング・クロスボディからランニング・ヘッドバッド。両者ダウン。先に立ち上がった池田が大ちゃんボンバーを発射も、関本がキャッチしてロックボトム。尚も池田が大ちゃんボンバーを発射も、再び関本がキャッチしてロックボトム。石川にタッチ。

 石川は池田の頭にグーパンチを連打。さらにエルボースマッシュからサッカーボールで倒し、胴締めスリーパー。池田はクラッチを切ってマウントを取り上から首絞め攻撃。石川は下から腕を引き込んで三角絞め。池田の回避運動に合わせて変形の羽折固めに捕らえるも藤田がカット。

 石川と池田が真っ向から殴り合い。石川はエルボー、池田は手刀で撃ち合っていき、石川が劣勢になるとグーパンチを連打。池田は左右のミドルキックを連打していくが、石川は強烈なローキック一発で足を刈り取り、アンクルロック。藤田がカットに来るも、関本が背後から組み付いてジャーマン・スープレックス。

 さらに石川が池田にコブラツイストも、関本を振り切ってきた藤田がカット。再び関本が背後から組み付いてジャーマン・スープレックス。

 石川は脇固めに捕らえ、池田が前転して外そうとするとそれを先読みして足を取りヒザ十字。そのままSTFへと移行するが、池田が石川の手に噛み付いて強引に脱出を狙う。しかし石川は解放すること無くリバース・バイバーホールドに捕らえ、そのままギブアップを奪った。

 試合後、全員が健闘を称え合って握手を交わしていくが、石川と池田は互いを指さし合って再戦を求めあった。

<試合後コメント>

池田大輔&藤田ミノル
藤田「若い頃を思い出しちゃったよ。いや、思い出しましたね、この感覚。終わってから思い出すの良くないですけど、思い出しました。いや、ホントすみません」
池田「すいませんしか出てこないですよ、これ撮ったって」
藤田「すいませんですけど、笑顔が止まらない」
池田「逆に悔しいんで、次勝つまでまたチーム組んで欲しい」
藤田「大丈夫ですか?(笑)お願いします、こちらこそ!」
池田「是非。ショーンキャプチャーだっけ」
藤田「格闘探偵団でもう1回やってもらいましょう」
池田「是非お願いします。次は2人で考えた連携ちゃんとやろうな。そしたら勝てたよ(笑)」
藤田「チクショー!出せなかった!」

石川雄規&関本大介
関本「ありがとうございました!」
石川「ありがとう。スゴいね。色々勉強させていただきました」

――今日こういう場で試合をしてみての感想は
石川「なんだろうね、懐かしい気がするね。ホント、バトラーツは今、痛いんだけど、ホント痛いのは技術云々じゃなくて、技術の掛け合いはハイレベルじゃなきゃいけないんだけど、その上にあるのはスピリット。デストネーション。現状の地を得るためなにがなんでも満足しない、常になにかにケンカを売ってる。その気持ちがなければバトラーツではない。彼らはそれを魅せてくれると思う。楽しみにしてます」
関本「石川さんはいつまで経っても先生です!偉大なる先生です!」
石川「なぁ~にを言ってんだ(笑)」
関本「自分も若いときに色々教えていただいて、ホントにありがたく思ってます!」

――メインの2人には期待している?
石川「ものすごく期待しています。早く観に行きたいです(笑)」

第5試合


 試合前にはバトラーツの初代リングガールである宮内美穂さんが阿部、野村の両名に花束を贈呈して記念撮影。

 両者は軽くグータッチをかわしてから試合開始。
 阿部が掌底を放っていくと野村がスウェーでかわし、一歩前に出る。阿部は引き込んでアームドラッグでグラウンドに持ち込み、クルックヘッドシザースからハンマーロック。野村は飛行機投げで切り返し、袈裟固めに捕らえながら阿部の額にナックル連打。阿部が頭を抜いて脱出し、野村の頭にグーパンチ連打。野村が張り手でやり返すと、両者足を止めて顔面をバチバチとビンタで張り合っていく。

 野村が首投げからサッカーボールキック。阿部がダウン状態となるも気にせずサッカーボールキックを連打し、阿部をリング外へと落とす。しばらく場外で大の字になっていた阿部だが、リングに戻ってエルボー合戦を展開。野村が打ち勝ってミドルキックを連打。ダウンした阿部に再びサッカーボールキックを猛連打し、ロープを掴みながらゲシゲシと踏みつけていく。
 戦前に阿部が語っていた「一生懸命立とうとしている人間を横から通り魔のように蹴って、レフェリーが何事もなかったかのようにまた1から数え始めるという(笑)あれが僕はすごく惹かれた部分」というバトラーツらしさが体現される。

