「私にすべてを背負わせないでよ!」引退前最後の後楽園ホールで赤井沙希がSKE48の荒井優希と一騎打ち!過去の重圧を振り返りつつ荒井にエール
27日、東京都・後楽園ホールにて東京女子プロレス『ALL RISE ’23』が開催。赤井沙希と荒井優希が最初で最後のシングルマッチを行った。
赤井沙希は、元プロボクサーの赤井英和さんの実娘であり、2013年8月にDDTでプロレスラーデビュー。現在はDDTの紅一点として男子選手に混ざって奮戦を続け、東京女子プロレスやベストボディ・ジャパンプロレスなどでも活躍。174cmの長身とその美貌を活かしてファッションモデルやタレントとしても活躍してきた。
また、2019年には、人気ゲーム『Fate/Grand Order』の舞台『Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-』でルチャ・リブレを愛する陽気な女神、ケツ姉ことケツアル・コアトル役として出演。現在も「イキマース!」の掛け声とともに放つ必殺技、ケツアル・コアトル(※縦回転変型ラ・マヒストラル)を使い続けている。
赤井のプロレスラーキャリアも10年を迎えようという5月24日、赤井は「私は、枯れて朽ちていく花ではなく、美しいまま散る花でいたい。それこそが赤井沙希のプロレス道の最終地点だと思っております」と11月12日の両国国技館大会での引退を発表。
心残りの無いよう全力で引退ロードを突っ走る赤井は獅子奮迅の活躍を見せ、7月にはKO-D6人タッグ王座を、8月には全日本プロレスTV認定6人タッグ王座を戴冠する二冠王に。即日返上したものの9月にはレギュラー参戦していたベストボディ・ジャパンプロレスでシングル王座であるBBW女子王座を戴冠するなど最後の花火をぶち上げている。
東京女子での赤井は、SKE48のメンバーで女子プロレスラーとしても活動する荒井優希と“令和のAA砲”を結成し名タッグとして活躍。2人は美しいだけではなく昨年7月にはプリンセスタッグ王座戴冠も果たし、約6ヶ月防衛し続けるという強さを魅せてきた。
赤井の引退に伴い、令和のAA砲も自動的に解散決定。今年9月に2人で最後のタッグ戦に臨み、試合後には荒井が赤井との一騎打ちを熱望。この日の後楽園では最初で最後のシングルマッチが行なわれることとなった。
試合前に荒井が握手を求めるも、赤井は荒井の目をじっと見つめるだけで拒否。
ゴングが鳴ると、ロックアップからヘッドロックを取り合うプロレスの基礎に立ち返った攻防で過去をなぞっていき、赤井が鋭い蹴撃の連打からプラチナムロックで絞り上げるなど一方的に攻め立てる展開が続く。
それでも荒井は折れること無く吶喊。「来いよコラ!」と珍しく声を荒げる赤井に対して気迫のエルボー連打からビッグブートやドロップキックで連撃しサソリ固め。歴戦の赤井をあと一歩のところまで追い込む。
終盤にはビッグブートで互いの顔面を蹴り合う意地の張り合いが展開。赤井がハイキックで刈り倒して新人賞を発射も、荒井がかわして新人賞から必殺のFinally。これを返された荒井はミサイルキックを放つが、赤井は回避して自爆させ、バズソーキックからランニング・ビッグブート。さらに新人賞からケツアル・コアトルと必殺技フルコースで3カウントを奪った。
泣きじゃくる荒井に対し、赤井は頭を優しく撫でながら何かを語りかける。
その後マイクを取り、「優希ちゃん、私の最後の後楽園、シングルの対戦相手になってくれてありがとう。でも私はまだ今の優希ちゃんに超えられるわけにはいかない。今までホンマに色んな経験をしてきました。でも優希ちゃんはまだ会ったこと無い色んな新しい出会いとか、色んな経験が待ってるから。それを全部このリング上の強さに変えてください。でも時には挫折とか心折れることがあるかもしれへんけど、優希ちゃんにはこんなにたくさんの心強い仲間がいるから。だから、この子のこと支えてあげてください。次、私が優希ちゃんと会うときは、プロレスラーとファンとしてみなさんと同じように優希ちゃんのことを応援するから。優希ちゃんが見せる世界を見せてください。今日はありがとうございました」と語りかけて固く抱き合った。
バックステージに戻った赤井は、「自分が今日最後の後楽園ホールで、それが東京女子で、自分がかわいがっているパートナーの荒井優希ちゃんとシングルが出来たことを本当に光栄に思ってます。自分が初めて会ったときよりも対戦相手として対峙して優希ちゃんの存在感をすごく大きく感じました」と評価。手加減無く打ち込んだビッグブートに怯まず強烈なビッグブートで返してきたことに驚きつつも「立派な偉大なプロレスラーだなと感じました」とその成長ぶりに目を細めた。
そして、「周りが変に『ああなって欲しい、こうなって欲しい』って押し付けるのは自分自身のキャリアで経験してきたように、『私にすべてを背負わせないでよ!』って思ったりもしたんで、優希ちゃんの思う、優希ちゃんが想像するプロレスラーにすくすくとなって欲しいなと思います。やりたくないことはやらなくていいし、やりたいことだけを伸ばしていってほしいなと思います」と自身の過去を振り返りつつ荒井にエールを贈った。
一方、荒井は「『次は勝ちたい!』という気持ちになるけど、次は無いから……」と寂し気に笑いつつ、「いつか赤井さんが見に来てくれたときに『今なら負けそうだ』とか思ってもらえるように頑張りたいと思います」とさらなる飛躍を誓った。