【試合結果】11・12 PANCRASEディファ有明大会 【ミドル級KOP】ロッキー川村vs新村優貴 上田将勝vsアラン”ヨシヒロ”ヤマニハ 瀧澤謙太vsアレッシャンドリ・シルニ

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『PANCRASE 291』
日程:2017年11月12日
開始:15:00
会場:東京・ディファ有明
観衆:1817人

【本戦】
▼第1試合 バンタム級 3分3R
◯神田T800周一(T-BLOOD)
判定3-0
⚫河村泰博(和術慧舟會AKZA)

▼第2試合 フェザー級 3分3R
⚫杉山和史(TURNING POINT MMA/Hybrid Fighter)
判定0-3
◯堀江圭功(ALLIANCE)

▼第3試合 バンタム級 3分3R
◯TSUNE(リバーサルジム新宿Me,We)
判定3-0
⚫山本哲也(SUBMIT MMA)

▼第4試合 バンタム級 5分3R
◯福島秀和(BLOWS)
3R 0分31秒、アームバー
⚫原田惟紘(パラエストラ北九州)

▼第5試合 フェザー級 5分3R
◯内村洋次郎(イングラム)
3R 2分59秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
⚫ダニエル・リケイホ(Taz Jinamar)

▼第6試合 ライト級 5分3R
⚫冨樫健一郎(パラエストラ広島)
判定0-3
◯アジズ・パフルディノフ(GLADIATOR FIGHT TEAM)

▼第7試合 フェザー級 5分3R
◯田村一聖(KRAZY BEE)
判定3-0
⚫鈴木琢仁(ブルテリア・ボンサイ)

▼第8試合 ウェルター級5分3R
◯高木健太(リバーサルジム川口REDIPS)
判定2-1
⚫奈良貴明(パンクラスイズム横浜)

▼第9試合 バンタム級 5分3R
⚫瀧澤謙太(リバーサルジム東京スタンドアウト)
2R 3分36秒、TKO勝ち(パンチによる鼻負傷でレフェリーストップ)
◯アレッシャンドリ・シルニ(NOVA UNIAO)

▼第10試合 セミファイナル バンタム級 5分3R
◯上田将勝(パラエストラ東京)
3R 4分52秒、アームバー
⚫アラン“ヨシヒロ”ヤマニハ(ブルテリア・ボンサイ)

▼第11試合 メインイベント ミドル級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ 5分5R
⚫ロッキー川村(パンクラスイズム横浜/第13代王者)
3R 0分43秒、TKO(スタンドのパンチ→レフェリーストップ)
◯新村優貴(フリー/挑戦者))
※新村が第14代KOPに。

ロッキー川村がミドル級KOP陥落!新村優貴が新王者に!四十路を迎える上田が勝利し貫禄を見せつける!

第1試合


 1R。スライディングして下に回る河村だが、神田にサイドを取られてしまう。殴る神田。河村はさらに下から足で腕を挟み仕掛けようとするが、神田が外して終了。

 2R。河村はスタンドから足を取りに行くが神田は付き合わない。神田はパンチ、ロー、ミドルと攻めて行く。河村は再び組みに行くが、神田が潰して上に。河村はギロチン狙い。回転して上になり、深く入って三角に移行する。さらに足を4の字に固めて胴をガッチリ固め、アンクルホールドを狙うも時間切れ。
河村のワザも極まっていないが、神田も打撃を出せないまま。

 3R。神田がパンチ、ローで先に攻める。神田がバックを取りヒザ、ヒジと猛攻。河村は下から足を狙うが極めることができない。一旦立つと、タックルに来ようとした河村の顔面に神田の左の蹴りがヒット! 神田が上になり殴る。河村はアンクルを狙うが、神田が外し、殴って終了。
ジャッジは3-0で神田が勝利。試合前に結婚を発表していた神田は、人生の新しい出発に自ら花を添えた。

