7・24 パンクラス有明大会 【バンタム級KOP】石渡伸太郎vsジョナサン・ブルッキンズ 【第3代フライ級KOP】安永有希vs神酒龍一 朱里vsニコーレ・カリアーリ
『PANCRASE 279』
日程:2016年7月24日(日)
会場:東京・ディファ有明
開始:15:00
観衆:2096人(超満員札止め)
【本戦二部】
▼第1試合 フライ級 3分3R
○井島裕彰(GUTMAN)
3R終了、判定3-0
●上嶋祐紀(BRAVE)
▼第2試合 バンタム級 3分3R
●ハルク大城(VOS GYM)
2R 1分50秒、KO(右フック)
○佐久間健太(パラエストラ柏)
▼第3試合 フェザー級 3分3R
○ガイ・デルモ(GUTMAN)
1R 2分40秒、TKO(ツイスター→レフェリーストップ)
●稲葉 聡(秋本道場Jungle Junction)
▼第4試合 ライト級 3分3R
●冨樫健一郎(パラエストラ広島)
2R 2分12秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
○ジョン・バチスタ・ヨシムラ(TS GYM)
▼第5試合 ウェルター級 3分3R
○高木健太(リバーサルジム川口REDIPS)
2R 0分25秒、TKO(顔面カットによりドクターストップ)
●手塚裕之(山田道場/TGFC)
▼第6試合 ウェルター級 3分3R
●有己空(パンクラスイズム横浜)
3R終了、判定0-3
○高鍋明大(GUTMAN)
▼第7試合 ストロー級 5分3R
○朱里(VOS GYM)
3R終了、判定3-0
●ニコーレ・カリアーリ(Thai Brasil)
▼第8試合 ライト級 5分3R
○アキラ(フリー)
3R終了、判定3-0
●長岡弘樹(総合格闘技道場DOBUITA)
▼第9試合 フライ級 3分3R
○コンボイ升水(升水組)
2R 0分41秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●獅庵(パラエストラ大阪)
▼第10試合 フライ級 5分3R
○中井りん(パンクラスヴィーナス)
3R 2分43秒、TKO(グラウンドの肘→レフェリーストップ)
●ライカ(フリー)
▼第11試合 バンタム級 5分3R
●上田将勝(パラエストラ東京)
3R終了、判定0-3
○ハファエル・シウバ(ASTRA FIGHT)
▼第12試合 ウェルター級 5分3R
●鈴木槙吾(ALLIANCE)
1R 2分06秒、チョークスリーパー
○岡見勇信(和術慧舟會 東京本部)
▼第13試合 セミファイナル 第3代フライ級キング・オブ・パンクラシスト決定戦 5分5R
●安永有希(東京イエローマンズ)
5R終了、判定0-3
○神酒龍一(CAVE)
※神酒が第3代フライ級KOPに
▼第14試合 バンタム級キング・オブ・パンクラシスト タイトルマッチ 5分5R
○石渡伸太郎(CAVE)
5R終了、判定3-0
●ジョナサン・ブルッキンズ(Tristar Gym)
※石渡が4度目の防衛
【本戦一部】
▼第15試合 フライ級 3分3R
○川原玲郁(パンクラスイズム横浜)
3R終了、判定3-0
●島袋チカラ(CORE王子豊島)
▼第16試合 バンタム級 3分3R
○井関 遼(GRABAKA)
2R 2分32秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●宮川 峻(リバーサルジム東京スタンドアウト)
▼第17試合 バンタム級 3分3R
●清水悠生(パラエストラTB)
1R 1分14秒、KO(右フック)
○平岡将英(KRAZY BEE)
石渡がジョナサン相手にバンタム級KOP防衛!朱里がMMA2戦目も勝利!神酒が第3代フライ級KOPに
第3試合
デルモは昨年4月、高谷裕之にKO負けし、同年10月の牛久絢太郎戦では試合中の負傷でTKO負けと2連敗中だ。今年も半ばを過ぎて初めての試合となるが、しっかり勝って存在感を示したいところ。
