「高みからお前らのこと見守っててやるよ」“ビッグダディ三女”林下詩美がスターダムラストマッチを終え“黄金世代”の仲間へ泣き笑いでメッセージ
12日、東京都・後楽園ホールにてスターダム『STARDOM in KORAKUEN 2024 Apr.』が開催。林下詩美がスターダムラストマッチを行った。
詩美はバラエティ番組などに数多く出演する“ビッグダディ” 林下清志さんの三女であり、2018年にスターダムでデビュー。その直後から数多くの王座を戴冠していく新人離れした破竹の快進撃を見せた。
2020年11月にはデビュー3年目にして最上位のシングル王座であるワールド・オブ・スターダム王座(赤いベルト)を戴冠。その後は9度の防衛に成功し“詩美時代”を築き上げた。
スターダムは2019年12月に業界最大手団体の新日本プロレスを擁するブシロードグループに加入。2019年度には2億円だった売上が2023年度には15億円になるという大躍進を遂げた。
世界一の女子団体となったスターダムであったが、組織の成長に対して内部の人員やシステムの整備が追いつかずトラブルが多発。あまりにも過密な大会スケジュールやビッグマッチの連発などで疲弊した選手たちが続々と負傷欠場するなど、多方面での不満が積み重なっていった。
団体が揺れる中、今年2月にはスターダム創業者のロッシー小川EPが『多数のスターダム所属選手・スタッフに対する引抜き行為』を理由に突然契約解除される事件が起きた。
その後、3月22日には林下詩美、ジュリア、桜井まい、MIRAI、弓月と第一線級の選手からデビューしたばかりの新人を含む5選手が同月末に退団することが発表。新団体旗揚げなど真偽不明の噂も飛び交う中で女子プロレス界は大きく揺れている。
この日、詩美はフリーとして参戦。スターダムラストマッチとして、林下詩美&上谷沙弥vs舞華&飯田沙耶のタッグマッチが実施。“黄金世代”と呼ばれた4人が揃った。
詩美と上谷は【AphroditE】として2度のタッグ王座戴冠を果たすなどスターダム最強格のタッグとして活躍。最後の試合はAphroditEとして出陣することもあり、ファンからは熱い視線が注がれていた。
対戦相手の舞華は、詩美との抗争をキッカケにスターダムへ上陸し、フューチャーから赤いベルトまで数多の王座を奪い合ってきた最高のライバル。飯田は2人しかいないスターダム10期生の同期であり、デビュー時からしのぎを削ってきた間柄だ。
詩美コールに包まれる中で試合が開始。舞華が序盤から猛攻を仕掛け、トレイン攻撃を見舞うと上谷も加勢し串刺しジャンピングニーからトリプルドロップキック。
詩美はお仕置きとばかりに上谷にガットショットからボディスラムで飯田に叩き込み、これでチャラにして和解するとAphroditEの連携攻撃で攻め立てる。
舞華が往復串刺しラリアットから詩美をブレーンバスターで上谷に叩きつけイーブンに戻すと、2人まとめて飯田とともに合体雪崩式ブレーンバスター。
飯田と詩美がエルボーの打ち合いで意地を張り合い、打ち勝った詩美がコウモリ吊り落としやジャーマン。AphroditEでキラーボムから詩美がトーチャーラックボムと攻め立てるが、飯田も飯田橋で詩美を丸め込み、さらに詩美を舞華が肩車すると飯田がそこへ飯田ロケットを発射。
最後はラリアットから串刺しラリアットを叩き込み、餞別の達者でな!(=変形筋肉バスター)で叩きつけ3カウントを奪った。
試合後、マイクを取った詩美は「この黄金世代がある時代にプロレスラーやってて、ほんと幸せだわ。黄金世代で、ひめかみたいなでかくてかわいい奴と出会って、プロレススゲー楽しいと思ったし、舞華、お前みたいなライバルが居てくれたから、私のプロレス人生がさらに輝いたよありがとう。飯田、たった2人の、私達2人だけのスターダム10期生。お前がホントの同期で、飯田の活躍が私の幸せだから、これから楽しみにしてるよ。そして上谷、ずっと隣に居てくれて、パートナーで居てくれて、毎日がすごい楽しかったありがとう。これからの世代、黄金世代と試合ができて、もう満足だよ思い残すことはないです」とやり切った様子で晴れやかな笑み。
しかし、これを受けた上谷が「私まだ、1つやり残したことがあるんですよ。シングルマッチ。皆さんも見たいですよね!?」とシングルマッチを要求。岡田社長が了承したため、5分1本勝負のシングルマッチが緊急決定。
開始直後に上谷が走り込みバイシクルキックを放てば、これを読んでいた詩美が避けるとラリアット。上谷も避けてドロップキックの相打ちとなり、お互いの手の内を知り尽くした攻防に会場が沸く。
詩美がコウモリ吊り落としで叩きつければ上谷はバイシクルキックを叩き込み、ダブルダウンの末に手を繋ぎあってのエルボーの打ち合いへ。
最後は詩美のジャーマン・スープレックスホールドを返した上谷がフランケンからマウントを取り、ラスト10秒をマウントエルボー連打で殴り続け時間切れとなった。
2人が大の字になる中でリングに戻ってきた舞華は、「おーい詩美、気すんだか?もう悔いはないか?我々黄金世代はすごく、自由で個性豊かな集まりだとほんとに心の底から思うよ。まあリングが変わっても、我々は崩れない、黄金世代第二章だ~!」と絆を確かめ合う。
そして、最後は飯田が「黄金世代は、終わらねぇ!」と鬨の声を上げ、観衆とともに詩美へ「達者でな!」と言葉をかけて送り出した。
バックステージには、和気あいあいとした様子で4人揃って登場。詩美が思わず涙すると、飯田が「やめろやめろ!汗かくんじゃねえ!」と自身も目から汗を流しながらツッコミを入れる。
詩美は「もちろん、悔いがないわけじゃないけど、この4人と同じ黄金世代で幸せだよ私は。本当の楽しい最後のスターダム、ありがとうございました。幸せです」と思いを噛みしめる。
その後は4人で思いを語り合い、最後に詩美が「すごい楽しかった!お前たち最高!素晴らしい!ありがとう!じゃあ、高みからお前らのこと見守っててやるよ。お前らもっと私くらい成長しろよな。泣いてばっかいんじゃねえよ。ありがとね」と泣きながらそれぞれと握手を交わして一足先に退席。
3人は「最後すごい雑ぅ!」「シングルマッチすっか?!」「そうはさせねーぞぃ!」などとツッコミを入れながら詩美を追いかけて去っていった。