第2試合


 杉山は2013年よりパンクラスに参戦。今月末で41歳になるが、昨年より宮地智之、中村晃司、稲葉聡に3連勝しランキング入り。しかし、今年7月には鈴木琢仁に判定で敗れている。
 対する堀江は22 歳。2016年より参戦し、現在5 連勝中だ。今年はネオブラッド・トーナメントを全て打撃でKOし優勝、MVPも獲得している、まさに若武者だ。

 1R。堀江がロー、前蹴りと前に出ると、杉山も打ち返す。椙山が組んでケージに押し込むと、堀江が入れ替えて足をかけ倒そうとするが、杉山は倒れない。逆に杉山が倒すと、堀江はすぐに起き上がって来る。お互いに倒し合うが、両者ともすぐに立ち、会場の空気が熱くなり始める。杉山は堀江を突き放すと打撃勝負! ケージ際で打ち合う。堀江がやや押し気味ではあるが、全く下がらない杉山の根性が素晴らしい。

 2R。堀江が突っ込んで行き、ケージへ押し込む。ヒザを入れてバックを取るが、杉山がヒジを打ち込み離れる。堀江のパンチがヒット、杉山がダウン! しかしすぐに立ち、下がるどころかパンチで押して行く。ケージ際で組むと投げてテイクダウン! しかし堀江はすぐに立つ。ケージ際で入れ替え合い、杉山が再び倒すが、堀江はすぐに立ち、粘り強さを見せる。杉山は側頭部を殴り終了。

3R。堀江が下がり始める。杉山は引かず、倒されてもすぐに立って前に出続ける。パンチの応酬だが、両者決め手は出ない。堀江が跳びヒザ。しかし杉山は堀江のタックルを切り、ケージへ。終了。

判定は3-0で堀江に軍配が上がった。若い堀江の勢いも素晴らしかったが、杉山の、決して下がらずに向かって行く気持ちの強さが大きな印象を残した。こういうものが、“練習ではわからない強さ”というものなのかも知れない。
 殴っても殴っても倒れず前に出て来る相手は恐ろしい。堀江は今回、その恐ろしさを味わったのではないだろうか。また「闘いとは技術だけではない」ということを、身をもって知ったのではないだろうか。
 年齢は離れている両者だが、今後がますます楽しみになる一戦だった。

第3試合


 1R。山本がロー、ミドル、右ハイキックと脚を使って来る。TSUNEは左パンチからすぐに組みテイクダウン。ケージへ押す。山本は足を投げ出して座る姿勢となり、TSUNEが殴って終了。

2Rも、山本がミドル、ローと蹴る。ローが強い。しかしTSUNEは左パンチから組んでケージへ押し込み、さらに投げてマウント! 側頭部を殴る。さらにヒジを打ち込み終了。
3R。山本がローから組みに行くが、TSUNEは切る。山本が右足を抱えながらケージへ押して行くが、TSUNEは腕を絡めながらヒジ、細かい鉄槌を連打。山本は足を取ったまま動けず終了。
ジャッジは3-0でTSUNEが勝利。

第4試合


福島は2014年よりパンクラスに参戦。現在4勝3敗でランキングは9位。
対する原田は2010年より参戦。2012年にはネオブラッド・トーナメント フェザー級で優勝している。2016年よりバンタム級に転向し、2連勝したが、今年2月には計量オーバーで不戦敗という失態をおかしている。今回は無事にパス。名誉挽回したいところだ。

 1R。お互いに様子をみる。原田が左ハイ、ヒザ、右フックと攻めまくる。福島もパンチを返し、打ち合いに。福島が原田の蹴り足を取るが、すぐに離す。福島はパンチを出して行くが、今ひとつペースがつかめない感じ。原田が前蹴りで畳み掛ける。終了間際、原田がテイクダウン。サイドからパンチを落として終了。ジャッジは三者10-9で原田。

