つんく♂プロデュースのアイドルユニットが一夜限りの復活!引退する高橋奈七永の自伝が発売決定

14日、東京都・新宿FACEにて高橋奈七永プロデュース興行『マッスルバージャパンpresents 終わりよければすべてパッション!!』が開催された。
奈七永は1996年に全日本女子プロレスでデビュー。“女子プロレス界の人間国宝”と呼ばれる大御所になった今でも若い選手たちに日本の女子プロレスの伝統を試合を通して伝え続けており、“パッション注入マッチ”と呼ばれるこの試合は女子プロ界の新たな伝統となりつつある。
元々引退を見据えてマリーゴールド入団を決めたと語っていた奈七永は、マリーゴールド1周年となる2025年5月24日の代々木体育館大会での引退を表明。残り約1ヶ月の引退ロードを駆け抜けている。
今大会は、奈七永がプロデュースする最後のパッション興行。
目玉となったのは、つんく♂プロデュースで生まれた全日本女子プロレス時代のアイドルユニット『キッスの世界』の一夜限りの復活。そして、奈七永と中西百重による伝説のタッグ【ナナモモ】の最後の試合。
大会オープニングでは、ナナモモの2人に加え、納見佳容、脇澤美穂も一緒にリングに上ってオリジナルメンバーで『バクバクKiss』を熱唱。
ライブ後にはプロデューサーのつんく♂氏からメッセージも届き、“卒業”していく奈七永にねぎらいの言葉を贈った。
この日、奈七永は2試合に出場。
1試合目は、高橋奈七永&中西百重vsビクトリア弓月&山岡聖怜。軽量級王座を持つ20歳の弓月、タッグ王座を持つ18歳の聖怜という女子プロレスの未来を担う2人へ、ナナモモが全女魂を継承する試合だ。

試合は弓月&聖怜の奇襲に始まり、場外に放り出して弓月のプランチャで先制。しかし、中西が現役バリバリと見まごうレベルのキレッキレの動きを見せて逆転し、キッスの世界の4人で聖怜をキャメルクラッチで固めながら会場四方へ向けて記念撮影を設けていく。
奈七永は、タッグパートナーであり愛弟子の聖怜と初めてリングの対角で対峙。バッチバチのビンタ合戦が展開され、奈七永の一撃で聖怜の歯が取れてしまうほどの激しさを見せた。
また、戦前に軽量級選手として百重への憧れを口にしていた弓月も意地を見せ、中西が得意とするひとっ飛びでコーナーに飛び乗ってのムーンサルト・アタックやジャーマン・スープレックス・ホールドを放って躍動。モモ☆ラッチも阻止してレジェンドと互角に渡り合う。
最後は全員入り乱れての打撃戦や押さえ込みといった闘いの根源に迫る試合が展開され、15分フルタイムドローの結末に。4人はしっかりと握手&抱擁を交わし、若者たちに未来を託した。
メインイベントで行われた2試合目は、高橋奈七永&優宇&MIRAIvs橋本千紘&水波綾&山下りなの6人タッグマッチ。敵味方ともに奈七永が強敵・盟友として認め、ともに女子プロレス界を盛り上げてきた猛者たちが集った。

序盤は奈七永&優宇がMIRAIを盾にして水波のマシンガン・チョップを防御したり、橋本をリバース・インディアン・デスロックに捕らえた状態の奈七永を水波&山下がチョップで倒して橋本の足が破壊されていったりと、明るく楽しいコミカルな展開が続く。
しかし、中盤からは奈七永と橋本がゴツゴツのエルボー合戦を展開して空気を塗り替え、奈七永&優宇が合体サイドバスターを決めるなど7Uppの連携技も蘇る。奈七永と水波の豪快なラリアット合戦は女子同士のものとは思えない重厚な音を響かせて場内からどよめきも起こった。
最後は奈七永と山下の対面。山下がインプラントや頬を貫くトラースキックで厳しく攻め立てていくが、優宇が飛び込んできて「奈七永!アレ行くぞ!」と2人で山下にナナモモダイバー。奈七永が山下にワンセコンドEXを決めるも、意地で返した山下が額を突き合わせながらのビンタ合戦。これに競り勝った奈七永が再びワンセコンドEXで叩きつけて3カウントを奪った。

試合後、奈七永は「プロレスラーになって一番良かったことってね、たくさん夢を叶えていけることだと思ってて。負けたりさ、悩んだりさ、つらいこといっぱいあるけどさ、こんなに応援してくれるお客さんがいるんだからさ、もっともっといけるんだよプロレスラーって。だからみんな諦めないで、夢を掴みにいってほしいし、見てるお客さんもそれぞれの夢を掴みにいってください。そんなパワーになれたら、プロレスラーはめちゃくちゃ嬉しいです」と熱い気持ちを吐露。
さらに「最後に1つ、私の夢が叶ったことがあるのでこちらのVTRをごらんください!」と叫ぶと、会場スクリーンで高橋奈七永自伝本『終わりよければすべてパッション!!』の発売が電撃決定。
愕然とした水波が「これの宣伝興行だったのか?!」とツッコミを入れる中、集合した選手たちが奈七永を胴上げ。大会は大団円に終わった。
しかし、普通のハッピーエンドで終わらせないのが高橋奈七永。
バックステージに戻った奈七永がコメントを始めた瞬間、会場ビル全体に火災報知器が作動したことを告げるけたたましい警告音が鳴り響くというミラクルが発生。後に異常が無かったことがアナウンスされたことでこれも笑い話となり、奈七永のパッションでビルが全焼することも避けられた。