東京消防庁のマスコット・キュータくんがプロレスデビューも試合後に昏倒!AEDで蘇生し巣鴨の商店街は大喝采!

5日、東京都・JR巣鴨駅南口ロータリーにて『アクロバトル商店会フェス 2025』が開催された。
本イベントの基となったのは、新宿三丁目の末広通り商店会(新宿区)が商店街活性イベントの一環として公道にリングを立てて行っているオールスタンディング形式かつ観戦無料のプロレス大会。
こうしたイベントを約10年に渡って定期的に続けてきた草の根運動が評価され、2022年から商店街振興のための東京都の事業としても商店会プロレスを継続的に開催。2022年&2023年にはこのプロレス祭りの輪を広げて行くべく、たかの台地区商店会(小平市)、東久留米駅前商店会(東久留米市)を合わせた3つの商店会でタッグを結成したイベント『闘強商店会プロレス』を実施した。
2024年には『演芸とプロレスのエキサイティング笑店会フェスティバル』が開催され、今年は『アクロバトル商店会フェス 2025』の名で開催。今年は巣鴨大鳥神社商店街(豊島区)、末広通り商店会(新宿区)、文京ガーデンテナント会(文京区)の3商店会が参加した。
昨年は“プロレスと演芸は日本の伝統文化”と位置付け、力道山世代の祖父母から孫世代へ文化の継承をテーマに実施。今年は大道芸とプロレスをメインに据えて商店街振興と文化伝承を兼ねたイベントとして行われている。



イベント開始前にはお手玉教室が開催され、ジャグラーとして著名なストレート松浦が来街客をリングに上げて技術を伝授。
さらに大道芸コーナーでは、和風大道芸を行う太平洋、令和6年度の花形演芸大賞で金賞を受賞したボードビリアンの上の助空五郎、ストレート松浦が登場。太平洋が高難度けん玉やバランス芸、傘回しといった伝統的な芸を披露し、最後にすべてを同時にやってみせると会場は大喝采。空五郎はまったりとしたウクレレの生演奏にのって、ボイパトロンボーンなどを交えて歌い上げる。そして“日本一多忙な大道芸人”ストレート松浦は圧巻のディアボロ(コマ)の技を披露し、そのレベルの高さを見せつけた。
その後は通常のプロレスの試合が3試合行われ、最後に東京消防庁のマスコットキャラクターであるキュータくんと、豊島消防署の小野寺さんがリングに上って防災訓練を行うことに。
挨拶のさなかで小野寺さんが「キュータくんは鍛えてるからプロレスラーにも勝てるかもしれない」と語ると、キュータくんも自信満々にマッスルポーズ。しかし、それを見たインディープロレス界屈指のパワーファイターであるマスクドミステリーがイチャモンを付け、2人は急遽プロレスの試合で闘うことに。

ゴングが鳴ると、キュータくんは華麗なタイガーステップでミステリーを翻弄。しかし、怒り狂ったミステリーがキュータくんのツノを折ってしまう大暴れから強烈なラリアットでなぎ倒す。
ミステリーはさらにラリアットを狙ってロープに飛ぶが、キュータくんは16文キックで顔面をぶち抜くカウンター。最後はボディプレスで圧殺してまさかの3カウントを奪った。

勝利して喜ぶキュータくんだったが、本職プロレスラーのラリアットはダメージが大きかったのか胸を押さえて突然バタリと倒れてしまう。
あわやリング禍という事態にミステリーは慌てふためくが、小野寺さんは冷静に応急処置を指導。119番通報の後に胸骨圧迫からAEDを使用して救急隊の到着までキュータくんの命を繋ぎ止め、最終的にキュータくんは元気に復活を果たした。

その後は、震災時の帰宅困難者の一時避難所として指定されている東京戸田記念講堂への避難訓練が実施。試合を終えたプロレスラーたちが観衆を誘導し、同所内では設備や備蓄などを見て回り安心安全な建物であることを確認した。
巣鴨の街は学校や学習塾が林立しており、災害発生時に子どもたちを速やかに避難させる体制を整えることが商店街の課題として存在しているという。こうした地域のお祭りという場で防災学習を取り入れることで安全対策を広く周知させるという意義のあるイベントになった。

毎年の恒例行事となりつつある本イベントは各所から好意的な反応が起きており、毎年複数の商店街から「来年以降にウチでも出来ないか」と問い合わせが来ているという。この輪が広がっていけば、全国各地の商店街でいつもプロレスが見られる光景が広がる未来もあるかもしれない。
“プロレスで町興し”というのはよく聞くテーマだが、現代日本においてプロレスに興味の有る人と無い人とでは残念ながら後者のほうが圧倒的に多い。大道芸やお笑い、身の回りの安全対策といった関心を持ちやすいものと掛け合わせることでプロレスもより浸透し、老若男女から隔てなく愛されるコンテンツに返り咲くことが出来るかもしれない。その第一歩となり得るこうした小さな試みにも注目していきたい。