PANCRASE296に参戦する藤野恵実&上迫博仁が公開練習!元全米女子王者と元DEEP王者がPANCRASE参戦への意気込みを語る!
5月8日午後、都内新宿区の意和術慧舟會HEARTSにて、藤野恵実(FIGHT FARM)、上迫博仁(チームクラウド/和術慧舟會HEARTS)が公開練習をおこなった。5月20日に開催される「PANCRASE 296」(新木場・スタジオコースト)で、藤野はシャロン・ジェイコブセン(TRIPLE THREAT GYM)、上迫は田中半蔵(FUN’S)と対戦する。
藤野は2003年よりアマチュア格闘技に参戦し始め、2004年スマックガールでプロデビュー。その後、VALKYRIE、JEWELSなどで活躍。また、プロレスのアイスリボン、シュートボクシング、キックボクシングなどにも参戦した経験を持つ。
決して退かないファイトスタイルで「特攻天女」と呼ばれている藤野は、最近ではROAD FCで4勝1無効試合と無敗の戦績をあげている。パンクラスには2013年5月以来、5年ぶりの参戦となる。
対戦相手のジェイコブセンは、レスリングをバックボーンに持つ。2006年、日本開催の第6回女子ワールドカップでは、フォール負けを喫しているが、吉田沙保里と対戦している。その後、2008年には全米女子フリースタイルレスリング王者になっている。
総合格闘技は、2014年1月にプロデビュー。2015年より世界最大の女子MMA団体・INVICTA FCに参戦し、5勝2敗の戦績をあげている。INVICTA参戦を目論む藤野にとっては願ってもない相手だ。
藤野は杉山しずかをパートナーに3分間のスパーリングを披露。寝技を中心に見せ、何度も技を極めて見せた。
パンクラス初参戦の上迫は、第7代DEEPフェザー級王者。
実は、上迫がパンクラスに関わるのはこれが初めてではない。2017年3月、DEEP対パンクラスとして行われた一戦で、ガイ・デルモを迎え撃ち、2RでTKO勝利を挙げた。その際、上迫は「今度は自分がパンクラスに乗り込みたい」と語っている。
その後、2017年7月、石司晃一をサッカーボールキックで壮絶KOしてDEEPフェザー級王者となる。しかし、同年12月の初防衛戦で芦田崇宏に判定負け。パンクラスで心機一転を図ることとなった。
対戦する田中はZST、修斗で活躍したあと、2016年12月よりパンクラスに参戦。初戦で内村洋次郎を破り、2017年5月には左パンチで日沖発を秒殺KOし、ファンに衝撃を与えた。しかし、同年10月には中原由貴に判定負け。田中も再起戦となる。
共に打撃を得意とする両者、KO必至の打撃戦が期待される。
藤野恵実
パンクラスに上がるのは、ちょうど5年ぶり。前回以降はほとんど海外でやっていたので、戻って来られて嬉しいです。
――「先」を意識しますか?
「いえ、今回のこの試合のことだけを考えています。きちんと勝つことだけ。“先”は結果次第でついてくるものだと思っています」
――相手の印象を教えてください。
「自分と似ているタイプじゃないかなと思います。レスラーですけど、ケージに押し込んでそこから行く感じ。勢いもフィジカルもありますね。同じタイプでどちらが強いかという勝負になると思います。向こうのテイクダウンをディフェンスするより、自分から行きます。自分から積極的に攻めないと勝てないと思うので。
――今回、最初に決まっていた相手と変更になりました。
「特に気にしていません。むしろ、代わった相手の方が実績もあるし、映像を見ても強いと思うし、パンクラスさん、グッジョブ! という感じです。私もあと何戦できるかわからないので、弱い人を連れて来られてもっていう感じなので、強い相手の方がありがたいです。
――タフな試合になりそうですね。
「もちろんタフな試合を想定しています。申し分ない相手なので、面白い試合になると思います」
――最近、女子格闘技が盛り上がりを見せています。この状況についてどう見ていらっしゃいますか。
「女子といっても幅が広いですよね。誰でも出られると言うと語弊がありますけど、レベルの差がかなりあると思います。私としては、男子とか女子見解なく、MMA の1つの試合として見てもらいたいです。また、そう見てもらえるようなレベルの高い試合をしたいと思っています」
――同時代を切り開いてきた選手、浜崎朱加選手やV.V Mei選手も頑張っています。
「そうですね。浜崎選手はやっぱり強いですし、ああやって盛り上げてくれる(※RIZIN 10出場のこと)のはありがたいです。ああやって、日本にいるトップが出られるのはいいことですし、良かったと思います。Vはこれから試合ですし、昔からやっている人も頑張っていますよね。私も、MMAのベストファイトに選ばれるような試合を見せて行きたいと思っています。どこまでもつかわかりませんけど、下の子たちの手の届かない場所に行きたいですね。
若手の選手に対しては、ババアを追い越してみろよと思います。誰も挑戦して来ないし、私たちの名前を誰も出さない。だから、みんな外へ出て行ってしまうんです。女子格闘技を名乗るのであれば、ケンカを売って来いよと思いますね。ババアをナメんなよと。これまでやってきた量は誰にも負けません。やっぱり私たちの世代は、氷河期をやってきた怨念がありますからね(笑)。」
――パンクラスには移籍されてから初めて上がることになりますが、移籍のきっかけは何だったのでしょうか。また、環境はどのように変わりましたか?
