【RIZIN】朝倉未来、弁解できない完敗

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(文/フリーライター安西伸一)

7月30日(日)、『超RIZIN.2』さいたまスーパーアリーナのメインイベント、RIZINフェザー級王座決定戦。

朝倉未来はヴガール・ケラモフに、わずか1ラウンド2分41秒で敗れた。その間、いいところは全くなし。アゼルバイジャンの勇者は一方的に試合の主導権を握り、グラウンドに持ち込まれたあとの朝倉は、相手が仕掛けた網の中でただもがきながら、負けてしまったように見えた。

あまりに一方的な展開。とにかく内容が悪すぎた。

ケラモフはテイクダウンからマウント。そこからヒジ打ちで、上を向く朝倉の顔面を攻める。このあと、わざとマウントのプレッシャーをゆるめ、相手を反転させ下を向かせる、あるいは立たせて逃がし、背後からチョークを狙うのは、かつてブラジリアン柔術の選手が初期のMMAで見せてきた勝利のパターンだった。

でも試合後、ケラモフに話を聞くと、どうもそこまでベーシックな展開だけを考えていたわけでは、なさそうだ。ヒジ打ちの際のヒジの上げ方も高く、攻撃力は高くてもバランスの観点からは、やや不安定なマウントに見えた。でも、ケラモフのバランスは絶妙で、有利な体勢を取り続けていた。

朝倉は下から自由に動けたが、ケラモフにとっては、あとは朝倉の方から背中を見せてくれた感じだ。背後から朝倉の首に回した両腕を使って、ケラモフはしっかりと、最初に訪れたチョークのチャンスを、ロープぎわでモノにした。ケラモフは片足しか朝倉の股間に入れていなかったが、逃がすか!という執念が見えるような、強烈な絞め方だった。

あの頃のMMAなら、なんの疑問もない展開だ。でも朝倉ほどの選手が、なぜこのパターンで、あっさりつかまってしまったのか。

試合後、インタビューエリアに現れた朝倉は、さすがに言葉少なで、宙をみつめて心ここにあらずというような、とりとめもないような話しかできない状態だった。

でも朝倉から、いったいどうして負けたのか、相手のこの部分の強さが想定外だった……、というような言葉しか出てこないのなら、今後、同じレベルの実力者と対戦したら、朝倉はまた同じコメントを繰り返す可能性がある。

この一戦に向けて、いったいどんな練習をしてきたのか。MMAにくわしいトレーナーに付いてしっかり戦術を練り、どんな技術を磨いてきたのか。それも問われることになろう。

どんな競技でもそうだと思うが、総合格闘技も、メンタルを磨き、様々な状況に対処できる経験と技術を積んでこないと、常勝していくことは難しい。厳しい減量を乗り越えて、試合に臨むファイターたちだが、油断せず、慢心せず、過信せず、教えを乞い、この道を極める覚悟で臨まないと、どんなトップ選手であっても超一流の集うRIZINで、思うような結果は手に入らなくなるだろう。

相手が強すぎたという言葉は、使いたくないのだ。だって朝倉にだって、強くなるチャンスはあるのだから。それが今回、結果を出せなかったということは、これは朝倉自身の問題だ。

この日の内容と結果では、総合格闘家としての朝倉の現実の位置が見えてしまったと言われても仕方がない。それほど、圧倒的な内容で散ったのだ。でも、このまま立ち止まる男ではないだろう。

どうする、朝倉未来!?

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