【試合結果】7・16 PANCRASE大阪大会 山﨑悠輝vs林源平 獅庵vs秋葉太樹 中村晃司vs岩田啓輔 渡辺謙明vs上山雄大 岩本達彦vs名田英平
『PANCRASE大阪大会』
開催日:2017年7月16日
会場:大阪市城東区民ホール
開始:17:15
観衆:888人(満員)
▼パンクラスゲート第1試合 フライ級 3分2R
◯山下 龍 (トイカツ道場香川支部)
判定2-0
●杉原 光世 (チームプログレス)
▼パンクラスゲート第2試合 フェザー級 3分2R
◯田上 隼 (MIBURO)
判定2-0
●寺本龍生 (格闘技吉田道場)
▼第1試合 フライ級 3分3R
◯仁科太志(ゼロ戦クラブ)
判定3-0
●高島大樹(総合格闘技スタジオSTYLE)
▼第2試合 ライト級 3分3R
●NORIMICHI(フリー)
判定1-2
◯渡部拓馬(総合格闘技道場reliable)
▼第3試合 バンタム級 3分3R
○ 三村 亘(パンクラス大阪稲垣組)
判定3-0
●高山慶悟(パラエストラ広島)
▼第4試合 ストロー級 3分3R
◯三谷敏生 (総合格闘技道場コブラ会)
判定3-0
●大崎勝海(総合格闘技道場reliable)
▼第5試合 フェザー級 3分3R
◯岩本達彦 (BLOWS)
1R 1:18 フロントチョーク
●名田英平(総合格闘技道場コブラ会)
▼第6試合 フェザー級 3分3R
◯渡辺 謙明 (パラエストラ東京)
判定3-0
●上山 雄大 (ソフトコンタクト)
▼第7試合 フェザー級 3分3R
●中村晃司 (パンクラス大阪稲垣組)
1R 0:59 KO
◯岩田啓輔(マーシャルアーツファイターズ チーム侍)
▼セミファイナル フライ級 5分3R
◯獅庵(パラエストラ大阪)
判定2-1
●秋葉太樹(総合格闘技道場reliable)
▼メインイベント ライト級 5分3R
◯山﨑 悠輝(パンクラス大阪稲垣組)
判定3-0
●林 源平(和術慧舟會Iggy Hands Gym)
山崎が地元・大阪で勝利し雪辱を晴らす!獅庵が一年ぶりの復帰戦で見事勝利し復活をアピール!
第1試合
1R、動き回りながら蹴りを入れていく仁科。タックルにいくが、高島が上に。仁科は三角絞めを狙うが立たれてしまう。高島がパンチから上になると、下から腕を狙う仁科。高島が首を抱えたまま終了。
2R、仁科が走ってタックルに入ると、高島は受け止める。仁科は首を抜きボディにヒザを打ち込む。高島は立つが、バックを取っている仁科がロープ際でバックマウントに。バックをキープして終了。
3R。距離を取り、誘う仁科。タックルからサイドポジション。残り60秒、返せない高島。仁科がバックマウント。そのまま仁科がキープして終了。判定3-0で仁科が勝利した。
第2試合
1R。組みにいくNORIMICHI。コーナーへ押し込んでいくと、ヒザの蹴り合いに。ブレイクがかかると、牽制し合う両者。何かが起こりそうで起こらないまま終了。
2R、一気にパンチで前に出るNORIMICHIロープ際へ追い込むが、渡部は離れる。パンチで前に出て来た渡部を押し倒したNORIMICHIはパンチ連打。渡部は立ってコーナーへ押し込むが、NORIMICHIが入れ替え。お互いパンチを出して終了。スタイルの違いもあろうが、どこか噛み合ない印象が残る。
3R。打ち合う両者。渡部がプレッシャーをかけながらタックルに入るが、NORIMICHIは切る。渡部はロー。どことなくお互い遠慮がちな攻撃をして終了。お互い決め手に欠けるものの、渡部が判定勝利。
第3試合
今年3月、初の東京での試合で判定負けを喫した三村。前田吉朗以来のネオブラッド・トーナメント優勝という悲願を果たせず涙をのんだ。その悔しさを晴らし、「お祭り男」の本領を発揮できるか。
