中西学27年のプロレス生活に幕!坂口征二&馳浩&長州力&藤波辰爾が引退セレモニーに来場!
22日、東京都・後楽園ホールにて新日本プロレス『中西学 引退記念大会』が行われた。
中西学は大学時代に全日本レスリング選手権大会4連覇という華々しい実績を持ち闘魂クラブに入団。バルセロナオリンピック出場を果たし、1992年に新日本プロレスデビューした“和製ヘラクレス”の異名を取るレスリングエリートである。後に“第三世代”と呼ばれる永田裕志、天山広吉、小島聡らとともに活躍を続け、その隆々とした筋肉に裏打ちされた豪快なパワーファイトを持ち味に新日本プロレス一筋で27年間戦ってきた。
ヤングライオン杯優勝、IWGPタッグ王座戴冠、G1 CLIMAX優勝など若手時代から結果を残していったが、その優しすぎる人柄や総合格闘技ブームの波に呑まれたこともあり、次第に実績面で他の第三世代に遅れを取っていく。2009年には42歳にして6度目の挑戦で初のIWGPヘビー級王座を戴冠も、2ヶ月弱の短命政権に終わってしまった。そして2011年には自身が引退の理由であると語る首の負傷もあり最前線から遠ざかっていたが、今年1月に「もう昔の動きができない。ズルズル行くのも嫌やし」と引退を表明。
中西の最後の試合は、同じ時代を共に歩んできた永田&天山&小島とタッグを組み、オカダ・カズチカ&棚橋弘至&飯伏幸太&後藤洋央紀と現在の新日本プロレスの最前線を走る4人との8人タッグマッチとなった。
この日、会場入口には天龍源一郎、中邑真輔らから届いた花が展示されており、観衆は中西を送り出すための応援ボードを各々の手に持つ。中西の引退試合の前にはこの試合の特別ゲスト解説として長州力がパワーホールに乗って登場し、本部席へと着席。
試合が始まると序盤からオカダが中西にアルゼンチンバックブリーカーを狙っていくリスペクトを見せ、場内は大盛りあがり。
中盤に中西は永田との連携攻撃を狙っていくが、永田のビッグブートが中西に誤爆すると怒りの中西は永田をアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げ、突っ込んで来た棚橋に投げつけるという怪力を見せつけると、トップロープからの雪崩式ブレーンバスターやコーナーからのダイビングクロスボディなど大暴れ。
終盤には中西が棚橋へ大☆中西ジャーマンを狙ういつかの場面の再現を見せると、会場はこの日一番の歓声が湧き起こるがこれは決まらず。最後は後藤がGTR、飯伏がカミゴェ、オカダがレインメーカー、棚橋がコーナートップからハイフライフローを投下する必殺技のフルコースを見舞い、中西からスリーカウントを奪った。
最後の試合を終えた中西は大の字に寝転び、憑き物が落ちたかのような穏やかな笑みで後楽園ホールの天井を見つめる。そして第三世代の同志たちが涙ながらに中西を助け起こし、この光景を見た棚橋が号泣する中で永田が中西をしっかりと抱き止めた。
そして試合を終えた8人はそれぞれ握手を交わして健闘を称え合い、最後は全員で手を挙げた。
続けて中西の引退セレモニーが行われ、この日パートナーを務めた3人が最後のメッセージと花束を贈り、正規軍、メイ社長&菅林会長も中西に花束を贈呈。
そして、ゲストとして坂口征二、馳浩、長州力、藤波辰爾が登場すると場内は大歓声。大先輩たちは中西の引退を労い、唯一現役の藤波は「こんなにいい身体して先に引退したら俺、引き際困るじゃないか!(笑)」と語り笑いを誘った。
最後にマイクを取った中西は「ホンマ奇跡のようにオリンピックに出れて、それでホンマ大したこと無いのに新日本プロレスに取ってもらって、いい気になっていろんな失敗繰り返して、そやけどみんなに支えられて、特に永田、天山さん、小島さん、切磋琢磨してもらって、なんとか諸先輩方に鍛えられてなんとか、後輩たちにもケツ叩かれてなんとかここまでやってこれました!さっきまで歩けへんくらい足引きずってても皆さんの声援もろたら急に動けるようになるのがレスラーやと、そうやと思うんやけどちゃうかな?そういう人種やと思うんで!ありがとうございます!現役は終わりなんですけど、1度プロレスラーをしたからには死ぬまでプロレスラーやと思うておりますので!マサ斉藤さんもそう言ってはりました!せやから死ぬまでプロレスラーでいて、トレーニングを続け、そして第二の人生、思い切り歩んでいきたいと思います!ありがとうございました!」とファンに挨拶し、10カウントゴングが鳴らされる。
そして最後は皆で中西を胴上げし、棚橋に促されてマイクを取った中西の「1!2!3!ホォ~ッ!」のコールで大会を締めた。
中西は第三世代の面々とともにバックステージに現れると、「最高のものを揃えてもらえた。最高のパートナーがいて、最高の相手がいて、んで、最高の団体と先輩方がいたから。後輩たちも最高です。みんな最高です」と引退試合を振り返り、「誰かて歴史と戦ったりとか色んなもんと戦ってると思うんですけど、せやけど一番はお客さんなんで。お客さんに喜んでもらえるような試合をしてほしいです。『この試合をせなアカン!』ということは絶対にないと思うんで。お客さんありきだからプロレスはここまで栄えてきたと思います。色んなことで失敗してるけど、お客さんに対してやってきたんで。それだけは忘れんといてほしいです」と後輩たちにメッセージを贈る。
そして中西は第二の人生のプランとして、ゆくゆくは兄とともに家業を継いでいきたいと語りつつ、「今はプロレスに携わっていきたいと思うし、携わりながらでもそのお茶の仕事はできるはずですから。せっかくやってきたことを活かしていきたいと思います。活かせるかどうかは分からないですけど、なんでもやるから。一生懸命やるから。それしかないんで」とこれからもしばらくはプロレスと関わっていくことを語る。
そして、中西は自身がIWGPヘビー級王座を戴冠した際の相手であった棚橋との対面を思い返し、「同じ場所やから同じお客さんが来てるわけやないけど、棚橋に大☆中西ジャーマン行くとき、指一本上げただけであそこまで声援が来たんで、あれはやっぱりもう、覚えてくれてるっちゅうか、この場所、この空間、もう色んな意味でそんなんがあって、そのとき会場に来てなくても見た人はそう思ってくれたっていう。『あぁ、プロレスは繋がってんねやな』っていうことと、やっぱりどこにいて、どこでやってもお客さんは見てるから、絶対に気ィ抜けへんから。この緊張の中で一番幸せを感じなアカンのやなと思ったし、やっぱり棚橋はスゴいやつだと思いましたね」と目を細めた。
第三世代の面々は天山との別れを惜しみつつ、中西ランドについての思い出話や、小島が新人時代に橋本真也さんに部屋へセミをばら撒かれて中西がセミを片付けた思い出などを語り歓談。
そして最後は天山が「俺ら4人、いつまでもガッチリ気持ちは一緒!仲間!」と叫び、4人で握手を交わした。