稲葉は2013年からパンクラに参戦。ウィル“ザ・キル”チョープ(昨年2月)、田村彰敏(同5月)に連敗し、ランク外となってしまった。12月には渡慶次幸平に判定勝利したものの、前戦は昨年のネオブラッド・トーナメント準優勝の中原由貴に判定負けを喫している。ここで結果を出し、再びランクインを狙う。
公開計量では「8ヵ月ぶりの試合。今まで苦労したこと、頑張ったことを出していい試合をしたい」(デルモ)、「相手が一番嫌がることをして、ガンガン前に出る試合をします。みんな相手が勝つと思っていると思いますが、僕が勝ちます」(稲葉)と、両者それぞれに決意を語っていた。
1R。稲葉はロー、デルモはジャブ。パンチで前に出た稲葉に対し、デルモは組んでバックに回る。デルモは倒してグラウンドになると、反転しようとした稲葉にツイスター。稲葉がタップ。デルモが連敗を止めた。
第6試合
今年でデビュー20周年を迎える有己空は、これが101試合目、勝てば60勝目となる。2014年12月、レッツ豪太とのタイトル戦で判定負け、昨年3月には鈴木槙吾にKO負けと連敗していたが、昨年11月には9年ぶりにマット復帰した川口健二との“レジェンド対決”で1ラウンドKO勝ちを収めている。また、パンクラス初期メンバーで唯一のランカーでもある。連勝して記念の60勝を挙げることができるか。
対する高鍋はこれがパンクラス2戦目。181cmと恵まれた体格を持ち、昨年12月のパンクラスデビュー戦では丸山数馬を判定で下している。
1R。有己空には北岡悟、川村亮がセコンドにつく。有己空はローキックで様子を見るが、高鍋はミドルキックを打ち、前に出てパンチを打ち込む。バックを取り、亀になった状態に有己空にパンチ連打。なんとか脱出したい有己空だが、高鍋はバックを取ったまま方向を変え、殴り続ける。有己空が終盤で何とか立ち上がり正対すると、高鍋は網へ押しつける。有己空ヒザ。離れたところで終了。
2R。捕まらずに闘いたい有己空だが、再び高鍋はバックを取り殴る。立った有己空を投げようとする高鍋だが、なんとか踏ん張る有己空。背後に周りヒザを入れる高鍋だが、有己空が上に! しかし、高鍋はすぐに蹴り離して立つ。スタンドになり組むが、高鍋が網に押し付ける。入れ替えたところで終了。
3R。攻めるしかない有己空。先手を取り、組んで網へ押し込む。高鍋が入れ替え、さらに片足を取りテイクダウン。有己空はガードポジション。パンチを落とす高鍋。立ちたい有己空だが高鍋はさせず、いったん立って足を取ると、すぐにかぶさって殴る。有己空はこの状態から逃れられないままタイムアップ。
有己空は1996年1月にデビュー。20年もの間闘い続け、さらにランカーであり続けるのは並大抵のことではない。3月から北岡の道場としてリニューアルしたパンクラスイズム横浜でも、のびのびと練習に打ち込んでいるという。この7月で41歳になったが、パンクラスの屋台骨を支え続けたレジェンドの、格闘技への情熱が衰えることはない。
第7試合
MMA2戦目同士の対決。朱里は今年4月にパンクラスデビュー。浅倉カンナに判定勝ち。ニコーレは昨年12月にプロデビューし、判定勝ちしている。また、両者ともUFCで闘うことを目標としている。
1R、最初から打ち合う両者。朱里が金網へ押すと、ニコーレが首を狙うがこれは外す。お互い様子を見ながら距離を縮め、激しく打ち合う。朱里が金網へ押し込み、倒してパンチ。さらに立って猪木アリ状態で蹴りまくる。ニコーレが立つが、再び朱里が倒す。離れて立ち、蹴ると、ニコーレが蹴り上げて終了。ニコーレの負けん気もすごいが、朱里のペース。ジャッジは三者10-9で朱里。
2R。ローで様子を見る両者。ニコーレがハイキックからパンチを打ち組もうとすると、朱里は金網へ押してテイクダウン。ハーフマウントからサイドポジション。前腕でニコーレの首を押しながら鉄槌を落とす。このラウンドも三者10-9で朱里。
