【会見】未払い騒動から7選手の退団発表に揺れるアイスリボンの現状を佐藤社長が報告「1000万近くの回収漏れがある状態です」
1日、アイスリボン道場で女子プロレス団体『アイスリボン』が記者会見を開催。女子プロレス団体アイスリボンを運営する有限会社ネオプラスの佐藤肇社長が、株式会社アイスリボンの五嶋一人社長が音信不通になり選手へ給料未払い状態になっている件についての現状に答えた。
昨年12月の記者会見で、DeNAによる横浜ベイスターズ買収など数々のM&A実績を誇る株式会社リベリオンズの五嶋一人代表が、ハンドボールチーム『アースフレンズBM』、B3リーグ所属のプロバスケットボールチーム『アースフレンズ東京Z』、現在定期的に興行を行っている女子プロレス団体では日本で一番老舗となった『アイスリボン』を業務提携させ、五嶋一人氏が代表となり選手マネージメント会社の株式会社アイスリボンを設立。選手はほぼ全員ネオプラスから離れそちらへ移籍していた。
現在プロレス団体『アイスリボン』を運営している有限会社ネオプラスは団体の興行主として残っており、ネオプラスのアイスリボン事業部も存続しているもののネオプラスと株式会社アイスリボンは資本関係は一切ない状態でアイスリボンの興行が行われている。
その最中10・19後楽園ホール大会でICE×∞王者となった真白優希が、リング上で五嶋社長と連絡が取れず給料が未払いになっていることを涙を流して訴えた。
これを受けて佐藤社長より、五嶋社長は6月から入退院を繰り返し、心臓のカテーテル手術を経て開胸手術になりICUへ。無事手術が終わり命に別状がないところまでは来たが、株式会社アイスリボンやリベリオンズは実質五嶋社長1人の会社であるため全ての業務が滞ってしまっている状況が報告されていた。
10月末も給料が支払われることはなく2ヶ月連続未払いに。この日の会見で佐藤社長から「未払いと音信不通という状態が続いて選手が不安でいる中で『11月をもって契約をネオプラスに切り替えましょう』という話をさせていただきました。また選手に対して、フリー、移籍、引退といろんな状況も含めて新しい契約を結ぶにあたって意思の確認をしたところ、年内は契約をするけども辞めますという人間が、紫雷美央、咲蘭、しのせ愛梨沙、芦田美歩、グリズリー藤滝、古川奈苗、この6人が12月31日をもってアイスリボン退団という形になります。現状株式会社アイスリボンに関しましては、給料未払いに関しての部分は労働基準局の方で動いていただいていて、現在五嶋は労基の方とは連絡をとれたそうですが今現在病院入院中という状況がまだ続いております。その中で、本人がその後どうなるのかっていうのが会見の直前まで労基とやり取りをしてましたが、まだ見えない状態、不透明な状態という形です。選手に関しましては基本11月1日、今日より弊社での参戦となり、社員契約は向こうに残ってる状態です。その後において、来年以降どういう形になるのかというのも改めて選手と話し合いをしながら決めていこうと思ってます」と報告があり、真白は10月31日付けで退団しフリーとなった事が本人の口から語られた。
その後改めて佐藤社長が現状に答えた。
――ネット上での憶測が多々あるので確認ですが、普通ですとレスラーは個人事業主契約を団体としたうえで試合のオファーを出すと思うんですけど、株式会社アイスリボンに関してはそれぞれが社員契約をしたうえで雇っていたという形ですか?
「そうですね。元々ネオプラス自体が社員の福利厚生もふまえて社員契約をし、真白選手もネオプラスの社員という形でした。やはりそれは欠場中のお給料であったりとか、試合中の怪我、労災とか、そういった部分を踏まえた形で社員契約を行っていました。株式会社アイスリボンも基本的には同じですが、ただ私どもはフルタイムだけを社員にしてたんです。プロレスを専業にする人は社員として活動してもらいましょうという形で、それ以外は所属と言っても結局1試合1試合のギャランティという一般的なやり方をやってました。株式会社アイスリボンは、パートタイムという形で全員をいわゆる社員、もしくはパートタイムという契約をして雇用という形になっています」
――それは会社の負担が大きいのではないですか?