 阿部が立ち上がると野村はさらに張り手を見舞っていくが、阿部がバックを取りつつ足を払ってアキレス腱固めへ。野村もアキレス腱固めでやり返していくと、阿部が野村の額にナックル連打。お返しとばかりに野村がさらにきつく絞り上げると阿部は悲鳴を上げ長らロープへ。追撃してくる野村に対し、阿部は起き上がり際にロケット頭突きを放ち両者ダウン。

 両者起き上がって向き合い、野村がローキック連打で倒して逆片エビ固め。阿部がロープを目指すと、野村はアンクルロックに切り替えてリング中央に引き戻し、ミドル連打から首相撲に持ち込み膝蹴りを連打。阿部が足をキャッチしてドラゴンスクリューを見舞い、回転浄土宗からサッカーボールキック。ダウン状態の野村に先程のお返しとばかりにサッカーボールキックを猛連打。野村はこれをキャッチしてフロントスープレックスで投げ捨てる。

 野村は胴絞スリーパーホールドで絞り上げ、ロープブレイクした阿部を容赦なく蹴り続けてコーナーに押し込む。阿部もグーパンチで応戦していくが、野村が張り手やエルボーを連打。コーナーダウンした阿部は口元から血を流し、よだれをダラダラと垂らしながらうつろな目。阿部が初めてバトラーツを見たときに感じたという『ヨダレを垂らして鼻血を出してる男ってなんかカッコいいなあ』という姿を自身で体現する。


 阿部が大ぶりの右ストレートを放つと、野村がキャッチしてフルネルソン。阿部がクラッチを切ろうともがくも野村は体重をかけて組み伏せ、フロントネックロック。阿部は野村の手に噛み付いて脱出し、髪を掴みながらグーパンチ連打。野村もヘッドバッドで応戦しエルボーの打ち合いに。

 阿部が猛連打からヘッドバッド。野村がロープに飛ぶと阿部がカウンターのドロップキックを突き刺し、伊良部パンチを発射も野村がカウンターの張り手を顔面にクリーンヒット。ガクリと崩れ落ちる阿部のバックを取ってジャーマン・スープレックスで叩きつけるが、阿部が即座に起き上がって伊良部パンチ。野村がグラリと揺れるもその反動を使って頭から突っ込んでヘッドバッド。互いに四つん這いになりながらもゴツゴツと頭をぶつけ合う。

 互いに正座しながら額にナックルを撃ち合っていき、野村が拳を押さえてうめき声を上げるほどの渾身の一撃を叩き込むと阿部の額から出血。阿部は構わずエルボーを連打し、ソバットからハイキック。ガクリと膝をついた野村にバズソーキックを叩き込みカバーに入るが、野村が下から腕を取って脇固め。さらに腕固めから腕十字へと移行して絞り上げるが、阿部がロープを掴む。野村は構わずバックを取ってぶっこ抜きジャーマン。続けてドラゴン・スープレックスで叩きつけると阿部がダウン。

 阿部はなんとか起き上がってエルボー&張り手を連打。野村は仁王立ちですべてを受けきってショートレンジ式ラリアット。阿部がダウン。

 阿部が起き上がると野村が一気に距離を詰めてハイキックを発射も、阿部がキャッチしてアンクルロック。野村がロープを目指すとバックを取ってジャーマンで叩きつけ、顔面に伊良部パンチをクリーンヒット。さらに澤宗紀直伝お卍固めで絞り上げるも、野村が腰投げで切り返し逆エビ固め。
 阿部はプッシュアップして上体を起こし、下から野村の足を取ってアキレス腱固め。野村の回避運動に合わせて体全体を巻き付けながら絞り上げると野村がタップ。

阿部「野村さん、ありがとうございました!本日、バトラーツ興行、楽しかったですか?これがバトラーツか結局わからないですけど、自分は……あっ、バトラーツって勝手に言っちゃいましたね(笑)すみません(笑)自分はこれがやりたくて、ちょっと時間がかかったかもしれないんですけど、本当に色んな人のお陰でこんなにたくさんのお客さんが来てくれて、ちょっと泣いちゃおうかなと思ったんですけど……まだ大丈夫でした(笑)『今日が集大成』って野村さんが言ってましたけど、今日が集大成なんかじゃなくて、始まりだよ。野村さん、1つ、プロレスラーになって本当に良かったのは野村さんに出会ってここまで来れたこと。野村さんがいなかったらこの大会出来なかったので、本当にありがとうございます!」
野村「阿部さん!こんなに殴られて、負けて、最悪な気分だよ!ただ、アンタは最高のプロレスラーだ!今日はありがとう!」
(※2人がしっかり握手)
阿部「今からこの興行を締めたいと思います。野村さん、ほら、立って!立って!歩いて!野村さん、一緒にこの闘い、まだまだ追究していきましょう」
野村「阿部さん!よろしくお願いします!」
阿部「というわけで!これからも我々アストロノーツとして格闘探偵団のお客様に、そしてこんな馬鹿みたいなプロレスに、これからも皆さんどうぞ突いてきてください!今日はありがとうございました!」