2R。原田は蹴り、福島はパンチで攻める。原田は福島のタックルを切ると右パンチ。これが福島のこめかみにヒット、効いた! 福島は左右のパンチから組みに行くが、原田は付き合わない。さらに蹴りを使って行く原田。福島はタックルに行くが、原田が上に。福島はヒジ連打。残り10秒で原田が抜けて立ち、終了。ジャッジは2人が原田、1人が福島を支持。

 3R。原田がうまくタックルに入るが、福島が下から三角を仕掛ける。そのまま腕を伸ばし、原田がタップ! 福島が見事な逆転勝利を挙げた。

第5試合


 内村は2016年から3連敗していたが、今年7月、コンバ王子にTKO勝ちし、連敗を脱出。これから本格的に巻き返しをはかる。
相手のリケイホはカナリア島出身で、バックボーンはカナリア相撲。ブラジリアン柔術は黒帯だという。昨年スペインで行われたロード・トゥ・パンクラス トーナメントで優勝している。
 打撃の内村、グラウンドのリケイホ。どんな試合となるのか。

1R。内村が左右パンチを放つと、リケイホは組んでケージへ押し込む。内村はヒア連打。額をリケイホの頭に押し付け、胸を合わせさせない。リケイホがまた下から抱え上げケージへ押す。内村は立ち、ヒザを打ち込むがブレイク。
内村は左パンチ。しかしリケイホは組んでテイクダウン。バックをとり、回りながら殴る。足を4の字に固め、ガッチリ押さえて離さない。残り30秒でリケイホが腕十字! しかし内村は耐えて終了。ジャッジは2人が10-9でリケイホ、1人が10-8でリケイホ。

2R。内村はパンチを打つが、リケイホが組んで上に。内村、先ほどの攻防でやや疲れているか? 内村がガードポジションになると、リケイホは素早くバックスにまわり首を狙う。しかし内村は立つ。リケイホが再びバックを取り、ヒザからチョーク! 内村は外して反転。細かく鉄槌を落とす。残り1分。内村が殴って立つと、リケイホはケージへ押し込む。内村に尻餅をつかせて終了。ジャッジは三者10-9でリケイホ。

3R。あとがない内村は蹴り。リケイホは抱えて投げ、上になる。内村はガードでお互い殴る。内村を立たせないリケイホ。しかし内村立った! リケイホは内村の動く方に付いて来るが、不用意に頭を下げてしまったところへ内村のパンチがヒット! リケイホがダウン、内村がパウンドでラッシュし大逆転勝利を収めた。

石渡伸太郎あいさつ


 第2代バンタム級キング・オブ・パンクラシストの石渡伸太郎が、去る10月15日、RIZIN福岡大会・RIZIN FIGHTING WORLDGRAND-PRIX 2017バンタム級トーナメント1回戦(アクメド・ムサカエフ戦)での勝利を報告、今後の抱負も語った。

石渡「第2代KOPの石渡伸太郎です。12月29日に、ケビン・ペッシと2回戦を闘います。そのあと、31日に3回戦、4回戦を闘います。KOPとして誇りをもって闘ってきます。決勝で堀口(恭司)に勝って、パンクラスのベルトをもっと輝かせます」

第6試合


 ベテラン・冨樫は2012年よりパンクラスに参戦。現在4勝2敗、ここ2戦は連勝している。
 初来日のパフルディノフは、16勝1分けという戦績を誇る。しかも、16勝は全てフィニッシュ(5KO・11一本勝ち)というから恐ろしい。バックボーンはコンバットサンボで、2012年にロシアで行われたワールドカップ74kg級で優勝しているという。

 1R。右に回る冨樫。パフルディノフはプレッシャーをかけて行く。ミドルは急に来る感じ、前蹴りはいかにも重そうだ。フェイントからロー。冨樫はパンチを返す。パフルディノフは右ハイを放つが空を切る。冨樫は慎重に自分の距離を保っている。
パフルディノフは右ミドル、右ハイ。緊張感に溢れるラウンドが終了。ジャッジは三者10-9でパフルディノフ。

