【インタビュー】「私が大きな存在になって、日本の女子プロレスを変えていく」"狂気のカリスマ"ジュリアが日本ラストマッチ直前の思いを語る

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 “お騒がせ女”として女子プロレス業界の話題をさらってきたジュリアがついに海外に挑戦。8月19日のマリーゴールド後楽園ホール大会をラストマッチとするジュリアに思いを聞いた。

――もうみんな覚悟していたわけですが、改めて聞かされると「ああ、行っちゃうんだ」という寂しさもあります
「大人の事情です(笑)。自分だけで決めれる事ではなかったので。まずはスターダムとの契約が終わらないと動き出せなかった。ファンの皆んなには、なかなか発表できずにいろんな情報が出てる中、すごい不安にさせたり惑わせてしまったり、申し訳なかったです」

――個人的にはもうちょっと後だと思ってたので驚きました。今年いっぱいは国内かと
「そうですよね」

――レッスルマニア視察の際はものすごい声援を浴びてました。
「実はあの時、自分への声援だと思ってなくて。自分が立ち上がったら、会場がウワアー!!となったから『誰かスゴイ有名人が来たのかな?』と思っちゃって」

――そんなの「ジュリアが来てるぞ!」しかないじゃないですか
「それが画面でチェックしようと思っても、会場の大きなモニター画面が自分の真上だから全く分からなくて(笑)。「すごい歓声だったね!」って言われても「私に向けてだったの?」って。後で映像を確認したら、すごい間抜けな顔してて『恥ずかしい!』って思いましたね」

――こっちは「やっぱり堂々としてる!」ぐらいに思ってましたよ!
「ありがとうございます(笑)。いやもう逆に、自分にこんなに声援来るわけない!みたいな。日本とはスケールが違って、純粋に「誰か来たの?ドウェイン・ジョンソン?』みたいな(笑)」

――向こうは待ちに待ってますよ。実際のところ海外志向はあったんでしょうか
「どっちかっていうと「海外には行かない」って思ってたんですよ。生涯日本でやってくんだって。いろんな人が言うんです、女子プロレスをもっと世間に伝えたい、広めたい、大きくしたいって。自分もそうで、日本の女子プロレスをもっとメジャーにしていきたいって夢は変わらないです。そういう夢の途中で海外に行くなんてありえないと。日本をもっと盛り上げて「よし!」って思ってからじゃないと行けないでしょって」

――しかしそれが「行くぞ」って気持ちになったのは?
「自分自身をレベルアップさせたい、もっと大きな存在にならなければいけないと思った。今まで女子プロレスのいろいろ問題点・課題を見つけては、運営側とぶつかって。自分で変えることができたことも少しはあるのかもしれないけど…本当に改善させていくには今の自分では存在が小さすぎるんだなってことに気付いたんですよ。だったら、アメリカで死ぬ気で頑張って結果残して、いつか帰ってきた時に、日本の女子プロレスを内部から変えてやるって。もっとデッカくしたい!」

――ビッグ・ザ・ジュリア!
「アメリカへ行く行かないっていうのは、何年も悩んではいたんですね。いや、まだだまだだって。でも自分の中でそういうふうに考え方が少しずつ変わっていったのと、今年30歳になったんですけど、そういう節目でプレイヤーとしての大きなチャレンジはこれが最後っていう覚悟で、海外に挑戦しに行くっていうことを決めました。その先には夢があるので」

――それらの想いは「My Dream ジュリア自叙伝」にも詳細に書かれたんですよね。
「はい!正真正銘自分で書かせていただきました。きっかけは日本の女子プロレスを変えて行きたい、もっと大きなものにしていきたいっていう想いです。既に海外挑戦も頭の中にあった去年の11月ぐらいかな、書き出したのは。すごく夢を持って入ってきた世界にびっくりするような現実、『これやってたら人生めちゃくちゃになる。さっさとやめなきゃ』って本当に思ったんですよね。これが続いたら女子プロレス自体がなくなっちゃう。本気で目指す人、アスリートの人とか、やっぱり入ってきてほしいじゃないですか。そのためには女子プロレス業界全体をもっとクリーンにして、隠し事なく、例えばお給料、仕事内容だったりもっとオープンにする必要があるんじゃないかなって。野球のメジャーリーグとかって公開してるじゃないですか、年俸を。まだそこまでいかないにしろ、夢のある世界でなきゃいけない」

――憧れる世界であってほしいです。
「ただそういう話をするにしても、自分の生い立ちから人生で経験したことが全部繋がってて。例えばお金に苦労はした事なくて、好きなことはある程度なんでもできる!って方も中にはいますけど、自分はそうじゃなかったので。割とお金にシビアになるような生活をずっと送ってきてたからこそ、生まれたときから全部自分の経験談を書いて、これは自伝本にした方が読む人に伝わるんじゃないかなって思ったんです。あとは日本でのジュリア第1章っていうターニングポイントになるので、書こうって決めてました。移籍の時の話とか全部書いてあります」