1R、三村が重いローを打ち込む。見ている側にも痛さが伝わってくるようなローだ。高山は足を取りに行くが、三村はこれを切る。高山が放ったヒザがローブローとなり、中断。
再開したが、三村はダメージがあるか? コーナーへ押し込むが、高山に入れ替えられてしまう。しかし、三村が投げて上に! SDM後、バックを取って立った三村がコーナーへ押し込みヒザを連打。さらに腕を抜き、殴って離れる。
飛び込んでパンチを打った高山に、三村は「来い!」のジェスチャー。殴って終了。
2R。高山がタックル宇からコーナーへ押すと、三村は潰して上に。ハーフマウントかがヒジを落とす。バックに回って立つと、高山が入れ替えてコーナーへ。強引に倒して殴り、さらに立ってパンチを落とす。三村は蹴り上げて終了。
3R。開始直後にタイムストップ。高山が右耳をカットか。ドクターチェック後、再開。三村が組んでコーナーへ押し込み、ヒザ連打。高山は入れ替えるが、三村は潰してマウント! ヒジを連打! 三村がバックマウントに移行すると、高山が返して上に。ボディを殴る三村は立ってコーナーへ。すると高山が投げ! コーナーへ押し込み、首を抱える。三村はボディを殴り、立つとロープ際で上に。バックに回ってヒザを連打し終了。
判定は3-0で三村が嬉しい勝利を挙げた。
第4試合
パンクラスでは東京でもおなじみの「闘う薬剤師」三谷。昨年は2敗したが、年末に嬉しい1勝を挙げている。ここで連勝し、勢いをつけたいところ。
対する大崎は、昨年1月にパンクラス初参戦。大阪大会で勝利を挙げた。連勝して東京進出への足がかりを作れるか。
1R、大崎がローから組むと、三谷はコーナーで倒す。大崎は下から腕を狙うが、三谷は殴って外す。立った大崎をコーナーに押し込む三谷だが、大崎は入れ替え。首を狙う三谷。大崎が押し倒して外したところで終了。
2R。大崎がパンチで押していく。三谷が上になると、お互いボディブロー。ヒジを打ち合う。苦しい大崎、足を抜きたい三谷だが、そのままゴングを聞く。
3R。プレッシャーを掛け合う両者。大崎は距離を開けながらフェイントをあけ、パンチを打つ。三谷がタックルからコーナーへ。大崎が入れ替えるが、すぐに離れる。三谷は少々疲れているか、反応がやや遅くなっているように見える。
大崎がコーナーへ押し込むと、三谷はフロントチョーク! 渾身の力で絞めるが、時間切れとなった。
三谷が3-0で判定勝ち。3人の子供たちがリングインし、勝った父を祝福した。
第5試合
1R。お互いパンチを打ち合う。ローピ際で名田がタックルに入るが、態勢を崩し倒れ込むと、岩本がフロントチョーク。名田は立って外し、コーナーへ押していく。しかし、岩本は再びフロントチョーク。これが極まり、岩本が1本勝ちを収めた。
第6試合
1R、パンチを打って出る渡辺。上山はパンチを受け止めてコーナーへ押し込む。しかし、渡辺が倒して上になり、ボディを殴る。上山は脱出したいが、渡辺がガッチリとキープし、ボディを殴って終了。
2R。渡辺が片足タックル。殴って突き放そうとする上山だが、渡辺はコーナーへ押して行き、上になる。上山は抵抗するが、脱出できないまま終了。
3R。上山がパンチで飛び込む。渡辺は長い距離で片足タックル。上山は逃れようとするが振り切れず、上を許してしまう。上山は下からチョークを狙うが極めきれず。渡辺がコントロールしたまま終了。
判定3-0で渡辺が勝利。実直な攻めが功を奏した。
第7試合
昨年はパンクラス1試合のみ、年末の大阪大会で杉山和史にTKOで敗れた中村。勝っても負けても豪快な中村だが、連敗は避けたいところ。得意のハイキックが炸裂するか。