2R。パフルディノフは組んでテイクダウン。ケージへ押して行く。冨樫が立つと、パフルディノフはまたケージへ押してヒザを打ち込む。入れ替える冨樫。パフルディノフは足をかけるが、冨樫は倒れない。ブレイクがかかりスタンドに戻ると、冨樫がパンチ。ボデイブローから、じわじわと距離を詰めて来るが終了。ジャッジは三者10-9でパフルディノフ。冨樫はもう少しはっきりした攻撃が欲しいところ。

 3R。冨樫のパンチの隙を衝き、パフルディノフがタックル、大きく投げてテイクダウン! 冨樫はガードポジション。パフルディノフは上からパンチ、ボディブロー。パンチの音がボン! ボン!と会場に鳴り響く。パフルディノフはさらに鉄槌、細かく側頭部を連打する。ひっくり返したい冨樫だが、パフルディノフはさせずバックを取る。大きくヒザを打ち込むパフルディノフ。ヒザ連打。残り時間は1分しかない。パフルディノフはさらに投げ、ひざ、そして殴りまくってホーンを聞く。
ジャッジは三者30-27でパフルディノフが勝利。

第7試合


 田村は2015年よりパンクラスに参戦。昨年4月にはフェザー級暫定王者となるが、今年3月の正王者決定戦でナザレノ・マレガリエに1本負け。この試合が復帰戦となる。しかし、上位を倒す選手が続き、ランキングは7位に後退。再度、上を目指すためには1つ1つが負けられない状況だ。
対する鈴木は昨年のネオブラッド・トーナメント優勝。2016年の参戦以来4連勝中で、今年は牛久絢太郎、杉山和史を破っている。バックボーンは柔術だ。

 1R。飛び出す田村に、鈴木がバックスピンキック。足を取りに行くが、田村は潰して上になり殴る。鈴木は三角を狙いたいが、田村はさせず鉄槌連打。鈴木はカカトを落とすが、田村が殴り続けて終了。ジャッジは三者10-9で田村。

 2R。鈴木がローからバックブロー。しかし田村のローが強い。鈴木はスライディングして潜り込もうとするが、田村は付き合わない。鈴木は足を取るが、田村は外して立たせない。田村は鉄槌、ヒジを落とし続ける。鈴木は仕掛けを潰され、コントロールすることもできず苦境に。ブレイクがかかりスタンドに戻ると、鈴木はバックスピン。しかし田村は組んでテイクダウン! 殴って終了。このラウンドも三者10-9で田村。

3R。鈴木の表情に疲れが見えるか? バックスピンを放つが、田村はトリッキーな動きも委細かまわず、パンチから組んでテイクダウン! 鈴木を立たせずヒジ、パンチを打ち込む。残り2分となるが、田村は密着しながら殴り、鈴木に隙を見せない。残り20秒。殴り続ける田村。鈴木は立てないまま終了。鈴木の左頰が腫れていた。
ジャッジは3-0で田村が勝利。骨太な闘いで、前王者の貫禄を見せた。

第8試合


高木は2011年より参戦。去年から今年にかけては1勝3敗と崖っぷち状態だ。特に、阿部大治、佐藤天ら若い選手に追い上げられている印象があるが、実は高木もまだ31歳。今回も25歳と若い相手だが、どのように闘うのか。
対する奈良はまだ4戦とキャリアは浅いが、阿部大治に敗れているのみ。今年は窪田幸生、近藤有己らベテラン勢からも勝利を挙げている。近藤戦以後、以前の所属ジムの閉鎖に伴いパンクラスイズム横浜に移籍。今後の活躍が期待されている選手の1人だ。