「移籍した理由はマネージメントの関係です。マネージメントをしてもらうために、移る必要があったので。環境的には前と変わらないです。FIGHT FARMはスパーリングの相手がいないので、杉山選手とかお願いしていますけど、それ以外は環境的にはほぼ変わっていないですね。練習の内容も、ずっと続けてきたことを継続してやっています」
――パンクラスに再び上がることになって、タイトルは意識しますか?
「まず勝たないと何も言えないですね。まだ勝っていないのに今言っても。勝ったら言います」
上迫博仁
――パンクラス初参戦です。
「パンクラスは、DEEPでやっていた時からやってみたい気持ちがあったので楽しみです。パンクラスのフェザー級は選手がいっぱいいて、闘って見たい人がたくさんいます。そこに僕も入って力を試してみたいと思っていました」
――そんな中、初戦の相手は田中半蔵選手です。
「はい。ちゃんとランカーというか、強い選手を当てていただいたことに感謝しています」
――田中選手の印象は?
「何回か一緒に練習したことがあるんですけど、トータル的に何でもできる選手だなという印象です。一発もあって強いですよね」
――どんな試合になりそうでしょう。
「激しい試合をしたいですね。お互い記憶が飛ぶようなバチバチな試合をやりたいです」
――パンクラスではサッカーボールは封印しないといけません。
「そうですね。新たな必殺技を作らないと。まだ言えないですけど(笑)。今、気持ちがすごく試合に向いているので、試合の中で出るんじゃないかなと思います。僕の場合、具体的に考えてはいないけど、試合の中で覚醒するというか、勝手に出てくれるんです。もしかしたら、試合前日に思いつくかもしれません(笑)。
とにかく、コイツとやりたくねーなと思わせたら勝ちですね。自分は誰とでも闘いたいですし、今回は相手が半蔵選手なので、思い切ってやりたいです」
――打撃に関しては、国内で一番だと思いますか?
「国内で一番とは思ってないですけど、僕の打撃は人とは違うと思っています。本当に感覚的なものなので説明が難しいんですけど、試合の中で見えるものだったり、相手の動きがゆっくり見えたり、そういうのがあるんですよ。
練習だと、今日の課題をやっていくっていう感じなんですけど、試合の中だと見え方が変わるんですよ。ストップモーションで見えたりします。その瞬間が0.5秒だとしたら、5秒くらいに見えるんです。『これいける?』『いけるぞ』みたいに自問自答することもできたりするんです」
――元DEEP王者として背負うものは?
「DEEPの王者だったということに関しては、あまり背負っているものはなくて、それよりも、パンクラスでは新人なので、王者ではなくて挑戦者、新人の気持ちで暴れたいと思っています」
――上迫選手の新しい1章の始まりですね。
「忘れていた気持ちの部分が湧き上がってきているので、爆発させたいです」
――“忘れていた気持ち”とは?
「相手を殺してやるという気持ちです。これまで、試合をこなすという感じになってしまっていて、以前に持っていた相手を殺すというような気持ちが少し欠けていました。練習の延長のような、起伏のない状態になってしまっていて。あまりモチベーションが上がっていなくて、みんなに申し訳ないことうぃしたと不甲斐なく思っていました。でも、今回はこの気持ちが盛り上がっています。もし半蔵選手が打ち合ってくれるなら打ち合いたい。打撃をもらう怖さはないです」
――今後は?
「もちろんパンクラスの王者を目指します! 最短で狙っていきます。だから今回はちゃんとした勝ち方をしないといけないと思っています。今回ももちろん、1本、KOを確実に狙っていきます」
――今大会は生中継もあります。
「パンクラス初参戦でセミファイナルでやらせていただいたり、TOKYO MXで生中継されるという舞台を作っていただけたことに感謝しています。しっかり仕事をします!」
(写真・文/佐佐木 澪)