【インタビュー】プラスチック加工会社所属の松本光史が語るキャリア15年の試合前「体内年齢が19歳とか出る」

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 3月31日の開催まであと数日と迫った『PANCRASE341』(立川ステージガーデン)。3つのチャンピオンシップ、杉山しずか初参戦など好カードが揃った大会だが、注目カードの一つが松本光史(M PLATIC)VS天弥(和術慧舟會HEARTS)のライト級戦だ。
 松本は第12代修斗世界ライト級王者。2019年10月、ONE日本大会で行われた「修斗VSパンクラス 4対4 王者対抗戦」で当時のKOP久米鷹介と対戦、判定負け。リベンジを誓い、修斗のベルトを返上してパンクラスに乗り込んできた。
 2020年10月より参戦し、2022年10月にはライト級暫定王者決定戦に挑んだが、アキラに敗れている。その後、2023年4月、ヌルジャノフ・ルスタムベックにKO負けを喫したが、同年11月、西尾真輔に判定勝ち、ほとんど何もさせない圧勝で存在をアピールした。
 今回は、勢いに乗る若手・天弥が相手。カード発表会見では「年内にベルトを獲りたい」と発言した天弥に対し、松本はどのように闘うのか。試合を前にした心境を聞いた。(2024年3月22日、水道橋・マスタージャパンにて)

▼第10試合 ライト級 5分3R
[修斗・第12代世界ライト級王者]松本光史(M PLATIC)
vs
[2023年NBT同級優勝]天弥(和術慧舟會HEARTS)

――まず、コンディションはいかがでしょうか。
松本「はい、なんとか仕上がってきました」

――先ほどちょっと減量のお話をされていたんですけど、順調ですか。
松本「もう順調すぎるぐらいですね。前の試合が終わってからちょっと(体重が)増えすぎちゃって、試合が決まってから急に落とし始めたんですけど、途中からワッと一気に減りました。いい練習ができたと思うんで、それでいい感じになったと思います」

――練習は、ここマスタージャパンと、ロータス世田谷でしてらっしゃるということですが、所属の「M PLATIC」というのはジム名ではないんですか?
松本「あ、それは東大阪のプラスチック加工会社なんです。なんて言うんですかね、企業所属みたいな感じで。ご縁あって所属させていただいて、自由にやらせてもらってます」

――マスタージャパン、ロータスのほかに出稽古はされていますか?
松本「そうですね。ちょっと空手の道場に行かせてもらったりもしてるんですけど、メインはロータス世田谷です。マスタージャパンでは指導をさせてもらっていて、あとSASUKEが練習相手をしてくれるんで、それでたまに来るって感じですね」

――激しい練習でした。さて、試合がいよいよ近づいてきました。相手の天弥選手、会見の時に顔合わせされましたが、印象はいかがでしたか?
松本「ライト級でイキのいいやつって、修斗の時からあんまり出てこなかったイメージだったんですけど、久しぶりにこれは強いなっていう選手が出てきて。なんか、やるんだろうなって感じはしていたので、組んでもらったな、その時が来たなって感じです」

――これまで天弥選手は2勝1敗です。天弥選手の試合をご覧になって、印象に残っていることとか、すごいなと感じた試合はありますか。
松本「うーん、3戦しかやってないんで……で、2勝1敗で、1つは反則負けですけど、まあ負けちゃっているというのはあるんですけど、反応がいいし、 若い、スピードがある選手だなっていう印象ですね」

――ちなみに松本選手、今年15周年ですね。
松本「そうですね。2009年(プロデビュー)なんで、そうですね」

――何か感慨深いものとかありますか。それとも気にしない方ですか?
松本「そうですね、でも同世代で頑張ってる選手が、まだまだいるので。たとえば今成(正和)さんがもう素晴らしくて。同世代じゃなくてちょっともう上ですけど。練習してる人だと宇野(薫)さんとかいるんで、自分はまだまだヒヨッコだなって思っちゃう……という環境が良くないのかな(笑)。やっぱり今日の練習みたいに下の子とやると(自分が)上だなとは思いますけど。年齢やキャリアはそこまで意識してないですね」

――見ている側としては、試合や今の練習もそうですけど、拝見していて年齢とかを感じることはないですね。
松本「そうですか。家の体組織計で毎日体重を測るんですけど、それで体内年齢が19歳とか出るんですよ。それに励まされてます、ハハハ」