 1R。高木が慎重に距離を詰めて行く。奈良が右ハイ、ミドル。高木はローを出しながらどんどん前に出てプレッシャーをかける。高木はパンチから組むとが、すぐに離れる。奈良が前に出てパンチ、これがヒットし高木がダウン! しかしすぐ立つ。さらに奈良が右パンチ。高木も打ち返す。終盤はケージ際で入れ替え合う。奈良がボディを殴って終了。ジャッジは2人が奈良、1人が高木を支持。

2R。高木がパンチからケージへ追い込み、パンチ連打。さらに首相撲からヒザを打ち込む。しかし奈良も前蹴り。ここは下がったら負けだという両者の意地が伝わってくる。奈良が跳びヒザ、高木が組みにいくと奈良がヒザを打ち込みケージへ押す。お互いに引かない気迫を発しながら終了。ジャッジは三者10-9で高木。

3R。お互いにパンチで押して行く。高木はやや疲れているか。奈良は臆することなく前に出て右ストレート! 高木の顔が腫れてきている。高木は組んで倒すが、奈良はすぐに立つ。そしてヒザ! 高木はローを出す。奈良は右ハイ、右パンチ。高木が鼻から出血する。終了直前、両者接近して打ち合う! しかし決め手なく終了。
ジャッジは2-1で高木が辛くも勝利。ボロボロになりながらも最後まで諦めなかった。一方の奈良も大健闘。そのファイティングスピリットに拍手を送りたい。

第9試合


 2015年からパンクラスで闘っている瀧澤は、その端正なマスクに似合わない泥くさいファイトが身上。顔が腫れ上がっても決して諦めず、勝ちを奪いにいく気持ちの強さの持ち主だ。戦績は6戦2敗となかなか。特に、今年8月、DEEPとの対抗戦で北田俊亮をKOする大きな勝利を挙げている。

対するシルニはマルロン・サンドロの弟子で、サンドロとみっちり柔術の練習を積んできた。夢はサンドロと同じように、パンクラスのベルトを巻くことだと言う。

 1R。瀧澤がスピンキックを見せる。蹴りもフェイント。シルニは距離をとり、ローで様子見。シルニが小さめのパンチからタックル。潜って足を取りにいく。しかし瀧澤が上に! 会場から拍手が起こる。瀧澤はヒジ、ボディブロー、鉄槌を見舞うが、離れて立つとシルニに向かい「立て」のジェスチャー。スタンドに戻ると、シルニがアッパー。瀧澤はバックスピンキックを放って終了。シルニのパンチはけっこう強そうに見える。ジャッジは三者10-9で瀧澤。

2R。瀧澤がパンチ、バックスピン。シルニは食らっても距離を取らず、ボディを打つ。シルニのパンチがヒットし、瀧澤が鼻から出血。タイムストップとなり、ドクターがチェックする。スクリーンに瀧澤の鼻が曲がっている様子が映し出され、会場からため息が。しかし、なんとかできるようで試合再開。
シルニは短い距離からパンチを打つ。パンチを振り回し、瀧澤が再び出血、タイムストップ。二度目はちょっと厳しいか。ドクターチェックの後、続行不可能が告げられ、シルニがTKO勝ちを挙げた。

第10試合


 上田は2005年修斗でプロデビュー。以来5年間無敗で修斗世界フェザー級王者となる。2012年にはBellator、ONE FCに参戦し、ONE FCではバンタム級グランプリ優勝を果たす。パンクラスには2015年より参戦。6勝1敗の戦績を積んでいる。

 対するヤマニハは、2013年、パンクラスに初参戦。石渡伸太郎の対戦相手として急きょ代役出場。当時は全く知られていなかったが、ダウンを奪うなど石渡を苦しめ、インパクトを残した。
その後、パンクラスに本格参戦し、瀧澤謙太や清水俊一らから勝利を収めている。