「私どもとすると、ぶっちゃけた話ですけどギャランティで払う方が絶対楽なんですよ。交通費であったり保険料であったりとか年金であったりとか、企業負担するものが社員だとあるわけですよね。それがなく、ギャランティで使えるっていう部分は、団体としてのアイスリボンの経営に関してはすごく楽な形に持ってける。ですが株式会社アイスリボンは、選手に対して独自のプロモーションをして、試合だけじゃない選手の付加価値をつけて、より高い給料を取れるようにしたいという方向性の中でこのプロジェクトが始まってるんですけど、全くここがなくアイスリボンに参戦させるだけしか仕事をしてなかった。なのに(ネオプラスや他団体から株式会社アイスリボンに)支払ってるギャラより大きい給料を払っており、ぶっちゃけた話がこのままでいくと破綻するっていうのは普通に考えてわかるわけで」
――ネオプラスから株式会社アイスリボンに移籍すると3倍近い給料になっている選手もいたと聞いています
「本当はそこで、そこの会社がいろんなプロモーションとかなんかに選手を派遣したりとか、いろんな芸能的なものであったりとかいうのをプロダクション的な部分で動いて、選手の収入をもっと増やしましょうという形だったんですけど、そこに対するスタッフがもういない。早々にスタッフが辞めて、五嶋1人になってしまったっていうような形が現状です。それでもそれは本人(五嶋社長)曰く先月頭まで連絡取れた中では、それは先行投資としてこれでやってくっていうのは言っていたんですけども、今現状うちにしてみれば、通常一般的なギャランティーを提示しても、1回株式会社アイスリボンの蜜を吸うと選手から違うよっていうような反応になってしまう(苦笑)難しいところでもあるんですけども。はい。なので第2の株式会社アイスリボンみたいな対応してくれるとこがないかって探して抜ける子がいるっていう部分は致し方ないかなと思っております」
――佐藤社長の責任を問う声がいくつかネット上であがってはいると思うんですが、そもそも論として選手たちは株式会社アイスリボンに行ってしまったので、この件に関してネオプラスは基本的には別の会社の話なので、あまり責任がないのではないかという部分はあるのですが、佐藤社長としてはどうなんでしょうか?
「実際株式会社アイスリボンに移籍しなかった選手、スタッフっていうのもいるわけで。でも一般的に見た時にはいい条件で提示してくれる人がいるなら移籍した方がいいと思います。給料遅延に関しましては、私どもも実は株式会社アイスリボンに対して1000万近くの回収漏れがある状態です。興業とかそういった部分を、株式会社アイスリボンが買う形で行っている興行、いわゆる売り興行と呼ばれるものがいくつかありまして、それに関して大部分の未納が発生している現状があります。ただ私どもとしては、その責任という部分においては、当然会社の方針としてそういうプロジェクトに乗って株式会社アイスリボンに転籍をした選手たちがいますので、そういったとこでその会社から未納になりましたということに関して、私としては11月にネオプラスと契約し、9月分、10月分に関しては規定の基準で選手にお金を支払い、それは株式会社アイスリボンの建て替えとして提供するという形でやってます。労基からは『立て替えって言っても、ネオプラスにおいては不良債権が増えるだけじゃないですか』っていう指摘をいただきましたけども、これはもう仕方ないことだと思ってます。五嶋が戻って来るというかすかな望みもありますし、またこういう事態の中で早急な改善のためにも、新しい体制の中で新規契約を選手たちと結んでいきたいなと思ってます」
――株式会社アイスリボンが入ってきて変化はあったのでしょうか?
「選手にとって言えば、今までと同じことをやってるとお給料が上がったっていう部分ですね。興行会社として見た時には、変な話ですけど、お客さんが入ってなくても売り興行である程度の利益が確保できる。そういう補填の中で興行がやっていけるっていう。でもそれは、その結果お客さんが増えて、興行収益が増えて、支払ってるお金に追いついていかなきゃいけないという部分もあるんですけども、そういったセーフガード的な動きをやっていたのが株式会社アイスリボンでありますけども、希望的観測はありつつも、そんなことが長続きするわけないっていうのは、正直言って選手、スタッフ全員思っていたことなので。それがやってきたのだと思います」
――正直それは思ったより早かったですか?