3R。パンチを振るニコーレ。身体を振ってプレッシャーをかける。しかし朱里はストレートから金網へ。テイクダウンするが、離れて立つ。ニコーレも立スタンドに。ニコーレはパンチ連打するが、朱里は組んで金網へ。ニコーレ、ヒジを打つが、離れて再び打撃戦へ。最後に朱里が組んで金網へ押したところで終了。判定3−0で朱里がMMA2勝目を挙げた。
前戦でもMMAが初めてとは思えない動きを見せていた朱里。前戦では得意の打撃をあまり見せていなかったが、今回は打撃も見せ、またグラウンドでも攻防などMMAファイターとしての成長を感じさせた。また、グラウンドでの課題はあるものの、ニコーレも溌剌とした動きや打撃を見せ、気持ちの強さが光った。今後の成長が楽しみな両選手だ。
朱里コメント
「相手は、すごく若くて可愛くて、うらやましいです。しかも打撃がパワフルで、そんな選手と闘えて嬉しかったです。MMA2戦目は、勝ててホッとしているという気持ちが一番ですね。これで自分の夢にまた一歩近づけたと思います。仲間や先生に感謝しています。次に向けて、また強くなっていきたいです」
第8試合
五味隆典の愛弟子だったアキラだが、フリーとなって9ヵ月ぶりの参戦。長岡は2005年からパンクラスに参戦する大ベテランで、現在4連勝中。アキラ1位、長岡3位の対戦だけに、勝者はライト級タイトルマッチ次期挑戦者となる可能性が非常に高い。両者ともに必ず勝ちたい1戦だ。
1R。パンチで出るアキラ。長岡がかわし、低いタックルを仕掛けるが、アキラは潰し、バックについて殴る。長岡は立つが、アキラが追ってパンチを打ち金網へ押し込む。パンチとヒザを打つアキラだが、いったん離れる。アキラは大きいパンチを振り回し、長岡はタックルに入れない。しかし、終盤で長岡がタックル。しかし、アキラが切り、最後は打ち合いに。ジャッジは三者10-9でアキラ。
2R。アキラのパンチがさらにヒットし始める。しかし、長岡は決して引かずタックル。アキラは潰して立つ。長岡が蹴りを出すとアキラがテイクダウン。しかし、寝技の展開にはならず離れる。スタンドで打ち合い、アキラが金網へ押したところで終了。2Rもジャッジは三者10-9でアキラを支持。
3R。アキラがいきなり接近し、パンチを打ち込む。長岡もパンチを返すが、アキラのペースか。アキラのパンチがヒットするが、長岡は引かず、前に出続ける。驚異の打たれ強さだ。しかし、アキラも動きを緩めず打っていく。首相撲からヒザ、離れてのパンチ。長岡はタックルに入るが、アキラは切ってバックを取る。しかし離れて再び打ち合いに。アキラの蹴り足を取った長岡が金網へ押し込む。アキラはヒジ連打。残り40秒。アキラがアッパーから金網へ押したところで終了。判定3−0でアキラが勝利した。
アキラは打撃を出しまくったが必勝の一撃は出ず。長岡は効いた様子も見せずタフに前に出続けたが、流れを引っ張ってくることができなかった。それぞれ反省点はあるものの、息もつかせぬ打撃戦に会場は沸いた。
アキラ コメント
「相手はめちゃくちゃタフでした。勝ちましたけど、こんな試合をしていたら駄目ですね」
第9試合
元柔道国体準優勝のコンボイは、2014年よりパンクラスに参戦。2014年のネオブラッド・トーナメントで優勝し、5連勝もしていた。しかし、怪我で約1年休養。今年3月に復帰したが、Bellatorのトップ選手だったハファエル・シウバに肩固めで敗れている。
獅庵は2013年よりパンクラスに参戦。4連勝を挙げたが、昨年は2連敗。とは言っても、3月の荻窪祐輔戦ですさまじい攻めを見せ、判定負けこそしたが、7月にリルデシ・リマ・ディアスとの対戦を組まれた。しかし敗れ、その後、負傷により欠場。約1年ぶりの復帰となった。
1R。コンボイが飛び出して蹴り。続いてタックルをしかけるが、獅庵は付き合わない。コンボイのパンチで少しグラつくが、ジャブを返す。コンボイのパンチの圧力が以前より強くなっている。試合前に「打ち合いたい」と言っていたコンボイは、パンチをもらって楽しそうに笑顔を浮かべる。
