コロナ濃厚接触でパートナーを失い破門され孤独になった男児のピンチを師匠が救出も敗北
12日、東京都・後楽園ホールにて全日本プロレス『2022 DREAM POWER SERIES』が開催され、田村男児&諏訪魔がアジアタッグ王座の奪取に失敗した。
男児は2019年1月にデビューした4年目の若手であり、諏訪魔率いるEvolutionの一員として闘ってきた。
アマレス出身のバックボーンを持ち、泥臭く無骨なファイトスタイルから諏訪魔の信頼を獲得し、2020年にはあすなろ杯優勝、同末には佐藤光留とともにJr. TAG BATTLE OF GLORYといった実績を積み重ねては来たが、ベルトにはあと一歩及ばないという状況が続いていた。
そして、男児は昨年後半から全日本の中心へと躍り出ていた大日本プロレスのアブドーラ・小林と奇妙な友情を育むことに成功。互いに出身地の訛り全開で話し、“トモダチ”となったことでキャリア4年目の男児が27年目のアブ小にタメ口をきくという周囲をハラハラさせる光景が繰り広げられていた。
先月23日の後楽園ホール大会で三冠ヘビー級王座奪取に失敗して落ち込むアブ小に対し、男児は「小林くん、キャリア2年目くらいだと思って1からやり直そう」という旨の言葉をかけ、2人でのアジアタッグ挑戦を提案。アブ小も「(アジアタッグは)グレート小鹿の代名詞なんだよな」と乗り気になり、トモダチタッグでのアジアタッグ挑戦が決まった。
しかし、これは “上司”の許可を取らずに決めた独断行動であったため、諏訪魔は「アイツはEvolutionを破門だお前!義理を欠くってことは俺の中では無い」と激怒。
義理よりも友情を取った田村だが、今月9日にアブ小が新型コロナの濃厚接触者判定を受けてしまったためアジアタッグ戦当日を欠場することに。パートナーを失った男児は諏訪魔にパートナー要請を出すものの、ブチ切れている諏訪魔は「さすがにお前と組むことは無理だ。お前は破門された身なんだよ。他を探せ。いや今回のタイトルマッチは諦めろ」と取り付く島もなし。男児のパートナーは“X”と発表されたまま大会当日を迎えた。
結局パートナーを見つけられなかった男児は、浮かない表情を浮かべて1人で入場。
これに激怒した現王者組の大森北斗&児玉裕輔はアジアタッグ戦の中止を宣言して引き上げようとするが、ここで突如諏訪魔の入場曲が鳴り響き、コスチューム姿の諏訪魔が登場する。この日の第4試合に出場していた諏訪魔だったが、全日本プロレス入門前からレスリングを教えている愛弟子のピンチに名乗りを上げたことでアジアタッグ戦が成立した。
しかし、男児と諏訪魔も関係がギクシャクしているのか、男児が「オイ、諏訪魔!行きましょう!」と呼び捨てと敬語が入り混じった呼びかけで連携を求めるも諏訪魔が拒否するという不穏な立ち上がりとなり、中盤までは男児が孤立無援のローンファイトを強いられる。
その後、男児が自身の力で生還すると諏訪魔は1vs2の状況でも圧倒的なパワーで大暴れ。しかし諏訪魔は自分の手で試合を決めようとせず、男児に主導権を握らせ徹底してサポートに回るという献身的な立ち回りを見せる。
終盤に再び男児が「諏訪魔!行きましょう!」と呼びかけた際には見事な連携ダブルチョップを見せ、男児が児玉に雪崩式ブレーンバスターから必殺のパワーボムを狙う。しかし、北斗のカットが冴え渡り、諏訪魔も王者組2人のダブルトラースキックで撃退。最後は児玉がマッドスプラッシュで男児から3カウントを奪った。
試合後にマイクを取った北斗は「正直、アンタ(諏訪魔)が出てきたときはマジでやべーって思ったけど、大森北斗&児玉裕輔という最強のタッグチームには及ばなかったな。これでアジアタッグを持って俺は3月21日、大田区総合体育館の世界ジュニア戦に挑む。大田区総合体育館でジュニア二冠王になった俺の姿を見に来てくれ」とクールに去っていく。
その後、マイクを取った諏訪魔は「今日、こうやってここに立たせてもらったけどさ、お前をここまで悩ませたこと、悪いと思うよ。破門なんて言って悪かった。そして!今日でさ、俺は破門は取り消したいと思う。男児、もう1回Evolutionとして一緒にやってくれるか?」と男児に謝罪し、再びEvolution入りを提案。
男児も「これからもEvolutionでやらせてください!お願いします!」と笑顔で応え、最後は男児が出身地である茨城弁の『頑張っぺ!オイッ!』のコールで大会を締めた。