<試合後コメント>

野村卓矢
「足が痛い!あのヤロー!でも、阿部さんと、阿部史典と出会えて、こうやって普段会わないような、会えないような、交わることがないような刺激的な人たちに会えて、こういうスタイルでプロレスが出来て。今日は最悪な気分だけど、最高の日でした」

――バトラーツを掲げた格闘探偵団という場での試合を終えて思ったことは
「そうっすね、やっぱり僕たちがやってきた、2人だけで信じてやってきたものとは、バトラーツってものは石川さんとか池田さんが絡んできて、ちょっと答えは違うのかなと。それが今日の答えだったのかなと。2人でやってたのも良かったけど、バトラーツというものに触れながら試合ができたこと、そういう人たちと練習ができたことで、真の意味が分かった気がします」

――試合ではノンストップで激しい攻防が続いた
「あんなに頭殴られるとは思わなかった……。でもいいんじゃないですか?彼なんて幸せもんだと思ってるんで。僕は彼に影響されてこういうものを見て、目指した人間ですから。彼は元からこういうものを見てプロレス界に入ってこういうものに触れられてっていうので。うん。最高の。僕も幸せですけど、彼は最高の幸せ者なんじゃないでしょうか」

――試合には負けてしまった
「ちょっとね……悔しいです。悔しいですよ。あんまり、過去何回か闘ってきて僕のほうが勝ってるんで。今、負けたことで『アストロノーツといったら阿部史典』になってしまったんで。また津比やるときは負けません。そこまで僕も力をつけて頑張っていきます」

――「往年の尖っているバトラーツファンに響かせたい」という言葉があったが、響かせられたと思うか
「響いてくれてたのなら、声援を聞く限り響いてくれてたんじゃないかと思うし、響いてくれてほしいですね。最初からすごいいい空気で、第1試合からすごいいい空気を創ってくれたし、こっちもやりやすかったです。負けちゃったけど」


阿部史典&鈴木秀樹
阿部「ありがとうございました。こんなに人々に囲まれると思ってなかったけど、まあバトラーツっていう言葉を使うと、これは自分の力とかでは到底成し得なかったので、石川さんや、諸先輩方が作り上げてきた歴史に僕はちょっとあやからしてもらってるだけなので。本当に勘違いしないで、自分の思うバチバチ、バトラーツっていうものを表現していきたいなと思うんですけれども。まあ今日の野村との試合っていうのは、これはもう本当にいろんな人に教わって、いろんな人と試合して自分らで考えて練習してって。何をね、お互いやったわけではないですけど、ただ純粋にお互いの競い合いができたのかなっていう風な試合を。現時点での自分らの全ては、出したつもりです。野村さんがいてくれて、日高さんがいてくれて、野村さんが。誰より野村さんがいてくれて本当に幸せなプロレス人生だな、と思います。ありがとうございました」

――自分の思うバトラーツを体現できた?
阿部「バチバチっていう言葉が死語みたいな風に思ってて。思い切り殴ったり思い切りエルボーしたりすることが、世の中試合が終わったときに『バチバチだ!』って言われるこういう時代なんですけども、いや比較的自分もちょっとそれをしないつもりで。そういう、もちろんあるんすけど、それはあくまでスパイスのつもりで試合をしよう、って心がけてみたんですけれども、いざ蓋を開けてみると比較的ちょっと殴ったり蹴ったりしてるのが多かったのかなって思って。それはそれでいいのかなと思うんですけれども、ちょっと反省点かなと思いますけど。まあ五体満足で、今笑顔で喋れてるので、成功かなと思います。はい。またここから、来年再来年になったらちょっと体の状況とかも変わってまた戦い方変わってくるんで。今の現時点では、自分が『これがやりたい格闘探偵団バトラーツだ』っていう試合ができたかなと思います」