試合開始直前に、勝者にROAD FCへの出場権が与えられることが急きょ決定、アナウンスが流れる。嬉しいサプライズに、会場も選手もどよめく中、ゴングが鳴る。
1R、中村はサイドキックから得意のハイキックを見せる。しかし、リング中央で岩田のパンチがヒット、中村がダウン! 追撃する岩田をレフェリーが止めた。
セミファイナル
元パンクラス王者・タクミの愛弟子・獅庵は2013年にパンクラス初参戦。フレッシュかつ激しいファイトスタイルで4連勝し、荻窪祐輔、リルデシ・リマ・ディアス、コンボイ升水(現・翔兵)らと闘うも3連敗。負けとはいえ、大胆な攻撃、鋭い打撃は東京のファンを沸かせ、特に荻窪戦では潰すが潰されるかの打撃戦で鮮烈な印象を残した。今回は、1年ぶりの試合。地元で勝利を挙げて、再び東京進出へのステップにしたいところだ。
対する秋葉は2015年よりパンクラスに参戦。2勝はいずれも1本勝ちで、打撃の獅庵とは対照的。秋葉は大阪大会でキャリアを積んで来たが、獅庵に勝てば東京進出も夢ではない。
1R、獅庵がいきなりパンチ、秋葉がダウン! 獅庵はすかさずかぶさって追撃。秒殺になるかと思われたが、秋葉は復活。スタンドで再開する。獅庵が飛び込み、大きくパンチを振っていく。獅庵の跳びヒザと秋葉のパンチが交錯。秋葉がバランスを崩すと獅庵が上に。獅庵はコツコツとボディを殴るが、ブレイクがかかる。
スタンドに戻ると、お互いパンチで前に出て譲らないまま終了。秋葉も良いが、獅庵のスピード感が素晴らしい。
2Rも大きいパンチを振っていく獅庵。秋葉は獅庵の蹴り足を取り、投げてバックを取る。秋葉はパンチ、そしてカカト連打。残り2分。脱出できず苦しい時間を過ごした獅庵だが、返して上に。ボディを殴り、鉄槌を連打。立ってローを蹴ったところで終了。
3R。お互いに攻め合っていく。しかし、獅庵には少々疲れが見えるか。身体を振りフェイントをかける獅庵。秋葉もパンチ、蹴りを返していく。秋葉がスリップすると、獅庵は猪木アリ状態からローキック、さらにパンチを落としてかぶさる。秋葉はヒジ連打。最後の力を振り絞って殴る獅庵。
残り10秒で、秋葉が果敢に腕を取りに行く! しかし、獅庵は外してさらに殴り終了。
判定は3-0で獅庵が勝利。1年のブランクを越え、地元で嬉しい勝利を手にした。
<リング上コメント>
獅庵
「今日はたくさんのご来場ありがとうございます。話すことをたくさん考えてきたんですけど、試合がしんどくて忘れてしまいました(笑)。東京で負けたり、ケガをして手術したり、もう格闘技はダメかと思ったこともありました。でも、こうして勝てました。またもう一度、上を目指して頑張ります!」
メインイベント
山崎は2014年よりパンクラスに参戦。6戦のうち4戦は東京で、クリスMAN、KAZZらから勝利している。一見、打撃で攻めそうなキャラクターに見えるが、実は寝技を得意とする。今回もオリジナルのムーブを見せるか。
2015年には大阪大会のメインを務めるも、児山佳宏に完敗している。どうしても、地元のメインで勝利しなくてはならない。
林は2013年よりパンクラスに参戦、既に12戦を闘っている。昨年は4連勝(うち1勝は相手の体重オーバーによる不戦勝)し、勢いに乗って大阪のメインを務める。
開始前、レフェリーをはさんで睨み合う両者。お互い負けず嫌い同士、激しい試合の予感を漂わせる。
1R。山崎はハイキック。ロー、前蹴りと足で攻める。林はパンチで出るが、山崎がコーナーへ押し込む。豪快に投げて上に。サイドポジションでヒジを落とす。林が立つと、山崎は再びコーナーへ押し込み、投げて上に。ボディ、鉄槌と殴りまくる。暴れる林の腕を取る山崎。極まるか!? しかし、なんと腕を抜いた林! 立つと「壊し屋」パンチ連打! 今度は山崎が窮地に。しかし、ゴングに掬われる。
