女子プロレスの過激なブーイング問題は終結?!殴り合いの果てに生まれた友情に場内大歓声!

6日、神奈川県・横浜武道館にてスターダム『ミツカン「鍋THE WORLD」presents STARDOM TO THE WORLD』が開催。SareeeがIWGP女子王座の2度目の防衛に成功した。
WWEなどでも活躍したSareeeはアントニオ猪木さんの闘魂と全日本女子プロレスの魂を背負い、大御所たちから女子プロレスの未来を託され“本物のプロレス”を掲げている。スターダム参戦後から「女子プロレスの原点である戦いっていう大事なものがスターダムには圧倒的にない」という発言や、現赤いベルトの王者である上谷の行動を「茶番」と一蹴したことで大炎上。
今年6月に朱里からIWGP女子王座を奪取以降は“ナチュラルヒール”としてブーイングの嵐を浴びており、最近ではそのブーイングが憎悪に満ちた罵声となりつつあることが一部で問題視されている。
そんなSareeeは、8月の大田区総合体育館大会にてリーグ戦で自身を破った小波とIWGP女子王座戦を行い防衛に成功。試合後のマイクでブーイングを飛ばすファンを煽るようなマイクでさらにヘイトを集める中、スターダムが誇る“狂乱娘”鈴季すずがSareeeと対峙するとファンは割れんばかりの大歓声で支持。すずは先月まで行われていたリーグ戦『5★STAR GP』でSareeeとフルタイムドローの熱闘を見せており挑戦資格は十分。
すずは「お前が勝った時より声援がすごいぞ!おめー強いね。十分強い。お客さんもそれはわかってる。でもさぁ!お前強いだけなんだよ。強さ以外のものは持ってない。言葉のセンスもなければ面白くもない。そんなチャンピオンはいりませーん」とファンの声を代弁。Sareeeの答えはカッチカチのエルボーであり、憎悪と期待の心を燃やすファンは最高潮にヒートアップ。
プロレスは社会の縮図と言われるだけあり、正論で殴るだけの人に権力をもたせると大変面倒なことになるという社会を見せつけられるかのようなIWGP戦線。それに対抗する常識の通じない22歳の狂乱娘が何をしでかすのかに注目が集まる試合となっていた。

ゴングとともに大・大・すずコールが会場を埋め尽くす中、Sareeeは顔色一つ変えずに仁王立ち。互いにゆっくりと歩み寄って視殺戦から互いに足を止めて全力のエルボーを受け合っていく。
エルボー合戦で打ち勝ったすずがSareeeの髪を掴んで引き倒すと観衆は大喜び。すずは場外戦に引きずり込んで痛めつけ、互いに顔面を指差しつつフロントハイキックで蹴り合って意地をぶつける。
Sareeeのヘアホイップにはブーイング、すずのヘアホイップには大歓声が飛ぶ中、すずが急角度のミサイルキックをブチ込む。続けて必殺のジャーマン・スープレックスを狙うが、Sareeeはカサドーラ・フットスタンプで切り返して再びエルボー合戦へといざなう。競り勝ったSareeeがドロップキックから闘魂卍固め。さらにダイビング・フットスタンプ2連撃からいたぶるように小刻みに顔面を蹴りつけていく。
Sareeeがロープを使ったアームロックで大ブーイングを浴びる中、ロープ貫通ドロップキックで場外に蹴落とし、エプロンでのランニング・フットスタンプ。しかし、すずはニヤリと笑って強烈なエルボーをクリーンヒットさせ、エプロンパイルドライバーで反撃。すずがジャーマン・スープレックスも、Sareeeが即座に起きてお返しのジャーマン。すずもトップロープ上からの雪崩式ジャーマンという大技でさらにやり返し、バズソーキックからムーンサルト・プレスを狙う。しかしSareeeも雪崩式ジャーマンで返す意地を見せ、試合はまだまだ終わらない。
満身創痍の両者が膝立ちになりながらエルボーを打ち合っていき、ガムシャラなヘッドバッド合戦へと発展。ロープに飛んだすずをSareeeがカウンターの裏投げで頭頂部からガッツリとぶっ刺すが、すずは即座に起きてテキーラ・ショットからロコモーション式ジャーマン・スープレックス・ホールド。3発目を狙ったところでSareeeがソラリーナで切り返し、裏投げ2連撃から渾身のヘッドバッドを叩き込み、奥の手のリストクラッチ式裏投げで3カウントを奪った。

マイクを取ったSareeeは「私はさ、本当にまっすぐに素直に思ったことしか言えなくて、うまく伝わらなかったり色々あるかもしれないけど、そんな私だからこそ今日鈴季すずに言わせてもらうわ。お前……最高だなァッ!こんなやりがいがあるレスラー、なかなか私には見つからないよ。お前とはもっともっともっと刺激し合って闘っていきたいと思ってる。ウチらの中にあるリアルな感情をこのリングでむき出しにしていこうよ!」とキラキラした笑顔で叫ぶ。
これを受けたすずも「Sareee、上手なマイクできるじゃぁ~ん!(笑)お前やっぱつえーよ。強い。ありがと!あたしさ、お前みたいなやつ探してたわ。スターダムに来て、いろんな奴と試合したけど、お前みたいな野蛮なやつはいないからさ。また絶対やろう!出直してくるわ!ありがとう!」とカラッとした笑みで応えてともに笑顔でリングを去った。
2人がマイクで想いをぶつけ合う間、ブーイングは1つも起きなかった。プロレス界を騒がせたブーイング問題は、Sareeeがスターダムの選手に強いリスペクトを示したことで一旦幕引きとなりそうだ。