――先ほど、ちょっとダンベルもされてましたけど、MMAの練習の他に筋トレもされているんですね。
松本「はい、そうですね。結構やってます。体型で言うと(自分は)結構ちっちゃいんで、トレーニングはけっこう重視してやってます。意外と」

――お食事とかはどうされているんですか。
松本「食事に関しては、あんまり気にしてないっちゃ気にしてないですね。最近で言うと、動く前にしっかりエネルギー補給して、なおかつ全体的に食べ過ぎないっていうのを、ここ1ヶ月ぐらいかなり意識してやったら、体重もいいし、体調も良くなったんで。全体的に無理しない感じでやってますね」

――ナチュラルでいいですね。
松本「そうですね。最近なんか減量とかで色々あるんで。勝とうとするあまりにっていうのはあると思いますけど、(自分は)そこが最優先じゃないって感じですね」

――今回の試合について、特に強化してきたこととか、こうしてやろうと思うところってありますか。
松本「今回の試合についてっていうよりか、前回の試合を踏まえて、ちょっとダメだった部分もあるんで、そこの打撃面の強化はかなりしてきましたね。練習内容も変えて、ちょっと武器を増やすイメージでやってきました」

――練習を見せていただいて、穴がないなって思いました。
松本「ほんとですか。もしかしたら、SASUKEが忖度してくれてるのかもしれないですけど(笑)。でも、今回いい練習ができました。今日で多分ハードなスパーは終わりなんですけど、自信をもって試合に臨めると思います」

――試合の話とは少し離れるんですが、松本さんのことでずっと気になっていたことがあるんです。初めてパンクラスにいらっしゃった時、すごくギラギラしてる人だなと思ったんですよ。
松本「ほんとですか」

――はい。ONEの会見でもそう思いました。ONEでは残念ながら久米(鷹介)選手に負けて、その後、修斗のベルトを返上してまでパンクラスにいらっしゃって、すごくギラギラしてる人って思ったんです。その時の気持ちって覚えてらっしゃいますか。
松本「もちろん」

――すごく大きな決断だったんじゃないでしょうか。
松本「うーん、そうですね。ただ、決断と言うよりかは、もう修斗で防衛もしっかりやったんで。それから、(ONEの)チャンピオン対決で負けて、で、なんかこう……負けた時点で、もうチャレンジャーに回らないと、正直、気持ちの整理がつかないっていうのがあって。
 で、修斗にはわがまま言って返上させてもらったんですけど、パンクラスで組んでもらえてっていうのもあるんで、多分、挑めるっていうことでギラギラ感が出たんじゃないかなって思うんですよね。隠そうとはしてましたけど」

――そうなんですか(笑)
松本「でも、出ちゃってましたね、ハハハ」


――シューターって、すごく修斗愛が強いと感じます。なので、松本選手も修斗を離れるときは辛かったんじゃないかなと、ずっと思っていました。
松本「修斗愛は、僕ももちろんありましたよ。競技っていう面もちろんありますけど、修斗はファンの人がほんとに親身になって応援してくれるんですよ。あんまり表には出てこない部分かもしれないんですけど。会場に行ったら、いつも同じ人が声をかけてくれたりとか、応援してくれたりとかしてたんで、パンクラスに行っても『チャンピオン、パンクラスでも頑張ってるな』って思ってもらえたらなっていう気持ちが今もありますし、僕が修斗のチャンピオンだったというのはもう多分誰も知らないですけど、なんかその気持ちは今も持ってますね。修斗ファンの人には、松本頑張ってるなって思ってもらいたいです」

――修斗時代のファンは絶対見てくれてますね。
松本「はい。見てくれてると思います」

――久米さんへのリベンジ目指して上がったパンクラスなんですけど、なかなか組まれず……。とっておきのカードということもあるでしょうし、久米選手のケガなどもありましたし。
松本「そうですね。いつ試合するんだよと思ってたら発表されてましたね(※4月29日、『PANCRASE 342』で粕谷優介との対戦が決定)。

――久米選手、1年ぶりですね。
松本「そうですよね。まあ、久米選手に負けてパンクラスに来たのは間違いないですけど、今チャンピオンでもないし、ご縁があったらリベンジしたいって思うぐらいですね」

