「ヨシタツは人に頭を下げられるようになった」新日本から続く愛のムチ問題が収束しWWEから続く因縁も和解
12日、東京都・後楽園ホールにて全日本プロレス『2022 DREAM POWER SERIES』が開催され、ヨシタツ・キングダムのクーデターが収束。王国に再び平和が訪れた。
ヨシタツは新日本プロレスからWWEを始めとする海外の団体を渡り歩き、全日本プロレスの所属となったという経歴から自らの生き様を“王道ストロングスタイル”と定義づける。そしてその力を知らしめるために自らのユニット“ヨシタツ・キングダム”を全日本内に建国。
王国の中枢として、全日本プロレスのメインスポンサーである株式会社カーベルの伊藤一正社長ことカーベル伊藤を財務大臣に任命し、さらに崔領二率いるランズエンドと正式に国交を樹立するなどGF(ゴッドファーザー)としての辣腕を発揮。“力道山三世”力、新宿フェイマスの立花誠吾、胸毛ポリスの植木嵩行、空飛ぶインド人のバリヤンアッキなど個性的なメンバーを加え、全日本のエンタメ戦線を盛り上げつつもヨシタツ&植木&立花が全日本プロレスTV認定6人タッグ王座を戴冠するなど結果も出してきた。
しかし、ヨシタツGFによる愛のムチという名の理不尽な暴力に対して臣民たちから不満が噴出しており、堪忍袋の緒が切れた植木&立花&アッキが今年1月にクーデターを起こして王国は崩壊。
クーデターのさなか、全日本プロレスへのレギュラー参戦を狙っていたKAZMA SAKAMOTOがヨシタツを襲撃した上で「こんなクソ野郎と絡んでもなんにも得しない。上にもいけない。成長もしない。こんな自己中心的な男とやってても上にはいけないぞ?俺のすべてを教えてやるよ」と演説したことで臣民の心を掌握。KAZMAがヨシタツのユニットを乗っ取る形となり、“裸の王様vs怒れる臣民”という抗争が展開されてきた。
しかし、抗争を経るにつれヨシタツは過去の自分の行いを反省。
2月の後楽園大会の試合後には「俺は立花に、試合が終わったあと俺なりの愛情表現でカメラの回ってる前でアイツのこと殴ったりしました。2016年、まだ俺が新日本に居た頃、俺はHUNTER CLUBで同じことをキャプテン・ニュージャパンにやっていました。彼はボーンソルジャーになってしまって、BULLET CLUBに入ってしまってHUNTER CLUBは消滅しました。今、それと全く同じ構造のことがここで起きてるんです。俺は期待を込めてそういう事をやっていたんですけど、今の時代に合わない。やっぱそういうことは根本的に良くない。今回のことは、俺に非がある、俺が変わらないといけない」とパワハラを観客の前で懺悔していた。
この日はヨシタツとKAZMAの因縁決着戦としてシングルマッチが実施。
KAZMAは序盤からラフファイトも交えて圧倒していき、場外戦では植木やアッキが助太刀の一撃を入れていくが、今月7日の保土ヶ谷大会でヨシタツとシングルマッチを行ってヨシタツの心境の変化を感じ取っていた立花は攻撃に参加せず。
ヨシタツが一瞬の隙を突いてブルーサンダーを見舞いコーナーに上っていくと、植木&アッキが妨害しようとするが立花が2人を引き剥がす。ヨシタツはKAZMAの追撃をかわして着地し、CBJからハイキックをクリーンヒット。KAZMAはなんとか立ち上がろうとするが、意識を失ってバタリと倒れ込んだことでレフェリーが慌てて試合を止めた。
ヨシタツは「お前らのために、良かれと思って今まで厳しく接してきたけど、きっとそのやり方は間違っていたんだと思う。俺は人としてお前らに思いやりがなかったんだと思う。申し訳なかった。今日やって思ったけどやっぱり、俺にはお前らが必要だよ。これからも一緒に俺と一緒にやってくれ。この通り!」と深々と頭を下げる。
植木&アッキは納得していない様子であったが、立花が「アンタはバックステージで俺らのことをぶん殴ったりして、俺たちがいくら謝っても許してくれなかった。だけど、そんな人間がこんなによ、大勢が見てる中で頭下げて俺たちにお願いしてくれる。俺たちも裏切ったことに関して悪かった。2人はシングルマッチをやってないから分からねえかもしれねえけど、さっき頭下げてくれたの見たろ?だからよ、信じようぜ。もっかい」と説得し、2人もヨシタツと握手を交わす。
そしてヨシタツはKAZMAへ「お前がWWEに来たとき、お前は俺より歳もキャリアも下で、しかも俺はその時1軍でデビューしてたからお前のことはだいぶ下に見てた。でも今日試合してみて、お前は今俺の横に並び立つ存在だって分かったよ。今俺達はこうなったから、お前も俺に力を貸して欲しい。俺と一緒にやってくれ」と王国入りを要求する。
KAZMAは王国入りは拒否したものの、「ヨシタツ、お前にはまだ存在価値があるみてぇだな。お前を利用するために組む。いや、共闘するんだったらいいなあ。あくまで共闘だ。いい話があれば俺はお前を速攻裏切る」と条件付きでの共闘を申し入れ、ヨシタツと握手を交わした。
その後、KAZMAが立花に「ヨシタツのいいところを言ってみろ」と恒例の無茶振りを行うと、立花は「飯もおごってくれるしよ、酒もおごってくれるしよぉ~。まあ、本当に今日いいところ1つだけ見つけたな。頭を下げられるようになったところだよ」と笑顔。
KAZMAが「俺はいいからこの3人にちゃんと高い飯をおごってやるんだぞ!約束だ!」と語りかけると、ヨシタツは「We can do it!!――今日がホントの建国記念の日だぁ~っ!」と天に向かって叫び、王国クーデターは無事に収束し大団円の内に終わった。
なおバックステージでは骨折による長期欠場中だったカーベル伊藤が現れ、「プロレス業界の歩くATM!ヨシタツキングダムの財務大臣!カーベル伊藤、3・21復帰だベイベェ!」と大田区総合体育館大会での復帰を宣言した。