「俺、めっちゃ精神的病気。棚橋さんがいなかったら生きてなかった」棚橋弘至を倒したゲイブ・キッドが感謝の号泣座礼

4日、東京武道館にて新日本プロレス『NEW JAPAN SOUL 2025』が開催。メインイベントではゲイブ・キッドが持つIWGP GLOBALヘビー級王座に棚橋弘至が挑戦した。
IWGP GLOBALヘビー級王座とは、2017年に設立されたIWGP USヘビー級王座を2023年に戴冠したウィル・オスプレイが、「俺はイギリス人だ」とUK王座を自作したことでUSベルトとUKベルトが存在する事態となり、これをデビッド・フィンレー、外道、ジョン・モクスリーが物理的に2本とも破壊したことで新設された王座。
2024年1・4東京ドームでフィンレーが初代王者となり、今年6月15日の大阪城ホールでゲイブ・キッドが辻陽太を倒し第5代王者となった。
ゲイブは11歳からレスリングを始め、2019年に22歳でLA道場入り。柴田勝頼の指導を受けており、BULLET CLUBの狂犬でありながらストロングスタイルを背負うファイトで注目を浴び、今年1・5東京ドームのケニー・オメガ戦でライオンマークを背負って闘ったことで人気が爆発。これを解説席で見ていた棚橋も涙を流して感動していた。
ゲイブは初防衛戦の相手にその棚橋を指名。「肉体的に昔と違うことは明白だがあいつの闘魂は生きている」と語るゲイブに、棚橋は「(新日本への)愛の熱量に関してはゲイブが一番」と正面から受けた。

試合が始まるとじっくりと組み合い、場外戦になるとゲイブが鉄柵に叩きつけてからコーナーに登りエアギターで挑発する。ゲイブはヘッドバッドで棚橋を倒しスリーパーで捕らえながら「ガンバッテ!ガンバッテ!」と叫び、棚橋はチンクラッシャーから太陽ブロー。さらにドラゴンスクリューからサンセットフリップを投下する。ツイスト・アンド・シャウトからハイフライフローを狙うが、ゲイブがチョップで迎撃。ならばと場外に叩き出した棚橋がスタンディングハイフライフローを投下し、鉄柵越しのドラゴンスクリューからリングに戻るとスリングブレイド。テキサスクローバーホールドで捕らえるが、ゲイブは必死にロープを掴む。
棚橋は改めてスリングブレイドからだるま式ジャーマンで叩きつけ、ハイフライフローを投下しフォールも2。
ならばと棚橋は再度コーナーに上りハイフライフローを投下するが、ゲイブが避けて自爆させるとO-KNEEからラリアット。さらにパイルドライバーで突き刺しフォールも2。
ゲイブがバックドロップも棚橋がカウンターのドラゴンスープレックスからスリングブレイド。さらにスタンディング・ハイフライフローも、ゲイブが昇竜拳で迎撃し、パイルドライバーからフォールし3カウント。
ゲイブは泣きながら棚橋に「2022年、俺、めっちゃ精神的病気ね。1時間2時間棚橋さんFaceTimeで、棚橋さんがいなかったら生きてなかったかもしれない。だからこのファイナルロードの一戦をここ東京でできたことは心からうれしく思う。まだ6ヶ月プロレス人生。あと、社長人生ガンバッテな。新日本プロレス、ゲイブキッド、大丈夫だ。新日本プロレスの、トップ行く!最後、棚橋さん、愛してまーす!」と叫び、号泣する棚橋に座礼をした。
そして観客へ「まだやらないといけないことがあるし、勝たないといけない相手もいる。でも約束する。俺の身体も人生も新日本プロレスに捧げる。俺は100%、500%、1000%、イツモ新日本プロレス、イチバン!俺は『G1』へ行く。『G1』決勝へ行く。そして『G1 CLIMAX』覇者になるぞ。『G1 CLIMAX』チャンピオンはゲイブ・キッドだ!以上!」と叫び、大喝采を浴びた。
すべてを聞いてバックステージに戻った棚橋は「俺が彼に出会ったのはもう何年も前のことで、自分の引退という時間軸、早いと思ってたけど、それ以上に周りの若い選手の成長が頼もしくもあり、悔しくもあり、悲しくもあり……。なんだろう、この感情は……。なぜ負けて悔しいのか……。まだ俺のプロレスラーとしての炎は消えてないってことだから。最後の最後、最後のその日になるまで、残り1秒になるまで頑張ります」と目に炎を灯した。
20選手参加の『G1 CLIMAX 35』は7月19日北海道で開幕し、8月17日の有明アリーナ大会まで走り抜ける。棚橋も引退前最後のG1出場となり、今までにない熱い夏になりそうだ。