DDT史上初の女子メインで里村明衣子が赤井沙希を撃破も「男子レスラーの中でここまでやってきてすごいと思う」と高評価
“浪速のロッキー”こと赤井英和の娘・赤井沙希が、“おきばりやす”七番勝負最終戦で、“女子プロ界の横綱”里村明衣子(センダイガールズ)に敗退し、3勝4敗と負け越すも、しっかりと成長の証を残した。
3日の東京・新宿FACE大会で、DDTプロレスリングとしては、史上初となる女子によるメインイベントが両者によって実現した。
序盤、里村はヘッドロック、アームロックで赤井の頭、腕を絞め上げた。赤井も得意のキック、エルボーで対抗するも、そこはさすがに“横綱”で、なかなかペースをつかませず。里村はミドルキック連打からハイキックへとつなぎ、ダイビング・ボディプレスを狙った。これを剣山でカットした赤井は三角絞めで絞り上げたが、里村はロープエスケープ。10分過ぎ、赤井はケツァル・コアトルからスリーパーを決めるも、里村はデスバレーボムで逆襲。最後は2発目のデスバレーボムから、強烈なスコーピオ・ライジングを赤井の脳天に叩き込み、里村が3カウントを奪った。
赤井とガッチリ握手を交わした里村は「私も興行の中止が始まってから3カ月ぶりの試合だったんですよ。その一発目が、赤井沙希! この3カ月間でチャンピオンになって、男子レスラーのなかで、ずっとあきらめずにここまできて、すごいなと思ってます。この時期だからこそ、私も覚悟があるんですよ。弱ってらんないなって。誰もが生き残っていかなきゃならない。今日は赤井と闘って、さらに自分自身が強くなれた気がした。またお願いします!」とマイク。
赤井は「里村さん、まだ強くなるんですか。でも、ずっと背中見てばっかじゃいられないです。里村さんがKO-Dを巻いた姿を見て、自分も女子とか関係なく、ベルト目指していいんだって、気付きました。里村さんが美しさって強いんだってこととか、いろんなことを気付かせてくれたきっかけの方です。自分たちの世代も里村さんの背中見て、追い越して、女子プロレス界と言わず、日本のプロレス界を盛り上げていきたいと思ってます。最終戦を引き受けてくださって、ありがとうございました!」と涙ながらに返した。
里村が退場すると、赤井は「負けてもまた立ち上がったり、悔しいときほど、歯を食いしばるってプロレスの基本だと思うんですけど、この七番勝負を経験して、プロレスの基本を感じさせていただきました。いつもは強い、頼もしい仲間がいるんですけど、里村さんは一人で来たし、今まで七番勝負、来てくれた選手、一人で来て一人で帰って行ったんで、自分も今日は仲間の力を借りず、がんばって一人で帰ろうと思っています。皆さん、七番勝負、最後まで見届けてくださってありがとうございました。私もっと強くなります!」と言って、リングを後にした。
バックステージで赤井は「最終戦の里村選手、3カ月すごい充電してきたんだなってことをリング上で感じました。七番勝負の最後を里村選手が引き受けてくださって、よかったと本当に思っています。こんなすごい経験させていただいて、七番勝負、どの選手も勉強になって、怖かったし、緊張したんですけど、この経験が私の明日の強さに変わる気がします。というか変えなくちゃ意味なかったんで。変えてみせます」とコメント。続けて、赤井は「マイクする前と後で、里村選手の大きさが変わるんですよ。それを体感して、里村選手の背中をみんな見てると思うんです。全部その見つめている背中を背負ってらっしゃるんで。自分もそこを見つめてていいのかなって。大尊敬して、かなわないとはわかってるんですけど、かなわない相手として背中を見てるだけじゃプロレス界入った意味がないので。私もその背中の一つになってやります」と前を向いた。
里村は「しぶとくなってましたね。体の細さを全く感じさせない、芯の強さが違う。こんなになったかって感動しましたね。なぜ自分が七番勝負の最後、この時期に選ばれたという意味を自分自身きちんと考えて、見ている皆さまに伝えたつもりです。女子の枠にいないからこそ、引き立つものってあると思うんです。女子の団体で生きていくのと、全然違う畑でやってるので、そのままの立場でそのままいってほしいですね。たまに対戦したときに『本当にこの選手とタイトル懸けてやりたいな』って思ったら指名するだろうし、私自身もやりたいと思うだろうし」と振り返った。
結果的に、七番勝負を勝ち越せなかった赤井だが、男子のなかでもまれて成長した姿を里村戦でしっかり見せたことで、メインの重責を果たしたといってよさそうだ。