――念願のスタイルだったということだが、これまで『技術とか環境とかいろんなものがなかなか追いつかなかった』というコメントがあった。今日ようやくそこにたどり着いたという実感は
阿部「いろんな人から教わった技術が自分の体にあって、例えば何か、すごい細かく言うと、メイヤー(※首投げ)を投げたりするやり方だったり、ネルソンだったりっていうのは、例えば鈴木さんから教わった技術だったりとか、ネルソンだったり、石川さんから教わった技術だったりとか、澤さんの見て真似したりとか、意外といろんなものがごっちゃになって、自分というレスラーがあるので、それが・・・なんて質問か忘れたんすけど、いろんな人の物をパクって(笑)自分のものにして、自分の思う、バチバチというか、格闘探偵団という探偵をしていけたらなと思うのと、今のプロレス界というか、プロレスに対して、こんなシンプルで、ただただこう純粋な、純粋に腹立つから殴る、極めたいから極める、って何か削ぎ落とした曖昧なものが、今のプロレスがいっぱいぐちゃぐちゃしてる中で、突きつけられたのは結構痛快だったなって思います。『こういうのでいいんだよ』と思ってますし、はいそれはこういう興行だからできることだとわかってるので。なんかやっぱ、シンプルでいいと思うんでプロレスは。若いのがこんなプロレス語っていいのかわかんないすけど」

――これだけ打撃の応酬の試合は珍しいが、これは何かお互いの意地、あるいは歴史に対する意地、お客さんに対する意地か
阿部「意地もありますし、プロレス界に対する意地もありますし、石川さん、口酸っぱく『お前らわかってるか?』みたいなことを散々言われてきてるの、わかる?石川さんあれ嫌いなんですよ。ウェイ、ウェイっつってやるやつ(※観衆の掛け声に合わせて順番に撃ち合うエルボー合戦のジェスチャー)、『餅つきみてえじゃん』って言うんですけど(笑)そういうものを削っていったりとか。とにかく相手を殴りたいから殴る、倒したいから倒す、っていうものに特化した。我慢比べとかはないんだけど、意外と特化したプロレスがバトラーツなのかなっていうふうに思います」

――セコンド・リングアナが感極まっている姿も見られたが
阿部「それはもう、手に取る、受け取る側の人の気持ちなんで。僕らはもう殴りたくて殴ってるし、別にこれで感動しろと思ってないし、別に酒のつまみだなと思ってるだけなんで。それで受け取ってくれる側がそういうふうに受け取ってくれるのは、もちろんそれは光栄なことです。ただそんな意外とそんな深くないと思います。別に殴りたいから殴ってるし、そんななんか、壮大なものを投げかけてるつもりはないですよ。はい、やりたいことやってるだけなんで」

――格闘探偵団でバトラーツリバイバルみたいなものを期待した人もいると思うが……
阿部「だって俺が一番チケット売ってますよ(笑)」

――アストロノーツの新しい格闘探偵団というのを見せられた感触は
阿部「それはあります。僕らのブランド。アストロノーツしかできないこと。響いてるのかわかんないですけど、プロレス界には我々みたいなやつがいるぞっていうのは、少なからず少し見せれたんじゃないかなと思います」

(※記者に混じり鈴木秀樹が挙手して質問)
鈴木「実は一番いいところで興行名を間違えたことについてどう思ってますか?」
阿部「ホントですね(笑)頭が回ってなくて、勝手にバトラーツ、勝手にバトラーツの人になっちゃいました」
鈴木「いや違うと思うんですけど」
阿部「すいません、違いました。僕は無関係です。でもまあ、言ったもん勝ちなんで。言ったもん勝ちです。バトラーツいました。嘘です(笑)それは嘘です嘘です。偽物ですね(笑)本当にいろんな人が手伝ってくれて、できた興行なんで本当に人に恵まれてるなって。BASARAもそうです本当ごめんなさい、BASARAもそうだし、BASARAがあって今日興行できたし、本当に、そういういろんな人に感謝を忘れずに、これからもやっていきたいなと思います。メディアの人たちにも感謝です」

――今日も満員札止め、第2回への意欲は
阿部「一年に一回ぐらい。ちょっと本当、自分自身が結構プロレスでいっぱいいっぱいだったりするんで、でもこういうものは続けていきたいな、と思います。来年、1年に1回ぐらいはやりたいなと思います。はい。鈴木さんはあれでお願いします。取っ払いとかじゃないんで、チケットノルマで。5枚、5枚売ってもらったら。お願いします。って感じですかね。本当にありがとうございます。これからも、何卒よろしくお願いします。ありがとうございました。終わってよかったっす本当」
鈴木「札幌殺すぞお前!」
阿部「それはそれ。それはそれですから、札幌は本当にそれはそれですからやりますからね」
鈴木「札幌殺してやるからな!」
阿部「やりますからね」
鈴木「毎日誹謗中傷してやるからな」
阿部「駄目ですよ、2023年ですから。そういうのダメですから」

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