――さっき、すごくギラギラしてる人だと思っていたと言いましたが、パンクラスで松本選手を見ているうちに、だんだんギラギラっていう感じじゃなく見えてきました。なんて言うんでしょう、久米選手へのこだわりから別のステージに移ったのかな?と想像していました。その辺はいかがでしょうか。
松本「もちろん、パンクラスのチャンピオンになりたいですし、それを目指しています。でも、デビューして15年、長くやってるんで、自分の限界の強さ、肉体的にはもしかしたら落ちていくかもしれないですけど、MMAってほんとに飽きなくて。試合ごとに、なんぼでもやることが出てきて、それを突き詰めるのが楽しいから、そっちに(気持ちが)ちょっと行っちゃってるのかもしれないですね……うん。ギラギラがなくなるのはあんまり良くないかもしれないですけど。でも、自分、めちゃめちゃ飽き性なんですけど、MMAは15年できるっていう、ほんとにいい競技だなって思います」

――情熱を向ける方向が変わったんですね。
松本「そうですね。年いったんですかね(笑)」

――全然そんなことはないです!
松本「アハハ!よく言われます(笑)」

――さて、久米選手がいよいよ復帰されます。それについてはいかがですか。
松本「もっと試合しろよって思いますけど、もう1回、どっかで交われればと思いますね、はい」

――その前に、同じ大会でチャンピオンシップがありますね。
松本「はい。(久米選手に)リベンジしたいという気持ちもありつつ、ヤン坊(雑賀ヤン坊達也)選手ともやってみたいんで、ヤン坊選手を応援してます(笑)」

――昨日の会見では、粕谷選手も久米選手もまたベルトを目指してっていう感じだったんですけど、松本選手は4位なんですから、ベルトに十分絡める位置ですよね。
松本「はい。もちろん絡んでいきたいですね」

――パンクラスのベルトってどう思いますか。
松本「でかくて、なんかかっこいいなって思います」

――今のパンクラス・ライト級についてはどう見てらっしゃいますか。
松本「なんかライト級にキャラが揃ってるっていうか、うまく特徴が分散してる。ライト級に関しては他の団体に比べて数も揃ってるし、今チャンピオンになれば価値があるなってすごく思いますね。はい。天弥選手のような若い子も上がってきてるし、上は上でしっかり頑張ってる。レベルが高いと思うんで、そこでちゃんと競り勝てて上を取れれば、自分もまだまだいけるかなって思えると思うんで、獲りたいですね」

――2団体制覇、見たいファンがたくさんいると思います。きっと似合いますよ。
松本「ほんとですか。どうなんだろう、巻いてみないと分からないですけど、巻きたいですね」

――では、今度の試合の話に戻ります。ファンに伝えたいこととか、見せたいものはどんなことでしょうか。
松本「そうですね。一番は、ランカー対決だし、相手も強い選手なんで、レベルの高い攻防を見せて、パンクラスはレベルが高いと思ってもらいたいですね」

――SNSで「若者とやります!」と書かれていましたが、年齢差っていうのは意識されますか?
松本「うーん、ぶっちゃけ、そこまでは(意識はしてない)。僕は相手を強さで見るんで。若い頃は戦績とかも気にしてましたけど、弱くてもちゃんと考えて、強い奴は強いと思うし。(若いと)勢いがどうとかっていうのはあると思うんですけど、別に年齢が行ってても抑え込めれば。まあ、勝てばいいんで。自分は、発信してるよりはそんなに思ってないですけど、ただ、お客さんとか周りの人とかはそうやって見るのはもう間違いないんで、それで楽しんでもらえればって思ってますね」

――年齢差も、楽しむための一つの要素であると。
松本「うん、そうですね。だから別に自分も年齢のことを言って『若者に勝ちました』の方がみんな喜んでくれるんじゃないかなって思います」

――カード発表会見の時は、わりと口数少なめというか、渋い感じだったんですけど、あれも演出だったのでしょうか。
松本「いや、緊張してましたね。最後に、“この試合のテーマ”を聞かれた時の『ライカさんと同じ気持ちです』っていう返しは、僕はボケたつもりだったんですけど、ライカさんが聞いてくれてなくて。なんか、その……ライカさんのせいです、はい(笑)」

――新キャラを作ってらっしゃったわけじゃないんですね(笑)
松本「アハハ! そうじゃないです」

――では最後に、ファンの方々に向けてメッセージをお願いします。
松本「はい。しっかり練習してきて、試合までまだあともう少しありますけど、今のところ良さそうなんで、いい試合を見せられると思います。応援よろしくお願いします!」

(聞き手・写真/佐佐木 澪)

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