 1R。ハイキックで出るヤマニハ。ローを打ってすぐ動き、上田に返させない。上田の蹴り足をキャッチしテイクダウン。一瞬でバックを取る。上田は回転するが、ヤマニハは離さない。しかし、上田が返した! 見事な反転に会場から拍手が湧く。上田はすぐにサイドへ移行、ヒザ、ヒジを連打する。さらにボディにパンチを連打して終了。しかしジャッジは三者とも10-9でヤマニハ。

 2R。組んでいく上田。ヤマニハは引き込んで固めるが、上田は身体を抜いて立ち、パンチを落とす。上田がかぶさると、ヤマニハはガードポジション。お互いに殴る。上田は腕を拔き、上体を起こしてパウンド。ヤマニハはガードに戻すことが出来ずに終了。ジャッジは三者10-9で上田を支持。

 3R。パンチを出していくヤマニハ。上田はタックルのフェイント。さらにパンチの振りしてタックルを敢行。ヤマニハが上になってしまうが、すぐにローリングして上となる。鮮やかな反転に、再び会場から拍手が起こる。上田はハーフマウントから細かく鉄槌を落とす。ヤマニハも下から殴るが、上田にガッチリ押さえ込まれ動けない。上田は肩パンチを連打。ヤマニハがガードに戻したところで上田は立ち上がりパンチ、ローキック。ブレイクがかかりスタンドに戻ると、ヤマニハが上田のタックルを切り、バックを取りにいく。しかし、上田が巻き込んで上になり、アームバー! ヤマニハはパンチを入れ抵抗するが、ガッチリ極まりタップ!

 見事な1本勝ちを収めた上田は、来月で40歳を迎えるが、とてもそうは思えない素晴らしい動きを見せた。上田は、試合中に楽をしようとしない。こういう試合は、ずいぶん疲れるだろうなと思う。しかし、こういう試合をやってきたからこそ、これまで素晴らしい成績を残して来られたのだろう。
 上田の試合は、「良い」試合というだけでなく「善い」試合でもある。スリリングな試合とか、内容が濃いとかいうのとはまた別に、人の心の「善」の部分を見たという気持ちになるのだ。それは、試合や練習に対しての真摯な姿勢は言うに及ばず、本人の実直な人柄が如実に表れているからだろう。
 王者・石渡伸太郎への挑戦を望む声も多いが、同門であり、残念ながら対戦することはなさそうだ。しかし、キャリアを重ねても貪欲に学ぶ上田は、今後もさらに強くなった姿を見せてくれるに違いない。

<試合後コメント>
上田将勝
「実は、試合前に怪我がありました。ギックリ腰と、拳を傷めてしまって、少し良くなったらまたやってしまうという繰り返しで、1ヵ月近くまともに練習ができませんでした。でも、それを乗り越えて勝てて良かったです。
 1Rは僕の方が長く押さえていましたが、パンチを落とせなかったのが、相手に取られた原因かなと思います。でも、それで2R取り返そうと思えました。
 3Rは、ひっくり返そうとしてきたので自分から反転しました。ガブらせたのはわざとです。あまり読まれると極まらなくなってしまうので。練習でもあればかりやっていたので、相手に取られる気はしなかったです。勝ちたいという気持ちがすごく強かったので極め切れました。本当に、勝ちたい、勝ちたいという気持ちで必死でした。そこで、身体に染み付いた動きが出ました。
 でも、全体を通して見ると、打撃がまた怖くなったので50点くらいです。
 石渡さんとは対戦はないです。というか、石渡さんには全然かなわない、レベルが違います。石渡さんと話すと、いろいろ言ってくれるので強い気持ちになれます。
 今後も1つ1つ大切に闘っていきたいです。最近は怪我が多くなってなかなか練習できないのが悩みですが…。今回も、満足にスパーリングができませんでした。でも、今までは根性だけでやってたんですけど、まだまだやることが沢山あると思いました。もっと頑張って、いい試合を見せられるようにしたいです」