2R。獅庵はコンボイのタックルに付き合わず、パンチで前に出る。連打するが、コンボイのパンチがヒット、ダウン! コンボイがすかさずパウンド連打すると、レフェリーが止めた。
コンボイ コメント
「相手は関西のジャニーズJr.ですね。計量のとき、殴り合うと言っちゃったんですけど、実はテイクダウンして渋く勝つ作戦でした。でも、獅庵選手に対策されていて出来ませんでした。獅庵選手はかっこいいのに、僕みたいな悪役が勝っちゃってごめん。でも、みんなの笑顔が見られてよかったです。あと、ペットのコジマ100周年おめでとう」(※コンボイはペットのコジマ本牧店に勤務している)
第10試合
中井は約2年ぶりのパンクラス復帰。2014年9月と今年3月、UFCに参戦したが、判定負け。目指していたUFC参戦は、苦い思いが残る経験となった。しかし、止まってはいられない。現パンクラスバンタム級女王だが、増量をやめ、フライ級に落として闘う。
ライカは元ボクシング女王。UFC目指し、長南亮のもとでMMAの練習に打ち込んでいる。今回はグラウンドに持ち込まれない練習を中心にやってきたとのこと。
1R、左に回る中井。ライカも大きい打撃が出さず、シャドーのような感じでパンチを振りながら回る。しかし、この時間が長く、両者消極的と口頭注意を受けてしまう。再開すると、ライカが左右フック。中井は組んで金網へ押す。振り切ろうとするライカだが、中井はバックマウントを奪う。残り1分でバックチョーク。しかしこれはポイントがずれ極まらず、パウンドに切り替える。ライカは動けないが、残り30秒を耐え切った。ジャッジは三者10-9で中井。
2R。ライカがジャブ、ボディブローを放つと、中井は低いタックルからテイクダウン! 回りながら位置を変えていく。片足を挟まれているが、パスしてサイドポジション。さらに上になると、ハーフからヒジを連打、さらにボディを連打。返せないライカ。中井が上四方になると、ライカはエビで返そうとするが出来ない。中井がゆっくりと腕十字にいこうとしたところで終了。2Rも三者10-9で中井。
3R。中井は片足タックルからテイクダウン。すぐにバックマウントを奪う。チョークを狙うが、これは防ぐライカ。しかし、中井はマウントへ移行し、ヒジ連打。レフェリーが止めた。
凱旋試合であり、次へ向けて絶対に負けられない1戦だったが、危なげなく勝利を挙げた中井は恒例のバク宙を披露。会場を沸かせていた。
中井コメント
「パンクラスは私のホームで、戻って来られて嬉しいです。これからもフライ級で闘うつもりです」
第11試合
上田は第5代修斗世界フェザー級王者。2012年にBellator、同年よりONE FCに参戦した。昨年7月からパンクラスに参戦し、3連勝中だ。
ハファエル・シウバは2013年Bellator覇者で、ジョー・ウォーレンのタイトルに挑戦したこともある強豪。パンクラスには今年3月に初参戦時し、コンボイ升水を圧倒し肩固めで1本勝ちしている。
1R。シウバがタックルからテイクダウン、バックに回る。上田はリバースするが、すぐにシウバが取り返し、上田はまた亀になってしまう。しかし、再びリバース。会場から大きな拍手が起こる。しかし、シウバは再びバックを取る。上田は立つが、シウバが金網へ押し込んだところで終了。ジャッジは三者10-9でシウバを支持。
2R。シウバはパンチ、蹴りから長距離のタックル。シウバはバックを取ってたち、金網へ押す。上田は向き合うが、シウバは金網際で投げ、引き込もうとする。さらにテイクダウン! そしてバックマウント。上田は脱出するが、シウバは金網へ押し込む。投げ! しかし上田はすぐに立ち、金網へ押しているシウバを細かく殴る。シウバがヒザを入れて終了。ジャッジは三者10-9でシウバ。
