12.13パンクラス273でビクター・ヘンリーを相手に復帰戦を行うバンタム級K.O.Pの石渡「パンクラスに石渡あり、日本に石渡ありという試合にしたい」
10月20日午後、都内新宿区のパンクラスにて、第2代バンタム級キング・オブ・パンクラシストの石渡伸太郎(CAVE)が記者会見をおこなった。
石渡は今年1月、左上腕 三頭筋腱断裂という重傷を負い休養していた。秋ごろ復帰を目指していたが長引き、『PANCRASE 273』(12月13日、ディファ有明)での復帰が決まった。相手はビクター・ヘンリー(CSW)。ビクターはGRANDSLAMで所英男、上田将勝を破り、パンクラス参戦をアピールした。今年5月にパンクラス初参戦を果たし、バンタム級1位の中島太一を判定で破った。また、前回10月の『PANCRASE 270』で福島秀和から、1ラウンド、フロントチョークで勝利したことは記憶に新しいだろう。彗星のように現れたこの「日本人キラー」に、石渡はどう立ち向かうのか。
さらに、この試合はバンタム級タイトルマッチとしておこなわれ、勝者をUFCに送り込むべく、パンクラス・酒井正和代表が交渉中という。
笑顔で席に着いた石渡は「ビクターは、日本での実績を見ても最高の相手だと思います。その相手に対し“パンクラスに石渡あり、日本に石渡あり”という試合にしたいと思っています」と力強く宣言した。石渡との質疑応答は以下。
ーー長い休養を経て、復帰がタイトルマッチというのは、いかがでしょうか。
石渡 特に何もありません。(王者なので)普通だと思っています。
ーーさきほど意気込みをうかがいましたが、どんな試合になると思いますか。
石渡 強い相手をフィニッシュしたいです。イメージはこれから作っていきます。
ーー11ヵ月のブランクとなりました。その経過を教えてください。
石渡 1月に手術をして、6週間ずっとギブスをしていました。ギブスが取れてから日常生活ができるようになるまでに2ヵ月かかって、そこから少しずつ練習を始めました。本当に長かったです。とは言っても、ギブスをしながらも、反対(右腕)でヒジ打ちの練習をしたりしていたので、いつからどんな練習を始めたか、あまり覚えていないんです。そういう意味では練習は1日も休んでいません。
ーー現在の左腕の状態はいかがでしょうか。
石渡 まだ力はあまりありませんが、その分いろいろやってきたので不安はないです。
ーー相手は「日本人キラー」と言われていますが、どのような印象をお持ちでしょうか。
石渡 ビクター選手の一番いいところは極めにくるところですね。組み技のアタックが多いし、立っているときのバランスもいい。パンチも蹴りも1発1発倒せるものを持っていて、ジョシュのところの選手だなという感じがします。この間の試合を見て本当にいい選手だと思いました。ほかの日本人選手は誰も勝てないだろうなと思って闘いたくなりました。もちろん、自信がなければそう思いません。
以前は、公開練習などでUFCの話を振られても「まだ自分には早いと思います」と答えていた石渡。しかし、11ヵ月というブランクを経て、やっと試合ができる喜びに燃えている。もし、最初に目標としていた秋に復帰していたら、この試合とは巡り会えなかったかも知れない。今、日本を席巻するビクターを倒すのは自分しかいないんだ。石渡にとって、まさに「機は熟した」のだろう。
挑戦者・ビクターは「Let’s glab that belt.」というメッセージを寄せている。また、師匠であるジョシュ・バーネットも「石渡選手のお陰で、いい試合になると思います。しかし今度、輝くのはビクターの番です」と後押しをする。ビクターは、通常より早く、試合の2週間前に来日してコンディションを整える態勢だという。
12月、今年最終の東京大会をしめくくるにふさわしい試合になることは間違いない。
【写真・文/佐佐木 澪】