第11試合


 昨年10月のリマッチ。
 ロッキーは最近プロレスの比重が重くなり、ここ4年、パンクラスでは1年に1試合しかしていない。これはロッキーの都合だけではなく、ミドル級の選手層が厚くないことにも原因があるだろう。しかし、現在ロッキーが巻くベルトは、パンクラス勢唯一のもの。何がなんでもパンクラスの牙城を守らなければならない。
 前回は右フックでロッキーがKO勝ちで王者に返り咲いているが、再挑戦の新村は、調印式のときから自信たっぷりな様子を見せており、リラックスしているロッキーとは対照的だった。
男くさい殴り合いを身上とするロッキー、元キックボクサーの新村。激しいKO劇となること必至だ。

 1R。ローで様子を見る新村。ロッキーは身体を振り、軽くローを返す。プレッシャーをかけるロッキー。それにしても、ロッキーの腿は太い。太いから強胃という訳ではないが、格闘家たる存在感を強く感じさせる腿だ。ロッキーはその腿からローを出していく。
 身体を振り、じわじわと距離を縮めていくロッキー。これでどちらかの打撃が当たったらと思うと怖い気がするほどだ。
新村は前蹴り、ロッキーはボディを打って距離を詰め、右フック! 新村もパンチを返すが、ロッキーが見切って終了。
 ジャッジは2人が10-9で新村、1人が10-9ロッキー。

 2R。新村がローからパンチ、ロッキーがダウン! ヒザをつくが、すぐに立ちパンチを返す。新村も効いている! ロッキーが追撃すると、新村が仰向けにダウン! ロッキーはすかさず被さりパウンド。ロッキーが殴って終わるかと思われたが、新村が立つ。ロッキーはパンチで前に出るが、新村がケージに追い込みパンチ連打。ロッキーはケージ際から離れたいところだが、新村のフックが効いている。それでも打ち返すロッキーだが、さらに新村がパンチをヒットさせロッキーがダウン! と同時に終了のブザー。ダウンがあと5秒でも早かったら危なかったが、ブザーに救われた。
 ジャッジは2人が10-9新村、1人が10-9ロッキー。

 3R。開始すぐ打ち合いにいくロッキー。新村のサミングがあり中断するが、すぐに再開。再び打ち合いとなるが、ロッキーはケージ際へ後退してしまう。新村のフックがヒット、ロッキーも懸命に打ち返すが、ついにダウン! レフェリーが止めた。

 新村は、酒井正和・パンクラス代表からベルトを渡されると、これまでの思いが溢れ、涙。顔はキズだらけだったが、これも勲章。溢れる涙をぬぐいながらベルトを巻いた。

新村「第14代キング・オブ・パンクラス、新村優貴です。改めて、ロッキー選手はすごい選手だと思いました。素晴らしい試合をありがとうございました。
 格闘技を14年続けてきて、初めてベルトを獲りました。格闘技を始めたころは、何でも1人でやれると思っていました。でも、この年(※今月17日で35歳)まで続けてくると、いろいろあります。みんなの支えがあってこそ続けて来られました。その結果が出せて嬉しいです。
 これからは、パンクラスのミドル級王者として、酒井代表のもと、1回でも多く防衛していきたいです」