3R。上田はロー、ミドルキック。シウバはカポエイラのような蹴りを見せる。上田はシウバのタックルを切り、上に。シウバはガードポジション。上田は顔やボディにコツコツとパンチを入れる。しかし、シウバは立って金網へ押す。疲れの見えるシウバ。上田は入れ替えて蹴り。シウバがバックを取り、金網へ押す。上田は上になり、細かくボディやパウンドを打つ。体を起こしてシウバがタックル。上田が倒されて終了。判定は3−0でシウバ。
シウバ コメント
「相手に感謝したい。とてもタフだった。打ち合ってくれて、ありがとう。応援してくれた人、ファイトパスを見てくれた人にも感謝したい。またパンクラスで試合ができて良かった。次はタイトルマッチをやりたい。次もいい闘いがしたい。そして、ベルトが欲しい」
第12試合
これまでUFCにおいて、日本人選手として最も活躍したと言っていい岡見は、2002年にパンクラス初参戦。今回は12年ぶりのパンクラスとなる。2013年にUFCリリース後は、WSOFでデイヴィッド・ブランチ、ジョン・フィッチに連敗を喫するも、今年2月のDEEPで桜井隆多にTKO勝利している。
一方の鈴木は前ウエルター級KOP。今年3月のタイトルマッチで村山暁洋にベルトを奪われているが、骨太なファイトと気持ちの強さには定評がある。格闘技界のメジャーリーガー・岡見とどう闘うか。
1R、お互い蹴りを出して様子を見る。鈴木は身体を振り、プレッシャーをかけながら前に出る。パンチが岡見の顔面にヒット! 岡見は距離を取るが、一気にジャブをヒットさせる。これが効き、鈴木がグラつく。岡見は組み付いてテイクダウン! すぐにマウントへ移行し、パウンドを見舞う。さらにチョークスリーパー! 鈴木は耐えたが、ガッチリ極まりタップアウト。流れるような動きで鮮やかに極めた。強い!
岡見コメント
「また戻って来られて光栄です。試合の前には、かっこいい試合をしたいとか色々考えましたけど、いざ試合になったら、不細工でもいい、何が何でも勝ちたいという気持ちになりました。今後、自分はどんな強い選手とでも、どんな舞台ででも、世界を目指して勝負したい。また戻ってきたいです」
第13試合
神酒は第4代修斗世界バンタム級王者。昨年12月、前王者・清水清隆の王者査定試合で勝利、タイトル挑戦権を得た。
安永は今年3月、リルデシ・リマ・ディアスを破り、挑戦権を手にした。安永が、試合後「神酒選手とやりたいです」とマイクアピールすると、神酒がケージイン。「やらないとは言わないけど、(安永の勝利は)意外だった。今日の試合はあまり面白い試合じゃなかったので、次は自分が面白くします」とコメントしている。
調印式では、「喉から手が出るほど欲しい」(神酒)、「絶対に獲らないといけないベルト」(安永)と語った両選手。シルバーに輝くベルトを巻くのはどちらか。
1R、安永は変なポーズを混ぜながらサークリング。“ダンシング”と言われるように、身体を振ったり、足踏みしてみたり、独特のリズムで翻弄しようとする。しかし、その反面コンタクトが少ない。神酒もパンチを出すものの、思うように攻められず終了。ジャッジは10-9で二者が安永、1人が神酒を支持。
2Rも同様の展開。安永はふざけているように見えて、いつパンチがくるかわからない怖さがある。手数は少ないのだが、当たればダメージを十分与える力がある。神酒はこうなることが分かっていても、少々イラついているか。しかし、初回より手数を増やしてきている。残り30秒で安永がタックル、金網へ押し込む。しかし神酒はすぐに離れてパンチ。安永がジャンプして終了。ジャッジは10-9二者神酒、1人が安永。
3R、神酒は落ち着き、冷静にパンチを当てていく。安永がテイクダウンするが、神酒は瞬時に立ち、タックルからテイクダウンを奪う。しかし安永もすぐに立って終了。ジャッジは三者10-9で神酒を支持。
4R。安永がテイクダウンするが、神酒はすぐに立つ。パンチ、蹴りから逆にテイクダウン! バックマウントに移行するが、安永も立つ。安永は神酒の蹴り足を取るが倒せず。神酒は再びタックルからテイクダウン。安永はすぐに立つが、鼻血が出ているのを気にしている。神酒が片足タックルに入ったところで終了。ジャッジは三者が神酒。