――おお!あと本日発売(収録日8/5)のプレイボーイのグラビア、これまたイイですね。
「(パラパラめくりながら)あ~、グラビアの子たちは細っそいな~(笑)。この後にむっちりした私が。節目節目で撮ってはいるんですよ。写真集とかも出させてもらったんですけど、私の身体の変化や、その時のコンディションが分かるというか。その時のリアルなジュリアを感じられるというか。自分は体つきが変わりやすいんですよ。筋肉付くときは思いっきりつくし、絞るとき思いっきり絞ってっていう。髪型もしょっちゅう変わるし(笑)。写真一枚見ただけで、いつのジュリアなのか分かりやすいですよね」

――皆さま電子版もありますのでぜひ!選手の中でもお姉さんと慕われてる感があります。でもそれが遠慮に繋がってるんではと
「私はデビューしたばっかりの新人相手でも、相手が熱い気持ちを持って向かってきてくれたら必ずその分お返しするし、それでもまた食らいついてきてくれれば戦いは続いてく。戦いの種を撒き続けていけば、いつか大きく咲く可能性があるから。マリーゴールドの皆んなには、何かそういう根本的な部分を叩き込んでやりたいなって思って。欠場中、そういうことって言葉でしか伝えることができなくて、自分が試合できないので。でもやっぱりいくら口で言ったって伝わらないんです。10代の若手もそうですけど中堅の奴らはちょっと根性入れ直してほしいなって思います」

―――「楽しいだけじゃねえだろ」とおっしゃってたところですね
「楽しいのは良いんですけど、自己満で終わってはいけない。自分はプレイヤーであり、プロレスファンでもあります。ファンである気持ちとしてはやっぱり熱くなりたいし、非日常を見せて欲しい。プロレスのチケットって高いと思うんです。私、倖田來未さんのライブ観に行ったんですけど、ライブはこの金額でこの席でこの演出、これだけすごいエンターテイメントやってるんだ!って大満足して帰ったんですよ。じゃあプロレスって何なの?お客さんに、決して安くはないお金を払って来てもらって、ぬるい気持ちでやってる場合じゃないんだよって。自分が楽しいじゃなくて、お客さんがどう思うかが一番であって「盛り上がるからそれでいい」じゃない!(怒)」

――意識改革しろと。
「いつまでも固定客だけになってしまう。いつも来てくれるお客さんが一緒に巡業回ってるだけじゃなくて、「マリーゴールドがうちの地元来るんだよ!」とか「誰が見れるのかな?」とかわくわくさせて、実際来てもらったら「今日来てよかった!」って言ってもらう。それは選手も全員やんなきゃいけないことだし、スタッフさんたちもお客さんがまず会場に到着してチケット半券切って売店行って、この時からもう興行始まってると思うので、会場を離れる最後の「ありがとうございました」まで、本当に最初から最後まで全部整った状態が、良い興行だと思うんですよ。だから選手ももちろんスタッフさんたちもみんなが同じ方向を見て、お客さんに来てよかったって満足して帰ってもらう。もう1回そのお客さん達を絶対に呼ぶんだっていう思考回路になってほしいんですよね。でも、そこを統一するのはやっぱなかなか難しい」

――もう教育どころか会社全体のマネージメントですね。あと残り3試合(8/10青野未来戦、8/12ジュリア&野崎渚&CHIAKI vs 高橋奈七永&桜井麻衣&石川奈青戦、8/19桜井麻衣戦)、それぞれの試合のテーマと言うかみどころは?
「残りのカードどうするって時に、自分の意見を元に小川さんと相談しながら組んだんです。その中でジュリアvs青野はロッシー小川が「どうしても見たい、やって欲しい!」って。私も、彼女にはリングで伝えたい事があるので戦いたいって思ったんです。自分も別モノではあるけど白いベルトを過去に巻いて伝説を残してきたと思ってますし、アイスリボンの新人時代に初めて他団体の人とタッグ組んだのが彼女で。嬉しかったんですよ、同期っていうのが。でも元いたアイスリボンを離れて、向こうもね、アクトレスガールズで体制が変わってプロレスラーじゃなくなって、そんな中ここで再会したっていうのは何か縁があるのかな。小川さんが見たいって言うしもちろんファンの方もそうだと思うし、自分も純粋に今戦ったらどうなるんだろうっていう。初シングルなんでね」