2R。山崎がパンチから組み付き、コーナーへ。林が入れ替えてヒザを打ち込むと、山崎がテイクダウン。左足をパスし、さらにマウントへ移行。腕を狙うが、場外となりブレイク。立ち上がった山崎の右目の下が大きく腫れている。
林がコーナーへ押すとヒジを打つ。山崎はパンチで突き放すが、ここで中断。山崎にドクターチェックが入る。
再開すると、山崎はパンチから組んでテイクダウン。殴る山崎。残り10秒で腕を取ったが、時間切れとなる。
最終ラウンド。林がコーナーに追い込み、組んでパンチ。お互いにヒザを入れ合う。いったん離れるが、林がパンチでコーナーへ追い込む。しかし、山崎がテイクダウン! マウントからヒジを落とす。さらにバックを取って殴り、離さない。首を狙うが、極まらず。殴って再び首を狙う。しかし、残り1分で林が上に! 渾身のパンチを落として終了。
判定は3-0で山崎が勝利。地元・大阪で力を見せつけた。
<リング上コメント>
山﨑悠輝
「2年前、大阪で初めてメインになったんですけど、児山(佳宏)選手に完敗しました。それからずっとモヤモヤが残っていて、これを晴らすには、また大阪のメインで勝つしかないと思っていました。
2年前も150人(の応援団を)呼んだんですけど、今回も同じ150人呼んで勝つことができました。これも、皆さんの支えがあったからです(涙ぐむ)
夢はいっぱいありますけど、メインを務めるというのも夢の1つでした。今回、いい結果で締められて、ホンマに皆さんのおかげです。世間は三連休で、明日は仕事が休みの人も多いと思いますけど、仕事の人もいますよね。僕ら格闘家の仕事は、人に夢と希望を与えることです。今日の試合を見て、また仕事頑張ろうと思ってもらえたら嬉しいです」
<試合後コメント>
山﨑悠輝
「今日は4〜5割しか出せてないですね。下石(康太)とか、住村(竜市朗)とかと練習してるのに、判定だし、10位の子にあんな試合してたらダメだと思います。もっと強くならないと。
でも、(林の)パンチが強くて、終盤クラッとなって。気持ちで勝負やと思いました。今は見えますけど、試合中は右目が見えてなかったですね。試合が終わったとき、ラウンドガールは3人のはずやのに、6人に見えてハーレムみたいでした、っていうのは冗談ですけど(笑)。
1Rで1本取れるという甘い考えがありました。でも、相手は気持ちが強くて、腕がバキバキいってても諦めなかった。あれ、靭帯いってるかも知れません。最後は気持ちが勝敗を分けたと思います。
試合間隔が空いたのは、もともと25歳で格闘技がやめるという考えがあって、親にも25歳までで実家に帰ると約束してたんです。それで、試合前の3ヵ月くらい、実家に帰ってたんです。で、この試合で引退しようかなという考えもあったんですけど、練習してたら、やっぱり続けたくなって。
さらに、今日の試合が本当に楽しかった。今までの試合の中で一番楽しかったです。だから、やめません。やっぱり格闘技は楽しい。ずっとやります!」
インタビュー中、林が横を通った。林も山崎と同じく「試合していて、楽しくて仕方なかったです」と話した。2人は一緒に練習しようと約束し、笑顔で握手をかわしていた。山崎も「男は、殴り合ったら心が通じ合うんですよ。心がつながる。やっぱり格闘技は素晴らしいです」と笑顔を見せた。きっと、やってくれるだろう。
これからは、3ヵ月くらいのスパンで試合をしたいと言う。新たな決意をした山崎の、今後の活躍に期待したい。
(写真・文/佐佐木 澪)