「いつか絶対に俺の手でこの状況を切り抜けてみんなが楽しめるプロレスにする」棚橋弘至が内藤哲也から5年ぶりの勝利!G1 CLIMAX優勝でファンへ恩返しを誓う!
24日、東京都・大田区総合体育館にて新日本プロレス『新日本プロレスSTRONG SPIRITS Presents G1 CLIMAX 32』が開催され、棚橋弘至が内藤哲也からシングルで5年ぶりの勝利を挙げた。
『G1 CLIMAX』は新日本プロレスのヘビー級選手によるシングルリーグ戦であり、優勝者が1月の東京ドーム大会でIWGP世界ヘビー級王座などの王座に挑戦することが慣例となっているため、下半期のヘビー級戦線の行方を占う最大のイベントとして知られている。
例年は真夏に行われるシリーズであったが、世界中がコロナ禍に見舞われてから大幅な大会スケジュールの変更を余儀なくされていた中、今年は3年ぶりに“真夏のG1”が復活。22年ぶりの4ブロック制での開催となり、総勢28選手が参戦している。
この日は、Cブロック公式戦として棚橋弘至vs内藤哲也の試合が実施。
両者の17回目のシングルマッチ。内藤はG1での棚橋戦に於いて6戦5勝1分と無敗を誇っている。2013年に内藤がG1を初めて制したときの相手も棚橋、L.I.Jに入って凱旋帰国しデスティーノを初公開した相手も棚橋と、内藤にとっての棚橋戦は常にターニングポイントとなってきた。
試合は互いの歩んできた歴史を確かめ合うかのようなじっくりとしたレスリング戦に始まり、押し勝った棚橋がリングに寝転びながら拳を天に突き上げる内藤のポーズを真似ると内藤は場外に放り出して痛めつけ、必殺のデスティーノに向けた首攻めを展開し始める。
棚橋はドラゴン張り手で突き放してドラゴンスクリュー、サンセットフリップと見せかけた足へのダイビング・フットスタンプと足攻めを展開していくが、内藤はエスペランサ、グロリア、プルマ・ブランカと中盤から大技を繰り出して流れを掴ませぬまま試合を決めに行く。
内藤のデスティーノを振り払ってのドラゴンスクリューで窮地を脱した棚橋は真っ向からのエルボー合戦を要求。2人は足を止めて笑みを浮かべながらバチバチと打ち合っていき、棚橋がツイスト・アンド・シャウト3連発からスリングブレイド3連発。ハイフライアタックからハイフライフローを発射も内藤がかわしてジャックナイフ。さらにバレンティアで突き刺してデスティーノを狙うが、棚橋が電光石火の首固めで3カウントを奪った。
棚橋は内藤と向き合って座りながら二言三言の言葉を交わし、マイクを取ると「皆さん、本日はご来場本当にありがとうございます!おかげで選手が全力で闘えています!」と座礼。
そして「夏といえば、そう、G1!3年ぶりの夏開催になりました!ありがとうございます!今日の皆さんへの気持ちはどこでお返しすれば良いのか、どういう形で皆さんにプロレスを楽しんでもらえるのか、今朝方答えが見つかりました。G1 CLIMAX、ちょっくら優勝してきます!じゃあ最後に!大田区の皆さん!愛してま~す!」とリングの中心で愛を叫んで大会を締めた。
さらに、時間に少しの余裕が有ることを確認すると、リングの周りを一周しながらファンに「ありがとう!ありがとう!」と声をかけながらエアハイタッチを交わして退場していった。
バックステージに戻った棚橋は「今日の試合は、『G1』で僕が内藤に初めて勝ったらしい。そして、『G1』の公式戦を1勝1敗にした意味も大きい。今日は心の底からホッとしている。ただ、ホッとしていいのは、プロレスラーは試合が終わって、寝て、次の朝起きるまで。この時間だけ」と兜の緒を締める。
そして「今俺にある時間を全部プロレスに費やしちゃって、足りないぐらい足りないぐらいファンの皆さんには感謝しているし、力をもらってる。(涙声になって)いつか、いつか、絶対に俺の手で、他の誰かじゃなくてプロレスラー・棚橋弘至で、この状況を切り抜けて、みんなが楽しめるプロレスにします。ただ、今は、今はね、気をつけましょう。プロレスの大会をやらせてもらっている身で言うのもなんなんですけども、本当に新日本プロレスも最善を尽くしますので、皆さんも最善を尽くして力を合わせて、みんなで『G1』の力を感じましょう」と“新日本のエース”として熱いメッセージを贈った。
そして内藤から約5年ぶりの勝利を挙げたことについて問われると、「それぐらい差があったんだと思います。俺が内藤戦で一番憶えている試合はいっぱいあるけども、2010年の10月の両国で、内藤と両国でシングルでタイトルマッチやって、俺が内藤の手を挙げて、『これから俺らで盛り上げてくぞ』って言ったのが恥ずかしいぐらい内藤の活躍があって。ただ今日一つ勝ったことで、何かが済んで、何かが始まった気がします」と笑顔を見せた。
一方、G1開幕2連敗を喫した内藤は「今、俺に出来ることは残り試合を全て勝つこと。1%でも可能性が残っているのであれば、俺はこの『G1 CLIMAX』優勝、そして2023年1月4日東京ドーム大会のメインイベント目指しますよ。俺の夏はまだまだ終わらないぜ、カブロン!」と腐ること無く気炎を上げた。