「思ったより早かったです。五嶋自体が投資家なので、投資家っていうのはどっかからお金を集めてきて、それを投資する。自分のポケットマネーから投資をするんじゃなくて、お金を集めて投資をする。当然、お金を集める中において事業計画を出すわけですね。でも事業計画に大きく及んでいない。これにおいては本当に当初から現実を見ていない数字を作っていたので、もっと現実見た数字にしましょうという事を言ってたんですけど、その絵に描いた餅の文字で集めてきてるお金なので、当然そこに対しての未達の部分っていうのは多々あったと思います。そうなってくると、資金調達的な部分っていうのは難航してるだろうなというのは実は早々に感じていました。けど当初の部分で言うならば、取り付けてる調達資金において仮に一切伸びがなかったとしても、来年までもつっていう計画だったんですね。それはもう五嶋の言葉でしかないんですけども。『いやそんなわけねえだろう』と思ってた中でこの事態。彼が今入院してる中で、全スタッフが社長と連絡が取れないという中で、どんどんどんどん離職してく。今現状で言うなら、五嶋が6月ぐらいから入退院を繰り返して、社長と連絡が取れないっていう不信感の中から社員がいなくなって五嶋1人になって、株式会社アイスリボンにも株式会社リベリオンズにも両方で五嶋1人しかいないので、この中で業務が滞ってるという部分はちょっと予想外だったのかなとは思います」
――退団される6選手ですが、その方々は今後はフリー参戦をアイスリボンにされる予定はあるんでしょうか?
「ジュリアとか世羅たちだったりとかは退団において色々と何回も何回も話し合いをしてます。今回の選手に関しては、いきなり30日の大会前に退団の意思を伝えられ、何の話し合いもない中で大会で発表するという事態になってます。私どもとしては週プロの名鑑さんとかそういうのもあるので、今後に関して31日まで連絡をくださいという話をしていた中で、普通に辞めますという連絡があったのは芦田だけ。美央においても前日の段階では『会社に戻ることで、私のお給料だとか、そういった部分で負担をかけるから、私は旦那、タンクの会社の社員となって、所属じゃなくて必要な時だけ呼ばれる形で、来年以降はどうでしょうか?』というような形だったので、美央の好きなように来年以降で考えようっていう話を前日にしてる段階で、30日の大会であのようなパフォーマンスになっています。そういう状況ですので、会社として選手と話しながら状況の確認をしていきたいなと思ってます」
――現時点でその6名は今後の話し合いによっては12月31日までにアイスリボンに契約する選手が現れるかもしれないし、またその中に名前がない人が出ていく可能性もあると
「はい。もちろん私どもとしては、一旦株式会社アイスリボンに移動してますけども、年度年度で契約更改を基本的には選手としてるので、それに向けての契約をこれから提示しながらやっていこうかなと思ってます」
――現状残る選手に関しては
「藤本つかさ、星ハム子、星いぶき、勝愛実、弓李ってみんなお母さんになっちゃうんです。ママズ団体になって、国連の女性地位向上の方とか呼ばれていくんですけども、やはり今の世の中のこういう状況の中で女性が夢を諦めずにプロレスラーをやっていけるっていう環境はとても日本では珍しい環境ではあるんです。結構そういった財団だとか、そういった組織の方から色々お声がけをいただいてます。なかなかお声かけいただいてもですね、そういうとこからお金が出ないっていうのも悲しいんですけどね(苦笑)でも、そういった活動に関しては一定の評価をいただいてる部分もあるので伸ばしていければいいなとは思っています。とは言っても別にママだけを歓迎してるわけじゃないので、残ってくれる海乃月雫、トトロさつき、若菜きらり、松下楓歩やプロレスサークルの子たちも含めてアイスリボンを今後も続けていこうと思っています」