最終ラウンド。両者に疲れが見えてくる。安永のダンスも地味に。しかし、お互い気持ちは切れない。安永がタックルに入るが、神酒が倒す。安永はすぐに立つ。神酒が片足タックルに入ると、安永は腕を回し立つ。組みにいく神酒、付き合わない安永。しかし、神酒は諦めずにタックルを繰り返す。安永が神酒のタックルを潰すが、神酒はフロントチョーク狙いか?残り時間2分。安永が立ち、片足タックルから金網へ押し込む。足を踏む。残り30秒。神酒が離れたところで終了。
判定3−0で神酒が第3代フライ級王座に就き、パンクラス・修斗2冠王となった。
神酒 ケージ上コメント
「過去一番やりにくい相手でした。フタを開けてみたら想像以上にやりにくくて、今は勝ててホッとしています。UFCファイトパスで観てくれる人、パンクラスで観てくれる人が増えているので、そういった人たちが忘れられない王者になりたいと思います」
<試合後コメント>
神酒龍一
「多分こんな試合になると思っていました。最終的にタックルを取りたいだろうから、きっと殴ってくると思っていました。逆に自分が、アウトボクシングじゃないけれど、殴れもしなければ組めもしない状況になれば、向こうもじれてくるだろうと思っていました。でも、あんなに頭の位置が動いたり、距離を外すのは他にいないですね。お互い外され合って、向こうもピリピリしてやっていたと思います。相手の動きが止まるだろうと思っていましたけど、自分の動きも止まってしまったのが反省点ですね。手応えですか。右のパンチは当たっていましたけど、一撃必倒みたいなんは当たらなかったですね。ジャブみたいなのばかりで。のれんに腕押しじゃないですけど、当たったなというのは無かったです。最後はテイクダウンされましたけど、怖くなかったです。自分は殴るだけじゃなくて他のものもありますから。
今後は、まず防衛していくことですね。そのためには、まだまだ詰めていかなくてはならないものがあります。修斗から出て自分が求めたのは、ベルトだけじゃなくてロマンです。僕が格闘技を始めた頃は、格闘技にロマンがあったんです。でも、今は何となく予想がつく感じになっていますよね。けれど、僕はワクワクを求めて修斗から出てパンクラスに来ました。自分が強くなりたいとか、どうなるんだろうというワクワク、そういう闘いを見せていきたいです。
手強い外国人選手とやりたいですね。個人名はわからないんですけど、黒人選手とか白人選手と闘いたいです。アジア人はピンと来ないかな。見た目でハッキリと自分と違うとわかるような選手とやりたいです。無名でも有名でも関係ないです。試合が終わったあとに、このカードでよかったと思えるような選手と闘いたい。でも、今日の相手にああいう闘いをしているようではまだまだと思いますけど…。でも、いつでも闘う覚悟で作っていかないといけないと思っています。それがKOPになったということだと思います。のんびりしているヒマはないです」
第14試合
両者は2014年11月、ノンタイトルで対戦。ブルッキンズがテイクダウンを奪い判定勝ちしている。ブルッキンズはその後、インドに旅行し、ヨガにはまったという。ヨガにより、ファイトスタイルも変わったと調印式で語っていた。
一方、石渡はさらに強くなるため、基礎を徹底的にやり直してきたという。タイトル戦でリベンジを果たせるか。
しかし、ブルッキンズが計量オーバー(900g)。これにより、タイトル戦としておこなわれるが、石渡が勝った場合のみ公式戦扱い・防衛となるが、ブルッキンズが勝った場合はノーコンテストとなる。
1R、軽い感じで蹴りを出すブルッキンズ。石渡は距離を取り、一気に踏み込んでパンチ。組むが、ブルッキンズの指がサミングとなり、ブルッキンズは口頭注意を受ける。