試合後コメント
新村優貴
「嬉しいの一言です。今回は、前回(今年7月、一慶戦)の後カポエイラとかいろいろやって、自分の中で試してみたいことがありました。それが低い構えです。カポエイラはまだ始めて3ヵ月なので、これからもっと学んでいきたいです。
 打撃は、自分の方が半歩分リーチが長いので、有利だったかなと思います。でも、何かもらって記憶が飛んだんですよね。相手が当てられないところで、やろうと思っていたんですけど、それでももらってしまった。ロッキー選手はさすがだと思いました。それで、自分も行くしかないなと思いました。
 ロッキー選手のパンチは本当に効いていましたけど、キャリアがあるからリカバリー出来たんだと思います。意志も超えていたと思います。やることをやってきたから、こういう結果になったんだと思っています。
 2Rはあと10秒って感じでしたけど、そこは向こうが運を持っていたんだと思います。でも、あんまり覚えていないんです。倒すということだけ考えて、ガムシャラにやっていました。そこで、これまでやってきたことが出来て良かったです。今回の勝利は、打撃を磨いてきたからこその結果だと思います。
自分には才能があると思っていましたけど、そうじゃなくて、14年サボらずにやってきたことの結果だと思います。周りにも恵まれて、僕は運がいいです。
 今回からフリーになりましたけど、それは打撃の練習に重点を置いたことが理由なんです。練習の方向性が変わったから、けじめをつけたということです。仲違いしたわけじゃなくて、フリーになってもクライムのメンバーについてもらっています。
 ベルトを巻いて、“万感の思い”とはこういうことなんだなと思いました。
自分は1人でここまで来たわけじゃない。ここにいま立っているのも、ベルトを巻いたのも、半分以上はみんなの力です。あっ、ケージでは泣いてないことにしておいてください(笑)。
 ベルトは、まだ実感がないですね。想像の範疇を超えています。
 僕は酒井代表に救っていただいた人間なので、酒井代表に海外に行けと言われたら行きます。でも、自分からUFC参戦をアピールしたりする気持ちはないです。でも、日本人同士で潰し合うのはつまらないし、パンクラスは力のある外交人を呼んでいるので、外国人選手とパンクラスで闘いたいですね。まずは防衛を重ねて、このベルトにふさわしい人間になりたいです」

ロッキー川村
「うん……“負けた”ということですよね。ここまでやってきて、でも自分の試合ができない。未熟だし、気持ちの持ちようが大切です。覚悟が足りませんでした。
  覚悟が足りないとは、自信がなかったんでしょうね。ロッキー川村を完全にやりきる自信がなかった。どの世界でも、甘くないということですね。新村選手は(前回とは)考えを変えてやってきた。そこに僕が対処できなかったということです。
 調印式でも話したように、格闘家として、日常の全てを力にしてきました。でも、今日はそれができなかった。プラスに持って行けませんでした。
あまり(試合内容を)覚えてないですけど、楽をしようとしてしまった。そこが僕の気持ちの弱さだったと思います。パンクラス以外にもいろんなところに出させていただいていますが、勝負は、勝ち負けが全てです。それはどこでも同じ、負けたらゼロですね。そういう厳しい世界です。
パンクラスからベルトがなくなってしまいましたが、仕方ないです。自分が弱かった。いま、パンクラスイズム横浜には沢山の仲間が増えてきて、みんなにベルトを獲らせることも自分の仕事だと思っています。
次ですか。まだわかりませんけど、ロッキー川村を必要とする声があれば、どこでも行くぜポーリー! という感じですね」

【プレリミナリーファイト】
▼第1試合 フライ級 3分3R
●川端康太(ALLIANCE)
判定1-2
○中村龍之(Lotus世田谷)

▼第2試合 バンタム級 3分3R
◯工藤修久(
判定3-0
●聖王DATE(TEAM DATE)

▼第3試合 フェザー級 3分3R
●飯嶋重樹(ALLIANCE)
1R 2分14秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
◯林 大陽(CAVE)

▼第4試合 フェザー級 3分3R
○加藤泰貴(ロデオスタイル)
判定3-0
●DARANI DATE(TEAM DATE)

▼第5 試合 フェザー級 3分3R
平山 学(フリー)
判定0-3
○鬼山斑猫(PUREBRED)

▼第6試合 ライト級 3分3R
○深谷 誠(和術慧舟會HEARTS)
2R 1分57秒、チョークスリーパー
●松井幸太(東京イエローマンズCUTE)

▼第7試合 ライト級 3分3R
○菊入正行(NEVER QUIT)
1R 2分14秒、TKO(スタンドのパンチ→レフェリーストップ)
●高橋 弘(パンクラスイズム横浜)

(写真・文/佐佐木 澪)

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