「たかがサイコロ1個で勝てたのに」青野未来がポイントマッチで松井珠紗からAWGシングル王座防衛!
24日、東京都・新木場1stRINGにて、『ACTwrestling Step19 新木場公演』が開催され、青野未来が松井珠紗を制してAWGシングル王座の2度目の防衛に成功した。
プロレス団体としての活動を終え、2022年から『プロレスを用いたよりエンターテインメント性の高い公演』へと移行して新体制となったアクトレスガールズ。プロレスの『アクトレスリング』と、舞台演出にプロレスの要素を取り入れた『アクトリング』という分け方でプロレス活動が再始動した。
新体制になって間もなく続々と新人が加入していき、全ブランド合わせれば旧体制アクトレスを上回る勢力を誇る団体に。それ故に、アクトレスリングの公演には毎回全員が出場出来るわけではなく、限られた試合枠を巡って熾烈な“レギュラー争い”が展開されている。
2022年8月より元スターダムGMの風香がアドバイザーに就任した後には、リング上でのパフォーマンスの質が大幅に向上。旧アクトレスでも主力として活躍していた青野未来や茉莉、元スターダムの澄川菜摘(翔月なつみ)や惡斗、元JDスターのMARUといった以前からプロレスをよく知る実力者たちが中心人物として君臨してきた。
しかし、新体制になってからデビューした選手たちがそんな現状に異を唱えて下剋上の流れが出来始めており、現AWGシングル王者の青野未来を打倒せんと気炎。新人限定で次期挑戦者決定トーナメントが開催されるなど変革の時が訪れている。
この日は、青野のAWGシングル王座に松井珠紗が挑戦。
松井は旧体制アクトレスでも気鋭の若手として注目されていたが、新体制アクトレスでも中心人物として活躍。アイスリボンからレンタル移籍中の朝陽らと下剋上ユニット【てっぺん☆】を結成し、ベテラン勢から頂点の座を奪取せんと意気込んでいる。
青野と約4年ぶりのシングルに意気込んでいた松井は、ゴングが鳴るや否や必殺のMKD(松井かわいいドライバー)を狙っていくも、青野は豪快なラリアットで対抗しつつ39ロックなどを軸にした堅実な足攻めで機動力を削ぎ、場外戦でじわじわと削っていく試合巧者ぶりを見せる。
しかし、松井も師匠・MARU直伝のマフラーホールドで足を潰し返し、ムーンサルト・プレスからMKD。さらに顔面へのニーバッドを連打してマ・カワイストラルでの決着を狙うが、振り切った青野がダブルアーム・スープレックス、バズソーキック、バックドロップと畳み掛けて3カウントを奪った。
試合後、マイクを取った青野は「私は珠紗をすごく頼りにしてるし、私はあなたにとっては頼りないかもしれないけど、珠紗がこのアクトレスガールズに残ってくれてよかった。ありがとう」と感謝の言葉を投げかける。
そして、「この試合、ポイントマッチという制度でやっています。今回、私と珠紗、サイコロ振った数が同点でした。同点になるとキャリアが上の方が、勝つということで、今回私は守ることができました。だから、悔しいし、めちゃくちゃ怖いけど、珠紗が、報われる日は、そんなに遠くないと思います」と語りかけた。
ポイントマッチとは、 技術・演技力などリング上でのパフォーマンス力を測る【実力】、パフォーマンス力を高めるための練習・習得技術などへの【努力】、集客力と物販の売上などファンへのアピール力を測る【人気】、サイコロの出目で加算ポイントが決まる【運】といったポイントを数値化して大会前に集計し、ポイントで上回った選手が試合で勝利することが決まるシステム(同点の場合はキャリアが上の人間の勝利)。
今回は青野と松井が同点であったため、キャリアで上回る青野が勝利する試合として行われていたという背景がある。
バックステージに戻った青野は、「ホントにちょっと、私が練習に来てなかったりとか、集客が弱かったりとか、ポートレートの売上が悪かったら、負けてたってだけの話で、どっちが勝ってもおかしくない状況だったっていうのを今まで以上に感じたので。そういった色んな思いが乗っかった、自分の中で大きな意味を持った試合になりました」と試合を振り返る。
そして、「もちろん練習するのも集客とかも、ポイントマッチが始まる前から当たり前のことだし、やらなきゃいけないことだし、自分のためにそれはもちろん頑張っていたんですけど、今までは自分にしかわからないことがたくさんあったのが、他の人にも数字で分かるっていうのは、もちろん手は抜いてなかったけど、本当に手を抜けない」とポイントマッチの難しさを語った。
一方、松井は「未来さんが今持ってるベルトが、私は『団体内であんまりフィーチャーされてないな』ってすごく思っていて、それは私は未来さんが発信をしないことがすごく良くないんじゃないかと思ってたんですけど、今日、4年ぶりの一騎打ちを経て、未来さんは未来さんで多分抱えてるもの、思っているものがたくさんあって。それをうまく出せていないだけなのかなと私は思ったので」と青野を評価。
そして、『この団体でベルトを狙っていくにあたって、ポイントを稼ぐためにもっと練習に出てもっとポートレートを売ってもっとチケットを売るということを強く意識するか、リング上での魅力・実力を見せることを強く意識するか』という質問を受けると松井はしばし思案。
その後、「私は全く後者ですね。集客とかポートレートとか、ポイントにはなるんですけど、でも、それって結局リング上でのパフォーマンスがあってのお客さんが付いたりってことだと思うので、まずはそこをどうにかしないとって思っているのと。これは私あまり言うべきじゃないと思ってるんですけど……同点だったので、サイコロの目が1個多かったら勝ってたんですよ。だから『今回勝てなかったから集客頑張ろう』とか『(ポイントの)素点が上がるように頑張ろう』とか、中々思いづらいですよね。だって、『たかがサイコロ1個で勝てたんだから』とは思うから。ポイントマッチの部分では、お客さんが面白く思っているなら私は全然それでいいんですけど、私としては『内側のモチベーションには決してなってないよ~?』ってことをここで言っときます」と自身の見解を語った。