「底の底から上がってきたから伝えられるものもある」首の大怪我で選手生命の危機を迎えたプロレスラーが奇跡の復活から10年来の盟友とタイトルマッチ!

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 22日、東京都・後楽園ホールにて『GLEAT Ver.16』が開催。石田凱士が山村武寛を制してG-REX王座の初防衛に成功した。


 山村は2015年にDRAGON GATEでデビュー。2017年に第一・第二頸椎の脱臼で長期欠場に入り、2018年にはCIMAらと同団体を退団し#STRONGHEARTSを結成。2019年2月にはWRESTLE-1のリングで日本復帰戦を行い選手としての活動を再開したが、その2ヶ月後となる同年4月の試合中に第三・第四頸椎の脱臼の怪我を負って緊急搬送。
 レスラーにとって首は生命線でもあり、2度の大怪我から山村の復帰は絶望的という声もあった。それでも山村は折れること無く復帰を目指し、大会前の客入れ時にDJプレイを行って会場を温めたり、仲間のピンチに飛び込んできてスターダスト・プレスを放ったりと活躍して存在感を発揮していた。
 2022年5月にGLEATに入団し、2023年12月に約4年9ヶ月ぶりに復帰。復帰戦の相手はDRAGON GATE時代の同期でありお互いのデビュー戦の相手でもある石田凱士が務めた。

 現在、GLEATの至宝・G-REX王座は石田が戴冠中。石田は外敵としてGLEATに襲来し【BLACK GENERATION INTERNATIONAL(BGI)】を率いて来たが、2024年8月にGLEATに入団。反骨精神はそのままにBGIなりのやり方でGLEATを押し上げている。

 この日は、石田のG-REX王座に山村が挑戦。約10年に渡る2人の関係性もあり、石田と山村が頂上対決を行うという光景はファンにとっては単なる王座戦に終わらない深い意味を持つ。


 試合は、2人がデビュー前から道場で何千何万回と繰り返してきたであろう基礎に忠実なグラウンドに始まり場内に緊張感が満ちる。
 エプロン上での攻防から石田が奈落式ニークラッシャーを見舞ったことで試合が一気に動き、石田は冷酷な足への一点集中攻撃を展開。最大の武器である機動力を潰された山村はロープに走ることも出来ないほどのダメージを負い、一気に劣勢に追い込まれる。
 石田はエプロン上でのジャーマン・スープレックスや場外での垂直落下式ブレーンバスターと畳み掛けてアンクルホールドでギブアップを迫る。それでも山村は折れること無く吶喊し、真っ向からのチョップ合戦に打ち勝った上で敢えて痛む足を振るって首筋へのトラースキック連打からフィッシャーマン・ドライバー。さらにバズソーキックを連打していくが、石田が絡め取ってアンクルホールド。これを丸め込みで切り返そうとしたところを石田がハーフタイガー・スープレックス・ホールドで叩きつけて3カウントを奪った。

 試合後には、吉野正人コミッショナーが石田にベルトを手渡すというDRAGON GATEであり得たかもしれない光景が広がる。


 マイクを取った石田は「山村、今日で分かったやろ?今現在の実力差と現実を。山村、お前はほぼ復帰不可能と言われる首の大怪我から復帰して、今日今ここで団体のトップのベルトを後楽園ホールのメインイベントで争うくらいになったな。昔からお前に対する感情は変わってないよ。素直にすごいよ。お前はすごいよ。俺には真似出来ひんよ!この試合で勝ったのは俺かもしれんけど、この10年間、ホンマの闘いで勝ったのは……山村、お前や」と最高の賛辞を捧げる。

 これを受けた山村は「俺はお前のお陰で復帰までたどり着けたと思ってるし、お前のお陰でGLEATという最高の団体の最高峰を争えたと思ってる。ここまでこれたのはお前のおかげだと思ってる。ありがとう!でもな、まだまだ俺たちは過去を捨てて新しいGLEATを創っていこうぜ」と返し、友情を確かめ合った。


 バックステージに戻った山村は「世界は広い。俺たちの闘い、GLEATの闘いはこんなところ(※手で狭い場所を象りながら)で闘ってるわけじゃないんや。世界に向けて俺たちの闘いを伝えたい。俺は底の底から上がってきたからこそ、伝えられるものもあると思う。けど、まだまだ力不足。もっと力を付けて石田凱士を必ず超えるし、俺たちの闘いを世界に伝えていきます」と、これからさらに世界に向けて飛躍していく向上心を語った。

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