再開。ブルッキンズは組んで金網へ。石渡はヒザを入れ離れる。はすに構えたブルッキンズは片足タックルから金網へ。ヒザ。石渡は離れてローキック。なかなか入れないうちに終了。ジャッジは10-9で二者が石渡、1人がブルッキンズを支持。
2R。ゆっくりしたペースで蹴ってくるブルッキンズ。石渡は飛び込んでパンチ。あともう一歩踏み込みたいところ。ブルッキンズはタックルから金網へ押す。石渡は頭部をなぐり、入れ替えてチョーク狙い。これは極まらず離れる。ブルッキンズ、高い位置からカカト落とし。ブルッキンズの動きは軽く、ゆるく見えるが、攻めはねちっこい。ブルッキンズ、金網際からパンチ、網へ押し込む。残り20秒。ブルッキンズが上になり、石渡が首を狙ったところで終了。ジャッジは三者が石渡を支持。
3R。前に出たい石渡だが、ブルッキンズのパンチをもらってしまう。ブルッキンズは片足を取るが、石渡は倒れない。ブルッキンズは金網へ押し、ヒザを打ち合う。石渡が入れ替えた! しかしブルッキンズはすぐに戻す。なかなかグラウンドの展開にはならない。ブルッキンズ、石渡のローが効いたか。石渡がタックルからテイクダウンしたところで終了。ジャッジは三者石渡。
4R。ブルッキンズは前蹴り。金網へ追い込んでパンチ。石渡もパンチを返し離れる。ブルッキンズがタックルからバックを取り、網際へ。後ろから抱えている状態から、石渡が正対し上に! しかし、立って入れ替えたブルッキンズはヒザを打ち込む。残り20秒。ブルッキンズがボディを殴って終了。ジャッジは三者ブルッキンズ。
最終ラウンド。ブルッキンズがサイドキックを放ったところでタイムストップ。危険行為があったということでブルッキンズに口頭注意が与えられる。
再開。しかし、ブルッキンズが組んで金網へ押したところで再びタイムストップがかかる。今度はバッティングでブルッキンズに口頭注意。もはやKOか1本しか勝ちのないブルッキンズだが、何か緊張感に欠ける雰囲気が否めない。石渡はレフェリーに「いや、もういいです、大丈夫です」と答え、すぐに再開。
金網際で打ち合うと、会場から伸太郎コールが湧き上がる。ブルッキンズは長い足で蹴ってくるが、残り時間を消化しているだけのようなムード。石渡はパンチを振るうが、今ひとつ入れない。石渡が足を取り、テイクダウンしそうなところでタイムアップ。判定は3−0で石渡が4度目の防衛を果たした。
石渡 ケージ上コメント
「ブルッキンズが変わったというよりは、僕が少し強くなったのかなと思います。勝ちましたけど、ホントつまらない試合をしてしまいましたね。すみません。今はパンクラスに強い外国人がたくさん参戦してきていますけど、その中で防衛をしている王者は僕以外にいますか? (僕も)世界で勝負したいです」
<試合後コメント>
石渡伸太郎
「ひと言で言うとショボかったですね。勝負どころがつかめませんでした。1回負けている相手なので、競り勝つのが大変でした。勘弁してください。
相手の計量オーバーについては、怒りと言うよりも、もし僕が負けたら相当みじめじゃないですか。そうならないように、少し固くなったかなとは思います。すごく練習してきましたけど、すごく(距離が)遠かったですね。日本人でブルッキンズくらいの身長の人と練習していますけど、腰高で、あの距離はあいつしかいない。前回よりは入れたと思いますけど、それでも遠かったです。顔面には1回バチンと入ったくらいで、あんまりいいのが当たっていないですね。
4度目の防衛ということは、本当に誇りに思っています。酒井代表がアホみたいに強い外国人ばっかり連れてくるので、相手がみんな強い選手ばかりですし。世界を目指すというのは、やはりUFCに行きたいです。UFC以外だったら、ここ(パンクラス)でやりたい。強い外国人の門番として。早く卒業したいですけど(笑)。以前はUFCを口にするのはまだ早いと思っていましたけど、TUF優勝者をやっつけたんだから、言ってもいいんじゃないかな」
(写真・文/佐佐木 澪)