「ノーモアムタ。バイバイ」グレート・ムタが最後の試合でスティングとタッグを組み白使の卒塔婆に血文字で“完”

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 22日、神奈川県・横浜アリーナにてプロレスリングNOAH『ABEMA presents GREAT MUTA FINAL " BYE-BYE"』が開催され、グレート・ムタが最後の試合を行った。

 武藤敬司は新日本プロレス、全日本プロレス、WRESTLE-1を経てフリーとなり2020年からNOAHに参戦。2021年にはGHCヘビー級王座を初戴冠を果たして佐々木健介、高山善廣に次ぐ史上3人目の3大メジャー団体ヘビー級シングル王座完全制覇を達成し、NOAHへと入団。その後は丸藤正道とGHCタッグ王座も戴冠し、高山善廣に次ぐ史上2人目の3大メジャー団体シングル&タッグ王座の完全制覇を達成した。
 そんな武藤も体の限界を感じ、2023年2月21日のNOAH東京ドーム大会にて引退することを発表。現在のNOAHは武藤の引退ロードで大いに盛り上がりを見せており、武藤の引退とともに魔界の門が閉じてこちら側の世界に出てこられなくなってしまうというグレート・ムタについても注目度が高まっていた。

 1月1日の日本武道館大会では、グレート・ムタと、WWEスーパースターのSHINSUKE NAKAMURA(中邑真輔)のシングルマッチが実施。かつてのムタvs天龍源一郎の試合を思わせるシーンや、毒霧を巡る攻防は世界中の目を引き、早くも2023年のベストバウト候補として挙げられる試合となった。
 
 ムタの最後の試合は、グレート・ムタ&スティング&ダービー・アリンvs白使&AKIRA&丸藤正道の6人タッグマッチ。
 WCWでムタと縁が深かったスティング、そしてスティングが現在最も信頼するパートナーであるアリンという時代のバトンを次の世代へと託すチームが結成。対角には白使&AKIRAとムタと縁深い2人に加え、GHCタッグ王座を戴冠した際のパートナーであった丸藤が並んだ。

 そしてこの日はグレート・ムタの“父”であるザ・グレート・カブキさんも登場し、試合前のリングでヌンチャクを用いた舞いからの毒霧噴射で“息子”のラストマッチに華を添える。

 “Bye Bye”のペイントが入ったマスクを装着して現れたムタと白使の対面で試合が始まると、じっくりとした睨み合いの末にムタが空に向けてグリーンミストを噴射。指一本触れ合う前に会場の空気を最高潮まで持っていく。
 スティングがタックルで白使を場外へとふっ飛ばしてテーブルに勢いよく突っ込ませたり、ムタが白使の従者が持っていた卒塔婆を奪い取って叩き割り白使の額に突き刺すなど、いつか見た光景を想起させる展開に。
 スティング&アリンの師弟連携スティンガー・スプラッシュやスコーピオン・デスロックが繰り出されれば、AKIRAがムササビプレス、丸藤が虎王と大技を解禁。白使も拝み渡りを狙うが、頭部のダメージからかバランスを崩してしまう。
 ムタはこの一瞬の隙を見逃さず顔面へグリーンミストを噴射し、閃光妖術で追撃。さらにスティングがスコーピオン・デスドロップ、アリンがコフィンドロップと見舞ってアシストし、最後はムタが閃光妖術をクリーンヒットさせて白使から3カウント。

 試合後も荒ぶるムタは、折れた卒塔婆を再び白使の額に突き刺すと、流れ出る血を指に塗って卒塔婆に“完”と描く。27年前の対戦時の光景の再現となるが、その際に描かれた文字は“死”。死によって幕を引くのではなく、自ら完結させての幕引きを選ぶというムタの意志を感じさせた。


 最後の試合ですべての力を使い果たしたか、ムタはアリンの押す車いすに乗って登場。
 ムタはパートナー2人と握手を交わし、「バイバイ、エブリバディ。ノーモアムタ。バイバイ。グッバイ!」と別れの挨拶。
 これを受けたスティングは「自分にとっても最後の来日かもしれない。ただ、数々の名勝負を繰り広げたこの日本でまた試合ができて、それがムタと一緒だというのはとても嬉しいことだ。ムタにはいつも限界を超えたものを引き出されてきた。本当にありがとう」と柔和な表情で語る。
 アリンは「グレート・ムタの最後の試合、そしてスティングも日本で最後となるかもしれない試合。そんなときに初めて日本に来て試合がすることが出来て本当に光栄だった。今回のこの機会がまた日本に来るきっかけになれば嬉しい」と語り、ムタの車いすを押せることが心底嬉しそうな様子で去っていった。

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