――青野未来地元凱旋で初シングル!相手にとってもメモリアルマッチですね
「完全に私の勝手なイメージで言いますけど、結構優等生キャラって言うんですか、自分で限界を決めてそうというか。実際の彼女を知りたいですね。壁をぶち破ってなんぼだと思うんですよ。でもきっと秘めているものがすごいから。私の好きなタイプでは全然ないですけどね!ボコボコにしてスカッとぶっ飛ばしてやります。そして、あんたがマリーゴールドのすごく重要なカギになるんだよってところを伝えたい。もちろん白いベルト巻いてお客さんからも期待感あると思うんですけど、自分にはそこまで響いてこないっていうか。それでも今後のカギになる存在であるからこそ、私との戦いを経験することは大事だと思いますよ。自分で言います(笑)」

――いや、大事だと思います
「レスラー同士にしかわかんないと思うんです。自分自身も戦って変わった経験ありましたし、自分と戦ったことがきっかけでハネてくれた選手も少なからず見てきてはいるので。まあ、結局打っても打っても響かないやつもいるんですけどね(笑)。で、お前はどっちなんだって。ボコボコにします」

――8/12は6人タッグになりますね
「まずパートナーのCHIAKI、最初に練習で見た時「この子いいじゃん!」って。独特の雰囲気とか他の人にないものがある。ボーイッシュでカッコイイ感じってこれ超大事!そういう人がいるかいないかで、その団体のキャラクターにすごく幅が出るから。ヒールっぽいとこも含め彼女はまだ模索中だろうし、ちょっと横に並んでみたいなって思ったんですよね。8・3徳島で戦ってみて血ドバドバ流しながら最後までくらいついてきたし、そこで確信しましたね。野崎さんは技とか背丈も似てるし、前から横に並んでみたいって思ってたんです。NOAHの「MONDAY MASIC」の時はコスチュームも似てたからどっちがどっちかわかんないってファンの方が言ってたぐらいだし(笑)」

――パッション・シスターズもまたイイ相手だと思います
「パッション・シスターズの両国のLLPWとの対抗戦、あれ個人的に両国のベストバウトだと思ってるんです。神取忍に喧嘩を売り、石川と桜井を引っ張り上げる高橋奈七永はやっぱり偉大だなって。もしあのポジションが自分だったらあそこまで出来たかな、とか考えますね。あと、石川には悲壮感を感じます。なぜかそれがあいつの魅力になってて。元はアイスリボンでの後輩、これも何かの縁。今の石川を感じてみたいですよ」

――8/19ラストマッチは桜井麻衣選手に決まりました
「これは決めてました。ファンの中では、それぞれが思う最後の人がいたかもしれないけど、スターダムで出会って桜井に声をかけたところから始まって。私は怒る時は怒るし厳しくする時は厳しくするし、ちょっと注意しただけで嫌になっちゃう子も多いじゃないですか。でも桜井はどんだけ厳しくしてもしがみついてきたんですよ。だから認めてます。不器用で、いろいろ迷ったり悩んだりしてる姿を見てきた。「あとはもう自分でどうするか決めろ!」みたいな感じで言ったりもしました。それでもずっと隣にいたんです。自分にとって日本を離れる前のけじめの試合にもなるし、桜井にとっては、数々の強者と戦ってきた私の最後の相手って責任は重大ですよ。桜井は実は広い目で全てを見てる。それがまだ伝わっていないのは勿体ないなと思うんです。だからこそジュリアのラストマッチという最大の試練を与えて、重いものを背負わせて、今後マリーゴールドを引っ張ってく選手になってもらいたい。桜井には期待してるんで。彼女には大仕事をしてもらいます!」

■プロフィール
ジュリア(Giulia)
1994年2月21日、英ロンドン生まれ。162cm、55kg。2017年10月アイスリボンでデビュー。2019年10月に移籍騒動を経てスターダムに入団、2020年女子プロレス大賞はじめ数々の王座・賞を獲得。2024年春に新団体マリーゴールドに参加。デビューから7年弱で遂に海外メジャー挑戦!
公式X:@giulia0221g
公式Instagram:@0221giulia 

『MARIGOLD SUMMER GOLD SHINE2024』
日程:8月19日
会場:後楽園ホール
開始:18:30
<チケット>
https://www.ticketpay.jp/search/?keyword=マリーゴールド

■「My Dream ジュリア自叙伝」
人気・実力ともに女子プロレス最大のスターが初めて単行本を書き下ろし!波乱万丈の生い立ちからプロデビュー、木村花の死、髪切りマッチ、覚悟のスターダム退団とマリーゴールド参戦の経緯、そして海外メジャー挑戦へ。
出版社)ホーム社
発売日)‎2024/8/23
価格) 1,870円

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