8年越しのコンプレックスをぶつけ合う女の闘いは笑顔の結末!安納サオリとなつぽいが革紐マッチを経て真の仲間に
2日、神奈川県・横浜武道館にて、スターダム『STARDOM MidSummer Champions 2023〜真夏の王者たち〜』が開催され、安納サオリとなつぽいが因縁のシングルマッチを行った。
安納と万喜なつみ(現:なつぽい)は、2015年に旗揚げされたアクトレスガールズの初期メンバーとして団体を支えてきたが、万喜が2018年末を以てアクトレスガールズを退団。
退団前の2018年10月に両者が最後のシングルマッチを行った際には安納が勝利し、「もう二度となつみと戦いません。これでまた戦ったら、お互い目標に向かってへんことになるよ」と語っていたが、退団直前の壮行試合ではタッグマッチで対戦し、「なつみがプロレスをまだ続けるって言ってくれたときに、正直すごく嬉しくて。私は守っていかなきゃいけないものがあるし、なつみも守っていかなきゃいけないものが出てくると思う」と複雑な気持ちを口にしていた。
時は流れ、安納はフリーとして、万喜は“なつぽい”と名を変えてスターダム所属として女子プロレス界で活躍。2人の道はもう交わることがないと思われていたが、今年4月に安納がスターダムリングに登場。KAIRI&なつぽいとの【REstart】を結成してアーティスト・オブ・スターダム王座(※6人タッグ王座)戴冠も果たした。
王座は落としたものの、今後もチームメイトとして仲良くやっていこうとしていたなつぽいだったが、安納はなつぽいへの対抗心を捨ててはおらず、なつぽいとの一騎打ちを要求。なつぽいは最初こそ闘いを拒否していたが、次第に安納に対するコンプレックスを吐露し始める。
これを受けた安納が「数年間、ずっと見てたよ、なつみのこと。どんどん輝くなつみを見て、『私はなにやってんやろ』とすごい思った。なつみがスターダムに上がったのを見たのがめっちゃイヤやったし、なつみのこと見るのもすごいイヤだった。でも見なあかんと思って見た。私はその気持ちを乗り越えた。なつみと向き合いたいと思ったから乗り越えた。なつみは乗り越えれへんじゃん。だからなつみは私に勝てへんのちゃうん?」と思いをぶつけると、なつぽいも苛立ちを見せ、「いいよ、わかったよ。私がいまここのスターダムで培ってきたもの、いまの私をなつぽいを全部ぶつけてやるよ」と応戦の構え。
ロッシー小川EPは、2人が様々な意味で強く結びついている様子から、インディアン・ストラップ・マッチを提案。
インディアン・ストラップ・マッチは、互いの腕を皮ひもで結び付けて闘う形式。
皮ひもを凶器としての攻撃は認められ、3カウントを奪った選手は、皮ひもで相手を引きずって全4コーナーをタッチしながら1周することで勝利。なお、引きずり途中で相手が起き上がってきた場合は、再び3カウントを入れなければならないというルールで行われる。
試合は、リング内外を広く使って闘おうとするなつぽいに対し、安納は革紐をコントロールしてなつぽいのスピードを制限したり革紐を凶器として使ったりと頭を使ったファイトを展開。
革紐を引き寄せ合いながら顔面をビンタで張り合ったり、投げっぱなしジャーマンを向後に打ち合ったりと意地と意地がぶつかり合う壮絶な試合となっていき、なつぽいが安納を革紐でぐるぐる巻きにした上でフェアリー・ストレインで叩きつけて3カウント。
なつぽいは安納を引きずってコーナーに触れていくが、安納がガバリと起き上がってジャーマン・スープレックスから革紐を使った絞首刑。さらにロコモーション式ジャーマン・スープレックスの3連打から「なつみ!」と叫んでのタンタンドルで叩きつけて3カウント。そのままリングを一周して勝利を決めた。
満身創痍の2人だったが、試合後も革紐に繋がれていない方の手と手を取り合うなど遺恨は残っていない様子。
安納が「うちら、アホやな。どんだけお互いに負けたくないねん。ホンマアホやわ。どうする?このまま、これからも対立してく?この関係続ける?」と語りかけると、「ウチらはさ、切りたくても切れないなにかで繋がってるのかな?私にとって、サオリは、これからも一生ライバルだよ」と返し、安納も呼び方を“なつみ”から“なつぽい”へと改めた。
その後、中野たむ、水森由菜がリングに上がり、4人での新生COSMIC ANGELS始動を宣言。4人でのコズエンダンスを披露し、会場が大盛りあがりの中で大会はエンディングを迎えた。
バックステージに戻った安納は、「今日、私が勝ったでなつみ。でもさ、まだ完璧なつみに勝ててると思えへんのよなあ。これはプロレスラーである限りずっと思う感情なんや思う。私はなつみになれへん。なつみも私になれへん。でもそれがいいの」と語り柔和な笑み。
しかし、なんやかんやで初めてのはずのコズエンダンスを踊れていたことを突っ込まれ、なつぽいが「絶対陰で練習してましたよ~そういう人ですよ~」といじりはじめると、「うっさい黙れ。じゃあね!またね!」と照れながらなつぽいを引っ張って会場を後にした。